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キャリアパスを制度として整えるには?注意点や手順、企業事例まとめ

キャリアパス,事例

キャリアパスとは、企業の中で目指す職位や職責を達成するために必要なスキル・能力を高める順序を段階的に設定する目標のことです。

キャリアパス制度はどのような手順で導入すればよいのか?注意点はあるのか?について、先進企業の事例と合わせて解説していきます。

キャリアパスがどのようなものかについては「キャリアパスとは|企業にとっての必要性とメリットを知っていますか?」をご覧ください。

キャリアパス制度を導入するためのポイント

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キャリアパス制度を導入・整備するために心得ておくべきポイントを解説します。

目標は到達点を明確にして設定する

従業員によって目標の到達点は異なります。
どの部署でどの職位に就いているか、何年後に達成するのか、その先はどうなのか等を細かく設定し、目標への道に迷わないようにします。

会社の状況が変わっても、到達点が明確になっていれば、ブレることなく目標に向かって進むことが可能になります。

業務適性を把握する

従業員がどの業務への適性があるのかを把握します。
キャリアパスを設定する上で、より現実的に目標に到達できるよう、業務適性を知ることはとても重要です。

自分では得意だと思っていても実際は役に立てていなかったり、その逆で苦手な業務だと思っていても人より効率よく仕事ができている場合もあります。
業務適性を把握することで、企業側も適材適所に人材を配置することができるようになります。

目標を達成するために必要なスキル・能力を明確にする

目標とする職位が設定できても、到達するまでに必要なスキルや能力が明確になっていないと、従業員は何を学べば良いのかわからなくなり、目標の達成が困難になってしまいます。

「なりたい」、「年数を重ねればなれる」というわけにはいきません。
目標に向かって進めるように、必要となるスキル・能力は明確に設定しましょう。

一本道ではなく複数のキャリアを想定する

会社の状況によっては、事業の縮小や拡大によって担当する業務が変更する場合もあります。
そういった場合に目標が一本しか用意されていないと、道を外れることを拒み、事業の運営に支障をきたしてしまいます。

また、業務命令を受け担当部署が異動になった場合に、想定されていたキャリアパスとかけ離れることで、従業員は自身のキャリアアップに不安を持ってしまいます。
その結果、転職してしまうことにもなりかねません。

こういったリスクヘッジをするためにも、キャリアパスは複数の道を設定するのが良いでしょう。

キャリアパス制度の導入ステップ

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キャリアパス制度には「等級制度」、「評価制度」、「研修制度」、「賃金制度」の4つの制度があります。

  • 等級制度・・・従業員のスキル・能力や知識・資格等を踏まえ、相応しい等級を定める制度です。
  • 評価制度・・・業務内容の習熟度や業務遂行(成果)能力を評価する制度です。
  • 研修制度・・・スキル・能力開発のため、知識や資格等の習得を支援する制度です。
  • 賃金制度・・・評価制度によって得られた従業員の評価に基づいた給与的待遇を定める制度です。

キャリアパス制度を導入していく中で、4つの制度を全て加味していく必要があります。
これら4つの制度を踏まえ、キャリアパス制度を導入するにあたって必要なステップを5つに分けて解説します。

ステップ1:等級(階層)を設ける(等級制度)

等級は、キャリアパスでの骨組みになります。
出世を意識する中で上位職位(役職)を目指す指標になるからです。

また、役職のないところにも階層を設定し、役職に就く前であっても職責や給料等に変化があるようにします。

ステップ2:業務内容を設定する(等級制度、評価制度)

職位ごとの担当すべき業務内容を明確にします。
等級が上位になれば、実務よりも、等級下位の従業員への教育・指導や管理面の業務を行う等の差別化をします。

業務内容を明確に設定し、等級ごとに差別化することで、キャリアアップしている実感が湧き、仕事への意欲も向上します。

ステップ3:求められるスキル・能力を設定する(評価制度)

等級と業務内容を設定したら、上位等級に出世するために必要なスキル・能力を設定します。
抽象的ではなく、具体的に設定することが重要です。

出世に必要なスキル・能力が明確になることで、キャリアアップに向かって真っすぐに進むことができ、将来に向けての道筋もできます。

ステップ4:必要な研修を設定する(研修制度)

出世に必要なスキル・能力を得るための研修制度を等級ごとに設定します。
自己啓発で学べる内容ではなく、社内に特化した内容で業務を熟知した従業員に講師を担当してもらいます。

自発的に参加を希望する従業員を対象に受講させ、受け身ではない主体的な従業員の育成を目指します。

ステップ5:等級別(階層別)の給料を設定する(賃金制度)

等級別に給料を設定します。

等級が上位になれば業務内容も難易度が向上しますが、給料が変わらなければ、従業員の不満がでてきます。
出世に対する意欲もなくなってしまう可能性があるため、等級別に昇給するように給料を設定する必要があります。

キャリアパス制度を実施している企業の事例4つ

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ここでは実際にキャリアパス制度を導入している企業がどういった取り組みをしているのか、どういった効果が得られたのかの事例を4つ紹介します。

コニカミノルタ株式会社|三位一体でキャリア支援し、若手や女性の活躍や意欲の向上に成功

コニカミノルタ株式会社は情報機器やヘルスケア商品の開発・製造・販売等を行う企業です。

コニカミノルタでは、自律的にキャリアビジョンを実現するため、「 本人・上司・会社」の三位一体でキャリアを支援する取り組みをしています。

キャリアパス制度を導入するにあたり、下記3つの取り組みを行なっていました。
結果的に若手や女性の活躍が増え、従業員の意欲の向上に成功しています。

人財のトランスフォーム

人財のトランスフォームは、変化する社会環境に対応できる人材を育成するための取り組みです。

従業員の自律的なキャリア支援として、「CDS(Career Development Support:自己申告)」を毎年全従業員を対象に実施し、従業員自身が「3年後のありたい姿」を描きながら、自分の知識やスキル・能力の棚卸しを行います。

現在の自分を把握し、以降1年間のスキル・能力やキャリアアップの目標と計画を定めます。
また、日々の業務を遂行しながらスキル・能力が向上できるよう、上司と面談を行い、目標と計画を共有します。

CDSでは半年後と1年後に、従業員が自ら振り返り上司と面談を行うことで、PDCAサイクルを回せるようにしています。
結果として、直近5年間での面談実施率はほぼ100%であり、若手層や女性が着実に成長してきています。

キャリアサポート室

キャリアサポート室では、全従業員を対象に、節目となる年齢(30才、40才、50才、55才)でのキャリアデザイン研修と面談を実施しています。

キャリアデザイン研修は、キャリアサポート室に所属している専任のキャリアアドバイザーが行なっています。
全国の拠点にキャリアアドバイザーが常駐しており、研修の他に受講後のフォローや希望者へのキャリア面談を行います。
キャリアドバイザー自体が、社内の業務のプロフェッショナルであり、経験を生かして従業員の悩みや希望に寄り添って面談することができます。

結果として、全従業員での研修受講完了が約7割に達し、自発的にキャリア相談をする件数も着実に増加しています。

コニカミノルタカレッジ

コニカミノルタカレッジは、公募型自己啓発教育で、社会環境の変化に柔軟に対応した能力開発を行います。

また、従業員個人が様々な知識や経験を得るため、若手海外派遣プログラムや兼業・副業の解禁等の多様なキャリア支援を展開しており、多様な人材や組織・役割の壁を越えた交流を促進する「ネットワーキング施策」等を進めています。

結果として、自発的にスキル・能力を向上させるための教育受講者が前年比で2.7倍になりました。
また、兼業・副業の希望者は10ヵ月で24件もありました。

株式会社リコー|7つの人材タイプに区分けし、女性管理職が増加

株式会社リコーは印刷機や精密機器のメーカーです。

リコーはキャリアパスを描かせるため、従業員を7つの人材タイプに区分けし、自発的な従業員を育てるための認定制度も設定しました。

全ての従業員にキャリアアップのチャンスがあり、多くの女性従業員も挑戦したことで、女性管理職の大幅な増加に成功しました。
(女性管理職8人から110人への増加)

7つの人材タイプ

リコーでは、企業が成長するためには多様な人材を協業させる必要性があると判断し、独自のキャリアパスとして「7つの人材タイプ」に区分けしました。

  • ビジネスリーダー(事業トップ)
  • ビジネスリーダー(機能トップ)
  • 新規事業創造リーダー
  • プロフェッショナル
  • スペシャリスト(高度スペシャリスト)
  • プロジェクトマネジャー
  • マネジャー

これらの7つの人材タイプごとに制度や仕組みを構築しています。

PMコンピテンシー認定制度

また、「PMコンピテンシー認定制度」を構築し、社内基準に基づきプロジェクトマネジメント能力を認定する制度になっています。
(PMはプロジェクトマネージャーの略です。)

このPMコンピテンシー認定制度では、従業員が自ら知識やスキル・能力の向上にチャレンジし、組織やコミュニティーが活性化することが期待されます。

プロジェクトマネジメント能力の認定者には、プロジェクトマネージャーや役職に優先的に任命されるメリットがあります。

株式会社みずほフィナンシャルグループ|企業内での活躍イメージが描けたことで、女性管理職比率が増加

株式会社みずほフィナンシャルグループは、みずほ銀行やみずほ信託銀行等のグループを統括する企業です。

みずほフィナンシャルグループでは、キャリア支援に力を入れており、将来のキャリアパスを新卒採用情報サイトに載せ、どのようにキャリアアップしていけるかを入社前からわかるようにしました。

また既存の従業員に対しても、キャリアパスが描きやすくなるような取り組みを行なっています。

産休や育休を取得しつつも活躍する女性社員のロールモデルから、女性のキャリアアップへの意識が向上し、女性管理職の増加にも成功しています。
(女性管理職比率が11%から15%へ増加)

ジョブフェア

出世だけでなく様々な職種等で活躍している従業員と会話する「ジョブフェア」を開催しています。

ジョブフェアでは、従業員が興味のある職種で活躍する従業員を選び、直接会話することで、キャリアアップへのロールモデルを描くことができ、モチベーションの向上にも繋がっています。

研修制度

さらに、キャリアパスを通して描いた理想の人物像になるために必要なスキル・能力を得るための研修制度も充実しており、キャリアパスと様々な施策をマッチさせることに成功しています。

大同生命保険株式会社|キャリアの見える化や階層別研修で従業員のキャリア意識が向上

大同生命保険株式会社は、生命保険業を行っている企業です。

大同生命保険では、能力の発揮とチャレンジの支援について3つの取り組みを行っています。
個々のキャリアの把握と見える化により、従業員のキャリア意識向上に成功しました。

Challenge NaviとD-キャリ

「Challenge Navi」は、人材育成のための社内ポータルサイトです。
従業員が主体的にスキル・能力向上やキャリアアップに取り組む意欲を向上させるため、トップメッセージやチャレンジ施策、経験者の体験談が載っている他、SNS機能で従業員同士が切磋琢磨しあえる環境を提供しています。

また、従業員が個々のプロフィール(担当業務、過去の経歴、趣味・特技、顔写真等)を掲載し、在籍している他の従業員を検索・閲覧できる仕組みとして「マイプロフィール機能」を提供しています。

このマイプロフィール機能により、他の従業員の「過去のキャリア」や「自己 啓発の取り組み」、「業務内容」等を閲覧し、自分自身のキャリアアップ検討への参考にすることができるようになります。

また、「D-キャリ」は、このマイプロフィール機能を活用し、他部署の従業員と直接キャリア相談が可能となる仕組みです。
先輩後輩や勤務地を問わずにキャリア相談が可能となり、一人ひとりの従業員がこれまで以上に具体的なキャリアアップへの目標を立てられるようになりました。

タレント・マネジメント

「タレント・マネジメント」は、部署ごとに持っていた人財の情報を人事総務部が集約・分析することで、人材育成や人員配置に活用するの仕組みです。
人事総務部と従業員との直接面談で「本音」、「考え方」、「価値観」等を把握しています。

このタレント・マネジメントをプラットフォームとした人材育成の態勢を構築しています。
従業員一人ひとりに応じた成長・育成の機会を効果的に提供し、中長期的な人材育成・キャリアアップを実現しています。

また、出産・育児等のライフイベント等があった場合にも、退職することなくキャリアを継続できる仕組みとして、「ジョブリターン制度」、「ファミリー転勤制度」を提供しています。

チャレンジキャリア制度

「チャレンジキャリア制度」は、若手層や女性・高齢者等階層別のキャリア研修を実施し、段階に応じて将来のキャリアを考える機会を与える取り組みです。

また、中期経営計画の人事戦略で「人材力向上推進計画」を策定し、人材のスキル・能力向上に関わる取り組みを展開しています。

さらに、期間限定の「短期・長期インターンシップコース」や、異動を前提とした「ジョブチャレンジコース」、「FAコース」の他、国内や海外の企業・団体へ派遣する「社外派遣コー ス」を設け、従業員のキャリアアップに向けて、チャレンジする機会を提供しています。

まとめ

キャリアパス制度を導入するにあたっての手順や、実際に導入した企業の事例を解説しました。

キャリアパス制度を正しく導入することで、従業員の業務に対する意欲が向上し、結果的に起業の業績アップに繋がります。

また、キャリアパス制度の導入は、企業の優秀な人材の確保に効果があるだけでなく、女性の活躍推進等のダイバーシティの面でも効果が高いです。

これからキャリアパス制度の導入を検討している企業は、この記事で解説した手順や事例を参考にしていただければ幸いです。

2019.07.23 up
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