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ダイバーシティ・マネジメントとは?導入後の効果的な取り組みを解説

ダイバーシティという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
ダイバーシティとは、「多様性」という意味を持つ英単語で、ビジネス界では国籍や性別、年齢等に関わらず多様な人材を活用する取り組みを指します。

ダイバーシティマネジメントは、ダイバーシティの仕組みを取り入れて事業の経営をしていくことです。
この記事では、ダイバーシティマネジメントを導入した後の効果的な取り組みや具体例を解説します。

ダイバーシティについては「ダイバーシティの必要性って?導入に向けた取り組み方と効果まとめ」の記事をご覧ください。

ダイバーシティマネジメントとは?

ダイバーシティマネジメントとは、企業が多様な人材を受け入れ、それぞれが持つ違った価値観や考え方を活かし、組織を強化することです。

企業間の競争が激化し労働人口が減少している中で、女性の社会進出や外国人労働者の雇用等、雇用形態の多様化が進んでいます。
企業は、これまでの男性社員やベテラン社員が主体となっている経営方針を見直し、多様な人材の受け入れを迫られているのです。

ダイバーシティマネジメントが必要とされる背景

ダイバーシティの始まりと、日本でのダイバーシティマネジメントの歴史について解説していきます。

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アメリカで提唱されたことがきっかけ

ダイバーシティはアメリカで始まりました。
アメリカでは様々な人種が存在し、白人女性や黒人への差別的な人事評価・待遇が蔓延していました。
そのような差別をなくし、公平に社会で生きていくために、差別的な「待遇」や「人事評価」、「キャリア開発」、「昇進」を排除するといった、「黒人と白人女性という弱者を救済する取り組み」がダイバーシティの始まりです。

さらに、アメリカでは人種だけでなく様々なマイノリティ(多国籍や同姓愛者等)が増えたことで、マイノリティが権利を主張するようになりました。
これにより、ダイバーシティも多様な人種から拡大し、全てのマイノリティを包括する考え方へと変化していったのです。

日本におけるダイバーシティマネジメントの歴史~現在

アメリカの影響を受けた日本では、1985年に「男女雇用機会均等法」が制定され、男女による雇用の格差をなくす動きが始まりました。
その後も、男女間の差別の廃止を目的とした「男女共同参画社会基本法」が制定され、より男女の人権が尊重されるようになったのです。

アメリカのように様々な人種が共存しているのとは違う日本では、人種や年齢等の差別への注目はあまりされていなかったようです。
しかし、アメリカでのダイバーシティが進むにつれて、日本でも少しづつ人種や年齢、障がい者の雇用も推進され始めました。
こうしてダイバーシティマネジメントが広がってきた日本ですが、ここからはアメリカと日本での方向性が変わってくるのです。

日本でダイバーシティが注目されるようになったのは、少子高齢化の影響で労働人口が減少し、多様な人材を受け入れないと労働者の確保ができなくなってきたことが理由です。
高齢者年齢等への対応が必要になったのです。
現在では、多くの企業で多様な人材を活用するための働く環境の整備等が行われはじめています。

ダイバーシティマネジメントの目的・期待される効果

日本におけるダイバーシティマネジメントの目的は、労働人口の減少問題に対応するための労働力の確保です。
雇用形態の多様化が進み、一つの企業に長く勤務する風習が薄まる中、非正規雇用者や派遣社員が増えています。
優秀な労働者を確保するためには正社員にこだわらず、多様な人材を雇用し適材適所に配置することが重要です。

ダイバーシティマネジメントを導入することで期待される効果には以下の4つがあります。

  • 多様な人材活用でスキルや知識の幅が広がり、ビジネスチャンスが拡大する。
  • 育児や介護で女性社員が退職せずに、職場復帰することで優秀な社員のロスを防げる。
  • 多様な人材の受け入れが外部からの良い評価になり、企業の信用が向上する。
  • 働きやすい環境を作ることで、従業員のモチベーションが向上し仕事を効率的に進められる。業績アップにつながる。

先進企業に学ぶ!ダイバーシティマネジメントの成功事例

では実際にダイバーシティマネジメントへ取り組み、成功した企業の事例を紹介します。

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株式会社ローソン|男性の育児休職取得促進

ローソンでは、男性社員の割合が8割と社員の大半を占めており、女性社員が活躍するためには、考え方を変える必要がありました。

そこで、男性社員の考えを変え、女性が仕事に復帰しやすくするために、男性社員の積極的な育児参加を促す「男性の育児休職取得促進」を行いました。
これは、生後3か月以内に申請することで、5日間を上限に育児休職できる制度です。
期間の上限を5日間とすることで、育児休職を取得するハードルを下げたのです。

男性が制度を利用し、育児への理解を深めることで、女性の職場復帰の意欲を向上させました。
また、男性社員の育児参加の意欲が向上し、早く帰るために仕事の効率を求めるようになったため、業績も良くなりました。

三菱ケミカル株式会社|女性が働きやすく活躍できる組織

三菱ケミカル(旧三菱樹脂)では、男性社員中心の風土が強く、企業の基盤を固める総合職はほとんどが男性社員でした。
女性社員は、一般職に相当する「実務職」として採用されることが多く、実務職は総合職を支える縁の下の力持ち的役割を担っていました。
また、社員等級制度があり、入社直後は5級から始まりますが、実務職の9割は入社時のままの5級か、一つ上の4級になる程度です。
しかも、4級になるために17年以上かかってしまう場合もあり、実務職のモチベーションは上がらず、若手が離職してしまうことが多かったようです。
女性は結婚して退職していくものとされ、職級を積極的に上げていけるような仕事を回さない風土だったためです。

しかし、競争が激化し労働人口が減少する時代に突入し、企業が勝ち残っていくためには、多様な人材の活用が必要になりました。
そこで今までの考えを捨て、女性が活躍できる環境を作るため、以下の3つの取り組みを行いました。

実務職の高度化

失ってしまったやる気を取り戻すため、実務職がキャリアパスを形成するために3つの施策を行いました。

  • キャリア形成
    仕事に対する価値観や今後の目標を設定するために従業員へ「キャリア面談」を行い、現状の把握やキャリア形成の支援を行います。

  • コース転換制度の見直し
    キャリアアップを求める社員が、様々な職種から総合職にコース転換しやすい仕組みを作りだしました。

  • 能力向上
    研修の機会を実務職にも与えることで、能力の向上を図りました。

総合職の環境整備

女性社員の多くは、結婚や出産等の理由により入社5年以内という早い段階で退職していました。
家庭と仕事の両立よりも家庭を優先するということは、両立してまで会社で働こうと思わない=会社に魅力がないことが原因だと考えました。

そこで、若手のころから仕事にやりがいや楽しさを感じる環境、女性社員が休職後に復帰したいと思えるように、様々な経験を早めに積ませるための早期研修制度を作りました。

管理職の意識革命

女性社員が出産や育児・介護の制度を利用する際に、上司や周囲の理解が得られないため、休暇の申請をしにくい環境でした。
そこで、育児を積極的に行う管理職「イクボス」を取り入れ、育児や介護に理解のある人材を配置することにしました。
これにより、育児や介護での休暇申請を行いやすい環境になりました。

シダックスオフィスパートナー株式会社|精神障がい者の職場定着促進

シダックスオフィスパートナーでは、精神障がいを持つ人の雇用を行っていますが、やりがいに配慮しておらず、職場に定着していませんでした。
そこで、精神障がい者のやりがいに焦点を当て、キャリアアップのための様々な取り組みを行い、職場定着の推進を行いました。

キャリアアップとモチベーションアップ

社内で「トレーナー及びリーダー制度」が導入されたことで、精神障がい者であっても、能力があればリーダーやトレーナーに選任されるようになりました。
選任されることで仕事にやりがいを感じるようになり、モチベーションがアップしました。
また、自分で考えた「改善好事例報告書」を提案することで、本人のキャリアアップにも繋がっています。

適材適所への配置

初めて就職する障がい者の人も多く、職場環境に慣れないため体調を崩してしまうこともありました。
そこで、本人が適応しやすい職場に配置転換し、身体的および精神的な負担の軽減に成功しました。
配置転換後は、いきいきと仕事をするようになり、スタッフとのコミュニケーションも円滑に行うことができています。

こんな取り組みはNG!ダイバーシティマネジメントの失敗例

ダイバーシティを推進し、多様な人材を受け入れるには多くの課題と注意すべきことがあります。
価値観や考え方の異なる相手を受け入れるのは、簡単ではありません。
やりかたを一歩間違えると、不満や離職に繋がってしまうため、慎重に進める必要があります。
ここでは、ダイバーシティマネジメントを取り組む中での失敗例を紹介します。

多様性人材のターゲットが曖昧

多様な人材を雇用し運営していくためには、ターゲットにあった施策が必要です。
女性の活躍を推進する場合と外国人の雇用を推進する場合では、整備する制度も違うのです。

ターゲットを明確にせず、多様性という言葉だけで先走ってしまうと、何をしてよいかわからないため、多様な人材の雇用が進まないのです。

制度の整備のみで、職場環境を変えていない

女性社員の活躍推進のため、育児や介護休暇の制度を整備したが、職場環境は従来のままだったため、休暇の取得ができないケースなどが当てはまります。
育児や介護の休暇制度はあるのに、上司や周囲の考え方が変革できていないため、休暇に対する理解を貰えず承認されない・申請しにくい状況のままでは意味がありません。

制度のみ整備するのではなく、休暇を取っている間の仕事のフォロー体制や復帰後の勤務時間の多様化等、休暇を取得しやすい・復帰しやすい環境作りが必要なのです。

まとめ

ダイバーシティマネジメントの導入後の効果的な取り組みについて解説しました。
多様な人材を活用していくためにすべきことは多く、偏った施策ではかえって逆効果になってしまいます。
ダイバーシティマネジメントによって得られる効果は大きいです。
この記事で解説した事例を参考にしていただければ幸いです。

2019.08.30 up
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