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外国人雇用の手引き②|採用・受け入れ方法や注意すべきポイントを解説

201941日に施行された入国管理法の改正により、人材不足を解消する一手として外国人労働者の採用を考えている企業は増加傾向にあります。

「でも、面倒な手続きが多くて難しそう」
「何から手をつけたらよいのか分からない」

慣れない手続きに直面すると、どうしても後ろ向きな考えになりがちですよね。

そこで今回は、厚生労働省が発表した「外国人雇用に関するルール」を参考に、外国人雇用の手続きに際し採用から受け入れ時に注意すべきポイントを徹底解説します。

外国人雇用の概要については「外国人雇用の手引き①|現状や背景、支援制度、メリット、罰則を解説」をご覧ください。

外国人雇用をはじめるにあたってのポイント

外国人労働者の雇用を開始する前に、まず雇用者側に外国人労働者を受け入れる心構えが必要です。

では、具体的にどのような心構えが求められるのでしょうか。

採用の目的を明らかにする

まず初めに企業がするべきことは、「なぜ外国人労働者を雇用するのか」という目的を明らかにすることです。

「雇用にかかる経費を安く済ませたいから」といった漠然な理由では、採用活動は上手くいきません。

外国人労働者の国籍や言語能力、業務内容、雇用期間、賃金など具体的な条件を挙げて検討することが大切です。

文化の違いを理解してコミュニケーションをとる

雇用した外国人労働者に対する日本語教育は必須ですが、一方的なコミュニケーションでは外国人労働者が苦痛を感じてしまいます。

円滑なコミュニケーションをとり働きやすい環境を作るためには、外国人労働者の文化や言語に興味を持ち、歩み寄ることが重要です。

社内へ周知する

国によって文化や慣習はそれぞれ違います。
宗教的な意味合いのある衣装を身にまとっている人もいれば、長期休暇を取得するタイミングが違う人、時間の観念が違う人もいます。

こうした違いを受け入れるために、外国人労働者に関する社内への周知を怠ってはいけません。

キャリアパスを明示する

キャリアアップや評価の基準・条件が不明瞭では、従業員のモチベーションが低下してしまいます。

外国人労働者に対してもキャリア形成プランを作成するなど、将来的なポジションを提示することが大切です。

外国人労働者の雇用を機会に、これまで日本企業が採用してきた年功序列を基本とする組織や人材育成のあり方を見直すべきかもしれません。

【関連】キャリアパスとは|企業にとっての必要性とメリットを知っていますか?
【関連】キャリアプランとは?考え方や注意点、メリットをまとめてみた

外国人雇用までのステップ【準備】

ここからは外国人労働者を雇用するまでの具体的な流れについて解説していきます。

外国人労働者雇用管理責任者の選定

外国人労働者を常時10人以上雇用するときは、「外国人労働者雇用労務責任者」を選任する必要があります。

外国人雇用労務責任者とは、外国人労働者の雇用や労働条件に関する管理や関係行政機関との連絡など、外国人労働者の雇用労務を管理をする人のことです。

原則として、人事課長や労務課長など、各事業所の中から選任します。

社内体制の整備

外国人労働者を受け入れるにあたって、社内体制の整備が必要です。

採用した外国人労働者が日本語を話せたとしても、文化や言語の違う国で働くことはとても大変なことです。
業務に関するマニュアルは言語を変えるだけでなく、動画を用いるなど工夫をするとよいでしょう。

また、労働条件や職場のルールを理解してもらうためには、定期的に面談の機会を設けるなど、積極的にコミュニケーションをとることが大切です。

さらに、多様な文化や価値観があることを認め合い、ダイバーシティを推進するため、宗教的に必要な設備の充実や長期休暇の整備にも努めましょう。

外国人雇用までのステップ【採用】

続いて、外国人労働者の雇用で最も重要な「採用」に関する手続きのポイントをまとめてみました。

求人を出す

外国人労働者を募集をするには、いくつか方法があります。

新聞、雑誌、自社のホームページなどに求人を掲載する

日系の新聞社をはじめ、「Japan Times Jobs(ジャパンタイムズ ジョブズ)」や「GaijinPot(ガイジンポット)」「日本新華僑報」など、外国語の新聞や雑誌のポータルサイトから募集を行うことも可能です。

大学や語学学校に斡旋してもらう

外国人留学生を多く抱える専門学校や大学、大学院では、日本での就職を強くサポートしています。

こうした教育機関の就職課にコンタクトし、求人を出したり日本での就職を希望している優秀な学生の情報を得ることは、外国人労働者の雇用に繋がります。

外国人派遣会社や紹介会社を利用する

バイリンガルや外国人を中心に人材紹介を行っているコンサルティング会社が増加しています。

外国人派遣会社や人材紹介会社ごとに強みとする分野(職種・業界・外国人の出身国別など)が違うため、自社の希望内容にマッチする会社を選択することが大切です。

外国人雇用の公的機関を使う

外国人雇用サービスセンター(東京・大阪・名古屋)など、外国人を専門に人材紹介を行っている公的機関があります。

こうした機関では、外国人を雇用したい国内企業と日本で就職を希望する外国人のマッチングを目的としたジョブ・フェア(就職説明会)も頻繁に行っているので利用してみはいかがでしょうか。

SNSを使う

ソーシャルネットワークサービス(SNS)の普及に伴い、外国人労働者の採用にSNSを利用する企業が増えてきました。

実際に語学が堪能な外国人は、SNSでの求人を注意深くチェックしているといいます。

優秀な人材や専門知識を持った外国人の雇用を検討しているなら、SNSでの求人も視野に入れるべきです。

在留資格がある雇用可能な外国人か・不法就労でないかを確認する

採用直前になって就労ビザを取得できないといったトラブルを回避するために、面接を行う前に外国人労働者が就労ビザを取得できる対象かどうか確認しておきましょう。

外国人が就労ビザを持っていない、または海外から外国人を呼んだ場合

以下の2点いずれかをクリアしていないと申請を却下されてしまいます。

(1)外国人が卒業した大学や専門学校の選考内容が自社の業種と合致するかどうか
(必要書類:卒業証明書 or 成績証明書)

(2)採用する職種において10年以上の実務経験があるかどうか
通訳、語学関連の場合は3年以上の実務経験があるかどうか
(必要書類:過去の在職証明書 or 職歴がわかる資料)

外国人が日本に在留していて既に就労ビザを持っている場合

以下の3点を確認してください。

(1)就労ビザの種類

採用を検討している業種と外国人が所有している就労ビザの種類が合致しなければ、外国人は働くことができません。

(2)就労ビザの更新期日

所有している就労ビザの期限が切れていないか確認しましょう。

(3)資格外活動許可を取得しているか

就労ビザを取得した外国人によるアルバイトは、基本的に禁止されています。
原則、就労ビザと違う種類の仕事を引き受けることはできません。

ただし、「資格外活動許可」を取得すれば、就労ビザで定められている範囲外の仕事の副業が認められています。

※ 日本人と結婚している外国人、永住権を持っている外国人、またはその配偶者、日系などの定住者は雇用できるため上記の確認は不要です。

面接を行う

面接時には、在留カードにて氏名、生年月日、写真、在留資格、在留期限、就労制限の有無、資格外活動許可欄を必ず確認しましょう。
中途採用者の場合は、前職での在職証明書にて、業務経験年数が申請条件を満たしているか確認することが大切です。

また、日本語のスキルに関しては会話ができても読み書きが苦手な外国人もいるため、筆記試験を設けたり、実際に社内で使用している申請書を手書きで書いてもらうなど、業務に近い形式の採用テストが有効です。

雇用契約書の作成

雇用契約書の内容は、基本的に日本人の従業員を雇用する際と同じですが、外国人に対しては母国語で書類を準備しなければなりません。

雇用契約書はビザを取得する上で必要なものなので、入国管理局に就労ビザの申請をする前に作成しましょう。

厚生労働省が雇用契約書のサンプルを英語で出していますので、参考にしてみてください。

【参考】外国人労働者向けモデル労働条件通知書(英語)厚生労働省

就労ビザを申請する

外国人労働者に対して内定を出した後は、入国管理局に申請をして就労ビザを取得しなければなりません。

外国人が就労ビザを持っていない場合

外国人労働者は、在留資格証明書が発行されてから3か月以内に日本に入国しなければなりません。

内定が決まってから3か月以内に、下記の13の手続きをしましょう。

(1)企業は「在留資格認定証明書」を入管管理局で発行してもらう
(2)発行後、外国人労働者に渡す
(3)外国人労働者本人が現地の日本大使館にビザの申請をする

外国人が日本に在留していて、就労ビザを持っている場合

外国人労働者がすでに取得している就労ビザで引き続き就労できるかどうか確認するため、企業が入国管理局にて就労資格証明書交付申請をします。

外国人が就労ビザ以外の種類のビザを持っている場合

就労ビザ以外のビザを所有している場合は、ビザの種類変更が可能です。
入国管理局で在留許可申請をしましょう。

外国人雇用までのステップ【入社後】

入社後にも各種手続きや書類作成が必要です。

外国人雇用状況の届出

企業は以下の区分に応じて、外国人雇用状況をハローワークへ届け出なければなりません。なお、電子申請による申請も可能です。

雇用保険の被保険者である外国人に係る届出の場合

外国人雇用状況の届け出が必要です。

雇用保険の被保険者資格の取得届または喪失届の備考欄に、在留資格、在留期間、国籍・地域等を記載して届け出ます。

届出期限は取得届または喪失届の提出期限と同様です。

雇入れの場合は翌月10日までに、離職の場合は翌日から起算して10日以内に提出します。

雇用保険の被保険者ではない外国人に係る届出の場合

外国人雇用状況の届け出が必要です。

届出様式(第3号様式)に、氏名、在留資格、在留期間、生年月日、性別、国籍・地域等を記載して届け出てください。

届出期限は雇入れ、離職の場合ともに翌月末日までです。

国・地方公共団体の場合

外国人雇用状況の届け出が必要です。

国・地方公共団体については、以下の区分に応じて対応してください。

通知期限は取得届又は喪失届の提出期限と同様です。

(1)雇用保険の被保険者である外国人に係る通知

雇用保険の被保険者資格の取得届または喪失届の備考欄に、在留資格、在留期間、国籍・地域等を記載し通知することができます。

(2)雇用保険の被保険者ではない外国人に係る通知

通知様式に、氏名、在留資格、在留期間、生年月日、性別、国籍・地域を記載して通知してください。

 【参考】届出様式について -厚生労働省

入国管理法や労働基準法を遵守した契約書(和英両方)の作成

外国人労働者の採用の際は、入国管理法や労働基準法を遵守した雇用契約書を外国人本人が理解できる言語(もしくは英語)にて作成し、配布しなければなりません。

雇用後トラブルに発展しないためには、日本の労働法や慣行、条件などをしっかり説明し、外国人本人に納得してもらうことが大切です。

在留カードの申請や在留期間の管理

採用が決定したら、在留資格の活動を継続しようとする外国人の在留期間変更許可申請をする必要があります。

在留期間の満了する日より前(6か月以上の在留期間を有する者は在留期間満了の約3か月前)から申請が可能です。

健康保険・厚生年金保険の加入手続き

日本人労働者と同じ雇用条件で働いている外国人労働者(在留期間が3か月を超える場合)は、健康保険・厚生年金保険に加入させなければなりません。

ただし、下記のような条件の場合、適用除外されます。

  • 船員保険の被保険者
  • 所在地が一定しない事業所に使用される人
  • 国民健康保険組合の事業所に使用される人
  • 厚生労働大臣、健康保険組合または共済組合の承認を受けて一定期間、国民健康保険の被保険者になった人
  • 長寿医療制度(後期高齢者医療制度)の被保険者等
  • 季節的業務に使用される人
    (継続して4か月を超えて使用される場合を除く)
  • 臨時に使用される者であって、次の要件に該当する人
    -日々雇い入れられる者
    -2か月以内の期間を定めて雇い入れられる者
  • 臨時的事業の事業所に使用される人
    (継続して6か月を超えて使用されるべき場合を除く)

まとめ

初めは外国人労働者の雇用に関する手続きに時間がかかるかもしれませんが、決して面倒なことではありません。
雇用に関するルールをしっかり守って採用活動を行えば、優秀な人材が集まってくるはずです。
やるべきことを整理し、受け入れ環境を整えていきましょう。

2019.08.07 up
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