このページの先頭です

ホワイト化のヒント

ここから本文です
企業向け
健康経営とは?目的・背景やメリット、企業の特徴をわかりやすく解説

少子高齢化社会が深刻化している今、企業に求められているのは生産性の向上と労働力の確保です。

2019年4月に「働き方改革関連法」が施行されたことによって、働く人の健康管理をしながら、いかに生産性を引き上げることができるかに関心が高まっています。

では、政府が推進し話題となっている「健康経営」は、一体どのような経営方針のことを示すのでしょうか。

健康経営の目的や背景、企業サイドのメリットについて詳しく解説していきます。

健康経営とは

健康経営とは、従業員の健康管理を経営課題とし、戦略的に取り組む経営手法のことです。

これはアメリカの臨床心理学者であるロバート・ローゼン博士により提唱された「ヘルシーカンパニー」に基づいた経営方針です。

これまで別々ものとして独立していた「経営管理」と「健康管理」を統合し、個人の健康増進を企業の業績向上に繋げるという考え方です。

従業員の健康を重要な経営資源として捉えて、健康づくりの推進を「コスト」ではなく「将来への投資」と捉える前向きな考え方に企業の関心が高まっています。

不健康経営による弊害

従業員の健康管理を重要な経営課題の1つとして経営的な視点で向き合う「健康経営」の対極にあるのが、企業を負のスパイラルへ追い込んでしまう「不健康経営」です。

健康管理を怠ると従業員の体調不良が続き、モチベーションや集中力が下がってしまいます。
すると、労働生産性が大幅に低下するだけでなく、遅刻や早退、欠勤、退職の頻度が高まり、採用コストが増加してしまうのです。

このような企業体質が慢性化すると、業績が悪化し、企業イメージも悪くなってしまいます。
企業収入が減少して資金不足に陥り、健康投資をする余裕がなくなると、負のスパイラルが生じてしまいます。

健康経営が注目されるようになった社会的な背景

では、働き方改革の施行に伴い「健康経営」が提唱された背景には、どのような社会現象が考えられるのでしょうか?

労働人口の減少

少子高齢化社会により労働人口が減少し、社会では「人手不足」が嘆かれています。
1人当たりの労働生産性を上げないと、企業としての生産性が低くなり経営難に追い込まれてしまいます。

そこで企業にとって財産である「人財」を第一に考えた経営方針=健康経営が考案されたのです。

長時間労働の常態化

労働人口の減少により、従業員一人当たりの仕事量が増えて過酷な労働を強いる「ブラック企業」が社会問題となっています。

時間外労働の増加やストレスフルな環境での労働は心身的負担が大きく、自殺や労働災害などのリスクが顕在化しました。

これらの労働環境の悪化が、従業員への健康配慮の必要性を高めたといわれています。

健康経営の目的

これからの企業にとって欠かせない「健康経営」ですが、自社で取り組む前にまず目的をおさらいしておきましょう。

労働生産性を上げること

労働人口が減少している現代の日本において、限られた労働力の中で企業の生産性を上げることが求められています。

しかし、労働生産性の向上を図るためには従業員が心理的にも身体的にも健康であることが大切です。

従業員が健康でなければ、モチベーションや集中力の低下から従業員の生産性が低下し、さらには企業全体の生産性・業績も低下してしまいます。

企業価値を高めること

不健康経営により負のスパイラルが生じていると、社員の離職率が高まり企業イメージが低下するだけでなく、企業収益・資金不足に陥って企業価値が下がってしまいます。

企業価値を高めるためには、従業員の健康づくりにかかるコストを「将来への投資」と考え、従業員が心身ともに健康な状態で働ける環境を整えることが重要です。

政府も健康経営を推進している

従業員の健康管理は企業の将来性を左右する重要な課題となっています。

そこで政府も健康経営を推進するさまざまな制度や助成金を実施しています。

「健康経営優良法人」という認定制度

健康経営優良法人認定制度とは、優良な健康経営を実践している企業を「健康経営優良法人(ホワイト500)」として顕彰する認定制度で、経済産業省が設計しています。

健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」することで、「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として社会的に評価を受ける環境を整備することが目的です。

健康経営優良法人の認定基準は5つあり、健康に関する課題を積極的・効率的に取り組んだ企業が認定されます。

  • 経営理念
  • 組織体制
  • 制度・施策実行
  • 評価・改善
  • 法令遵守・リスクマネジメント

この認定を受けることで、健康経営優良法人のロゴマークを企業のPRに使用できるだけでなく、地域の金融機関の低金利融資や自治体の公共調達における加点等、各地域の優遇措置を受けられることがあります。

 「健康経営銘柄」という認定制度

健康経営銘柄は、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業を顕彰する認定制度で、経済産業省が東京証券取引所と共同で取り組んでいます。

選定健康経営優良法人の初回選定(2017年)より早く始まりました。
第1回目は22社、第2回目は25社、第3回目は24社と、健康経営優良法人に比べて認定企業が少ないため、非常にハードルが高いのが特徴です。
ちなみに健康経営優良法人は、2017年は大規模法人部門に235法人、中小規模法人部門に95法人が認定されています。

いずれも、秋に経済産業省より実施される「健康経営度調査(従業員の健康管理に関する取り組みやその成果を把握するためのアンケート調査)」に回答した法人のみが申請できます。

健康経営に関連する助成金

厚生労働省では、健康経営に繋がる、労働環境を改善するための助成金を発表しています。

時間外労働等改善助成金

時間外労働の上限設定に取り組んでいる中小企業に対して、実施に要した費用の一部を助成するものです。

生産性を高めながら労働時間の退縮に取り組む事業主に対して助成することで、中小企業における労働時間の設定の改善・促進を目的としています。

時間外労働等改善助成金に関する問い合わせは、各都道府県の労働局で受け付けています。

【参考】労働時間等見直しガイドライン – 厚生労働省

業務改善助成金

業務改善助成金とは、最低賃金額引上げや生産力向上の支援を目的とした助成金です。
生産力向上のための設備投資やサービス利用、最低賃金額引上げにかかった費用の一部を助成します。

業務改善助成金に関する問い合わせは、各都道府県の最低賃金総合相談支援センターや労働局で受け付けています。

【参考】業務改善助成金 – 厚生労働省

人材確保等支援助成金

人材確保等支援助成金とは、事業主が雇用管理制度(※)の導入等による雇用管理改善を行い、人材の定着・確保を図る場合に助成するものです。
※評価・処遇制度、研修制度、健康づくり制度、メンター制度、短時間正社員制度など

人材確保等支援助成金の問い合わせは、各都道府県にある労働局、ハローワークで受け付けています。

【参考】職場定着支援助成金 – 厚生労働省

受動喫煙防止対策助成金

受動喫煙防止対策助成金とは、受動喫煙防止のための施設整備を行った企業への支援を目的としているものであり、その際にかかった費用を助成するものです。

分煙室や喫煙室の設置、分煙に必要な設備の導入など、まだ対策ができていない企業は、各都道府県の労働局に問い合わせをしてみください。

【参考】受動喫煙防止対策助成金 – 厚生労働省

健康経営がもたらすメリット

健康経営は従業員にとって「健康になる」「生き生きと働ける」といったメリットがありますが、企業にとっても多くの利点があることを忘れてはいけません。

労働生産性の向上

健康増進の取り組みによって従業員の心身のストレスが軽減し、疾病による欠勤率が低下することによって、仕事に対するモチベーションが上がり、労働生産性を向上させることができます。

企業価値やイメージの向上

健康経営の取り組みを情報発信することで、従業員の健康に配慮している企業として認知され評価されます。

また「健康経営銘柄」や「健康経営優良法人」に選出されることで、企業価値が向上し、優秀な人材が集まりやすくなります。

従業員の定着・離職率の改善

従業員の健康への配慮は、疾病やメンタルヘルスによる不調を予防するだけでなく、従業員に安心感を与え、企業に対する貢献意欲を高めます。

労働環境を整備することで、従業員の満足度が向上し定着しやすくなるため、離職率の改善が期待できます。

医療費の負担が減る

健康経営の導入により従業員が健康になると、疾病率が下がり企業が負担する医療費は軽減します。

また、退職者に対する高齢者医療費に関わる負担額の削減や、疾病を原因とした長期休暇取得率の低下にも繋がります。

健康経営に取り組むべき企業の特徴

5年後、10年後の日本で企業が生き残るために健康経営は必要不可欠ですが、特に対応を急ぐべき企業にはどのような特徴があるのでしょうか?

ストレスチェックの結果が悪い

2015年から企業に対して義務化されているストレスチェック制度の結果で、高レベルのストレスを抱えている従業員が多い企業は、メンタルヘルスの悪化を予防するためにも健康経営が必要です。

詳しくは厚生労働省が発信している「ストレスチェック制度導入マニュアル」をご覧ください。

長期休業者が多い

職場のストレスによる疾病により長期休業する従業員が多いと、生産性が低下するだけでなく企業イメージも悪くなりがちです。
体調不良による遅刻や早退、欠勤が多い企業も要注意。

従業員がストレスを感じることなく働ける労働環境の整備が求められています。

労働時間が長い/人材不足

人材不足により長時間労働や休日出勤が日常化している企業も、健康経営が必要です。

ワーク・ライフバランスを取りにくい状況では、従業員の心身に悪影響を与え生産性が低下してしまいます。

健康経営の取り組み事例

健康経営を実現するための取り組みは様々です。

昼食時に体操を取り入れリフレッシュしている企業もあれば、最適な塩分量の味噌汁の濃さはどの程度なのか塩分度計を見ながら試飲するユニークな企業もあります。

大切なのは従業員に寄り添い、企業に合ったスタイルで健康経営を始めることです。

健康経営の具体的な取り組み事例に関しては、「健康経営の取り組みは企業事例から学ぶ!具体策と注意点まとめ」をご確認ください。

まとめ

健康経営を成功させる秘訣は、企業のトップが先頭に立って「貴重な資源である従業員の健康増進を図ること」です。

目先の成果に捉われるのではなく、経営戦略の一環として従業員の健康に投資をする健康経営は、これからの日本社会で生き残るための先見の明といえるでしょう。

まずは今回ご紹介したポイントを押さえて、健康経営の第一歩を踏み出してみてはいかがですか?

2019.06.24 up
Pocket