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ゆとり世代に有効的な採用活動・入社後の指導の手引き

少子高齢化社会による労働力不足が嘆かれるいま、次の働き手のなるのはゆとり世代の若者たち。

しかし、世間では「どうせゆとり世代だから」「これだからゆとり世代は」などと揶揄されることが多く、ネガティブなイメージを抱かれがちです。

では、どうしてゆとり世代に対する風当たりが強くなってしまうのでしょうか。

社会におけるゆとり世代の特徴と実態を参考に、採用のポイントや指導方法について解説していきます。

ゆとり世代とは?〜ゆとり世代の特徴や誤解

ゆとり世代とは、知識を重視する「つめこみ型」教育が批判され始めたのをきっかけに誕生した、経験重視型教育を受けた世代のこと。

この教育が「生徒自身で考える力を養うこと」を目的としたいわゆる「ゆとり教育」です。

現在は2011年度よりスタートした「脱ゆとり」をテーマとした新たな指導要領に基づいた教育が行われています。

ゆとり世代について、詳しくは下記関連記事をご覧ください。
「ゆとり世代に有効的な採用活動・入社後の指導の手引き

ゆとり世代の特徴

  • 自ら考える力を持っている
  • 柔軟な発想力がある
  • 電子機器の操作やインターネットに強い

ゆとり世代への誤解

  • マニュアル通りにしか動けない
  • マイペースで仕事が遅い
  • 打たれ弱く、諦めが早い

ゆとり世代が企業に求めていてること

次の働き手のなるゆとり世代の若者たちは、どのような職場環境を望んでいるのでしょうか。

実際に就職活動をする学生たちの本音から、ゆとり世代が企業に求めていることが明らかになりました。

ゆとり世代が企業を選ぶ際の着目点

就職・転職のための企業リサーチサイトVorkersの、「入社理由」に関する調査(※)によると、ゆとり世代は、

  1. 自分の成長・キャリア
  2. 業界・事業内容
  3. 会社規模・安定感・知名度

を重視していることがわかりました。

※Vorkersに投稿された会社評価レポートのうち、ゆとり世代(1987~96年生)とバブル世代(1964~69年生)の新入社員からの会社評価レポート12,692件(ゆとり10,952件、バブル1,740件)が対象データ

参考サイト:Vorkers 「ゆとり」と「バブル」の入社理由ランキング

バブル世代と比較することで判明したゆとり世代の特徴として、

  1. 自身の成長意欲が強いこと
  2. 会社規模やネームバリューで企業を選ばないこと
  3. ワークライフバランスも重視していること
  4. 会社の特徴よりも「人」を重視していること

が挙げられます。

  • 「若いうちから責任ある仕事を任せられ、早く成長できると思ったから」
  • 「社員平均年齢が若く、多くの経験、チャンスが20代で掴めると感じたから」
  • 「自身の市場価値を高めるために厳しい会社と理解しながらも入社した」

といった成長欲求が強いことに加え、

  • 「人事担当の方が熱心に話を聞いてくれて、アドバイスを送ってくれたことがきっかけ」
  • 「面接官や人事の肩など、全員気さくで働きやすいと感じたから」

など実際に働く社員との相性を重視する傾向も伺えます。

すぐに転職する理由

ゆとり世代は「我慢が苦手だからすぐに転職をする」と思われがちですが、決して「わがまま」「自分勝手」な理由で転職を決意している訳ではありません。

若年層の転職が増え続けている背景には、企業が人材を長期雇用する余裕がなく、一人前になるまで育成・援助できない社会構造の変化があるのです。

実際に転職者たちからは「自分らしいキャリアを積みたいから」「自分が本当にやりたい仕事に就きたい」「自分の個性を発揮できる仕事を探したい」といった声が聞こえてきます。

自ら考えた方向へ進んで必要なキャリアを積むのが、ゆとり世代の働くスタイルといえます。

ゆとり世代に選ばれる企業になるための採用活動・指導とは

さまざまな能力を秘め、柔軟な思考力を持ち合わせているゆとり世代。
彼らを新たな働き手として迎え入れるポイントは一体何なのでしょうか。
ゆとり世代が企業に求めていることを踏まえて、採用活動中・採用後に分けて見ていきましょう。

採用活動におけるポイント

ワークライフバランスを重視しながらも、自らの目標に向かってキャリアを積もうとするゆとり世代を採用するポイントは、

  • 仕事を通してどのようなスキルを身に付けることができるのか
  • 個々のスキルアップを図れるような体制や裁量権はあるのか
  • 従業員の働き方やワークライフバランス、社内の雰囲気はどうなっているのか

を明確に伝えることです。
これらを伝えるために、具体的にどのような採用活動を行っていけばよいのでしょうか。

就活生との接点を持つ段階

採用ホームページや企業説明会などを利用して、

  1. 具体的な仕事内容やそれに伴って必要となるスキル、身につくであろうスキル
  2. 勉強会・研修やスキルアップ支援、若手社員の実績
  3. 従業員の働く様子や関係性と、仕事以外の時間の過ごし方

を伝えることが大切です。

1に関しては、その仕事の流れ・スケジュール例を作成したり、実際にその業務を担当している先輩社員に登壇してもらったりすることが効果的です。
自分が働いた時の様子をよりハッキリとイメージしてもらい、自分ならどのように行動するか、自分のビジョンに対してどのようなスキルを身につけられるかなどを考えさせることができます。

2に関しては、社内・社外の勉強会・研修の様子を見せるだけでなく、参加した社員の感想も伝えること、スキルアップ支援(資格取得の補助金、奨励金など)制度の案内だけでなく、利用実績も伝えることが効果的です。
また、裁量権が大きいことを伝えたい場合は、若手社員発端のプロジェクト実績や、階級・役職ごとの若手社員の割合などを提示すると良いです。

3に関しては、先輩・上司との関係性や、仕事とプライベートのバランスなど、人・環境のリアルな部分を伝えるようにしましょう。
社内の様子・従業員のインタビュー動画を採用ページに掲載すること、先輩社員へ気軽に質問ができる座談会や社員訪問の機会を設けること、就職口コミサイトへの投稿の協力を従業員へあおぐこと(もちろん強制はNGです)などが効果的です。

とはいえ、職場の雰囲気というのは実際に働いてみないと分からないことが多いです。
可能であれば、インターン制度を取り入れてみても良いかもしれません。

選考段階

採用面接を行う際も、個性を見ることや承認欲求を満たすことが有効です。

一方的に質問を投げかけるのではなく、回答をしっかり聞いた上で、その回答に応じた対応をしましょう。
「この企業の面接官は、他の企業と違って自分自身をよく見てくれている、聞いてくれている」と感じさせることが大切です。

企業側からの質問例としては、

  • 5年先10年先に向けて具体的にどのようなキャリアを積みたいのか
  • どのような改善をしたら仕事が効率化すると思うか

など、一歩踏み込んだ問いかけをすると有効です。

ちなみに会社軸より自分軸の考え方をするゆとり世代は、お金や地位に対する欲が少なく、「昇進」「昇給」「インセンティブ」といったキーワードはあまり響きません。

これからの将来を担うゆとり世代を採用するためには、目先の報酬で動かそうとするのではなく、長い目で見たスキルアップや得られる知識といった内的要因で訴えることが重要です。

採用後の指導におけるポイント

ゆとり世代に適した指導方法を確立することは、これからの企業の成長に不可欠です。
では採用後の指導シーンでは、具体的にどのような点に注意したらよいのでしょうか。

  • できたことを具体的に褒める
  • ゆとり世代から信頼される上司になるためには、頭ごなしな指示ではなく仕事ができるところを見せて「この上司についていきたい」と思わせる
  • 𠮟るときは出来なかったことを責めるのではなく、「どうしたら良くなるのか」を一緒に考える
  • 指示を出すときは、背景や意図を伝える
  • 期待していることを伝える

ゆとり世代を大きく成長させるポイントは、仕事の成果に対して「よかった」「悪かった」と評価をするのではなく、「昨日よりも〇〇したのがよかった」「もっと〇〇してみたらよかった」とプロセスについて褒めたり、アドバイスをすることです。

成功したときは「何がよかったのか?」「うまくいった要因は何か?」について考えさせ話し合うことで、ゆとり世代の承認欲求が満たされて自己肯定感が高まります。

また、指導者としての実力を見せておくことで「この人についていけば大丈夫だ」と安心させるだけでなく、指導の効力を高めることが期待できます。

仕事でミスをしたときに頭ごなしに叱るのではなく「どうして失敗したのか」「改善するにはどうしたらよいのか」を一緒に考えるスタンスをとるのがベストです。この工程を省いてしまうと、怒られた理由が分からない状態で過ごしてしまうだけでなく、「今日はたまたま運が悪くて叱られてしまった」「次は怒られないようにしよう」と後ろ向きな考えに陥ってしまいます。

失敗・ミスの原因と改善点を自ら考えさせ、仕事の道筋をもう一度見直すことが、本当の意味での成長へ繋がります。

そして日ごろから指摘をするときは、「今日は〇〇がよかったね。マイナス部分を改善すると、もっとこんなふうに成長できるよ!」とマイナスをプラスで挟んで話す「サンドイッチ話法」を用いると、やる気を失うことなく誘導できます。

こちらの意見を押し付けるのではなく、相手のアイディアを求めるなどして、お互いに寄り添ったコミュニケーションをとることが大切です。

ゆとり世代との付き合い方や対応方法について、下記関連記事もご参考になさってください。
「ゆとり世代に有効的な採用活動・入社後の指導の手引き

おわりに

これからの日本の戦力として期待が高まっているゆとり世代。

採用・新人育成を成功させるためには、「これだからゆとり世代は」「どうせゆとり世代だから」といったような色メガネを外して、本当の意味でゆとり世代と向き合うことが必要です。

じっくり時間をかけて育つ作物と同じように、企業を支える有能な人財は、いつの時代も促成栽培では育ちません。

水や肥料、太陽の光を浴びて花を咲かせる植物のように、思いやりのある指導と成長に適した労働環境でしっかり育成していかなければなりません。

結果を求めるだけの既存のスタイルを脱却して、ゆとり世代を意識した新しい採用のカタチが求められているのかもしれません。

2019.05.14 up
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