このページの先頭です

ホワイト化のヒント

ここから本文です
企業向け
企業が知っておきたいゆとり世代の働き方と対応方法

2020年卒の新卒採用真っ只中ですが、いわゆる「ゆとり世代」と呼ばれている学生たちを採用するために、彼らが描いている働き方や社会人像を理解しておく必要があります。

この記事ではゆとり世代が生まれた背景や特徴・働き方、一緒に仕事をしていく上での対応方法などを解説していきます。

各企業の採用担当者や教育担当者は、未来の戦力となり得るゆとり世代の働き方を知り、彼らの長所を上手く活かせるような対応を学んでいきましょう。

ゆとり世代とは?ゆとり世代といわれる理由

ゆとり世代とは、諸説があり明確な定義はありませんが、一般的に1987年度~2003年度に生まれた人たちのことを指します。現時点(2019年)で15歳〜32歳で、義務教育中の10代~社会人としてある程度の経験を積んでいる30代前半まで幅広く分布しています。

彼らが「ゆとり世代」と呼ばれるのは、2002年度から2010年度まで実施されていた「ゆとり教育」を受けたことに由来しています。

また、ゆとり世代が育ってきた背景には「ネット社会」があります。ITが急速に普及した時代で育ってきたため、インターネットに詳しい人が多いです。

詰め込み型からゆとり型の教育へ

ゆとり教育が始まる前は、暗記によって知識量を増やすことに大きな比重を置く「詰め込み型教育」が行われていました。
しかしながら、一時的に知識量を増やすことは出来ても知識を活かすための思考力がない子供や、授業についていけない子供が増加するなどの問題が発生し、教育方法への疑問の声が高まっていました。

そのため、詰め込まれていた教育課程を見直し、授業に余裕=ゆとりを持たせるような教育へ方針をシフト。これに従って改訂・導入されたのが1980年度からの「ゆとり教育」です。

ゆとり教育の趣旨・目的

  • ゆとりある学習環境で、子供たちが自ら学び考える力を育成する
  • 相対評価や偏差値重視の教育を廃止し、個々に応じた指導を行う
  • 総合的な授業など個性ある教育により、生きる力を育成する

知識詰め込み型のように言われたことを丸暗記するのではなく、自分で課題を見つけ、自主的に学習・判断し、行動する子供を育てるために「ゆとり教育」が導入されました。
また、自らを律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や感動する心など豊かな人間性を育てることも目的です。

(出典:文部科学省 21世紀を展望した我が国の教育の在り方について

ゆとり教育の具体的な実施内容

  • 土曜授業を廃止し、週5日制(月曜〜金曜)の実施
  • 小中学校での学習内容を3割削減
  • 授業時数の削減
  • 「総合的な学習の時間」の新設
  • 「相対評価」を廃止し、「絶対評価」の導入

土曜授業の廃止や、学習内容・授業時数を削減することで、生徒の自主的な学習を促し、自ら学び考える力を身につけさせるのが狙いです。

「総合的な学習の時間」は、主に国際理解、情報、福祉・健康などの課題、児童生徒の興味・関心に基づく課題、地域や学校の特色に応じた課題などを課す時間です。(コトバンクより引用)
内容・方法については各学校に委ねられていました。
自ら学び考え、問題を解決する資質や能力を身につけさせるのが狙いです。

また、「絶対評価」とは他の生徒の成績を考慮に入れず、生徒本人の成績そのものを評価する評価方法です。競い合わせるのではなく、一人一人の個性を評価する方針をとりました。

身の回りにITがあることが当たり前の時代へ

ゆとり世代を形成しているのは「ゆとり教育」による部分が大きいですが、生まれた時からITが身近にあることも背景として考えられます。
いわゆる「デジタルネイティブ」と呼ばれる世代で、学生時代からインターネットやパソコンのある生活環境の中で育ってきた世代です。(Wikipediaより引用)
常にSNS上でコミュニケーションを取り合い、疑問や問題はインターネット上ですぐに検索できる環境で育ってきました。

ゆとり世代の特徴・働き方

このような背景で育ってきたゆとり世代はどのような特徴があり、どのような働き方をしているのでしょうか。
これを知ることで、然るべき対応方法が見えてきます。

ゆとり世代の世間からのイメージ

こうした教育課程やIT社会で育ってきたゆとり世代には、いくつかの特徴が見受けられます。

  • 競争意識が薄く、出世欲がない
  • 怒られることが苦手で、ストレス耐性が低い
  • 失敗を恐れ言われたこと以外やらない、指示待ち
  • マイペースで、プライベートを大事にしている
  • 効率を重視し、無駄を嫌う・ドライ
  • リアルのコミュニケーションが苦手で、対面で意見や感情を伝えられない・報連相が出来ない
  • インターネットやデジタル機器の扱いが得意、慣れている

自主的な学習時間を設け、自分で考える力を付けさせることが目的だったゆとり教育ですが、結果として自分の興味のあることには自主的に、興味のないことには受動的になってしまったのかもしれません。

個人の能力や個性を重視する教育であったため、自分のペースを大事にしている人が多く、仕事よりもプライベートを優先させる傾向にあります。無駄な業務や付き合いを避ける姿勢が、時にそのほかの世代からはドライだと思われてしまうようです。
また、体罰などが問題視され学生時代に怒られる機会が少なかったゆとり世代は、勝手なことをして上司や先輩に怒られることを避けています。

そして、デジタルネイティブであるゆとり世代はインターネットに強いです。その反面、コミュニケーション能力が低い、報・連・相がうまく出来ていないと捉えられることがあります。

(参考:オウチーノ総研 「ゆとりですが?」実態調査

最近のゆとり世代の強み・弱み

上記のように受動的でおとなしい、どちらかというとマイナスイメージを抱かれてきたゆとり世代ですが、最近の傾向としては「おとなしくて同調性重視の安心・安全型」と「積極的で自分基準重視の自己偏重型」との2つのタイプへ二極化が進んでいるようです。

小学1年生〜高校3年生までをゆとり教育課程で育った「フルゆとり世代」と言われる18 年新⼊社員(1995年度生まれ)の傾向を調査したところ、下記のような強みと弱みが見えてきました。

(出典:ファーストキャリア 「新卒・若⼿層育成研究所」調査レポート

競争意識が低いと言われていますが、個々のスキルアップや成長意欲は高く、期待していることを示したり、明確な目的を持って具体的な指示出しをすることで積極的に活躍するという特徴が見えてきました。

一方、自分以外の範囲で物事を考えることが苦手で、明確でない業務や無駄だと捉えてしまう業務に対しては消極的になるようです。

ゆとり世代との付き合い方・対応方法

先述した特徴から、特にビジネス面ではマイナスイメージを持たれやすいゆとり世代。
ゆとり世代を企業の人材として育てていくために心がけておくべき対応方法を知っておきましょう。

目的を明確にし、具体的な指示を出す

指示以外のことをして失敗し、怒られるのを恐れているため、自主的に指示+αのことはしようとしません。
しかし、業務の目的を共有し、具体的な指示を出すことで、与えられた業務を的確に、スピーディにこなすことが出来ます。
指示に対して適切に対応できていなかった場合は、まず自分の指示出しが正しかったのか、わかりにくい点がなかったか振り返るようにしましょう。

実践の機会を与え、チャレンジさせる

自ら考え、実践できるような経験を得られる機会を与えましょう。
自分のレベルより少し上の目標や役割を与えてあげることが効果的です。

結果だけを見るのではなく「どうしてその行動をしたのか?」「なぜそう考えたのか?」などプロセスの部分に目を向け、考え方を一旦受け入れてあげることが大切です。ミスの原因や改善点を自分で考えさせ、次回以降どのように取り組むのかに焦点を当てることで、モチベーションを保つ効果もあります。

失敗することは成長に必要なことであり、恐れたり避けたりするものではないことを伝え、上司や先輩のサポートがあり安心してチャレンジできる環境であることを意識させましょう。

怒るのでは無く、褒めて伸ばす

怒るのではなく褒めて伸ばし、個々の興味・関心事への取り組みを推奨されてきたゆとり世代には、失敗を怒り反骨精神を煽るよりも、出来た部分を褒めて伸ばす教育方法が効果的です。
自己肯定感を高めてあげることで「期待されているから頑張ろう」「自分はここで必要な存在なんだ」と思えるよう、内省のサポートを行いましょう。

相手の立場に立ち、全体の動きを読む視点を身につけさせる

自分の力で物事の判断を下せる決断力や責任感を持つことは重要ですが、企業に勤めている限り一人だけで完結できる仕事はありません。
行き詰まった時は独断で進めず周りに頼ることや、業務の進捗を報告・連絡・相談すること、そして周囲との情報共有やコミュニケーションがなぜ大切なのかをきちんと伝える必要があります。

ゆとり世代に期待できること

ゆとり世代の働き方は、「働き方改革」に貢献するとして期待されています。
例えば、無駄を嫌う傾向にあるため、意味のない工程や長時間労働を減らし、業務の効率化や、自分の時間やスキルアップを大事にしているので、副業・兼業や自己啓発などに時間を費やし、そのスキルを本業に活かすことができるでしょう。

市場が激変するであろうこれからの時代においては、枠にとらわれない柔軟な考え方を持ったゆとり世代こそ、従来の凝り固まった働き方を改革していける貴重な人材です。

まとめ

世代が違えば価値観のギャップは生まれて当然です。
大切なのは、世代論で性格や人格を決めつけてしまったり、どちらが良い・悪いと優劣をつけたり対立し合うのではなく、どうすればお互い気持ちよく働けるのか?と考えながら協力し合うことです。

「少子高齢化」「グローバル化」「AI化」など様々な時代の変化に対応できる企業になるには、ゆとり世代の働き方・考え方から得られるものを吸収し、強みを活かせるような教育・コミュニケーションを心がけましょう。

2019.05.08 up
Pocket