【インタビューを受けた人】
ビジョンクリエイツ株式会社
マネージャー 伊藤 緒美様
採用担当 田中 柚菜様
【インタビュアー】
ホワイト財団 高橋 かな子
【受賞理由】
ビジョンクリエイツ株式会社様はひとりひとりの強み、やりたいこと、そして成長という軸は、人材開発において重視されています。また、それらが全社目
標と紐づくことで社員が「今この会社で働くことの意味や意義」を感じていただくことができます。
貴社の取り組みである「チャレンジシート」はまさにそこを体現したようなお取組みで、着実に社員のみなさまの成長の一助になっていると感じました。
そしてこのチャレンジシートが自身の個性や強みを伸ばすという前向きな考え方である点も働く社員の方々にとって取り組みやすく意味あるものに思えたのではないでしょうか。
そして、最も重要なのがこの施策を行うのが人事担当者の方だけでなく、経営陣が一緒に向き合っている点は施策の成功に大きく寄与していると考えます。
今後は管理職や幹部層の育成も課題として取り組まれる予定かと思いますので、メンバーと管理職の意識のズレを把握し、改善にご尽力いただければと思います。
ビジョンクリエイツ株式会社のポイント
・様々なことに挑戦できる職場環境
・立場に関係なく意見を言い合える社内風土
・社員の個性や強みを最大限活かしながら成果を促す評価制度
目次
伊藤様
ビジョンクリエイツ株式会社は、主にホテル業と飲食事業を展開している企業です。
長野県軽井沢を拠点とし、現在は2つのホテルを運営しており、その中には、2つの飲食店舗が併設されています。
一つは気軽に楽しめるバルスタイルの「ワイン酒場。」、もう一つは本格的なコース料理を提供する「野菜がおいしいレストラン LONGING HOUSE」です。いずれの店舗も、訪れるお客様に特別な食体験を提供しています。
また、同社は東京都内にも事業を展開し、ランチやディナーを楽しめる店舗運営のほか、宅配弁当事業も手掛けています。
宅配弁当は、企業の会議やロケ現場などで広く利用されており、特にヴィーガン対応やグルテンフリーに対応した多彩なメニューが特徴です。他社のヴィーガン弁当では1個以上の注文が必須などの制約がある場合が多い中、ビジョンクリエイツでは個数制限を設けず、幅広い種類のお弁当を提供することで顧客から高い評価を得ています。
伊藤様
当社では、ホテル運営における業務が多岐にわたっています。フロント業務、レストランでの接客、キッチン業務、客室の清掃チェックといったマルチスキルをスタッフ全員で分担して行う体制が特徴です。このような働き方は、スタッフ間でお互いの業務内容を理解し、助け合う姿勢を育む一方で、いくつかの課題を抱えています。
一つ目は、目標意識の明確化です。
全員で業務を分担しているため、例えば「口コミ評価を向上させる」といった目標が掲げられても、それに向けて「自分が何をすべきか」という主体的な動きが薄れる傾向があります。目標がチーム全体のものと捉えられるため、個々の役割や貢献が不明確になりがちです。
二つ目は、評価基準の不透明さです。
業務を幅広くこなす中で、各スタッフがどのように会社全体の成長や目標達成に貢献しているのかが分かりにくくなっています。その結果、特に一通り業務をこなせるようになる3年目以降のスタッフが「次に何を頑張ればよいか」と迷うケースが増えていることが課題となっています。
伊藤様
当社では、スタッフ一人ひとりの目標意識を明確にし、自身の成長と会社全体の目標達成を結びつけるために「チャレンジシート」という評価制度を導入しました。
チャレンジシートは、社員の個性や強みを最大限活かしながら成果を促す目標設定シートです。この制度では、半年先までの注力ポイントを明確化し、スタッフが自ら目標に向かって行動できる仕組みを整えています。
具体的には、社員が自分の成長を目指しながら、上司と相談のうえで10項目の目標を自由に設定します。
さらに、個人の目標はセクションの目標、さらには全社の目標へとつながるように設計されており、会社全体で一体感を持ちながら目標に取り組む環境が整備されています。この仕組みによって、各社員が「自分が何を頑張るべきか」を明確にし、主体的な働き方を実現することを目指しています。
伊藤様
確かに、1年目の新入社員が目標を自由に設定するのは難しい部分があります。
会社の業務内容や雰囲気をまだ十分に理解していない段階では、自分一人で目標を考えるのは負担になることもあるでしょう。そのため、当社では新入社員が目標設定に困らないよう、同じセクションの役職者や先輩社員がサポートする仕組みを整えています。
同じ業務に取り組んできた先輩と一緒に時間を共有し、先輩が設定する目標を参考にしながら、自分自身の目標を立てる流れです。
田中様
私は入社したときからチャレンジシートが導入されており、現在4年目になります。
導入前の状況とは比較できませんが、1年目は業務を覚える段階だったため、目標としては「チェックイン業務に関するテストの合格を目指す」といった具体的でシンプルな内容が中心でした。
そのため、目標設定に大きな負担を感じることはありませんでした。
2年目・3年目になると、業務にも慣れ、いつもの業務をこなすだけで日々が過ぎてしまいがちになります。しかし、チャレンジシートがあるおかげで、定期的に振り返りを行い、自分の業務を見直す機会が持てています。
この振り返りを通じて、「もっとこうすれば良くなる」という視点を持つことができ、自分の成長を実感できる制度だと感じています。
伊藤様
確かに社長が目標設定の面談に参加すると緊張するという意見もあるかもしれません。
しかし、当社ではもともと役職がなくフラットな組織体制でした。その後、東京への店舗展開や事業拡大に伴い指揮系統を明確にするため役職が設けられましたが、フラットな社風は現在も受け継がれています。
具体的には、役職ができた際に「部署会議を2週間に1回行う」という取り決めがあり、管理職やセクションメンバーに加えて社長も参加しています。この会議では、立場に関係なく意見を述べる文化が根付いています。特に「上司や社長であっても間違っていることは指摘するべきだ」という考え方が社風として強く推奨されています。
不満や意見を裏で言うのではなく、会議の場など公式な場で率直に伝えるよう求められており、これが社内の風通しの良さを支えています。また、社長自らが講師を務める社内塾なども開催されており、理念や考え方を社員と共有する機会も多く設けられています。
そのため、社長が参加する面談であっても緊張せずに話しやすい雰囲気が醸成されており、社員が自由に意見を述べられる環境が整っています。
田中様
チャレンジシートはすごくありがたいなと思っています。評価が明確なので、自分がどれくらい頑張ればどれくらいボーナスがもらえるのか、ある程度自分で計算できるんです。
学生の時は親からボーナスの話を聞いていて、「上司に気に入られたら増えるのかな?」みたいな漠然としたイメージしか持っていなかったんですが、今は「今回はこの点数だから、このくらいのボーナスかな」ってちゃんと分かるんです。
やった分だけ返ってくるのが分かるので、すごくやりがいがありますね。
それに、チャレンジシートで目標を決めるときに、自分がやりたいことと会社が求めていることをすり合わせる時間を取れるのが良いなと思っています。最終的には自分で目標を決める形なので、「自分で決めたんだからやらなきゃ」っていう気持ちになりますね。
あと、目標を決めるときに2~3時間くらいかけて上司と一緒に考えていくんです。
こういう時間をちゃんと取ってくれるのも、「会社は私たちのことをちゃんと考えてくれているんだな」と感じられて、本当にありがたいです。会社の一員として受け入れてもらえているって実感できる制度だなと思っています。
伊藤様
会社の考え方として、「苦手を無理に克服させること」に重点を置いていません。
もちろん、必要最低限のスキルとして克服すべきことはありますが、苦手なことを延々と続けても本人にとってもプラスにならず、会社としてもその人の能力を活かせなくなります。
それよりも、本人が最も輝ける分野に注力し、自分が納得して取り組めることを優先しています。この考え方の根底には、「働くことは楽しいものであり、自分のやりたいことを実現する手段である」という価値観があります。
伊藤様
チャレンジシートは、ただ形だけ作るのではなく、実際に活用してこそ意味があるものです。導入して良かったと思う点は、このシートを通じて自然と【会社の価値観や考え方】をすり合わせる時間が増えることです。
社員一人ひとりが自分の成長に向き合う機会となるのはもちろんですが、それだけではありません。
このプロセスを通じて、会社の方向性や目指す姿を従業員の皆さんにも理解してもらう大切なきっかけにもなっています。
社員が自身の目標を設定し、それに向かって進む中で、会社との共通認識を深めることができるのは非常に意義深いことだと思います。個人と会社が一体となり、共に成長していくためのツールとして、チャレンジシートは非常に効果的な制度だと感じています。
伊藤様
ビジョンクリエイツは、勤続年数ではなく意欲的な行動を重視して評価する環境です。
負けず嫌いで挑戦心のある方には、非常に刺激的でやりがいのある職場だと思います。当社では、成果の良し悪しだけで評価するのではなく、目標に向かってどれだけ行動したか、そのプロセスを大切にしています。そのため、目標達成に向けて積極的に行動する社員ほど、どんどん評価が上がる仕組みになっています。
また、入社1年目であっても、会議では積極的に意見を求めます。私はよく「ここで発言しなければ、その意見が採用されることはない」「非公式な場で後から意見を言うくらいなら、今ここで言うべきだ」と伝えています。
これを厳しいと感じるか、面白いと感じるかは人それぞれかもしれませんが、この環境を楽しめる方には、大きな成長と活躍の場が待っていると思います。
取材者のレビュー
取材を通じて感じたのは、チャレンジシートを活用して社員一人ひとりと真摯に向き合う姿勢がとても印象的だったことです。さらに、社長との距離が近く、「上司や社長であっても間違っていることは指摘するべき」という考えが社風として根付いていることで、意見交換がしやすい環境が整っているのも素晴らしいと感じました。この風通しの良さは、社員同士の信頼関係や働きやすさにもつながっており、この会社ならではの魅力の一つだと思います。
また、チャレンジシートを通じて社員全員が会社の価値観や考え方を共有し、同じ方向を見ながら日々の業務に取り組めている点も印象的でした。この仕組みが、社員の成長だけでなく、組織全体の一体感を生み出しているように感じました。チャレンジシートを活用することで社員と会社が共に成長していく姿勢が、とても素敵な制度だと感じました。
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