
【インタビューを受けた人】
医療法人栄信会 戸田 信彦 様
医療法人栄信会 秋本 美希 様
医療法人栄信会 奥井 理加 様
医療法人栄信会 桑田 美優 様
【インタビュアー】
ホワイト財団 岩元 翔
理事長 戸田 信彦 様
やない歯科・矯正歯科 店長 秋本 美希 様
広島駅前院 経理 奥井 理加 様
やない歯科・矯正歯科 歯科衛生士、ホワイトエッセンス セラピスト 桑田 美優 様
医療法人栄信会のポイント
・多様な働き方を従業員とともに創り上げるための他業界採用の強化
・ 女性がいきいきと働ける環境
・「地域に密着した幅広い診療体制を整える大型医療法人」
── 岩元:医療法人栄信会とはどんなクリニックですか。特徴や強みを教えてください。
戸田理事長:医療法人栄信会は、山口県、広島県、岡山県、大阪府の3県1府にわたり、全10医院を展開する大型の歯科クリニックです。
口腔ケアや虫歯治療などの一般歯科診療に加え、訪問診療や審美歯科など、患者様の多様なニーズに応える幅広い診療を提供しています。
また、各医院は郊外に位置する医院からショッピングセンター内にある医院まで、その立地に応じた特色を活かしながら運営しています。この多様性が栄信会ならではの強みです。

── 岩元:医療法人栄信会の社風を教えてください。
戸田理事長:スタッフ全員が一丸となって患者様に最善を尽くす姿勢が社風と言えます。
歯科医師31名をはじめとする約150名のスタッフが在籍し、ミーティングや研修を通じて日々スキルアップに努めています。
特に、子育て世代のスタッフが多く在籍しており、柔軟な勤務体制のもと、仕事と育児を両立しながら活躍できる環境を整えています。このような職場環境の中で、スタッフ全員が互いに支え合いながら、患者様一人ひとりに最適なケアを提供することを大切にしています。
また、患者様に寄り添い、地域に密着した歯科医療の提供を目指しています。
この「支え合い」と「地域密着」の精神こそが、栄信会の社風を象徴しています。

── 岩元:栄信会はどうしてこんなに多種多様な方に選ばれ活き活きと活躍しているのでしょうか。秘訣などあればおしえてください。
戸田理事長:秘訣かどうかはわかりませんが、私たちは長期ビジョンとして「定年まで働き続けるられる医療法人を従業員と一緒に作っていきたい」と考え、取り組んでいます。
特に、女性は出産や育児といったライフイベントで現場を離れざるを得ないことが多く、優秀な人材であっても働くことを諦めざるを得ない状況があります。
例えば、20歳で入社したスタッフが産休・育休を取りながら、定年まで働き、再雇用後も65歳まで働き続けられる環境を提供したいと考えています。
── 岩元:ビジョン達成のためにどのよなことに注力されていますか。
戸田理事長:実現するためには、法人としての規模拡大や分院設立、利益の追求が不可欠ですが、同時に働きやすい環境作りにも注力しています。
社内アンケートで従業員の声を拾い上げ、休暇や社会保険、福利厚生、研修制度など社内体制を充実させています。
現在、育休を取っているスタッフは10人以上、妊娠中のスタッフも数人いますが、全員が職場に復帰し、長期的にキャリアを築ける環境が栄信会には整っています。
また、「カムバック制度」など、辞めたスタッフが戻って来られる仕組みも導入しています。実際、辞めた後に労働環境や待遇面で後悔している方が少なからずいると聞いており、せっかくご縁があって入社していただいた方々が再び栄信会で働ける制度を設けております。
さらに、医療業界の経験を問わず、他業種からの採用にも積極的に取り組んでいます。
── 岩元:「定年まで働き続けられる医療法人を実現のする」ために業界未経験者を積極的に採用しているとのことですが、理由を教えてください。
戸田理事長:業界未経験者を積極的に採用している理由は、医療業界における多様な視点を取り入れることで、より柔軟で創造的な職場環境を作り上げていきたいと考えているからです。
医療分野は専門性が高いですが、他業種からの経験を持つ人材は、新たな視点や方法を持ち込んでくれます。これにより、従業員の意見やアイデアを取り入れ、社内制度の改善やマーケティング推進に貢献できる方を積極的に採用しています。
特に社内制度に関して感じているのは、医療業界の「普通」が、一般企業では「ありえない」といった点です。
このようなギャップを解消するため、医療業界未経験者も積極的に採用し、異業種の視点を取り入れることで、社内制度や企業文化の改善を進めています。その結果、業界外の人たちが当社を選択肢の一つとして考えてくれる企業に成長すれば、さらに一歩上に進むことができると考えています。
医療を通じて患者様に笑顔を届けるためには、従業員が長期的に安心して働ける環境を整えることが不可欠です。さまざまな業界の多様な視点を取り入れ、従業員とともに一般企業とも競争できる体制を築いていきたいですね!

── 岩元:医療法人栄信会で女性が活躍できる理由を教えてください。
戸田理事長:現在、10院あるクリニックのうち、9院は女性が店長を務めており、衛生士や受付、助手など、さまざまな職種の女性たちが店舗を運営し、リーダーシップを発揮しています。
さらに、10人の店長をまとめる執行役員という重要な役職も女性が担当しています。彼女は入社当初、午前中勤務のパート衛生士として働いていましたが、今では私の代わりにクリニック全体を任されるほどの実力を発揮しています。
現在、彼女と10名の店長がクリニックの運営をほぼ完璧にこなしており、店舗ごとにそれぞれの地域特性を活かした経営方針を打ち出してくれています。
女性のライフイベントに伴うデメリットさえ解消できれば、女性の方が仕事面での潜在能力が高いと感じています。そのポテンシャルを活かせる環境を整備し続け、彼女たちが本当に自由に働けるようサポートしています。

── 岩元:ここからは従業員の方に、お話を伺いします。入社した理由を教えてください。
秋本様:訪問診療や審美歯科(ホワイトエッセンス)でのホワイトニングやクリーニング、保険診療、インプラントなど、幅広い診療を行っている点に惹かれました。
特に、地域に根ざした医院として、患者さま一人ひとりに寄り添った医療を提供している姿勢に共感し、栄信会で自分のキャリアを築きたいと考えました。
キャリアの幅を広げながら成長できる環境に魅力を感じ、栄信会への入社を決意しました。
奥井様:私はバックオフィス業務を担当していますが、入社のきっかけは、以前に経理をされていた方のご紹介でした。
もともと希望していた職種が経理や広報で、ちょうどその募集があり、自分の希望とマッチしていたことが決め手でした。
また、現在は子育て中のため在宅勤務をしているのですが、入社前に「仕事に慣れてきたら在宅勤務でもいいよ」と伺っていたので、その点も非常に魅力に感じ入社を決意しました。
── 岩元:桑田様は実際に産休育休から復帰されたとのことですが、復帰前後に不安に思ったことはありましたか?
桑田様:復帰後も以前と同じような仕事ができるのか、育児と仕事を両立できるのか、とても不安でした。
また、子どもを保育園に預けているときに呼び出しがあったら、職場に迷惑をかけてしまうのではないかという心配もありました。
ですが、復帰前に先輩方から「子どものことは気にしなくていいからね」と声をかけていただき、その言葉にとても安心しました。
また、職場には出産や子育てに理解のある方が多く、同じ子育て世代の方もたくさんいらっしゃるので、相談やサポートを快くしていただけます。そのおかげで、非常に働きやすい環境で仕事ができていると感じており、本当に恵まれているなと思っています。
秋本様:私も以前勤務していた別のクリニックで、育児休暇から復帰しようとした際に、席がなくなっていた苦い経験がありました。
そのため、柔軟な制度が整っている栄信会の労働環境は、働く母親にとって非常に働きやすいと思います。
子どもが熱を出して休みをいただいた際には、「どう?熱は下がった?」と気遣いの連絡をいただき、その時は本当にありがたいと感じました。

── 岩元:150名以上ものスタッフが在籍する大型の医療法人ですが、開業から現在に至るまで、苦労はありましたか?
戸田理事長:開業当時は、歯科医院の数自体が少なかったこともあり、順調に売上が上がり、多くの患者様が訪れてくれました。
しかし、周辺地域に歯科医院が増え始めると、専門性や強みなどの差別化ができていない状態で経営を続けていたため、患者数が減少していきました。
もともと独立を計画して開業したわけではなかったので、目標や理念、ビジョンについても明確に考えていませんでした。従業員の働く環境についても十分に配慮できているとはいえませんでした。
売上が最盛期の半分ほどにまで落ち込んだ中で、「このままではまずい」と強い危機感を抱き、経営改善のために、当時はまだ普及していなかった訪問診療の導入を決意しました。
この訪問診療が、当院にとって大きな転機となったのです。
── 岩元:なぜ訪問診療が転機になったと感じたのでしょうか?
戸田理事長:100名規模の看護施設から訪問診療の依頼を受けたことで、売上が大きく回復しました。しかし、私が「転機」と感じたのは、単なる売上の回復だけが理由ではありません。
訪問診療を通じて、入居者の口腔ケアを行うことで、地域社会に貢献できる新たな価値を見出したからです。
例えば、高齢者の方は誤嚥性肺炎になりやすく、その場合、1か月半ほどの入院が必要となります。
しかし、当院が口腔ケアを導入した施設では、誤嚥性肺炎の発生件数が減少し、施設の入居率も向上したという報告を受けました。この成功事例を他の施設にも広めることで、さらに多くの地域で良い影響を与えることができました。
導入当初は「出前診療」などと揶揄されることもありましたが、実際に患者様や施設の方々から感謝の声をいただくことで、その価値を確信しました。
この経験を通じて、患者様の生活の質を向上させ、地域社会に貢献するクリニックのあるべき姿と、従業員を含めたクリニック全体の目指すべき方向性が定まりました。
── 岩元:クリニックが目指す理想を実現するために、規模の拡大がどのような役割を果たしたのですか?
戸田理事長:患者様だけでなく、従業員全員にとっても良いクリニックを実現するためには、規模の拡大は必要不可欠でした。
当クリニックは、「健康寿命を延ばすこと」と「地域で信頼されるクリニック作り」の2つを掲げています。この理念を実現するために、各院は独自の運営方針を持ちながらも、共通の目標として「患者様が健康な状態で通い続けたくなるクリニック作り」を大切にしています。
スタッフには、単に治療を提供するのではなく、予防やメンテナンスを通じて患者様の健康寿命を延ばすことが非常に重要だと伝えています。特に、日本では健康寿命と平均寿命の差が大きいため、日常的なケアの重要性を強調しています。
そこで貢献してくれる従業員がライフステージの変化によって「働きたくても働けない」という状況を避けなければなりません。小さな規模で運営していると、異動や職種転換、余剰人財の確保が難しいのが現実です。
理念実現のために、つまりは患者様に満足していただくためには、従業員が長くいきいきと働ける環境が絶対条件なのです。
せっかく通い続けてくださってる患者様に「またスタッフが辞めちゃったんだ」と思われたくないですよね?
患者様のためにも、規模を大きくして経営を安定させ、従業員が安心して長く働き、もっと活躍できる環境を作ることが私の役割だと考えています。

── 岩元:医療法人栄信会で働く魅力を教えてください。
秋本様:新卒1年目は給料や勤務地で職場を選んでいましたが、家族ができた今では、「長く楽しく働けて安定した収入を得られる職場」という観点で考えるようになりました。その点で、規模の大きさによる安定感や、子育てをしながらもさまざまな仕事に携われる点が理想的な職場です。
私にとって仕事はとても大きな存在で、楽しくやりがいを感じる一方、子どもとの時間も大切にしたいと考えています。仕事と家庭の両立を図りながら、これからも栄信会で働き続けたいと思っています。
奥井様: 秋本さんと同じような意見になるかもしれませんが、やはり規模が大きい歯科医院であることが魅力です。
子どもから「ママはどんな仕事をしているの?」と聞かれたとき、ただ「歯医者さんの事務」と答えるだけではなく、「この地域ではとっても大きな歯医者さんなんだよ」と自信を持って言える点が誇らしく感じます。
実際、10院を展開している医院でバックオフィスとして、理事長が掲げる「定年まで働き続けられる医療法人作り」に携わることができる仕事は、大きな意味があり、誇りに思っています。また、子どもがまだ小学生なので、これからお金が必要になってくることも考え、長く働ける安定感がある医院である点にも安心感を持っています。
桑田様:産休や育休があっても、実際には休みづらい雰囲気だったり職場によっては、女性は出産や子育てなどのタイミングで退職せざるを得なくなることがあります。
しかし、栄信会ではクリニック全体が出産や子育てにとても理解のある職場です。
また、秋本さんや奥井さんが言われたように、規模が大きいという点も大きな魅力です。私の主人が転勤族であるため、転勤しても栄信会を辞めることなく働き続けられるのは、私にとって一番嬉しいことです。
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── 岩元:最後にこれから働く皆さんへメッセージをいただけますか。
戸田理事長:これから働く皆さんに求めるのは、明るくて素直な方です。
言われたことだけをこなすのではなく、自分から「こうしたらもっと良くなるかもしれない」というプラスアルファの考えを持って行動できる方を歓迎します。
さらに、共通の目標に向かってお客様のことを考え、お互いに協力し合いながら働ける方が理想です。
医療法人栄信会では、そんな方々と一緒に働けることを楽しみにしています。

取材者のレビュー
戸田理事長の「定年まで働き続けられる医療法人を従業員と一緒に作っていきたい」という想いは、職場全体にしっかりと根付いており、その理念が実際の取り組みに反映されています。現在、一般企業からの採用を積極的に行い、医療業界の枠を打破するための労務やマーケティング力の強化に取り組んでいます。異なる業界で培われた多様なスキルや価値観を持つ人材が加わることで、職場全体がより活性化し、新たな視点からの改善や取り組みが進んでいます。このような取り組みは、働き方の多様化が求められる現代において、医療業界の新たなモデルケースとなるのではないかと感じました。
さらに、「患者様が健康な状態で通い続けたくなるクリニック作り」という理念のもと、スタッフ全員が一丸となって患者様に寄り添い続ける姿勢が、栄信会の大きな魅力だと感じました。地域全体の健康向上に貢献する取り組みは、まさに「地域密着型医療」の理想的な形だと思います。
取材を通じて感じた理事長の人柄は、非常に明るく、優しさと寛大さに溢れています。院内では理事長の存在が明るい雰囲気を作り出し、スタッフが安心して働けるように支えています。理事長は非常に人間味があり、関西弁の優しいトーンで、時には厳しさも伴いながら、常にスタッフを思いやる姿勢が印象的でした。
日本次世代企業普及機構 代表理事岩元 翔
東証1部乗上場企業の求人広告会社にて新卒・中途採用のコンサルティング業務を学び、その後ITベンチャー企業にて自社採用業務、教育業務に従事。 2020年には一般財団法人日本次世代企業普及機構の代表理事に就任。これまでの経験、実績を活かし、経営者や従業員にとって道しるべとなる「ホワイト企業指標」を作り上げた。