「建設業で、もう一度誇りを持って働く」豊和工業株式会社が掲げる「豊和新3K」とは。

2026.05.29
PREMIUM INTERVIEW

【インタビューを受けた人】
豊和工業株式会社 村上 圭様

【インタビュアー】
日本次世代企業普及機構 長谷川 颯汰

豊和工業株式会社

代表取締役 村上 圭様

1981年、東京都出身。明治学院大学法学部卒。医療系コンサルタント会社にて6年間勤務後、2011年に豊和工業株式会社へ入社。2022年6月、代表取締役に就任。建設業の新しいあり方を目指し、「豊和新3K」を軸にした会社づくりを推進している。

はじめに

今回は、豊和工業株式会社の代表取締役社長・村上圭様にインタビューをさせていただきました。

豊和工業様が掲げる「豊和新3K」。
それは、建設業に対する従来のイメージを変え、「稼げる・帰れる・かっこいい」仕事へと再定義していくための言葉です。

今回のインタビューでは、村上代表がこの言葉に込めた想いや、社員とそのご家族を大切にする会社づくり、そして建設業で働く人がもう一度誇りを持てる環境づくりについて、深くお話を伺いました。

 

豊和工業株式会社のポイント

・建設業の旧来の3Kを変える「豊和新3K」への挑戦
・社員とその家族まで大切にする、安心して長く働ける会社づくり

・電力インフラを支える誇りと、仲間と支え合う「建設人和」の文化

 

なぜ建設業の“3K”を、ポジティブに変えようと思ったのか 

 

── 長谷川:まず、豊和工業様が掲げている「豊和新3K」について伺いたいです。「稼げる・帰れる・かっこいい」という言葉は、どういった背景から生まれたのでしょうか。

 

 

村上社長:もともと建設業には、「きつい・汚い・危険」という3Kのイメージがありますよね。

 

もちろん、昔の建設業には厳しい働き方もあったと思います。ただ、僕は「建設業だから仕方ない」とは思っていません。

 

建設業は、社会に絶対必要な仕事です。人々の生活を支え、災害時には復旧にも関わる。本来は、もっと誇りを持てる仕事だと思っています。

 

一方で、外から見たときに課題も感じました。

 

僕は外の業界を経験してから豊和工業に入ったので、建設業界の良さも課題も客観的に見えた部分があります。IT化や衛生環境、働き方など、今の時代に合わせて変えられる部分は多いと感じました。

 

 

 

 

── 長谷川:そうした課題意識から、旧来の3Kをポジティブな言葉に変えようとされたんですね。

 

 

村上社長:はい。「きつい・汚い・危険」という言葉があるなら、それを逆にできないかと考えました。僕はけっこう逆張りするのが好きなので(笑)。

 

建設業の価値を、今の時代に合う形で再定義したかったんです。

 

それが、「稼げる・帰れる・かっこいい」という豊和新3Kにつながりました。ただのキャッチコピーではなく、社員が前向きに働ける会社にしたい。その想いが根本にあります。

「稼げる」とは、社員と家族の人生を守ること 

 

── 長谷川:豊和新3Kは、建設業の価値を今の時代に合わせて再定義する言葉でもあるんですね。その中でもまず、「稼げる」という言葉について伺いたいです。かなりストレートな表現ですが、村上社長にとって「稼げる会社」とは、どういう状態なのでしょうか。

 

 

村上社長:単に給与が高いというだけではありません。もちろん収入は大事ですが、それ以上に、社員が安心して生活できて、家族も守れる状態をつくることが大事だと思っています。

 

住宅、子育て、将来設計。そういう人生の土台を安心して築けることは、すごく大事です。だから会社として利益を出し、その利益を社員に還元していくことを大切にしています。

 

実際に、僕が代表になってからまず基本給を引き上げました。最初の年は平均で13%くらい、次の年も6%くらい上げています。

 

豊和新3Kとして「稼げる」と言っている以上、言葉だけでは意味がありません。ちゃんと形にする必要があると思っています。

 

 

 

 

── 長谷川:給与だけではなく、期末賞与や住まいに関する支援も整えられていると伺いました。

 

 

村上社長:はい。期末賞与については、以前は明確な制度としては存在していませんでした。そこで、利益に対して一定の割合を社員に分配する形にしました。会社が利益を出せば、社員にも返ってくる。そういう仕組みにしたかったんです。

 

住まいの支援としては、借り上げ社宅や住宅手当があります。借り上げ社宅は、今15〜16人ほどが利用していますね。

 

会社の負担額は役職などによって変わりますが、月4万円から9万円ほどです。借り上げ社宅を利用していない社員には、住宅手当として月2.5〜5万円ほどを支給しています。

 

僕にとって「稼げる」というのは、単に給料の数字だけではないと思っています。

 

「この会社なら安心して生活できる」「この会社なら家族を守れる」。

 

そう思える状態をつくることが、豊和工業にとっての「稼げる」だと考えています。

仕事だけで人生を終わらせない。「帰れる」に込めた本当の意味

 

── 長谷川:豊和新3Kの二つ目に「帰れる」がありますよね。この言葉には、単に早く帰るという意味だけではないように感じているのですが、いかがでしょうか。

 

 

村上社長:そうですね。早く帰ることだけが目的ではありません。

 

社員には、仕事だけの人生にしてほしくないんです。家族と過ごす時間も、自分のために使う時間も大事にしてほしいと思っています。

 

建設業界では「休みにくい」というイメージもあると思いますが、豊和工業では年間休日が126日あります。有給と合わせて、44連休を取った社員もいますし、30連休を取った社員もいます。

 

 

 

 

── 長谷川:44連休はかなりインパクトがありますね。実際、その社員の方はお休みの間どのように過ごされていたんですか。

 

 

村上社長:その社員は、日本で“リアルダーツの旅”をしていたみたいです。ダーツで行き先を決めて、出た場所に実際に行く、というような旅ですね。

 

そういう話を聞くと、すごくいいなと思います。もちろん、休めるタイミングや現場の状況はあります。ただ、現場が終わった後の特別休暇や有給をうまく使って、自分の人生を楽しむ時間を取れるのは良いことだと思っています。

 

とはいえ、「休んでいいよ」と言うだけでは実現できません。誰か一人しか分からない仕事があると、その人は休めないので、情報共有や業務の見える化を進めています。

 

DXも、ただ新しいツールを入れることが目的ではなく、「人の時間を生み出すためのもの」だと思って導入を進めてきました。

 

 

 

── 長谷川:「帰れる」でいうと、里帰り費用の一部負担も“家族との時間を大切にしてほしい”という考えから生まれた制度なのでしょうか。

 

 

村上社長:そうですね。地方から来てくれている社員にとって、実家に帰るだけでも新幹線代や飛行機代がかかるじゃないですか。

 

若い社員にとっては大きな負担になるので、帰省にかかる交通費の半額を会社で負担する制度を作りました。上限は5万円で、年2回使える形です。

 

 

 

 

ただ、実家が近い社員もいます。そういう社員とのバランスもあるので、今は他の社員にも喜んでもらえるような会員制リゾートホテルに泊まれる制度も取り入れることにしたんです。

 

社員が家族や大切な人と過ごす時間を、会社としてどう支えられるか。

 

そこは、これからも考えていきたいですね。

見えない場所で社会を支える。そして、家族に誇れる会社へ 

 

── 長谷川:豊和新3Kの三つ目に「かっこいい」がありますよね。この言葉もすごく印象的です。村上社長にとって「かっこいい建設業」とは、どういうものなのでしょうか。

 

 

村上社長:まず一つは、社会を支えていることです。私たちの仕事は、電力インフラに関わる工事が中心です。

 

地中に電力を通して、街に電気を届ける。完成しても地上からは見えませんが、人々の生活を支えている仕事です。

 

派手さではなく、安全、品質、工程を守りながら、協力会社さんや周囲と調整して現場を進めていく。簡単な仕事ではありませんが、だからこそ価値があると思っています。

 

 

 

 

── 長谷川:もう一つ、「かっこいい」には、社員の方が家族に誇れる会社でありたいという意味もあるのでしょうか。

 

 

村上社長:あります。自分の仕事を家族に胸を張って話せることは大事です。家族から見ても「いい会社で働いているね」と思ってもらえる会社でありたいですね。

 

だから、制服やロゴなどにもこだわっています。社員が「自分の会社っていいな」と思えるようにしたいんです。

 

建設会社だから見た目は何でもいい、とは思っていません。自分たちの仕事の価値を、社内にも社外にもきちんと伝えていきたいです。

 

 

 

 

── 長谷川:福利厚生や家族会にも、「家族に誇れる会社」という考えが表れているように感じました。

 

 

村上社長:そうですね。たとえば、先ほども少しお伝えしましたが、「会員制リゾートホテル」を社員が利用できるようにしています。普段なかなか泊まれないような施設で、家族と一緒にゆっくり過ごせる機会をつくりたいと思ったんです。

 

それから、社員の家族にも会社を知ってもらいたいと思って、家族同伴の家族会も開いています。社員が働いている姿を映像にして、ご家族にも見てもらうようにしています。

 

 

 

 

家族から「かっこいいね」と思ってもらえることは、社員本人にとっても大きいと思うんです。地方から初めて参加される親御さんには、飛行機代やホテル代を会社で負担したこともあります。

 

僕の想いとしては、社員だけでなく、そのご家族にも「いい会社だね」と感じてもらいたいですね。

 

「かっこいい会社」というのは、見た目だけではありません。社会を支える仕事であること。そして、社員や家族が誇れる会社であること。その両方を大切にしたいと思っています。

一人ではつくれない。「建設人和」に込めた豊和工業らしさ 

 

── 長谷川:豊和工業様のお話を伺っていると、制度や福利厚生だけではなく、人との関わり方もすごく大切にされている印象があります。

 

 

村上社長:そうですね。建設の仕事は、一人ではできません。現場も、協力会社さんも、本社も、それぞれが支え合って成り立っています。

 

建設は、人の和があって初めて成り立つ仕事です。だから豊和工業では、「建設人和」という考え方を大切にしています。

 

「建設人和」とは、当社が掲げる理念で「一人ではできない建設業だからこそ、人とのつながりを大切にする」という豊和工業の考え方です。

 

もちろん技術は大切です。

 

ただ、どれだけ技術があっても、「自分だけが良ければいい」という考え方では、良い現場はつくれません。

 

相手の立場を考えたり、周りが動きやすいようにしたりすることが大事です。

 

豊和工業で活躍している人にも、そういう共通点はあります。困っている人がいれば声をかける。自分の仕事だけでなく、現場全体を見られる。そういう人はやっぱり信頼されますし、強いですね。

 

 

── 長谷川:豊和新3Kを実現するうえでも、「建設人和」は土台になっているように感じます。

 

 

村上社長:そうですね。「稼げる」も「帰れる」も「かっこいい」も、一人では実現できません。

 

お互いに支え合う関係があるから、休みも取りやすくなる。良い仕事もできる。会社にも誇りを持てると思っています。

 

制度を整えることも大事です。でも、最後は人だと思っています。人を大切にできる会社でありたいですし、そういう人と一緒に豊和工業をつくっていきたいですね。

 

認定や受賞の先にある、豊和工業が大切にしてきたもの 

 

── 長谷川:こうした取り組みは、ホワイト企業認定や受賞など、外部からの評価にもつながっていますよね。

 

 

村上社長:そうですね。すごくありがたいことだと思っています。

 

ただ、認定や受賞を取ることが目的ではありません。社員やその家族を大切にする会社を目指してきた結果として、評価いただけたのだと思っています。

 

 

 

 

 

── 長谷川:外部からの評価という点では、“日本でいちばん大切にしたい会社”大賞も受賞されていますよね。こちらについては、どのように受け止められていますか。

 

 

 

村上社長:本当にありがたいです。ただ、それで終わりではありません。むしろ、これからも社員を大切にする会社であり続けないといけない。そういう責任も感じています。

 

 

 

── 長谷川:認定や受賞は、求職者の方にとっても安心材料になりますね。

 

 

村上社長:そう思います。ただ、最終的には“この会社は何を大切にしているのか”を見てほしいですね。

 

豊和新3Kも、言葉を掲げるだけでは意味がありません。実際に社員の働き方や生活が良くなることを、これからも大切にしていきたいです。

経験を活かし、豊和新3Kを一緒につくる仲間へ 

 

── 長谷川:建設業界で経験を積んできた方に向けて、メッセージをお願いします。

 

 

村上社長:建設業の経験は、本当に価値があると思っています。今の働き方に不安がある方もいると思いますが、その経験を諦めてほしくないですね。

 

会社の考え方も、働き方も、時代とともに変わっています。今いる環境だけで、建設業そのものを判断してしまうのは、もったいないと思っています。

 

もちろん、すでに建設業で働いている方にとってはご存じのとおり、建設業は決して楽な仕事ではありません。社会インフラを支える以上、責任もあります。安全、品質、工程を守る必要がありますし、周りとの調整も欠かせません。

 

でも、だからこそやりがいがあります。自分の仕事が社会を支えているという実感もあります。そこに誇りを持てる方には、豊和工業はすごく合うと思います。

 

 

 

── 長谷川:さいごに、豊和工業株式会社にはどのような方に来てほしいかを教えてください。

 

 

村上社長:「素直さ」と「前向きさ」を持っている方ですね。あとは、周りの人のために動ける人です。

 

建設業は一人ではできません。仲間や協力会社さんと一緒に、良い現場をつくっていく仕事です。だからこそ、どこまでいっても「建設人和」を大切にできる人に来てほしいと思っています。

 

建設業が好きだけど、今の働き方に限界を感じている方。もっと誇れる環境で力を発揮したい方には、ぜひ豊和工業を知ってほしいです。

 

これまでの経験を活かしながら、稼げる、帰れる、かっこいい建設業を一緒につくっていきましょう。

 

 

 

取材者のレビュー

 

豊和工業株式会社様の取材で心に残ったのは、村上代表の「建設業をもっと誇れる仕事にしたい」というまっすぐな想いでした。

「稼げる・帰れる・かっこいい」という豊和新3Kは、単なる言葉ではなく、社員の生活やご家族との時間まで大切にする会社づくりにつながっていました。

里帰り費用の補助や家族会、会員制リゾートホテルのお話からも、社員だけでなく、ご家族にも「いい会社で働いているね」と感じてほしいという温かい想いが伝わってきました。

見えない場所で社会を支える仕事を、働く人自身が胸を張れる仕事に変えていく。
その姿勢に、豊和工業様らしい優しさと強さを感じた取材でした。

 

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  • 取材者

    理事 長谷川 颯汰

    2024年より株式会社ソビアに入社し、ホワイト企業認定の運営に従事。認定企業様の魅力を丁寧に言語化し、ホワイトキャリアを通じて多くの方へ届ける仕事に取り組んでいます。