【インタビューを受けた人】
株式会社神子島製作所 総務課 竹内 彩 様
株式会社神子島製作所 プレス 宇佐美 涼太 様
株式会社神子島製作所 営業課 熊倉 翼 様
【インタビュアー】
ホワイト財団 岩元 翔
竹内 彩 様
宇佐美 涼太 様
熊倉 翼 様
株式会社神子島製作所のポイント
・従業員の個性を伸ばし、いきいきと働ける職場環境
・福利厚生など、充実した社内制度で「働きやすい環境」を整備
・半年に1度の評価面談で一人ひとりの成長と頑張りを給与に反映する仕組み
竹内 様:神子島製作所はステンレス素材を様々な加工方法で多様な製品を製造しているメーカーです。
当社では、お客様から依頼を受けて製造する「OEM商品」と、自社で企画から製造・開発までを手掛ける「自社製品」の2つのカテゴリを展開しています。
OEM部門で取り扱っている製品は人命に関わる医療機器関連の商品です。
自社製品部門では、食の安心安全をサポートする厨房機器を取り扱っています。
素材の加工から溶接、仕上げのみならず、品質管理や包装まで自社で担当しており、その技術や管理においてお客様から高い評価をいただいています。
竹内 様:挑戦に対して寛大な会社です。
神子島製作所は、社員が「やりたいこと」にどんどん挑戦できる環境が自慢です。
もちろん、やりたいことをすべて容認するわけではありません。
まず提案の場を設けることで、会社や他の社員にとってどのようなプラスになるかをプレゼンしてもらい、しっかりと社内で検討しています。採用に至らないアイデアもありますが、どんな意見でも決して頭ごなしに否定することはありません。
これには、「何事もやってみないとわからない」という考えが背景にあります。
どれだけ計画を練ってもイレギュラーは発生しますし、はじめからすべてうまくいくとも考えていません。社員にとって「やりたいこと」を発信できる場を作り、挑戦してくれることが大事だと考えています。
また、個々人を重んじた気楽な雰囲気で、いい意味で気をつかわない会社だと思います。
宇佐美様は面接時に職場見学をされたとお伺いしました。貴社に来社した時の第一印象はいかがでしたか?
宇佐美 様:雰囲気の良さに惹かれました。
当時は専務が案内を担当してくださったんですよ。
対応が快く、仕事内容や会社についても丁寧に教えていただいたことを覚えています。
また、現場で働く社員の皆さんもいきいきとしていたことが印象的でした。
転職活動では、会社の雰囲気が良くストレスなく働けることを重視していたこともあり、「この会社なら自分らしく働けそう」だと感じました。
転職をするにあたり、入社前の不安はありましたか?
熊倉 様:転職前から神子島製作所のことは知っていました。同業他社からの転職だったため事業内容も知っていましたし、仕事内容に関してはさほど不安はありませんでした。
ただ、社内の雰囲気までは知らなかったので、職場に馴染めるかという懸念点がありました。
しかし、いざ入社してみると社内のコミュニケーションは活発で、徐々に打ち解けていくことができたので、その不安はすぐに解消されました。
また、仕事終わりに食事や飲みにいったことも、交流を深められた理由の一つだと思います。
宇佐美 様:製品について覚えることが多く、入社当初は非常に苦労しました。
前職も製造業だったので機械の使い方は慣れていましたが、製品は初めて見るものばかりで全部同じように見えることもありました(笑)。
ただ、わからないことがあれば質問しやすい環境で、先輩や上司もわかりやすく丁寧にレクチャーしてくれました。
そのおかげで今は苦労なく働けています。
熊倉 様:私はコロナ禍での入社だったので、県外のお客様とのコミュニケーションが大変でした。
県境をまたぐ移動が規制されていたこともあり、コミュニケーションの方法といえばメールか電話のみだったんです。顔も知らないまま、反応もわかりづらいので非常に不便でした。
現在、コロナが落ち着いてきて、少しづつお客様と対話ができる機会が増えており、コミュニケーションを取りながら仕事を進められることを嬉しく思っています。
宇佐美 様:前回上手くできなかった工程が上手くいったときや、1つの工程を手間取らずにスムーズにできたときはやりがいを感じられます。
日々成長している実感があり、これからも頑張ろうというモチベーションにつながりますね。
熊倉 様:やりがいを感じる瞬間は2つあります。
1つは自分が担当しているお客様に満足いただけた時です。喜びや感謝のお声をいただけると、それまでの苦労が達成感に変わります。
もう1つは、自分が携わった商品が世の中に見える形で出回った時です。
当社が製造している製品はOEMがメインで、お客様の要望に応じて製造しています。
自分が担当した製品が実際に目に見える形となり、市場に出回っているところを見ると、非常に喜ばしく感じますね。
宇佐美 様:社内の雰囲気が魅力的だと感じます。
入社前の会社見学のときに惹かれた部分ですが、入社後もそれは変わりません。
先輩や上長は非常に親切で、わからないことがあればすぐに教えてくれます。
また、社長とも全社で実施するラジオ体操や朝礼などで顔を合わせするので距離が近く、上長への相談や質問はもちろん、有休の申請もしやすいですよ。
熊倉 様:宇佐美さんと同じく、会社の雰囲気は神子島製作所の魅力だと思います。
上長や専務、社長とも話がしやすく、困ったことがあればすぐに相談できる環境は非常にありがたいです。また、比較的若い人が多くコミュニケーションが取りやすいところも特長ですね。
さらに、社員一人ひとりが自発的に動きやすい体制が整っているところも、当社の魅力だと感じます。
例えば私のいる営業部だと、部署全体の目標はありますが個人の営業ノルマはありません。
負担が少ない分、売り上げを伸ばすために自分で考え行動することが、部署のため、会社のために繋がります。また、部署内でも目標を達成するために定期的に意見を出し合い、お互いの欠けている能力を補いながらチーム一丸となって業務にあたっています。
個人の営業ノルマはありませんが、1人ひとりの目標に対する達成意欲はとても高く、やりがいのある仕事だと感じています。普段は自発的に業務を行い、トラブルやイレギュラーが発生したときには頼れる上司に相談できるので、非常に働きやすいです。
宇佐美 様:周りの同僚やこれから入社してくる後輩に頼られるようになりたいです。
そのためにもまず、今まで経験したことのない製造工程に挑戦し、さまざまな仕事を早く覚えていきたいです。
熊倉 様:現在、若手の採用に乗り出しており営業の採用にも注力している状況です。
会社を担う営業を育てていくにあたり、まずは先輩として私自身の土台を固めたいと考えています。後輩ができた時に何を教えるかを考えながら、ともに会社を盛り上げられるように準備をしていきたいですね。
竹内 様:社員一人ひとりの経歴やスキルを正当に評価するため、役職や能力に合わせて5段階に分類した評価制度を導入しています。
評価基準は若手から、中堅、ベテラン、それぞれの等級に合わせた評価項目を設けており、定量的な成果だけでなくヒューマンスキルなどの能力や勤務態度にも着目したものを設定しています。
定量的な項目だけではわからない部分をしっかりおさえ、社員の頑張りを昇給や昇格に還元できる仕組みを整えています。
なお、今期からは若手の成長意欲をさらに高めるために、中堅の対象を10年目から3年目に引き下げる予定です。
また、半年に1回の人事評価のタイミングで必ず全社員と面談をしています。
一人ひとりの評価ポイントを明示するとともに、会社や部門がその人に何をしてほしいのかをしっかり伝える場として活用しています。
これは、本人が今後どうなりたいのかを知る機会でもあり、その人にあったキャリアプランを一緒に考えられる場としても重宝しています。
経験やスキルがあるベテラン層だけでなく、意欲のある若手も分け隔てなくチャレンジできるように、それぞれの頑張りを公平に評価できる当社独自の体制となっています。
竹内 様:社員の負担を極力減らすために、会社が奨励する資格取得のバックアップ体制を整えています。
例えば、フォークリフトなど業務に必要な資格があれば事前に対象者にアナウンスを行うほか、資格受験やテキスト、講座の費用を会社が全額負担しています。
また、受験や講座が休日の場合は休日出勤扱いとして後日時間外手当を支給しているんです。
社員が主体性をもってキャリアアップを目指せるよう、会社全体でフォローしています。
竹内 様:社員が心身ともに健康的に働けるように独自の取り組みを導入しています。
1つは、健康のための野菜作りです。
これは、社長が主体となって始めた取り組みで、会社が保有する畑で季節の野菜を栽培しています。
これまでにジャガイモや玉ねぎ、ニンニク、きゅうり、スナップエンドウなどを栽培してきました。これらの野菜は、社員やお取引先様に配っています。
畑の面積も、取り組みを始めた当初からずいぶん大きくなり、現在3反(約1,000平方メートル)もの広さになりました。
普段は社長が一人で管理しているのですが、社員も進んで手伝っているんです。
就業時間内に個々人でスケジュールを管理してもらい、自由に参加できるようにしています。野菜を食べて健康を目指すだけでなく、身体を動かすいい機会にもなっています。
社長としては、社員の参加が非常に嬉しいようですよ(笑)。
また、この野菜を使ったBBQを納涼会として年に1回開催しています。
参加は自由としていますが、毎年多くの社員が参加しているんです。
他にも、不定期ではありますが、リフレッシュの機会として社員旅行を実施しています。
このイベントも自由参加にしています。
行先は会社で決めていますが、現地ではほとんど自由行動です。
各々が自分らしく余暇を楽しめるようにあえてスケジュールを固定はしていません。コロナ禍もだいぶ落ち着いてきて規制も緩和されたので、今後は海外にもいきたいと考えています。
会社のイベントだからという義務感は無しにして、社員が心から楽しめるイベントを目指したいですね。
竹内 様:従業員が長く働ける機会と環境を提供しています。
当社が定める定年制は満60歳ですが、本人からの希望があれば70歳まで雇用を継続させることができます。また、70歳以上の方でも「働きたい」との希望があった場合に、その意欲を尊重し、能力を最大限に活かせるようサポートしています。
この制度を採用した理由は2つあります。
1つは、これまで神子島製作所を支えてくださったベテラン社員への敬意です。
在籍者の中には、会社が法人化する前から勤務してくれている方もいらっしゃいます。
これまで会社の成長を担ってくれた人が、定年後も働く意欲があることは非常にありがたいですし、会社としてもその気持ちに応えたいと考えました。
もう1つは、これまでのノウハウを次代に活用したいからです。
ベテラン社員が培ってきたスキルは代えがたいもので、失うにはあまりにももったいないと考えました。そこで、部署の最前線ではなく、サポーターとしてその力をいかせる機会を設けたんです。
ベテラン層の皆さんが前向きに取り組んでくれるので、社内も活気づいています。
また、神子島製作所では育児と仕事を無理なく両立していただくために、育児のための時短勤務の期間を法定の3歳未満から小学校就学前までに延長しています。就業時間も、個々人のライフスタイルに合わせており、限定的なアルバイト雇用も導入しています。
他にも、新潟県独自の取り組みである「ハッピー・パートナー企業」「パパ・ママ子育て応援プラス認定企業」の認定を受けています。
男女がともに働きやすく、仕事と家庭を両立できる環境づくりに取り組んでいると県に認められた証であり、その中で仕事と子育ての両立支援に積極的な企業が「パパ・ママ子育て応援プラス認定企業」として登録できます。
ただ、現状としてはまだまだ男性育休の事例がないことが課題だと考えています。女性に比べ対象者がいないこともありますが、社内制度の周知がまだまだ甘いことが原因でもあります。
そのため、今後はさらに社内での周知に取り組み、男女関係なく家庭と仕事を大事にできる風潮が浸透するよう努めていきたいですね。
竹内 様:神子島製作所の社内環境改善には、専務である神子島の尽力が大きいです。
そんな神子島は、働きやすい環境づくりについて「会社を一新したいという思いがあった」と述べています。
神子島が入社した時の社内環境は、ルールが定められておらず会社全体がまとまりのない状態でした。
例えば、休憩時間の規定はあっても、いつ取るかは人それぞれ。人の目を盗んでサボることもたやすい環境で、それを咎める人もいませんでした。そんな雑然とした環境でも会社が回ってしまっていたので、これが会社の当たり前だとされていたんです。
しかし、そんな社内体制では意欲的な人材は集まらず、成長もしません。そこで、新しい人材を入れて会社を心機一転させるために、働く環境に着目したんです。
竹内 様:はじめに実施したのは人事評価制度でした。
これまでは明確な評価基準がなく、年功序列がすべてでした。一方で、若手ながらに実力のある社員が正当に評価されていない現状がありました。
そのため、評価制度を導入したことで、能力のある若手を正当なポストに配置でき、やる気のある人が積極的に行動するいい循環が生まれるようになりました。
さらに、これまで神子島製作所の成長を支えてくれたベテラン層が長く輝き続けられる場として、希望者には70歳以上でも雇用継続をスタートしました。
そのほか、福利厚生や社内環境の拡充を実施することで社内の雰囲気もより良いものに改善されました。
もちろん、新しい取り組みに反対する社員や不満をもって退職してしまう人もいました。
しかし、年齢や経験に関係なく向上心や意欲のある社員がどんどん台頭できる環境となり、この取り組みは間違っていないと私自身感じています。
竹内 様:神子島製作所が「ホワイト企業」に準ずるかを知りたかったからです。
これまで、より良い環境づくりのために社内でさまざまな試みを実施してきました。
ただ、その取り組みを社外から評価される機会はほとんどありません。
当社の社内環境は一般的にホワイト企業と認められるほどのものなのか、どこが評価されるポイントなのか。それをしっかり把握したいと考え、この度ホワイト企業認定に申請しました。
そして、評価制度や年代・ライフステージを問わない働き方がホワイト企業の素養として認めていただけたこと、非常に喜ばしく感じています。
現在、ともに働いている社員やこれから入社していただく方々に、より誇らしいと感じていただけるように、これからも一人ひとりがのびのびと働ける環境づくりに取り組んでいきたいですね。
竹内 様:神子島製作所が掲げる目標は2つあります。
1つは、受注からモノづくりに留まらず、納品までを一貫できる体制を整えることです。
製造業を営む会社としてさらに力をつけ、より多くのお客様に信頼いただけるように成長したいと考えています。
そしてもう1つは、社員のスキルアップの場として環境を整えていくことです。
製造業というと「ただ指示されたことをやればいい仕事」というイメージを持たれることがいまだに多いです。
そのイメージを払拭し「自主性をもって働ける環境が神子島製作所にはある」と認識していただけるように取り組んでいきたいです。
そのために、上記の取り組みをいかして社員一人ひとりがより高いモチベーションをもって働き、会社全体を活性化していってほしいと考えています。
竹内 様:素直で真面目な人に尽きますね。
どれだけ会社が制度や環境を整えても、それを活用してチャレンジするかは本人次第です。
自主性や協調性を大事にしながら、自分の将来を見据えて実直に働ける人は、きっと活躍していただけるでしょう。
初めての環境で不安もきっとあると思います。
しかし、一歩勇気を出して神子島製作所に入社していただけるのであれば、そのチャレンジを全面的に応援します。
事業としても、会社としてもより成長するために、これから入社してくださる皆さんとともに、どんどん新しいことに挑戦できることを楽しみにしています。
取材者のレビュー
モノづくりを通して、社員の「やりたい」を全力でサポートしている神子島製作所。
子育てやキャリア、健康面など働きやすい環境づくりに多方面から取り組み、社員が安心してお仕事に挑戦できる環境を構築されていました。竹内様に社内の雰囲気を尋ねたところ「アットホームな環境だけどサバサバしていて、本当の家族のような空気感です」との説明がとても印象的でした。これらの背景には、専務である神子島様の「会社を一新したい」という危機的状況を打開する行動力が要因となっていました。今後も、現状をさらにより良いものにするために多様なアイデアが生まれる会社として成長していくことを期待しています。
日本次世代企業普及機構金崎 綾香
小売業界でバイヤーとして、商品買付けや企画などの店舗管理業務に従事しつつ、販売メーカーの営業として法人営業にも携わってきました。2022年より株式会社ソビアに入社し、これまでの経験を活かし、ホワイト企業認定を取得された企業様の魅力をホワイトキャリアでたくさんの方に発信していきます。