【インタビューを受けた人】
株式会社立島工業 立島 晃 様
株式会社立島工業 佐藤 隼 様
【インタビュアー】
ホワイト財団 金崎 綾香
代表取締役社長 立島 晃 様
工事係 従業員代表 佐藤 隼 様
株式会社立島工業のポイント
・法令順守の社内制度で従業員を守る
・従業員の頑張りと感謝の気持ちをカタチで還元している
・従業員の奥様や地域の女性が活躍できるようカフェを建設予定
立島 様:当社は、パネルや手すりなどの建築金物を建物に取り付ける金物取付工事の会社です。
学校や駅、市役所などの公共施設やサービスエリア、工場など、人々の暮らしに密接した建物で施工を行っています。
私たちの仕事は「金物取付工」といい、鉄・アルミ・ステンレスなどの金属製品の特性を理解した上で施工する専門性の高い職種です。
立島工業では、屋根や階段、手すり、内外装パネルなど金属部材で作成されている製品のほぼ全てを取り扱っています。AIなどのIT技術では代替できない唯一無二の技術で、建物がなくならない限り社会に必要とされる仕事です。
立島 様:「明るく・楽しく・元気よく」という企業理念のもと、全員がいきいきと働いています。
金物取付工の仕事は身体を使う重労働で、時には肉体的にハードな現場もあります。
このような環境で誰か1人だけが苦しい思いをすることがないよう、全員で意見や相談ごとを共有するようにしているんです。
辛いときでも全員で笑いながら楽しく仕事ができるように、誰もが自分らしく働けて、誰とでも気兼ねなく話せる雰囲気をつくることを大切にしています。
佐藤 様:現場では、プライベートの話をしたり、次の現場でどのような工程を行うかを相談したり、話題は様々です。とにかく明るく、楽しく仕事ができる環境ですね。
立島 様:私は社員のことを「我が子」だと思って接しており、一人ひとりの発言に耳を傾けながら働きやすい環境づくりに取り組んでいます。
私たちの仕事に同じ依頼はなく、毎回現場で新しい学びがあります。
そんな環境で日々成長し、成功体験をどんどん積んでほしいという思いから、長く楽しみながら働ける環境づくりを目指しています。
まず、入社後はどのような体制で人材育成を実施するのですか?
立島 様:入社後は基本的に私と一緒に業務に取り組んでもらうOJTの研修を行います。
現場で必要となる技術はもちろん、礼儀礼節や道具の使い方などをしっかりレクチャーしますので、現場経験がない方でも大丈夫です。
金物取付工の仕事では、現場を担当するために必要な資格があり、まずはその資格取得を目標に技術や知識を身につけていただきます。また、金物取付工は独り立ちするまで、3〜5年と時間をかけて実績を重ねていく仕事です。
そのため、立島工業ではじっくり時間をかけて人材育成を行っています。
佐藤 様:私は未経験で入社したので、最初は何もわからず本当についていけるのか不安がありました。しかし、社長の丁寧なサポートのお陰でその不安はすぐに払拭されました。
質問すれば、すぐにわかりやすく教えてくれるマンツーマンの体制は非常に心強かったですね。
立島 様:私が人材育成で大事にしていることは「怒らないこと」です。
もしお客様からクレームがきたとしても、社員を咎めることはありません。クレーム案件を社内共有しながら気を引き締めるよう声かけを行うようにしています。
「怒って・怒鳴って」教育するイメージが建設業にはあるかもしれませんが、威圧感を与える恐怖教育で成長している人を私は見たことがありません。
逆に、上司から怒られることで萎縮してしまい、パフォーマンスが発揮できなかったり、仕事が楽しくなくなったり、辛い思いをすることのほうが多いと考えています。
ミスはその業界で何十年も働いているベテランでさえしてしまうものです。
本人の意欲や成長を阻害してしまう関わり方は極力しないように心がけています。
立島 様:玉掛け資格など、金物取付工の仕事に関する資格を取得した際には報奨金を支給しています。
現場の評価は職能手当として差を付けます。
立島工業の仕事は基本オーダーメイドで、高度な技術を要します。
専門性の高い仕事だからこそ、社員の意欲的なスキルアップはしっかり評価していきたいです。
立島 様:当社では、社員の自己評価と取引先様からの評価をそれぞれ点数化しています。
そしてその点数に応じて昇給や昇格に反映しています。
評価項目は技術力だけでなく、社員や取引先様との関わり方などの仕事に対する姿勢も対象です。
ある程度、経験を積んだ社員には現場を任せるようになります。
そうなると一緒に行動することができないので、見えないところでの頑張りもしっかり評価に落とし込める制度を設計しています。
立島 様:はい。
当社の取締役でもある私の妻が社労士の資格を持っており、法令遵守を徹底しています。
8時から17時が就業時間で、残業については自己申告制です。残業代は残業した分だけ支給しています。また、プライベートや家族との時間を大事にしてほしいという想いから、残業時間は月平均で5時間程度に抑えるようにしています。
来年4月には建設業法の改正があるので、それに向けて現在は社内制度を改めて見直しています。
立島 様:立島工業では年に2回、社員全員で作業着屋さんに行って、工具や作業着など好きなものをプレゼントしています。
これは、日頃の感謝と仕事のモチベーションアップのために行っています。
道具のコンディションで社員の技術力を落としてしまうのはもったいないですよね。
社員が安心して現場で実力を発揮できるよう、一人ひとりにあった道具をプレゼントしています。
また、立島工業には個性豊かな社員が多く、選ぶ作業着や工具も様々で面白いんですよ。
その日は現場の仕事はせず、午前に会議を行い、午後から買い物をして、そのあとに飲み会をしたりと、賑やかに過ごしています。
仕事での頑張りを言葉で感謝することはもちろん大事です。
しかし、形として渡す方が嬉しいのではないかと私は考えたんです。
頑張りをお金で評価することもできますが、毎回そのように評価するわけにもいきません。
そのため、福利厚生として形に残るものを贈っています。
ときには、社員の欲しいものを聞いてプレゼントをすることもあります。これまでは時計やテーマパークのチケットなどを贈りました。
さらに、バレンタインにはチョコレート、節分には恵方巻、誕生日にはホールケーキやお寿司といったように季節のイベントに合わせて社員の家族の分も用意して、大切な人達と過ごしてもらっています。
佐藤 様:当社の取り組みは、他の会社ではなかなか見られないものだと思います。
仕事へのモチベーションになりますし、非常に嬉しい制度ですね。
また、誕生日のケーキなどのプレゼントは、自分はもちろん嬉しいですが、家族も喜んでくれるのでありがたいです。
立島 様:はい。
社員の一人が行きたいと言ったことがきっかけです。
色んな経験をし、想像力を養える会社にしたいとも考えていたので、いい機会だと思い決行しました。
ライブならではの高揚感を味わうことも学びになりますし、ライブを行う建物にも当社で扱っているような金物が使用されています。
ただ楽しむだけではなく、社員にとって実りのあるイベントだったのではないでしょうか。
立島工業に入社した理由を教えてください。
佐藤 様:立島工業を知ったきっかけは友人からの紹介です。
その友人が当社で働いており、仕事や社内環境の話を聞くうちに興味が湧き、選考に応募しました。
手に職をつけられる仕事というところに魅力を感じたのも、入社を決めた理由の1つです。
佐藤 様:不安は正直ありましたね。
私は建設業に対し、怖いイメージを持っていたので、続けていけるか心配でした。
しかし入社してそのイメージは一変しました。社長をはじめ、社員の人全員が気さくなので毎日楽しく働けています。
佐藤 様:施工が終わった後に自分が担当した部分を見たときにやりがいを感じます。
この仕事は自分で取り付けた金物がずっと残っていきます。どんなに難しく苦労する工事でも、完工して綺麗に仕上がっているところを見ると非常に達成感がありますし、誇らしいですね。
佐藤 様:毎日楽しく仕事ができるところが一番の魅力ですね。
この仕事は力仕事で大変なこともあるのですが、社長が笑わせてくれようと声をかけてくれたり、ごはんに誘ってくれたりして楽しませてくれるので、前向きに仕事に取り組むことができています。
ハードな仕事があるのは全員一緒なので、その中でいかに楽しくできるかを考えるようになりました。
正直、入社当時はこの仕事を続けられると考えていなかったんです。
現在は5年目になりますが、ここまで働けているのは、会社が楽しく働きやすい環境はもちろんですが、立島社長の人柄が魅力的だからだと考えています。
佐藤 様:これから新入社員が入社してくるにあたり、後輩を先導できる親方になりたいと考えています。そのためにもっと技術を磨き、現場を任される存在になりたいです。
立島 様:従業員の気持ちを知りたかったからです。
社員が何を考えていて、これからどのように行動していきたいのかを知ることで、この先一緒に働いていく上での心持ちが変わってくると考えています。
モチベーションが高い水準のまま働き続けられる環境を目指し、環境整備を行っています。
また、建設業界はブラックなイメージがあります。
実際私が一般社員として働いていたときの環境はいいものとは言えませんでした。
有休がなければ社会保険もない…そんな環境に不満がありました。
起業して会社を立ち上げる際、自分の社員にはそのような気持ちを抱かせたくないという思いも、働きやすい環境づくりに取り組んだ理由の1つです。
立島 様:ホワイト企業認定について知ったきっかけは、社内環境の改善のために協力してくださっている社労士や税理士の方とお会いしたことです。
渡された名刺にホワイト企業認定のエンブレムがデザインされていて、かっこいいと思ったんですよね(笑)。
認定を取得した理由は、建設業界のブラックなイメージを変えたいからです。
現在、まだまだブラックな業界イメージが浸透しています。
だからこそ、ホワイト企業認定を取得することで、他の企業にいい影響を与えられると考えました。他の企業に先駆けてクリーンな環境づくりに取り組み続けることが、業界にとってプラスになれば嬉しいです。
立島 様:課題点としては、社員の就業管理だと考えています。
現在は紙媒体で管理をしていますが、機械を導入して行おうとすると現場での残業や移動の時間の管理が難しくなってしまいます。
また、建築法の改正に伴い、新しく取り入れなければならない制度もあります。
例えば、2023年に義務化されたアルコールチェックです。
移動のための運転の前後に社員が酒気を帯びていないかを確認するもので、結果は1年間保管しておく必要があります。
建設業界全体が大きく変わる中で、個々の社員の動きの管理がより難しくなってきたと感じています。2024年の法改正までにしっかり体制を整えて、安心して働けるようにしたいですね。
また、女性や外国人雇用の強化も課題だと考えています。
特に外国人雇用に関しては、技術の定着までに就労ビザの期限が切れてしまう可能性もあるんです。
今ある課題を解決し、よりよい体制を整えられるように、現在社労士や税理士の方と何度も話し合いを行っています。
これから一緒に働く方にも、満足してもらえる環境を目指しています。
立島 様:お客様に認めてもらえる会社にすることが長期的な目標です。
それに伴い、会社の規模も大きくしたいですね。
そのために、社員の技術を向上させるような体制を整えていきたいと考えています。
ただ、体制を整えても、個々の成長スピードには差があるので、一人ひとりのスピードで成功体験を重ねていってほしいです。
また、お客様が当社の技術に触れられるカフェの開設を企画しています。
内外装に自社で制作した装飾金物を使用し、気軽に金物やその仕事について知ってもらえるようにしたいと考えています。また、このカフェには保育士が常駐する予定で、地域の子育て世代の方が子供たちと安心して過ごせるお店にしたいですね。
カフェの開設により、技術職以外の人材の採用も実施し、女性雇用の強化にもつなげたいです。
取材者のレビュー
AIも取って代わられることがない、高い専門性がある金物取付工事を行う立島工業。その現場は、社員と社長の距離が近く、働きやすい雰囲気を感じられます。インタビュー中も、自然と笑いが起きる場面が多かったです。
また、立島社長は物腰が柔らかく、非常にフランクな方。社員の方やそのご家族を誘って食事やカラオケ、BBQなど様々なイベントを開催されているそうです。「明るく・楽しく・元気よく」を一番体現していると言っても過言ではない社長のもとで、仕事もプライベートも楽しめる環境にジョインしてみませんか?
日本次世代企業普及機構金崎 綾香
小売業界でバイヤーとして、商品買付けや企画などの店舗管理業務に従事しつつ、販売メーカーの営業として法人営業にも携わってきました。2022年より株式会社ソビアに入社し、これまでの経験を活かし、ホワイト企業認定を取得された企業様の魅力をホワイトキャリアでたくさんの方に発信していきます。