学生企業訪問 株式会社トモエシステム
人事総務部 船曵 優花様
2019年トモエシステムに新卒入社。新卒採用のほか、社内教育や広報を担当。
株式会社トモエシステムで人事採用を担当している船曵様にインタビューさせていただきました。就職活動や入社当初のつまずき、今のお仕事内容や面接時のポイントまで広くお話しいただきました。
-岡 ちひろ(以下、岡):どんな学生時代をお過ごしでしたか?
船曵 優花(以下、船曵):中高一貫の学校に通い軽音楽部に所属していました。もともと生物や植物が好きだったこともあり、大学は関西学院大学の理工学部に進学しました。大学でも軽音楽サークルに入りながら、学科では生態学を専攻して実験付けの日々を送っていました。実験は例えば、社会性昆虫(蟻や蜂など)がどのようにして社会を形成していくかを観察し、同時に考察を繰り返すことをしました。
-岡:学生時代に注力したことはどんなことでしたか?
船曵:サークル活動で音楽に4年間打ち込んだことです。演奏技術向上のために練習はもちろん力を入れていましたが、演奏以外にもやらなければならない事が数多くありました。ライブを行う際には外部団体と連携したり、その資金調達のために協賛企業を募る交渉をしたり、意外といろいろやりました。
-岡:就職活動の際に業界や業種を絞っていましたか??
船曵:研究と軽音楽部、それぞれに注力した学生時代でした。就職活動の時期だから力を抜くという発想はなく、今まで通りの活動を維持しながら就職活動をしていこうと計画していました。そのために短期集中で就活を行い、ターゲットも当時興味のあった化粧品や医薬品関係を中心に数社へ絞ってインターンや選考に参加しました。
-岡:就職活動で苦労したことはどんなことでしたか?
船曵:自分の好きな物を軸に就活をスタートしたものの、会社説明会や面接では自分の想像とのギャップに直面しました。当時入社したかった企業が学生に求める人物像や価値観にあまり共感できず、選考に参加したものの納得いく活動ができていませんでした。そこで、他の業界にも視野を広げることにし、事業内容に限らず自分とマッチする会社を改めて探し始めました。
-岡:そこからどのようにしてトモエシステムと出会ったのですか?
船曵:条件の1つとして、実家から通える範囲で転勤の可能性が無い会社・職種を希望していました。とは言え、条件に合致する企業がすぐ見つかるはずもなく、どうしようかなと考えていた矢先、実家に「地元で働きませんか?」という説明会の案内DMが届きました。その差出人がトモエシステムであり、住所を確認すると実家から10分圏内で通える距離だったため、選考に参加しました。
-岡:トモエシステムへの入社の決め手を教えていただけますか?
舩曵:第一は社員の人柄です。面接で包み隠さずなんでもざっくばらんに答えてくれていましたので、内定をいただいた際には迷わず返事しました。また、面接では早い段階で経営層とお話しできましたので、経営層の柔軟な姿勢を直接見ることができたことも大きな要因でした。一般的な企業であれば経営層に会う機会はそうなく、直接話そうと思うとステップを多く踏む必要があるはずですので。
-岡:入社までに不安に思うことはありましたか?
船曵:当初は視野に入れていなかった業界ですので、そこへ自分が入っていいのかという葛藤はありました。ただ、内定者フォローの一環で入社までに毎月会社からお手紙をいただきました。そこには会社の近況報告や、今後のビジョンなど入社後のイメージがわく情報が記載されていて、内定から入社までの期間で不安を少しでも払拭しようとしてくれていました。手紙は実家に届いていたこともあり、私だけでなく親も毎月届く手紙を見て安心したようでした。
-岡:入社後のギャップはありましたか?
船曵:自分へのギャップで悩みました。新卒では事務職として入社したため部品の受発注や手配を担当していました。学生時代は研究室にこもって地道に研究を続けていたこともあり、コツコツ進める事務職は向いていると思っていたのですが、実際に業務につくと仕事をうまく進めていけず四苦八苦しました。イレギュラーな案件が偶発的に重なり、運が悪かったという見方もできるのですが、当時の私はそういう客観的な考え方もできず、ただただ思い悩みました。
-岡:どのように壁を乗り越えたのですか?
船曵:素直に人事部長に相談しました。「ちょっとお時間欲しいです」とお願いすると、すぐ時間を確保してくれ、思いの丈を打ち明けました。内心はどんな回答が返ってくるかハラハラしていましたが、人事部長から出てきた言葉は、「そこまで悩んでいるならうち(人事総務部)に異動してみるか?」という意外なものでした。スピード感と、対応の柔軟さに驚きましたね。少し考える時間をいただき、自分の可能性を探して新たなことにチャレンジしてみたいと思い、人事総務部へ異動させていただきました。
-吉田 萌叶(以下、吉田):トモエシステムの事業内容を教えていただけますか?
船曵:建設機械(ショベルカー、クレーン)の部品を取り扱う専門商社になります。建設機械の他にも工場設備や農業機械の部品も取り扱っており、国内外問わずビジネスを展開しています。建設機械の中でもショベルカーに使用されている部品のシェア率は高く、全世界で生産されるショベルカーの約半分に関わっており、国内メーカーではほぼ全てに納入しています。
-吉田 :トモエシステムに向いている学生はどんな方でしょうか?
船曵:国内外問わず、取引先は世界トップクラスの大手企業。顧客のニーズに応えるためには、世界中の仕入れ先から部品・技術を総動員して商品を作り上げる多角的な視野と、専門知識が必要とされます。入社前の時点で専門的な知識・能力は求めていませんが、広く物事を見たり考えたりできる人は魅力的ですね。また、「世界規模で大きな仕事をしたい」、「枠組み(会社、事業、国)を越えて仕事をしたい」という意欲がある方には働きがいのある職場だと思います。
-吉田 :船曵さんが思う会社の良さはどんなところですか?
船曵:社内の人間関係がフラットなところです。同僚や部署といった一部のコミュニティだけでなく、トモエシステムは会社全体を通じて上下間のコミュニケーションが活発なところが魅力の一つです。トラブルが起きた場合も、何かにチャレンジする場合も、スピーディーに情報が共有され、一丸となって対応する姿勢があります。経営層の指示を仰ぐだけでなく、一緒に考えて成し遂げようとするため、何かあっても会社が支援してくれるという信頼感もあり、社員も安心してチャレンジすることができています。
-照井 翔(以下、照井):船曵さんのお仕事を教えていただけますか?
船曵:新卒採用、広報、企業ブランディングの3つをメイン業務として担当しています。ただ、人事総務部は4名ということもあり、一人ひとりの業務内容が多岐にわたっています。例えば私ですと、他にも備品管理や保険の契約、教育研修なども担当になります。
-照井:やりがいはどういった時に感じますか?
船曵:新卒採用の担当としてお話しさせていただきますと、会社説明会で顔合わせした学生が面接に進み、最終的に内定入社した時の喜びは人事採用に携わる方なら鉄板だと思います。
また、入社せずとも選考を通して学生が変化・成長していく姿を見ることができる瞬間があります。「視野が広がりました」、「明日から実践してみます」と直接リアクションとして返ってくる場合もあれば、1次選考と2次選考とで顔つきや話し方が変わり、雰囲気として出る場合もあります。就職活動の中だけの出会いも多くあるなかで、限られたコミュニケーションを通じて人の変わる(成長する)瞬間に携われることはやりがいですね。
-照井:お仕事の難しさはどういった点でしょうか?
船曵:私も就活生も人間ですので、コミュニケーションの中で想いを伝えること、逆に相手の考えを汲み取ることの難しさは日々感じています。人によって伝わる言い方も、魅力を感じるポイントも異なりますので、その場での最適を考えて話すように努めていますが、話を聞く学生の顔を見ると、伝えたい事の半分も伝わっていないと感じる日もあります。想いを言語化すること、それを伝わるように話すことの難しさと向き合う日々です。
-照井:今後の目標を教えていただけますか?
船曵:最終的に会社を担える存在になりたいです。そのために人事総務部としていかに成果を出し、会社に貢献していくかが私の直近の目標となっています。今は半期に一度、上司との面談を通じて目標設定と現状の課題を洗い出し、定期的に現状確認を実施しています。
-中川 真由(以下、中川):企業選びのポイントやアドバイスを教えていただけますか?
船曵:人事採用をしていると就活生の傾向として、残業時間や有給休暇の取得日数といった「働き方」を第一としている方が多い印象があります。もちろん働き方は大事ですが、重きを置くべきは「どんな社会人になりたいか」という目標設定だと私は考えています。自分なりの目標を掲げ、達成するための環境を逆算していくと、自分に合った企業が見えてくると思います。例えば、「どんどん出世して部長として会社を牽引したい」という目標であれば、「昇進する機会が平等にある会社なのか」、また女性であれば「女性が活躍できる環境か(女性管理職がいるか)」、「産休・育休後の復職率が高いか」など、見るべきポイントは多々あります。そうした条件を満たした中で、プラスアルファとして働き方を見ることをおススメします。
-中川:船曵さんが考える良い会社とはどんな会社でしょうか?
船曵:何事もやっていて楽しいと思える会社であることが大事だと思います。説明会やインターン、内定者研修などで仕事内容を知る・体験する機会は多くあります。しかし、入社して業務につくまで仕事の本質はわかりません。先ほどお話しした私の経験談のように、働き始めてから適性に気づくことは珍しくありません。仮に合わないと感じた場合でも、やりがいを持って取り組める業務内容になっていることは大切です。また、社員が合わないとSOSを発した際に救済措置を用意している会社は良い会社と言えると思います。
-中川:もし転職や、もう一度就職活動をされるならどんな会社を選びますか?
船曵:トモエシステムの類似企業であれば転職の必要がないため、今とはまったく異なる業界・環境へ身を置くと思います。例えば、アパレル業界や、外資の超大手企業など、ビジネスモデルから考え方までまるっきり違う会社に入り、そこで自分がどのように考え、どのような人生設計をするのかを楽しみたいですね。
-中川:採用選考で重視しているポイントはありますか?
船曵:マニュアル通りでなく、自分の言葉で話すことができているかを見ています。面接前にエントリーシートを見ると、「アルバイトで挨拶を頑張りました」、「ボランティアで社会貢献しました」といったテンプレ回答を目にすることがあります。そうした方は得てして対面時に自分の言葉で話すことを苦手としていることが多い印象です。私たちは行動結果をそこまで重視しておらず、経験したことに対してどのように考えたか、どう動いたか、もしくはどう動こうと思ったかをいかに論理的かつ自分の言葉で話しているかを見ています。極端に言うと、過去のエピソードが特段なくとも、今後どうなりたいかというビジョンを自分なりに話せる方には目を惹かれますね。
-中川:会社に合うと感じる人はどんな方ですか?
船曵:新卒採用のメインは総合職と一般職になります。どちらに採用されるにしても、相手が内部か外部かというだけでコミュニケーションそのものは切り離せません。喋ることを得意とされる方や、フットワークが軽い方が活躍しやすい環境だと思います。
ただ、様々な個性を集めようとしていますので、コミュニケーション能力が高くて話が上手な人も、話し下手でも特定の分野を得意としている人も、互いの得手不得手を尊重し合いながら助け合える企業でありたいと考えています。
-吉田:求める人物像はありますか?
船曵:説明会や選考でもよく質問をいただきます。トモエシステムとしての回答は「特にありません」としています。先ほどお話しした個性の話のように、様々な方がいてこそ会社は成長すると考えています。同時に「あなたが何をしたいかが大事です」ともお伝えしています。
-吉田:実際に活躍されている人はどんな方ですか?
船曵:スピード感を持って対応している方です。商社のため仕入先や卸先など、複数の企業が関わっていますので、いかに流れを止めずに対応できるかが求められます。スピード感のある方は、適切な判断を素早くできるとも言えます。自分ひとりで対応できないとわかった段階で、即座に周囲にヘルプを出すことも能力の一つです。仕事は複数の人が関わり合っていますので、すべてを一人でこなすのは土台無理な話です。
また、その上をいく人はコミュニケーションの取り方が絶妙です。相談内容(簡潔にまとまっているか)やタイミング(遅すぎず早すぎないか)良くコミュニケーションを取ることができている方が活躍していますし、周囲からの信頼も厚いですね。
-吉田:最近優秀だなと感じた若手社員はいますか?
船曵:成長に貪欲な姿を見ると凄く頼もしくもあり、その後の成長が楽しみでもあります。トモエシステムでは研修の中で積極的に吸収しようとしていたり、わからないことがあれば直接聞いたり、時には勉強会を自分たちで開催したりと、積極的な若手が多くいます。
-吉田:私も理工学部のためお聞きしたいのですが、船曵さんが就職活動をされていた際に理工学部から一般職志望ということで面接時に疑問を持たれたことはありましたか?
船曵:もちろんありました。ただマイナスなイメージというよりは、「理工学部から一般職応募するなんて面白いですね。詳しく理由を聞かせていただけますか?」といった具合に興味を持っていただくことが多かったですね。特にトモエシステムは商社ですし、取り扱っている商材も建設部品ということもあって、選考を受ける方の多くが文系でしたので異質ではあったようです。そのため事前に自分の研究テーマと、研究内容を一般の方が聞いても理解できるように専門用語を避けて話せるように練習していましたし、その研究とリンクさせて自分が会社の中でどういった仕事をしていきたいかを筋道立てて論理的に伝えるように心がけました。ついでに研究を通じて学校生活が充実しているというアピールも差し込むと、より印象が良いと思いますよ。
-吉田:最後に、船曵さんにとって「働く」ってどういうことですか?
船曵:「自分を表現する場」です。
私は新卒採用や広報担当として、会社についてお話をさせていただく立場にいます。トモエシステムの情報を私がどう伝えるか、表現するかが私の仕事です。そこで私にしかできない表現はないかを日々模索しながら働いており、悩みとなっていると同時にモチベーションにもなっています。どう表現するかを試行錯誤しながら取り組むことで、ゆくゆくは私にしかできない仕事がつくられていくはずです。そしてトモエシステムの中で唯一無二の存在として会社に貢献していきたいと思います。
岡 ちひろ
会社に入ることがゴールではなく、入ってからどうしたいかが重要というお話がとても印象的でした。
就職活動最前線にいる身としては、どうしても「就職すること」が第一目標になっていましたので、今回のお話は目から鱗でした。ありがとうございました!
吉田 萌叶
採用選考の中で、個性がバラバラの人を取るので、「これがあるから絶対内定する」といったことはないというお話を聞き、いろんなタイプに対して受け皿があり、チャンスは一様に広がっているのだと思いました。
また、 船曵さんの「働くことは、自分を表現する場」という言葉を聞き、仕事に対してとても前向きな考えをお持ちで、心に残りました。
照井 翔
採用選考では、「マニュアル通りでなく、自分の言葉で話すことができているか」という話があり、ホッとしました。私は正直話すことが苦手で、特に選考という緊張感を伴う場となると尚更で、面接の練習をするたびに凹んでいましたので。
トモエシステム様では上手さではなく、想いを伝えることができているかと仰っていましたので、まずは「伝えること」からはじめていこうと思います。
中川 真由
船曵さんは人事総務部とのことでしたが、担当業務をお聞きすると採用だけでなく、広報や企業ブランディングも担当されていて、その業務の幅広さに驚きました。一つの業務に特化するのではなく、幅広く携わっており、刺激になりました。