【第7回ホワイト企業アワード特集】アイレットの中核にを担う新たなプロフェッショナルを育成するために

2022.03.22

アイレット株式会社 コーポレート統括本部 人財戦略セクション 採用グループ 南 瞬介

<ご担当者様>
2018年9月に入社。入社後は、採用グループにて新卒採用および中途採用業務に従事。
学生向けに開催している「IT業界勉強会」や「AWSセミナー」などのイベントにも登壇。

アイレット株式会社 コーポレート統括本部 人財戦略セクション 人事企画グループ 桑原 里奈

<ご担当者様>
2017年10月に入社。入社後は、採用グループにて新卒採用業務に従事。2018年10月から人事企画グループが新設され、新卒研修や育成担当として従事。

ホワイト財団 佐野 毅

<インタビューアー>
広告・印刷業界に就職して約8年間、企画提案をするプレイングマネージャーとして従事。2021年5月よりホワイト財団にジョイン。前職の経験を活かして企業のブランディングをアシストし、「家族に入社を勧めたい企業」の普及を目指し邁進中。

2021年11月25日に第7回ホワイト企業アワード*が開催されました。

その中で学生部門にて受賞をされたアイレット株式会社様の取り組み概要や、制度の導入にいたった背景など詳細をご紹介します。

 

ホワイト企業アワード*:ホワイト財団が主催する世の中に共有すべき制度や取り組みについて表彰・発信を行う、働き方改革の参考事例が日本で最も集まるホワイト企業イベントです。概要はコチラで紹介しています。

 

【受賞理由】

新卒新入社員オンボーディング・新卒3ヵ年育成指針をはじめ、新卒社員向けのサポートを手厚く行なっている点を評価させていただきました。そして、画期的な人材育成の結果、新卒3年退職率3.9%*という成果を出している点をあわせて評価させていただきました。 また「人事なんでも相談窓口」を設置し、社員一人ひとりに寄り添う仕組みを積極的に取り入れており、学生にとってまさに理想的な人材育成を行なっていると考えました。

 

 

3.9% *:新卒3年離職率は、就職後3年以内に退職した新卒社員の割合を示します。アイレットの3.9%は2021年4月時点の数字です。

導入背景

佐野 毅(以下、佐野):新卒採用に注力しはじめた背景を教えていただけますか?

 

南 瞬介(以下、南):新卒採用に本格的に注力しはじめたのは2018年からです。

それ以前は中途採用をメインに毎年70人ほどを採用していました。

 

そんな中、若手社員を育成できる地盤が徐々に整い始めたことや、「アイレットでもっと活躍していってほしい」という次世代社員への期待値が上がり始めてきたこと、また「もっと多くの人材を採用したい」という役員の想いなどが重なり、新卒採用へ注力するにいたりました。

 

単に採用するのではなく、入社後に個々人が活躍できるよう、採用とともに研修や入社後のフォローといった新卒の育成計画の作成を同時に進めていきました。

 

概要

佐野:実際の制度について詳しく教えていただけますか?

 

桑原 里奈(以下、桑原):6つの取り組みを主に実施しています。

1)入社時研修

新卒採用に伴い最初に取り組んだのは、入社時の「集合研修」です。

入社日から2か月ほどで組織理解や技術研修、ビジネス研修といった総合的な基礎を学ぶ研修を導入しています。

 

研修内容は、実際の仕事と乖離がないようにアイレットに必要な知識やスキルを社内でヒアリングし、人事だけの机上の空論にならないよう現場の意見をもらいながら毎年アップデートしています。

 

技術研修・ビジネス研修は外部委託していますが、アイレットがメイン事業で扱っているAWSについての研修は内製化しています。

 

AWS研修は「新卒2年目となる先輩社員が講師として登壇し、その年の新卒社員に研修をする」という伝統があります。

これは、受講した社員と講師を担当した社員の双方から毎年良い評価をもらっており、インプットとアウトプットの場として刺激になっています。

研修を受けた社員の中から「来年は自分が講師として登壇したい」など嬉しい声が毎年でてきます。

 

2)定期面談

また、入社時の研修を受けて終わりではなく、1~3年目の新卒社員を対象に年間計画を立てて定期面談を実施しています。

1年目は年間8~9回ほど実施しており、現在のトレーニング・業務内容、チーム間のコミュニケーション、困ったことや不安ごとがないかなどをヒアリングし、早期にSOSを拾える仕組み作りを進めています。

 

相談内容に対して、社員一人ひとりのカラーを加味しながら助言をしたり、対応方法等を人事内で調整し必要であれば現場社員と連携したりするなど、柔軟に対応するように心掛けています。

 

また、定期面談に加え、個別の相談も随時実施していますので、より近い距離で相談に応えることができるよう意識しています。

3)人事と現場の連携

新卒社員の配属前には職場に早く馴染めるよう、現場社員に向けて「配属前説明会」を行なっています。

そこでは「入社時研修の内容」「今年の新卒社員の傾向」「OJT教育の社内好事例」などを共有し、新卒社員の受け入れにあたり事前に教育体制作りやOJTトレーニングの準備をしていただいています。

 

4)育成シート

新卒1年目の社員には「育成シート」を作成してもらいます。

これは新卒1年目社員の毎月のモチベーションをグラフ化したものや、勉強したこと、携わった業務に関して記入したものなどを記載するシートです。

毎月配属先のOJT担当に提出することに加え、OJT担当から人事へ月に1回フィードバックの時間を設けています。

育成シート導入後は「新卒社員との認識のずれを早く拾えるようになった」という声が出るようになりました。

 

1年目の終わりに年次研修を実施しているのですが、その中で振り返りを兼ねて育成シートを使用しています。

その際に同期の仲間がどんな仕事をしてきたのか、どういった学びを得てきたかを知る機会とし、新たな刺激の場として活用しています。

 

育成シートの導入にあたり、新卒社員と現場社員へ事前に説明し、理解を促していったことで、運用・管理を比較的スムーズに浸透させることができたように思います。

まだまだ運用面の課題はありますが、随時アップデートをしながら社員の成長の糧となるようベストを模索していきます。

 

5)3ヵ年育成指針

経営層の「こんな人材になってほしい」という意見をベースに、人事の意見を追加した育成指針を会社共通で策定しています。

どの現場においても、この3ヵ年育成指針をもとに育成を進めています。

役員から直接、新卒社員へ向けて方針の発表をする機会も設けており、「毎年このような機会があると嬉しい」といった声が届くなど、社員からも好評です。

6)事業部別の育成指針

会社全体の3ヵ年育成指針に加え、各事業部のカラーを加えたものを現在策定中です。

策定後は説明会を実施し、各社員に共有し、会社全体で育成していく姿勢を広げていく活動を行なう予定です。

 

 

佐野:上記の様々な取り組みを実施するにあたり苦労したことはありますか?

 

桑原:コロナ禍以降に入社した新卒社員は、入社時からオンラインが主になっています。

そのため、従来と比べて社員同士の関わりが希薄になってしまったり、帰属意識の醸成が難しい場面もあったりしました。

 

”育成”を会社の風土としてより高めたい経営層や人事としての強い想いがある一方で、育成に注力しすぎて、現場社員の業務を圧迫しないよう、現場社員の負担と、新卒社員のケアを天秤にかけてバランスを取ることの難しさを日々感じています。

難しさと上手く折り合いをつけながら、それぞれの社員の傾向や、教育の仕方を加味した体制作りに注力しています。

成果・効果

佐野:施策の成果はいかがでしたでしょうか?

 

南:育成シート、3ヵ年育成指針は導入から間もないため結果は収集中ではあるものの、育成指針を全社的に示したことで、「マネジメントをやりたい」「技術職として専門性を高めたい」といった、それぞれが望んだキャリアを目指せるということが浸透し、実際に組織サーベイの実施結果で満足度が上がっています。

 

採用という点においては、アイレットでは選考時に「入社後に何をしたいか」「どうなりたいか」について話をします。

本人のビジョンをアイレットで実現できるかを共有した上で採用しているので、それが新卒社員の退職率3.9%という結果に繋がっているのかもしれせません。

 

また、以前は内定から入社に至るまでの期間、内定者は採用チームのみと関わっていたのですが、採用チーム以外の社員と繋がりをもってもらうことを目的に、今年度からは人事の研修チームも一緒に参加しています。

入社前から多くの社員と交流を深めることで安心感にも繋がっているのではないかと考えています。

もちろん希望があれば現場社員との面談も可能ですし、懇親会などの交流の場も随所で設けています。

 

今後の目標

佐野:最後に、今後の目標を教えていただけますか?

 

桑原:アイレットの中核を担う人材を育てることが今後の目標です。

そのために今のアイレットに何が必要かを考え、随時ブラッシュアップしていくことが必要だと考えています。

 

中でもキャリアサポートにさらに注力していきたいと考えています。

何事も最終決定は自分自身に委ねられます。

学校とは違いキャリアは誰かが教えてくれるものでも、正解があるものでもありません。

会社から選択肢や可能性を提示しますが、自分自身でベストを考え、選択する必要があります。

そのために、キャリアについて主体的に考えられるようになってほしいという想いがあります。

社員一人ひとりが「どのようにして自分の価値を高めていけるか」を考えることができる環境を作っていくことが最大のミッションになっていくのではないでしょうか。

 

社内にキャリアコンサルタント資格の保有者もいますので、現在専門性を持った担当者によるキャリア面談等を企画しています。

 

 

 

 

社員の定着という点では、今の退職率(10%以下)を今後もキープしていくことに加え、数字だけに囚われずにエンゲージメントの向上を目指していきたいと考えています。

 

経営層からは「新卒から管理職を出していけるように」という声が出ていますので、育成指針の浸透後には、将来の管理職を担っていく人材を育成するための新たな取り組みを進めていきたいと思います。

 

社員の成長という観点では「チームビルディング」を計画中です。

普段話す機会が少ない社員同士で、1年間のモチベーショングラフを共有し、チームとしてどんな方向性でやっていきたいのかを考え話すことで、チームを育成し、会社として成長にも繋がっていくと考えています。

 

新卒社員はもちろん、中途入社の社員にもメンター制度を設けていたり、全社員向けに「人事なんでも相談窓口」を設置したりするなど、社員のフォロー体制は整っています。

社員の機微を敏感に察知し、早期アプローチを実施して社内の不安を取り除けるよう、今後も継続的にフォロー体制の強化に努めていきたいです。

 

また、一人ひとりが自己実現に向けて集中できるよう、人事として今後も陰ながらサポートしていきたいと考えています。

 

株式会社アイレット

 

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