【インタビューを受けた人】
社会福祉法人かるべの郷福祉会 藤森 博様
【インタビュアー】
ホワイト財団
施設長 藤森 博様
大学に進学し、地元の地方銀行1社のみ選就を受け、そこへ新卒で入社しました。
大学を出て地元で就職できる企業となると、当時は地方銀行が主な就職先でした。
31歳の時に、地方銀行から南但老人ホーム一部事務組合(今のかるべの郷)に転職しました。
当時、私が働いていた地方銀行は上場しておらず将来性をあまり期待できないことや、会社の考え方が自分に合わないと感じ始めたことが重なり、転職を考えはじめていました。
そんな中、お客様として担当していた南但老人ホーム一部事務組合の方にポロッと転職を考えている旨を話す機会がありました。
話すつもりはありませんでしたが、当時の南但老人ホーム一部事務組合は公務員だったこともあり、その羨ましく思う気持ちからついつい本音が出てしまったのだと思います。
何年かして「職員を募集するが採用試験を受けてみないか?」というお話をいただき、即決しました。
はい。福祉業界と金融業界は畑違いに思われるかもしれませんが、どちらも同じお客様商売です。
『いかにお客様を大事にするか』という点は同じですから、今でも行員時代の営業ノウハウは活かされています。
入社当初の南但老人ホーム一部事務組合は改善すべきポイントが散見していました。
当時は今ほど介護施設が多くないため待っているだけでお客様がきてくれる環境でした。
社員の中には「介護してあげている」「看てあげている」という風潮が蔓延していました。
驚いたのは、入社1週間が経った頃、利用者様と面会を終えたご家族に対して、職員が「ご苦労様です」と言っているのを目撃しました。
思わず「お客様には“ご苦労様”でなく、“ありがとうございました”です!」と注意しました。
他にも、お昼休憩は職員全員が同じ時間帯にとり、その間は一切電話を取っていませんでした。
私は即座に休憩を交代制に切り替えました。
職員の中には「なぜ新人ごときに…」と不平の声も聞こえましたが、新人だろうとベテランだろうと悪いものは悪いと言わなければなりません。
入社当初は、様々なところにメスを入れ続けていましたね。
一番は入社当初に赤字だった経営を、一年で黒字にしたことです。
奇抜なことをしたわけではなく、「利用者を増やし、無駄な支出を減らす」という基本のやり方ですが、影響は大きかったです。
公立だった南但老人ホーム一部事務組合が民営化して「かるべの郷福祉会」になった時です。
民営化後1年間は四六時中が仕事漬けでしたので、精神的にしんどいかったですね。
しかし、ふと考えた時に仕事そのものは好きだったことを思い出し、見方を変えると仕事漬けの日々は、「好きなこと(仕事)に熱中させてもらえる幸せな環境といえるのでは」と気づきました。
今では考えられないでしょうが、ある意味で時代の良さだったと思います。
“業界で最後まで生き残ること”です。
今後福祉業界では人手不足等で事業がうまくまわらない企業が出てくることが予想されます。
その中で最後まで生き残ることが目標です。
一言でまとめますと、高齢者や障害者への社会福祉事業を展開しています。
良い意味で、良い加減な会社です。
私自身、“こうあるべき”という考え方がありませんので、何でもありな「良い」加減な会社です。
人柄の良い職員が多いところだと思っています。
採用の段階から性格重視で行っていますので、かるべの郷には人間性の良い職員が揃っていると思っています。
相手のことをおもんぱかることができる方ばかりですので、自然と互いを尊重する空気があります。
また、建物が綺麗なところも強みです。
定期的に改装したり、日ごろの掃除を徹底していることもあり、よく利用者様やそのご家族に「綺麗でいいね」と喜んでいただけます。実は建物そのものは築30年以上経ちますが、「そんなに年数が経過していると思えない」と驚かれますね。
もちろん職員たちにとっても、綺麗な職場環境になっていますので、気持ちよく働いてもらえていると思います。
主に以下の職種があります。どの部署も内容はほぼ同じです。
<職種一覧>
施設長 | 施設全体の管理 |
---|---|
生活相談員 | 利用者様と利用者様のご家族の相談窓口 |
看護職員(看護士) | 利用者様の看護分野を担当 |
介護職員 | 利用者様の介護分野を担当 |
役職は以下の通りで、法人内で共通です。
役職と職種は兼務になっています。
(例:生活相談員かつ部長、介護職員かつ主任 など)
<役職及び役割>
施設長 | 法人全体の管理 |
---|---|
部長 | 高齢者分野*のトータルマネジメント |
課長 | 職員管理(人事労務) |
主任 | 業務管理 |
高齢者分野*:さざんか、あじさい、デイサービス、グループホーム、ショートステイ
最初の1年は、社内研修などを通して介護技術の基礎を身につけてもらいます。
2年目以降は、明確に決まっているわけではなくそれぞれの希望に応じています。
自己啓発セミナーやリーダー養成研修などの外部研修も用意していますが、すべて自己申告制で希望者に行ってもらう方針です。
人によってキャリアプランは違いますので、自己実現するにあたって必要なことは何かを各自に委ねています。
そのうえで必要なスキルや知識を補うためのサポートをさせていただきます。
介護職員の採用に力を入れています。
現状は人数が不足しているわけではなく、余剰人員の確保も含め注力しています。
少子高齢化が今後一層進む中、減少していく労働人口からいかに採用していくかが課題になりますので、将来を見据えて人員確保に注力しています。
とにかく性格重視です。
初歩的な部分ですが、挨拶の有無や礼儀、話し方、言葉遣いなどを中心に見ています。特に他社に比べると言葉遣いには厳しいと思います。
利用者あっての介護ですので、絶対に感謝の気持ちを忘れてはなりません。
そうした気持ちは言葉遣いや挨拶にあらわれます。
“やらされている”ではなく、主体的に働いてほしいと思っています。
受け身になるとすべて一歩遅れます。この一歩の差が積み重なったとき、1年後、5年後に大きな差となって見えてきます。
かるべの郷で活躍する職員、成長していく職員の多くは主体的に動いています。
一人ひとりに「考える力」を身につけてほしいと思っています。
職員には物事を論理的に捉え考えてほしいのですが、感覚でやる人が多いので誤った判断になりがちです。
極端な例ですが、砂漠で喉が渇いた場面で少し遠くにホームセンターと泉があるとします。
そして、「ホームセンターでバケツを買って水を汲んできてください」と指示したとします。ここでホームセンターにバケツがなかった場合、多くの人が「バケツがありませんでした」と戻ってきます。
しかし、ここでの“目的”は「水を汲むこと」で、バケツはあくまでも“手段”です。
バケツがなければ代わりの道具で水を汲めば問題解決です。
目的を考えず、“手段”が“目的”になってしまう人が非常に多いです。
職員には、一つ一つの仕事に対して“この仕事は何のためにやっているのか” を考える癖をつけてほしいと考えています。ですので、研修や会議の場ではいつも「目的を明確にして、惰性でやらず考えて行動してください」と伝えるようにしています。
私にとって、仕事は「趣味」です。
働くことは当たり前で生活の一部になっています。
自分がやりたくてやっているので、いくらやっても苦になりませんね。
ホワイト財団事務局
私たちは「家族に入社を勧めたい 次世代に残していきたい企業」を発見し、「ホワイト企業」として認定しています。 ホワイト企業認定を取得している企業で、個性を活かし、楽しく、創造的に働く人々にインタビューをして、次世代に残すべき素晴らしい企業の社内制度の発信をしています。 ホワイト企業認定は、明日が楽しみに思える社会の実現を目指しています。