従業員の幸せと地域の活性化をテーマに「自由なモノづくり」ができる会社

2022.09.01
社員インタビュー

【インタビューを受けた人】
取材者1  安田 勝則様
取材者2  橋本 恵美子様

【インタビュアー】
ホワイト財団  岩元 翔

取材者1

株式会社関西機器製作所 代表取締役  安田 勝則様

家業である関西機器製作所を継ぐ前に外の会社を経験するため、新卒で機械商社に入社。その後26歳のときに父の要請で関西機器製作所に入社。当時、経営難に陥っていた会社を立ち直らせるため、営業や製造など自分にできることは何でも行い、工場長に就任したのち43歳で代表に就任。現在に至る。
取材者2

株式会社関西機器製作所  橋本 恵美子様

印刷会社に新卒入社し、総務経理を担当。そこで制作部の仕事に興味が湧き、結婚・出産後、パソコン教室で働きながらデザインの技術を身につける。関西機器製作所には4年前にパートとして入社。HPやカタログといった制作物はもちろんのこと、Web集客に力を入れ、現在コーポレートサイトは入社前と比べ3倍以上のアクセスを獲得。全国各地から新規の問い合わせをいただくなど、営業がいない当社の重要な役割を担っている。

関西機器製作所のポイント

・社員とその周りの人の幸せと、地域への貢献
・労働環境の整備と「自由な発想」でモノづくりができる環境
・ホワイト企業として地域のアイコンとなり、地域の活性化に貢献する

会社紹介をお願いします

関西機器製作所は試験機メーカーです。

 

建築関係の試験機を主に製作していましたが、近年では自動車や電線、ばねなど幅広い対象物を評価する試験機を手がけています。

 

強みは設計、製造、加工と自社で一貫生産できる体制を確立していること、そしてきめ細かなニーズを叶えるオーダーメイドの製品開発を行う技術力を保有していることです。

 

関西機器製作所の魅力

—転職して来られた方が、貴社を選んだ「入社理由」について教えてください。

 

安田 

当社では10年ほど前から中途採用活動を行っており、コンスタントに新入社員を増やしています。大手メーカーに勤務していた方、文系学部卒だけど技術を磨いてきた方。バックグラウンドはそれぞれ違いますが、共通してものづくりが好きな方が入社してくれています。

 

当社への転職理由としては、「条件や労働条件に魅力を感じた」という声をよく聞きます。現職よりも残業時間を減らしたい、ワークライフバランスを整えたい、収入を増やしたい。そういう想いを持っている転職者が多いですね。

 

それに加えて『自由な発想で仕事ができる』環境に惹かれて入社してくる方も多いと感じています。

 

 

—『自由な発想で仕事ができる』とはどういう意味でしょうか?

 

橋本

例にあげますと、私はパートでありながらWeb広告や制作案件の予算を任されています。

 

サイトの改修、広告出稿、マーケティングなど、何に予算をかけるかは基本的に私が決めています。

これは私だけなく、設計者が「こんな機器をつくりたい」と言えば、否定することはありませんし、工場から「こんな工具を買いたい」という意見があがってきたら、購入してくれます。

 

もちろん、ただ単に言うだけでなく、その機器をつくる目的やその工具を買いたい理由を社長から説明を求められますが、頭ごなしに却下されることはありません。だからこそ、成果に対してコミットする責任は伴いますけどね(笑)。

 

 

—社長の考える「自由」とはどういうことでしょうか?

 

安田

私は『自由=プレッシャーの中にある』と考えています。

自由を獲得することは実は大変なことですが、その分主体性や成果に対して考える力がはぐくまれるのです。

 

これはビジネスモデルにも関係するのですが、当社は試験機を設計から加工まで一貫生産体制を構築していることが強みです。試験機をワンストップで製作できる企業は非常に珍しく、優位性につながっています。

 

もう1つの強みはオーダーメイドの試験機を製作できることです。そしてオーダーの半数近くは、お客様から発想を求められます。

 

一般的に試験機を製作する際、JIS規格がある製品であれば試験方法が決まっているため、規格に即した試験機を提供すれば問題ありません。

 

たとえば椅子の場合、どんな耐久試験をすれば良いかお客様も分かっています。

しかし、ニッチな製品や初めてつくる製品の場合に「どんな試験をすれば信頼性を確認できるのか分からない」という相談を受けます。

 

そんなときは当社から提案をします。「こういう試験を繰り返し行って問題がなければ、最終ユーザーも安心できると思います」と言ったように。

 

つまり自由な発想は当社の付加価値なのです。

 

その一方でお客様の期待に応えられない場合、自由な発想は強みになりません。

だからこそ自由とはプレッシャーでもあり、社員にもそのマインドを持って働いてもらうような組織づくりを行っています。

 

 

ホワイト企業となるために

—ワークライフバランスを強化されているとお伺いしましたが、具体例な取り組みについて教えてください。

 

安田

具体的には、まず残業時間を0に等しい時間まで削減することができました。そのほか年間休日数を97日から104日まで増やすことに成功し、有給休暇は各自最低50%を消化するように促しています。

 

橋本

フレックスタイムの導入やプレミアムフライデーなど、仕事とプライベートの両立を図れる環境づくりに取り組んでいます。また今年に入り男性社員からも育休取得者が出ました。

 

 

—近年、特に注力されている労働時間の短縮についても教えてください。

 

安田

かつて当社は世間と同じように8時間労働でした。

 

しかし残業時間の削減や休日数を増やしていく中で、ワークライフバランスはもちろんのこと、利益率も向上するようになってきたんです。

 

これは残業代の圧縮ほか、社員が効率良く仕事を進めるという意識が芽生えてきたからだと考えています。そこで3年前から勤務時間を7時間45分にして、昨年からは7時間30分にしています。

 

 

—ホワイト企業化を目指した理由についてお伺いしてもよろしいでしょうか。

 

安田

ホワイト企業化を目指した理由は組織を拡大です。

 

当社がターゲットとしている30~40代の人材を確保することが年々難しくなってきたのです。かつては専門性の高い製品開発に従事できる点に魅力を感じて入社してきてくれていたのですが、それだけでは集まらなくなってきました。そこで10年ほど前から仕事の魅力に加え、働きやすい環境にも力を注ぐようになりました。

 

また私自身も長時間労働で身体を壊したことも転機の1つです。事業が成長しても、心身のバランスが崩れては元も子もありません。

 

仕事にも打ち込めて、プライベートも有意義な時間を過ごせる。従業員の公私が充実することで、従業員自身はもちろんのこと、そのご家族、そしてお客様にも幸せになっていただけると思ったことが、ホワイト企業化を目指したもう1つの理由です。

 

ホワイト企業であることの魅力

—ホワイト企業になり、どのようなメリットが生まれましたでしょうか?

 

橋本

まず先ほども申し上げました利益率が向上したことです。

 

残業が減り、休日数が増えたことで、従業員に限られた時間で成果を残すという意識が強くなり、生産効率が上がったことが要因だと考えています。

 

安田

そうですね。これは当社の自由な社風にもつながるのですが、休みを増やすために何をすべきかを一人ひとりが考えて行動に移してくれている結果です。

 

私個人の印象としてはホワイト企業化が進むにつれ、従業員の主体性や成果を出すことにこだわる姿勢が育まれてきていると思います。

 

 

—周囲からの評価も変わったとお伺いしましたが?

 

安田

第三者機関からの評価を得たのは、従業員のご家族様や取引先様に「関西機器製作所=良い会社」と認知していただきたいと思ったことがきっかけです。

 

また、10年近く取り組んできた働きやすい環境づくりを外部機関にしっかりと評価していただくことで自信にもつながります。

 

ホワイト企業認定取得したことで、もっとも反響があったのは金融機関と税理士の方です。「この規模で取得できるのは凄い!」と言っていただいています。

 

関西機器製作所が、これから一緒に働きたい人

—関西機器製作所で活躍できるのはどんな方でしょうか?

安田

自由な発想で仕事がしたい方、ものづくりが好きな方です。

 

片方ではなくどちらも備わっている方が活躍できると考えています。当社はオーダーメイドの製品開発を強みとする以上、前例のない案件が回ってくることも少なくありません。どうすればお客様のニーズに応えられるか。最適解を導き出すためには柔軟な発想とものづくりが好きという気持ちは必要不可欠だと考えています。

 

 

—どのような方と一緒に働きたいですか?

 

安田

しっかりと挨拶ができる方です。

 

組織が大きくなっていくと、どうしても人間関係に問題が生じてきてしまいます。それは仕方がありません。

 

しかし、朝の挨拶、そして帰りの挨拶でリセットできると私は思っています。「おはようございます」「お疲れ様でした。今日もありがとうございました」この2つの挨拶を大切にしてもらいたいですね。

 

今後の目標について教えてください。

 

安田

今後の目標は大きく2つあります。

 

1つは勤務時間を7時間にすることです。

 

現在の7時間30分労働からあと30分減らしたいと考えています。そのためにはさらに生産性を上げること、従業員が当事者意識を持つことが重要です。

 

20名ほどの会社であれば、私の意向を組織に反映することができますが、30名近くの組織となった今、トップダウンが徐々に難しくなってきています。

 

しかし、これは良い流れだと思っています。なぜなら私は会社は社員の幸せのためにあると考えているからです。幸せを掴むために各自が考え、行動する。それを維持するのが経営者の役目です。

 

プライベートの時間をもっと確保するために、何をすべきかを従業員が考える。その背中を押してあげたいと考えています。

 

もう1つは地域のアイコンになることです。

 

従業員、ご家族、取引先、そして地域の方々にも「関西機器製作所は良い会社」と思われる存在になりたいです。

 

具体的な施策としては周辺企業に先駆けてAEDを設置しました。こういった取り組みを積極的に行っていき、地域に貢献し、地域に還元していくことが目標です。

 

 

 

取材者のレビュー

 

試験機というニッチな業界で存在感を放つ同社。電気・ソフト・ハードという各分野の設計職が在籍していることで、設計から加工まで一貫生産ができる点を強みとしているほか、お客様の要望に対してオーダーメイドのものづくりも対応しています。独自のビジネスモデルを確立しているのは、自由な社風が根付いているからです。

そしてこの社風をブラッシュアップさせたのが現代表の安田社長です。従業員が自ら考える意識を醸成し、現場が率先して生産効率や働きやすい環境に向けて取り組んでいます。取材中「会社は従業員の幸せのためにある」という言葉が印象的でしたが、まさしく一人ひとりの従業員が主役となり、各々の役割をまっとうしている会社だと思いました。

 

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  • 取材者

    日本次世代企業普及機構 代表理事 岩元 翔

    東証1部乗上場企業の求人広告会社にて新卒・中途採用のコンサルティング業務を学び、その後ITベンチャー企業にて自社採用業務、教育業務に従事。 2020年には一般財団法人日本次世代企業普及機構の代表理事に就任。これまでの経験、実績を活かし、経営者や従業員にとって道しるべとなる「ホワイト企業指標」を作り上げた。