【インタビューを受けた人】
株式会社NTK 中本 八大郎様
株式会社NTK K様
【インタビュアー】
ホワイト財団 金崎 綾香
代表取締役 社長 中本 八大郎様
設計 K様
株式会社NTKのポイント
・独自の社内制度と明るい社風が魅力
・人としての品格を重視した研修制度
・家族や友達に自慢できる職場を目指している
中本社長:株式会社NTKは1988年に設立した、資材を加工する工作機械のカバーを専門的に取り扱っている金属加工メーカーです。
レーザーでの切断・打ち抜きや曲げ、溶接などを行い、板金と呼ばれる資材をお客様の求める形状へ加工する事業を展開しています。また、設計から製作、塗装、組み立てまで一気通貫で対応する体制を整え、品質・納期・価格すべてにおいてお客様に満足していただけるモノづくりを徹底しています。
「工作機械のカバー」と聞いてもいまいちピンとこないかもしれませんね。
例えば、自動車の扉やバンパーが乗車している人を守るのと同じで、機械を使用している人や内蔵されているシステムを守るためには必要不可欠なパーツです。
DXやIoTが盛んに行われており、さらなる盛り上がりをみせる製造業において、なくてはならない技術を提供している会社が私たち株式会社NTKです。
中本社長:「私たちは、モノづくりが大好きで、ヒト&モノの品質を高め、お客様に信頼される企業を目指します。」これが当社の企業理念です。
私は、「ヒトの品質」を品格と捉え、礼儀作法やTPOをわきまえた思いやりのある行動を大事にしています。そして、品格を高めることによって製品の質をより追求することができると考えています。
そのため、当社では社員教育に注力し、一人ひとりの品格を高める取り組みを実施しています。
中本社長:仕事も遊びも一生懸命がモットーの会社で、メリハリのある働き方ができる社員が多いです。
就業時間は各々の業務に集中しており、緊張感がありますが、休憩時間や社内イベントの際は一転して和気あいあいとした明るい雰囲気になります。
むしろ、うるさすぎて止められない程です(笑)。
K様:確かに、皆さん気さくで、休憩時間には笑い声が絶えず、ざっくばらんに話せる雰囲気です。でも、仕事になると上下関係なく礼儀や感謝を大切にしていて、メリハリのある働き方ができる環境だと感じます。
その『メリハリ』が、居心地の良さを生み出し、とても楽しい職場だと思います。
中本社長:はい。まず当社では「インフレ手当」というものを社員全員に毎月支給しています。
これは、昨今の物価上昇の影響を受けて導入した手当で、社員の長期的な生活を保障するために一時金ではなく手当という形をとっています。
ただ、無条件で支給しているわけではありません。
この手当は、毎月の売上目標を達成した際に渡しているんです。
そうすることで、より緊張感をもち、モチベーションを高く保ちながら働けるのではないかと考えています。2023年の2月にスタートして以降、支給しなかった月は今までありません。
社員の意欲を刺激できていれば嬉しいですね。
また、食事手当として昼食時に弁当を支給しています。
この手当を実施する前は、弁当を持参している人やコンビニで購入する人、外食する人などバラバラでした。車の中で食べる人もいましたね。
せっかく業務時間外に社員同士で交流できる機会なのに、活用しないのはもったいないじゃないですか。この制度をスタートさせたことで、みんなが食堂で食事を摂るようになり、社員同士のコミュニケーションをより活発になりました。
この制度は社員からも好評で、昼食代が節約できることはもちろん、朝早く起きて弁当をつくる手間がなくなったというご家族からの喜びの声もありますよ。
K様:弁当代はすべて会社負担ですし、社員同士で何気ない話をするのが仕事中の楽しみでもあるので、この制度があるのは非常にありがたいです。
中本社長:いえ、社員は食堂で食事をとっていますが、私は別室で食べています。
というのも、私はこの時間を活用して社員一人ひとりと面談を実施しています。
面談といっても、堅苦しいものではなく、一緒に食事と会話を楽しむ場として活用しているんです。だいたい8割くらいはプライベートの話をしていますよ。
現在の社員数でいえば、1人当たり3ヶ月に1回のペースで一緒に食事をするタイミングがあります。
現場で交流を図るにはあまりに時間が限られています。
性格や仕事に対するやりがい、モチベーションなど社員一人ひとりのことを知るためには、一対一で向き合う時間が必要だと考え、昼休憩時にゆっくり交流する場を設けるようにしました。
この場を設けることで、社員の口から愚痴も含めて本音をきく機会が増えました。
社員としても人に話すことでリフレッシュにもなっているのだと感じます。
実際、「社長にだけはいうんですけど…」という誰にもきかれたくない相談をしてくれることもありました。
双方にとって良い時間になっているのだと感じます。
中本社長:2年に1回、社員旅行を実施しており、行き先は社員全員にアンケートを実施し、希望の多かった場所に決定しています。
これまでには、北海道や九州、中国にいきました。
ここ数年はコロナの影響で実施ができていませんでしたが、来年こそは再開したいです。
また、3年以上勤務してくれた社員には、社会保険とは別に生命保険の契約を会社負担でしています。個人で契約している社員もいますが、契約内容を見直す良い機会にもなると考え、私から声をかけています。
コロナがまん延した頃には、コロナ罹患時に対応した保険をすぐに追加しました。
K様:6月にボーリング大会、8月にキッチンカーを呼んだお祭りのようなイベントが開催され、社員同士のコミュニケーションの機会が豊富です。こうしたイベントのおかげで一体感が生まれ、普段の業務も円滑に進むと感じています。
また、福利厚生がしっかりしているので、安心して仕事に集中でき、生活面でも支えられている点が、NTKの魅力だと思います。
中本社長:今後も、既存のものとはまた違う視点から社員をサポートするような制度の導入を検討しています。
具体的にはまだ言えませんが、1日でも早く導入して社員の喜ぶ顔が見たいですね。
具体的に取り組まれていることを教えてください。
中本社長:当社では、毎朝の朝礼時に掃除を担当するチームと勉強をするチームに分かれて活動しています。
勉強会のチームは当日のテーマに適した社員や研修が必要な社員をピックアップしています。
テーマは品質や生産性の向上など仕事に直接関係のある内容から、時事問題まで多種多様です。
この勉強会は社員が主体となって講義を進行しています。
また、3ヶ月に1回会社の理念に関する研修も実施しています。
こちらは私が講師となり1ヶ月にわたって会社の目標や経営方針についてレクチャーするという内容です。
どちらの研修も、スケジュール調整、資料作成、グループ分けなどの運営面を担当しています。資料作成については、社員に報告書の作成を奨励し、その内容をもとに改善を行っています。
勉強会は短い時間で1回30分ほどしかありませんが、継続的に実施することで、大きな成果を上げています。社員が自己研鑽を続け、専門性や社会人としての品格を向上させることを目的に行っています。
中本社長:当社では3種類の社外研修があります。
どの研修も自己啓発に関する内容となっており、人間性や品格を高めるために導入しています。
まず1つ目が、新入社員を対象に実施している研修です。
これは静岡県の富士山のふもとでの合宿形式の研修で1週間、礼儀作法やコミュニケーション能力など、社会人としての基礎を固めてもらいます。
研修を終えた社員は、入社時と比べて頼もしくなったように感じられます。
2つ目は、和歌山県高野山で開催される研修です。
これは3年目以内の社員を対象に参加してもらっている研修で、他の企業と合同です。
研修内容はお寺ならではというもので、「感謝の気持ち」や「命の大切さ」について身につけていただきます。
お寺の一室で行われており、高野山からの景色が綺麗だと社員からも好評な研修です。
3つ目が、大阪での合宿形式の研修です。
この研修は入社して5年以内の社員に参加してもらっています。
ネガティブな思考をポジティブに変換するという内容の研修で、これまでの自分を振り返り、将来あるべき像を見据えられるようになります。
業務に直接関係のある内容ではないと感じるかもしれません。
しかしこの研修では、働くために必要なスキルを習得できるんです。
例えば、和歌山での研修で学ぶ「命の大切さ」は、現場で安全に配慮しながら働くという意識につながっているんですよ。
とはいえ、研修後に何か行動を起こさないと得た意識や考え方が身につきません。
それを防止するため、朝の勉強会でフォローアップをするようにしています。
K様:これまで様々な研修を受けてきましたが、大阪の研修が印象的でした。
ポジティブな思考法や自分への気づきを得る方法を学ぶことができましたし、他の企業と合同で実施される研修なので色んな職種の方と話ができて、楽しかったです。
中本社長:当社の仕事や研修、勉強会などを通して、社員には向上心を高めてほしいと考えています。
就業時間内にお客様からの納期を守って品質の良いものをつくることは大事です。
それに加えて、何か新しい意見や視点を持ってくれると嬉しいですね。
中本社長:はい。
当社では社員がより快適で安全に働けるよう設備投資をしています。
工場やオフィスにエアコンを設置したり断熱材を使用した外壁にしたりと、随時改善を行っています。
社員の中には、クリーンな環境で仕事ができるというところに惹かれたのが入社の決め手の1つだという人もいますよ。
現在も新たなシステムの導入計画を進行していますが、こちらはまだ社外秘です(笑)。
ただ、この設備を導入することで業務効率がぐんとアップすることは間違いないです。
K様:当社は年に1回は何かしら設備投資をしているのではないかと思います。
工場に新しい機械を導入したり、エアコンを変えたり、生産性をあげるための取り組みを継続的にしてくれるのは非常にありがたいです。
中本社長:社員がより快適で安全に働けるようになることで、高品質なモノづくりができるようになります。
お客様の満足度を上げるためにも、大切な取り組みだと考えています。
中本社長:会社の利益をしっかり社員に還元したいと考えたからです。
先代の経営スタイルはいわゆる「ワンマン経営」で、社長の一存で方針が決められていたんです。
社員はただの労働力として扱われていて、この状況では長く続けていけないと危機感を覚えました。
そこで、社員が仕事にやりがいをもって働ける環境づくりに取り組むことに決めました。
苦労はやはりありましたね。前の社風が根づいてしまっていたので、社員の意識を変えていくのには時間がかかりました。
中本社長:最初は仕事の環境を整えました。
工場での仕事といえば、3K(きつい・汚い・危険)というイメージがあるかと思います。
以前の当社は正にその通りで、働きやすいとはとても言えない環境でした。
そこで、まずは空調をつけて気温に関係なく快適に仕事ができるようにしました。
しかし、どれだけ空調をつけても一向に現場の温度が適温にならなかったんです。
原因を探ると、屋根や外壁が古く外気温を取り入れてしまっており、急いで断熱効果のある材質のものに建て替えました。
このように、改善しないといけないところがたくさんあったんです。
中本社長:設備投資と合わせて、掃除の習慣を取り入れようと社員に声をかけました。
しかし、これまでそういった取り組みをしてこなかったので、なかなか社員の意識は変わりませんでした。
掃除の担当を決めても、時間通りにメンバーが集まらなかったり、各々が好きなところしか掃除をしなかったりと大変でしたね。
そこで、使う道具や掃除場所、掃除の手順などを細かく決めて、マニュアルを社員に共有することにしました。そうすることで、掃除のルールが定まり、今では全員が責任を持って取り組むようになりました。
クリーンで快適な職場づくりに取り組むことで、その状態をキープしようとする意識が社員に根づいていきました。私が言わなくても進んで掃除をしたり、身の回りを整理整頓するようになったりという行動がよく見られるようになりましたね。
快適な環境で仕事ができるようになり、生産性もアップしました。
これまでのNTKを支えてくれた社員達に何ができるのか。
設備投資だけでなく、教育や福利厚生など多方面からしっかり還元することで、モチベーションを保ちながら楽しんで働いてくれると嬉しいです。
中本社長:第三者に評価してもらうことで、当社がホワイト企業だということを社員に認識してほしかったからです。
社員がホワイト企業で働いている誇りを持つようになれば、自分の家族や友人に会社を自慢できるようになるのではないかと考えたんです。
また、求職者の認識を改善したいとも考えています。
製造業はどうしてもブラックな印象がまだ根づいていますが、HPにホワイト企業認定のエンブレムがあるだけで、印象がよくなるのではないかと考えました。
これまで一緒に働いてくれた社員にも、これからともに成長していく求職者の方にも、わくわくするような自慢できる会社でありたいですね。
未経験の業種・職種からの転職とのことですが入社前に不安なことはありませんでしたか?
K様:やはり設計職の職歴がなかったため、現場で活躍できるのか不安でしたね。
入社前に職業訓練を受けて、ある程度設計職の知識は身につけていたものの、実務経験がなかったため、実際の仕事についていけるかどうかは全く予想がつきませんでした。
K様:当社は研修も充実しており、各部署に『作業標準書』という業務に関するマニュアルが完備されているため、基本的な業務内容がしっかりと網羅されていて安心しました。
さらに、先輩や上司の方々が積極的に話しかけてくださるので、最初の緊張も徐々にほぐれていったことを覚えています。こうしたサポートがあることで、仕事に対する不安が次第に自信へと変わっていきました。
K様:仕事のやりがいを感じる瞬間は、やはり感謝の言葉をもらった時ですね。
お客様から『ありがとう』と言ってもらえたり、社長をはじめ社員の方々に成果を認めてもらった時には、達成感が湧き上がります。自分が関わった仕事が誰かにとって価値があることを実感できる瞬間は、本当に嬉しく、次へのモチベーションにもつながります。
中本社長:「ダントツ企業」を目指すことがNTKの目標です。
工場の綺麗さや納品スピード、品質の高さなど、なんでもいいんです。
第三者からみて、同業他社に負けない付加価値のある会社を目指したいと考えています。
そのために、商売力のある会社づくりを徹底したいですね。
社員の数を増やして組織の規模を大きくするのではなく、少人数でも運営できるような環境を整え、利益率をアップするような絶対につぶれない会社にしたいです。
取材者のレビュー
社員の技術力だけでなく、人の品格にフォーカスした研修を実施している当社。仕事への姿勢を正すことが、高品質なモノづくりを提供する秘訣なのではないでしょうか。
社長の中本様は気さくな方で、発言の節々から社員の方々への信頼や感謝を感じられました。そういった謙虚な姿勢が社風として根づき、社員の方々に継承され続けていくのでしょう。
日本次世代企業普及機構金崎 綾香
小売業界でバイヤーとして、商品買付けや企画などの店舗管理業務に従事しつつ、販売メーカーの営業として法人営業にも携わってきました。2022年より株式会社ソビアに入社し、これまでの経験を活かし、ホワイト企業認定を取得された企業様の魅力をホワイトキャリアでたくさんの方に発信していきます。