【インタビューを受けた人】
日本システム開発株式会社 代表取締役社長 伊藤 健文 様
日本システム開発株式会社 主任 安藤 公祐 様
日本システム開発株式会社 JPG 清水 真佳 様
【インタビュアー】
ホワイト財団 金崎 綾香
代表取締役社長 伊藤 健文 様
スマートテクノロジー部 主任 安藤 公祐 様
アドバンストテクノロジー部 JPG 清水 真佳 様
日本システム開発のポイント
・従業員がより良い環境で働くための設備投資に注力している
・従業員の元気力や幸せ度を知るためのアンケートを実施
・「働きたいと思う魅力溢れる会社」を実現し、自己成長・自己実現ができる環境を提供している
伊藤社長:日本システム開発は、コンピュータソフトウェアの設計や開発を行っているIT企業です。
当社では大きくに分けて2種類のソフトウェアを開発しています。
1つ目は業務用ソフトウェアと呼ばれるものです。
例えば運送業であれば、倉庫に在庫が何個あるか、ドライバーは現在どこに配送しているのかなどを知らせるようなシステムです。要は、取引先でおこなわれる各種業務をサポートするソフトウェアに携わっています。
そして2つ目は、制御ソフトウェアです。
車に乗っているとき、アクセルを踏んだらエンジンがかかり、前進しますよね。
制御ソフトウェアは、あらゆる機械や電化製品などに搭載されており、動きをプログラムでコントロールして、要求した動作を実現するための制御を行います。
皆さんの暮らしに直接関わるシステムから各業界の要望に沿ったものまで多種多様なソフトウェアに関わっており、幅広い業界のお客様から信頼をいただいています。
伊藤社長:現在の会長が当社を創業した際、目標に掲げた「社員が働きたいと思う魅力溢れる会社を創ろう」という創業の精神をもとに、経営理念を定めています。
そんな日本システム開発の経営理念は「当社は自己実現の場である」というメインメッセージのもと、3つの理念を定めています。
①ウェルビーイング経営を推進しよう
ウェルビーイングとは、「働きやすさ」と「やりがい」の両方を実現した経営のことを指します。
しかし、このような環境は会社が一方的に提供できるものではありません。
社員の意見を吸い上げながら、時代のニーズに応じた「働きやすさ」と「やりがい」、どちらをも両立した環境を社員と共につくりあげています。
②お客様の期待を超える仕事をしよう
お客様の期待を超えるためには、要望にただ応えるだけではいけません。
お客様の求めていること以上のプラスアルファの提案をすることで、より厚い信頼につながると考えています。
また、要求通りのことをやっただけの感謝よりも、要求以上のことをしたときの方が言葉に重みがあり、仕事のやりがいにもつながります。
社員には、仕事のやりがいを得るためにも期待を超える仕事をする意識を持っていてほしいですね。
③ITで社会に貢献しよう
日本システム開発では、先進技術を積極的に取り入れており、その技術をいかしたソリューションを強みとしています。そのため、日本システム開発だからこそ提供できるサービスで社会に貢献していきたいです。
例えば、多彩なサービスを提供している企業にも、必ず苦手分野はあります。その苦手分野に、先進的なIT技術でアプローチをしています。
当社の技術がお客様の成長に寄与し、それがより良い社会づくりにつながって欲しいと考えています。
日本システム開発へ入社した理由を教えてください。
安藤様:私は日々進化していく技術に将来性と面白さを感じ、IT業界を目指して就職活動をしていました。
また、地元が名古屋だったこともあり、名古屋で働ける会社を探していたこところ、幅広い業界のITサービスに携わっている日本システム開発を知り、興味を持ちました。
入社の決め手は、企業理念に共感したからです。
特に「ITで会社に貢献しよう」という一文に惹かれ、日本システム開発なら様々な経験を積みながら新しいシステム開発に携われるのではないかと考え、入社しました。
清水様:私は安藤さんと真逆で、最初はIT業界に興味はありませんでした(笑)。
しかし、希望の業界で内定がなかなかもらえず行き詰ってしまって…。
改めて自分のやりたいことを整理したときに「専門性のある人と利用者の間に入る仲介役の仕事がしたいんだ」という結論に至りました。
そしてそのタイミングで日本システム開発のことを知り、説明会に参加したときに自分のやりたいことと一致していると思い、入社を考えるようになりました。
安藤様:人と違う技術に携われるところがやりがいです。
私は入社時から「こういった分野や技術に携わりたい!」と上司や社長にアピールしていました。
そのおかげか、難しい技術を扱ったり新しい技術を解析したりと、他の人に先んじて多岐にわたる領域にチャレンジさせていただいています。
個々人の声をすくい上げて、業務につなげてくれる体制で非常に働きやすいですね。
また、自分の業務に対して細部までこだわり、スピーディーに対応できたときにやりがいを感じます。
ショートカットキーなどを活用しながら効率化を図れたときには、ちいさいながらも達成感を得られます。
清水様:私は営業業務をしているのですが、自分が担当しているエンジニアがお客様に評価していただいたときにやりがいを感じます。
エンジニアとお客様、両方の要望を汲み取り、双方にとっていい結果となったときには「このエンジニアをこのプロジェクトにアサインしてよかった」と嬉しく思いますね。
また、既存のお客様から新しいお客様をご紹介してもらえたときにもやりがいを感じます。
自分がこれまで築いてきた関係性が認められたと思うと自信にもなります。
安藤様:教育制度が充実しているところが働きやすいと思います。
特に新人研修は半年近くの時間をかけており、その後各部署で技術研修を2~3ヶ月にわたって実施しています。
初めてITに触れる人でも安心して飛び込める環境が整っていると感じますね。
また、誰でも受講できる技術研修もあり、スキルをブラッシュアップすることができます。
私自身、研修用の教材作成に携わることもあるのですが、新しい技術にあわせて資料をアップデートしています。非常に教育に熱心な会社だと感じています。
清水様:確かに、研修や教育体制は整っていますよね。
私も入社前にITや営業に関する参考書をいただきました。
実際現場に入るとやっぱりわからないことも多く、苦戦はしましたが(笑)。
安藤様:私も最初は苦戦しましたよ。
もともと情報系の学校でプログラミングなどについても学んでいたのですが、仕事ではなかなかついていけませんでした。
しかし先輩が「一人で悩むより質問しなさい」といってくださり、実際様々なことを教わりました。その時のアドバイスは今でも大事に覚えています。
安藤様:私は日本システム開発で唯一無二のエンジニアになりたいと考えています。
現在もそうですが、他の人が扱っていない新しい技術を扱うエンジニアとして社内でNo.1になりたいです。
そのために最先端の技術に関するアンテナを常に張るようにしています。
日本の新聞記事だと海外の最新情報をリアルタイムで追えないので、海外の技術論文を読んでいち早く情報をキャッチするよう心掛けています。
清水様:同期の中で一番に役職につくことが目標ですね。
そのためにも、まずは目の前の業務に精一杯取り組むようにしています。
また、異業種交流会などの他者との出会いの場に参加し、様々な業界の方と関わりを持つことも目標に掲げています。
伊藤社長:社員がより良い環境で仕事ができるように、設備投資を行っています。
直近では、2022年に名古屋本社、2023年に東京本社が現住所へ引越しました。
引越しのタイミングでモニターやPC、キーボード、Web会議用のカメラなど、開発業務で利用するハードウェアを一新しました。利便性の高い製品を利用してもらうことで業務効率が上がり、実際に社員からも喜びの声があがっています。
昨今、リモートワークが主流になっているIT業界ですが「家よりも、設備が整った会社で生産性の高い仕事がしたい」と思ってもらえるように社内環境を整えています。
会社に来ることで社員同士が直接コミュニケーションを取れるため、さらに生産性が向上します。
とはいえ、全員がフル出社というわけではなく、住んでいる場所や育児など個々人の事情やお客様の要望に合わせてフレキシブルに対応しています。
清水様:私も、リモートワークの制度を利用することがあります。
お客様との会食や夜遅くまで打ち合わせをすることがあった次の日に使うことが多いですね。上司に事前に伝えていれば利用することができるので、非常にありがたいです。
ただ、社長が言うように出社した方が社員同士でコミュニケーションがとりやすいので生産性はあがると考えています。
リモートと出社、併用できる環境で自分らしく働けるのは当社の魅力だと感じています。
伊藤社長:はい。新たに生成AIを活用したシステムの開発支援サービスを導入しています。
生成AIは、ChatGPTなどのAIが既存のデータを学習し、新しい情報を生成する技術です。完璧なデータ生成を保証するものではありませんが、画期的な技術であり、自社内での活用を目指して積極的に拡充していきます。
伊藤社長:自分のやりたい仕事に取り組めるよう、「この技術を仕事にしたい」など、社員の気持ちを尊重して会社を運営しています。これにより、社員の意欲が高まり、生産性が向上すると考えています。
具体的な取り組みとしては、社員が希望する技術やプロジェクトを獲得するために営業活動や技術勉強会の強化、展示会での技術PRなどを行っています。
また、社内での勉強会や日常業務でのコミュニケーションにも注力し、ほんの些細なことでも聞き逃さないよう社員一人ひとりの声に丁寧に耳を傾けています。
伊藤社長:もちろんあります!
組み込み系のソフトウェア開発、制御系のソフトウェア開発、ECサイトの構築などは、社員の声がきっかけとなり始まったプロジェクトです。
具体的に教えてください。
伊藤社長:日本システム開発では、「元気力向上アセスメント」と「幸せ診断」というアンケートを定期的に実施しています。
「元気力」とは仕事のやりがいや働きやすさ、つまり「ウェルビーイング」のことを指します。「元気力向上アセスメント」は、現状の社員の「元気力」を評価するために行われます。
そして、「幸せ診断」は3ヶ月に1度実施され、部署ごとに課題を洗い出すためのものです。これらのアンケートの結果をもとに、個人や部署ごとの課題に会社全体で向き合い解決策を考案しています。
伊藤社長:2023年12月に実施した「元気力向上アセスメント」において、キャリアアップの条件などが対象となる項目の達成度合いが他の項目に比べて低いことが明らかになりました。
このため、「キャリアウェルビーイング」を重要改善項目と位置付け、評価制度の見直しを進めています。
具体的には、キャリアアップの基準を定め、70%の水準を達成すれば昇格するというシステムを導入する考えです。ただし、このような制度が徹底されすぎると、特定のポジションに人が集中したり、逆にそのポジションが空いてしまう可能性があります。
私が重視しているのは、役職が与えられた社員が成長できるかどうかです。
そのため、条件を満たしていなくても本人に意欲があれば役職を任せてみるなど、柔軟な対応を心がけています。
伊藤社長:「元気力向上アセスメント」を始める以前は従業員満足度アンケートを実施していました。
アンケートの結果は、満足度40%と決して良いとは言えませんでした。
そのアンケートの回答のなかには「過重労働」「社員の健康面の見直し」「やりがいの感じられない仕事」など、散々な意見がありました。
「このままではいけない!」と思い、この結果を基にPDCAを回し「ウェルビーイング」を実現させるために環境整備を行うようになりました。
すると、ウェルビーイングの達成度は75%までアップしました。社員が仕事のやりがいや心理的に安定した環境を認めてくれていると思うと、嬉しいですね。
安藤様:私はこの社内アンケートは素晴らしい取り組みだと感じています。
実際にアンケート結果を分析して対策案まで表明してくれており、次に活かそうとしてくれている姿勢を感じられるので、安心して働けています。
また、「元気力向上アセスメント」が導入されてからオンラインウォーキング大会やメンタルヘルスケアなど健康的な働き方に関する制度が増え始めており、社員のために改善を行ってくれているのが嬉しいですね。
伊藤社長:会社が立ち上がった当初から、「創業の精神」に則った経営方針を考えていました。しかし、現実の企業経営としてやはり利益を追求しなくては生き残れません。
2018年には過去最高の利益を達成しましたが、その裏には厳しいお客様との取引による過重労働が横行していました。システム開発において、お客様との協力を重視していましたが、無理な要求に対応せざるを得ない状況が続き、社員の疲弊と退職が相次ぎました。
この経験を踏まえ、経営層で当社の存在意義を再考しました。そして、「社員が働きたいと思う魅力溢れる会社を創ろう」という創業の精神を実現するため、利益よりも社員の幸福を追求することを決意しました。
お客様からの反応はさまざまで、一部のお客様との取引が終了することもありましたが、一方で理解を示してくださったお客様もいました。その共感していただいたお客様との取引に焦点を当て、再び事業の方向性を見つけました。
この変革により、初めは売上が下降しましたが、現在は2018年の水準に近くまで回復しています。社員一人ひとりが活気に満ち、やりがいを感じながら働ける環境を整えることで、より持続可能で社会的意義のある企業を目指しています。
伊藤社長:社内の一体感が増しましたね。
特に、生産性を向上させるためにオフィスを移転させたことで、社員同士のつながりが強固になったと感じています。
名古屋本社は、社内環境の整備を行う前は複数のビルに分かれて業務を行っていたので、1つのビルに集約したことで社員同士の交流の機会が増え、団結力が向上しました。
東京本社においては、大幅に増床し、デスクレイアウトの見直しや会議室の増室を行い、より気軽に交流できる環境を整えたことで一体感が増しましたね。
両拠点とも、社員同士の交流が増えたことで明るい雰囲気になったと感じています。
清水様:私は東京本社で働いており、よく他部署の社員の方とコミュニケーションをとっています。
というのも、東京本社にはフリースペースがあり、昼食などで部署関係なく交流ができるからです。
普段から交流を行うことで、仕事で困ったことがあったときにも気兼ねなく相談できる関係性が構築できるので、こういった環境設備のお陰で非常に助かっています。
伊藤社長:日本システム開発は2022年に「健康経営優良法人」に認定されました。
私たちが行っている取り組みすべてをカバーするため、次のステップとしてこの「ホワイト企業認定」を目指したんです。
自分たちだけで「ウェルビーイング経営」を打ち出していても、信ぴょう性は正直感じられないと思います。
だからこそ客観的な視点で認めてもらえる第三者認定を受けることで、自分たちの取り組みに自信を持てるようになるのではと考えました。
伊藤社長:社員の成長が今後の課題です。
労働環境が改善したことで、生産性が上がり、残業時間の削減などワークライフバランスにもいい影響が出ました。
しかし、すこし仕事にゆとりができたことでプライベート重視になってしまい、仕事を通じて得られる成長が少ないように見受けられます。
だからこそ、社員一人ひとりの成長に目を向け、対策を行っていきたいと考えています。
伊藤社長:「社員成長システム」の導入を予定しています。
「社員成長システム」とは、社員の成長に重きを置いた人事制度です。
先ほど紹介した評価制度だけでなく、教育研修や賃金に関しても見直しを行い、一人ひとりのスキルアップを支援する制度設計を進めています。
社員が成長できる場を提供することが会社の役割です。
だからこそ、社員の成長意欲を汲み取り、正当に評価した上で還元していきたいですね。
伊藤社長:当社の経営理念に共感してくださる方と一緒に働きたいですね。
「ウェルビーイング経営」をともに推し進め、ITでお客様、引いては社会をより良くしていきたい。そんな方とこれからの日本システム開発を築き上げていきたいです。
取材者のレビュー
私たちの暮らしに欠かせないソフトウェアを設計・開発しているIT企業・日本システム開発。伊藤社長様曰く、生産性向上のためにオフィスを移転させたのは突発的に行ったことだそうで、社員の方も非常に驚かれたそう。経営方針の大幅な変更やオフィスの移転など、大きな決断を実行に起こせる会社だからこそ、安心して働き続けることができ、結果的に仕事のやりがいにつながっているのではないでしょうか。最後にお話されていた「社員成長システム」の運用がスタートしたあとの、社員様の変化も楽しみです。
日本次世代企業普及機構金崎 綾香
小売業界でバイヤーとして、商品買付けや企画などの店舗管理業務に従事しつつ、販売メーカーの営業として法人営業にも携わってきました。2022年より株式会社ソビアに入社し、これまでの経験を活かし、ホワイト企業認定を取得された企業様の魅力をホワイトキャリアでたくさんの方に発信していきます。