就活中の面接やES(エントリーシート)で、「自分のキャッチコピー(キャッチフレーズ)は何か」と質問を受けることがあります。
しかし、キャッチコピーといわれても、どう答えたら良いのかわからない方も多いのではないでしょうか。また、なぜキャッチコピーを聞かれるのかと疑問に思う方もいるかもしれません。
そこで今回は、就活でキャッチコピーを聞かれる理由や、キャッチコピーの作り方などについて、文例とともに紹介します。
就活で採用担当者がキャッチコピーをたずねるのは、どの程度自己分析をできているか、自分の強みや魅力を伝える能力があるかを判断するためです。
そして自分のキャッチコピーを考えることは、就活生側にもメリットがあります。ここでは、なぜキャッチコピーは必要なのかを解説します。
キャッチコピーとは、製品・サービスの強みや魅力を表現した短いフレーズのことです。数文字から長くても15文字ほどが理想とされています。
短い文章であるため印象に残りやすく、製品・サービスの認知度を高めたり、消費者の購買行動につなげたりするのに役立ちます。
就活におけるキャッチコピーも、目的は製品・サービスのキャッチコピーと同じです。面接やESの限られた時間・文字数の中で自分の強みや魅力を簡潔に伝え、採用担当者にアピールできます。
特に集団面接の場合は人数が多い分、就活生1人あたりの回答時間が短くなりがちです。キャッチコピーでしっかりとアピールできれば、回答時間が短くても採用担当者の記憶に残りやすくなるでしょう。
他の就活生との差別化を図ることに役立つのも、キャッチコピーが必要な理由です。採用活動中、採用担当者は膨大な枚数のESに目を通し、数多くの就活生と面談します。そのため他の就活生と似たり寄ったりで特徴がないと、どうしても記憶に残りません。
その中でオリジナリティが高いキャッチコピーを目にすれば強く印象に残るため、その後の選考でプラスに働く可能性があります。
キャッチコピーの必要性は理解できたものの、どうやって作ったら良いのかわからない方もいるでしょう。そのような場合は、以下の手順で作成してみましょう。
1.自分の強み・長所を見つける
2.企業の求める人物像を確認する
3.強み・長所を具体化する
4.企業のベネフィットを考える
各段階の詳細を解説しますので、キャッチコピー作りで悩んでいる方は参考にしてみてください。
採用担当者に刺さるキャッチコピーを考えるには、短いフレーズに自分の強みや魅力を詰め込む必要があります。自分の強みや長所を洗い出し、特にアピールしたい点を整理しましょう。
自分の強みや長所を洗い出す方法は次の通りです。
・小学校から大学まで、印象的な出来事を時系列で書き出す
・好きなことや得意なこと、不得意なことを書き出す
・時間を忘れて没頭できることは何かを考える
・これまでの人生で起きた出来事を、できる限り書き出す
ESを書いたり面接の質問事項を考えたりするときは、自分の強みや長所ばかりに目を向けがちです。しかし、自己分析は自分を理解するために行うものなので、弱みやネガティブな面にも目を向けて、自分を客観的に見てみましょう。
続いて、応募先の企業がどんな人材を求めているのかを調査しましょう。どれだけ良いキャッチコピーであっても、その内容が企業が求めるものとズレていては、なかなか採用には至りません。
自己分析で洗い出した内容をもとに、自分の伝えたいことと企業が求める人物像がフィットするような言葉を選びましょう。
抽象的な表現では、キャッチコピーの内容の信憑性が薄れたり、理解しづらくなったりしてしまいます。「毎日5分」「石のように硬く」のように、具体的な数値を示したりモノに置き換えたりして、イメージしやすい表現を考えてみましょう。
キャッチコピーに限らず、就活でやりがちなミスとして、自分の強みや長所だけをアピールするというものがあります。
採用担当者が知りたいのは、「その人物を雇うことで企業にどのようなベネフィット(利益・恩恵)がもたらされるのか」です。キャッチコピーにも企業が得られるベネフィットを盛り込むことを意識しましょう。
ここでは就活のキャッチコピーに使える例文を、目的別に紹介します。キャッチコピー作りに悩んでいる方は、参考にしてみてください。
向上心をアピールしたい場合は、何事もポジティブに挑戦していけること、成長意欲が強いことなどが伝わるキャッチコピーを考えましょう。
【キャッチコピーの例文】
・挑戦を楽しみ成長を追求
・失敗をおそれず常に前進
・限界を超えて成長し続ける
・昨日の自分を超え続ける
・学び続けることが私の原動力
・今日より明日、もっと成長を
企業は自ら学び、成長していける向上心のある人材を求めるものです。目標や課題にどのような姿勢で向き合っているのかを、できるだけ具体的に伝えましょう。
自分の強みが積極性だという場合は、能動的に動けること、失敗をおそれずにチャレンジできることなどが伝わる内容を盛り込みましょう。
・自ら動き結果を生む
・どんなときも前向きに取り組む
・積極的に行動し結果を出す
・まず動く、そして考える
・チャンスは自分で掴みに行く
・待つより動く、それが私流
指示待ち人間よりも、自分で積極的に動ける人材のほうが魅力的に映るものです。「チャンスは自分で掴む」のように、積極的な性格をイメージしやすい表現を考えましょう。
継続力をアピールしたいときは、地味な仕事もいとわず遂行できること、コツコツと粘り強く取り組めることなどを伝えるのがおすすめです。
・途中で諦めずにやり抜く力
・粘り強く最後まで走り抜ける
・小さな努力を積み重ねて成功へ
・小さな積み重ねが力になる
・やり続ける力で夢を叶える
・千里の道も一歩から実践中
継続力をアピールするキャッチコピーでは、続けてきたことの内容ではなく、どうやって続けてきたのか、心がけていることや工夫したことなどを盛り込みましょう。
協調性という強みをアピールしたい場合は、人と人との間に入って調整する能力や、チームワークを大切にしていることなどが伝わるキャッチコピーを考えましょう。
・チームの力でともに成長
・みんなで協力し目標達成
・仲間を大切にともに歩む
・みんなでつくる、最高の結果
・チームの輪を大切にする人
・一人じゃできないことを皆で
「潤滑油」などの言葉は、他の就活生と被る可能性があります。採用担当者の記憶に残るためにも、オリジナリティのあるフレーズを考えましょう。
リーダーシップが強みだという場合は、マネジメントスキルがあることや、先頭に立って動けることなどを盛り込むと良いでしょう。
・引っ張り、支え合う力を発揮
・皆でつくる勝利のチーム
・前を見据えてチームを導く
・先頭に立って道を作る
・背中で語るリーダーシップ
・みんなを引っ張る存在に
リーダーシップというとメンバーを引っ張っていくイメージをもつ方が多いですが、下から支えるタイプのリーダーシップもあります。自分のタイプに合う表現を考えてみましょう。
真面目さがアピールポイントの方は、派手さはなくとも堅実に着実に結果を出すことや、何事も手を抜かずに取り組むことなどが伝わる内容にしましょう。
・「丁寧に・誠実に」を大切に取り組む
・真摯な姿勢で、責任を果たす
・どんなことも真剣に取り組む
・コツコツが一番の近道
・手を抜かない、それが信条
・地道な努力で信頼を築く
真面目さは継続力にもつながるため、両方をアピールできるキャッチコピーを考えるのもおすすめです。
コミュニケーション能力をアピールしたいときは、傾聴力や発信力があること、人に寄り添ったり話を聞いたりするのが好きであることなどを盛り込むと良いでしょう。
・柔軟に相手を理解する力
・聞く力、伝える力を大切に
・人との関わりを楽しんでいる
・聞く力で人とつながる
・相手の気持ちに寄り添う力
・話して分かり合う喜びを
就活のキャッチコピーは自己PRの一環であるため、採用担当者に良い印象を与える内容にすることが重要です。せっかく考えたキャッチコピーが台無しになってしまわないように、キャッチコピー作成時の注意点を把握しておきましょう。
キャッチコピーを作るときは、ネガティブな表現を避けましょう。短いフレーズで情報を伝えるキャッチコピーは記憶に残りやすいため、「ネガティブな人」と強く印象付けてしまうリスクがあります。
謙遜も「自信がない人」と受け取られる可能性が高いので、自分の強みや魅力を堂々と伝える内容にすることが大切です。
キャッチコピーは、一目で興味を引いたり魅力が伝わったりするものでなくてはなりません。難解な言葉や、特定の方だけが用いる単語など、説明がないと意味が伝わらない言葉や表現を使わず、誰でもすぐに理解できる内容にしましょう。
キャッチコピーは今の自分の魅力を表すものであり、「将来こうなりたい」と決意を表明するものではありません。自己分析不足であったり、質問の意味を汲み取れていないと判断されたりする可能性があるので、今の等身大の自分を表現するものを考えましょう。
また、印象に残るキャッチコピーにしたいからといって、性格やスキル、保有している資格などについて誇張したり嘘をついたりするのもNGです。
キャッチコピーは自分の魅力を端的にアピールするのに役立ちます。また、キャッチコピーの内容から自己分析ができているか、表現力はあるかといった点が評価される場合もあります。
何の準備もなくその場でキャッチコピーを考えるのは非常に難しいため、今回紹介した内容を参考に、自分の魅力をアピールできるキャッチコピーを考えておきましょう。