【2021年12月24日掲載記事を更新】
「働き方改革」という言葉は就活生にとっても、既に聞き馴染みのある言葉になってきたのではないでしょうか。
しかし、下記のような疑問をお持ちの方もまだまだ多くいらっしゃるのではないでしょうか。
「実際のところ働き改革って具体的にどんなこと?」
「柔軟な働き方ってどんな働き方?」
「働き方がどう変わるの?」
今回は、企業が『柔軟な働き方』に関する制度導入に取り組んでいる理由と、取り組み事例をご紹介していきます。
目次
『多様で柔軟な働き方』とは、従業員のニーズに合わせて労働時間や勤務場所を自由に選択できる働き方のことを指し、リモートワークやフレックスタイム制度などが該当します。
現在の日本社会は、少子高齢化に伴う「生産年齢人口の減少」や「育児・介護との両立」など、働き手のニーズが多様化する問題に直面しています。
限られた労働力で生産性を向上させ、従業員のニーズに合わせた多様な働き方を選択できる社会の実現に向けて、2019年4月1日に「働き方改革法案」が施行されました。
従業員一人ひとりが将来への展望を持てるよう、就業機会の拡大や、意欲・能力を存分に発揮できる環境づくりが進められており、企業には従業員のライフスタイルに応じた多様な働き方に対応する柔軟な取組みが求めらるようになりました。
多様な働き方に関しては、「ダイバーシティの必要性って?導入に向けた取り組み方と効果まとめ」も併せてご確認ください。
さまざまなモノがインターネットにつながり、それをAIが制御するようになる「第四次産業革命」の到来により、多様で柔軟な働き方が可能になるといわれています。
柔軟な働き方の実現は、企業にとってどのようなメリットをもたらすのでしょうか。
優秀な人材ほど、自身の能力を十分に発揮できる環境を求めています。
働く時間や場所に柔軟性を持たせることで、育児や介護などを理由に仕事をセーブしていた、もしくは離職していた人材を確保することができます。
また、夫や妻の転勤による退職も防ぐことができます。
柔軟な働き方を推進することで、企業の発展に必要不可欠である優秀な人材が集まり、定着しやすくなります。
求職者からすると、業務内容や給与額などの条件が似ている会社から同時に内定が出た場合、働き方が柔軟に考慮された企業を選択されるのではないでしょうか。
在宅勤務やモバイルワーク、施設利用型勤務などのテレワークを導入することで、毎日の通勤時間を削減することができます。
通勤によるストレス軽減や、ワーク・ライフバランスの改善により仕事に対する意識が高まり、生産性が向上します。従業員は限られた時間を最大限に生かして働くことで、効率よく業務を進めることができます。
また、近年ではフルリモートも珍しくなくなり、遠方に住む優秀な人財を雇用できるようになりました。
柔軟な働き方を推進することで、在宅勤務やリモートワークなどが増えるため、オフィス賃料や冷暖房費を節約できます。
また、社員の交通費が発生しないので、従来の働き方よりもコストを削減することができます。
労働環境の変化に伴う「型にはまらない革新的な考え方」で業務に取り組むことで今までにないアイデアが生まれる可能性が高まります。
柔軟な働き方を取り入れることで創造力の向上が見込め、業務プロセスやプロジェクト、企業全体に大きなイノベーションを起こします。
多様で柔軟な働き方を推進するために、いくつかの施策や制度の設置を検討しましょう。
テレワークとは、「tele=離れた所」と「work=働く」をあわせた造語です。
ICT(情報通信技術)を利用し、働く時間や場所を有効活用できる柔軟な働き方のことです。出産や育児、介護など、ライフスタイルの変化による影響を受けることなく、業務を続けることができます。
テレワークにはさまざまな種類がありますが、大きく分けて「雇用型」と「自営型(非雇用型)」があります。
≪雇用型テレワーク≫
業務を行う場所によって「自宅利用型テレワーク(在宅勤務)」、「モバイルワーク」、「施設利用型勤務」の3つに分けられます。
≪自営型(非雇用型)テレワーク≫
自営型テレワークは、「SOHO(Small Office/Home Office)」と「内職副業型勤務(在宅ワーク型)」の2つに分けることができます。
時短勤務とは、仕事と家庭を両立するため、1日の労働時間を短縮する働き方です。
2009年育児・介護休業法により、子育てや介護などを理由にフルタイムで働くことが難しくなった人たちをサポートするための『短時間勤務制度』の導入が各企業に義務づけられました。
短時間勤務制度は、1日の所定労働時間を原則として6時間(5時間45分から6時間まで)とする制度です。
≪育児≫
企業は、3歳に満たない子を養育する従業員について、従業員が希望すれば利用できる短時間勤務制度を設けなければなりません。
対象となる従業員は、以下のいずれにも該当する男女従業員です。
【条件】
●3歳未満の子を養育する従業員であって、短時間勤務をする期間に育児休業をしていないこと
●日々雇用される労働者でないこと
●1日の所定労働時間が6時間以下でないこと
●労使協定により適用除外とされた従業員でないこと
ほかにも、1年以上その会社で働いている有期雇用契約の人、実質6時間以上・週3日以上働いている時間給契約のパートタイマーも適用対象となります。
≪介護≫
法律上、要介護状態にある家族を介護する労働者に対して、労働者が連続3年以上、短時間勤務できるように制度を設けることが「義務」づけられています。
育児の短時間勤務制度との違いは、取得方法です。
【取得方法】
●1日の所定労働時間を短縮する方法
●週または月の所定労働時間を短縮する方法
●隔日や特定の曜日のみに勤務することで週または月の所定労働日数を短縮する方法
●労働者が個々に勤務しない日または時間を請求することを認める方法
※短時間勤務制度が利用できない人※
短時間勤務制度は誰にでも適用されるものではありません。
以下に当てはまる場合は、短時間勤務制度の対象から外れる場合があります。
【対象外となる場合】
●日々雇用される従業員
●入社から1年未満の従業員
●1週間あたりの所定労働日数が2日以下である従業員
●業務の性質などを考慮して、短時間勤務制度の適用が困難な業務にあたる従業員
短時間・短期間しか会社に在籍していないパートタイマー、アルバイトなどが対象とならない場合が多いようです。
フレックスタイム制とは、労働者が始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることによって、生活と業務との調和を図りながら効率的に働くことができる制度です。
時短勤務制度との大きな違いは、あらかじめ働く時間の総量(総労働時間)を決めた上で、⽇々の出退勤時刻や働く⻑さを労働者が⾃由に決定できるということです。
2019年4月働き方改革法案の一環として、フレックスタイム制に関する法改正が行われ、フレックスタイム制の清算期間の上限が、1カ月から3カ月に延長されました。
ただし、1か月ごとの労働時間が週平均50時間を超えた場合は、企業は各月に割増賃金を支払う必要があるため注意が必要です。
副業兼業とは、主な仕事以外の業務に従事すること、または自ら事業を営むことです。
働き方改革法案の施行により、国を挙げた「副業・兼業」の普及・促進が進んでいます。
少子高齢化が深刻化する現代では、空き時間を利用して労働力を増やすことは国にとって大きなメリットといえます。また、従業員が副業・兼業を行うことで、企業にもさまざまなメリットが生じます。
【メリット】
●社内では得られない知識やスキルを獲得できる
●自立性・自主性を促すことができる
●優秀な人材の獲得、流出の防止ができ、競争率が向上する
●社外から新たな知識・情報や人脈を入れることで、事業機会の拡大につながる
ただし、従業員の就業時間や健康を管理する、本業に支障を与えないよう職務専念義務・秘密保持義務を果たしてもらうなど、注意点があることを忘れてはいけません。
【参考】副業・兼業の促進に関するガイドライン – 厚生労働省
では実際に柔軟な働き方に取り組んでいる会社はどんなことをしているのでしょうか。
日本経済団体連合会発表の「働き方改革事例集」を参考に、企業事例をご紹介します。
日本生命保険相互会社とは、大阪市中央区に本社を置く日本の生命保険会社です。
従業員の9割が女性社員であるため、会社が持続的に成長するためには女性が活躍する環境を整える必要がありました。
<取組内容>
●2017年4月より、株式会社ニチイ学館と共同で、企業主導型保育所の全国展開を推進した。
●2016年5月以降、京都にサテライトオフィスを開設した。
●総務省主催の「テレワーク・デイ国民運動」に参画した。
<結果>
●従業員への支援のみならず、地域住民や他企業にも保育所を解放し、待機児童問題の解消にも貢献した。
●育児・介護を理由に時間制約のある従業員が「テレワーク・デイ国民運動」に130名参加し、将来的な働き方を考えるきっかけになった。
三井不動産とは、東京都に本社を置く日本最大手の不動産会社です。
顧客の価値観やライフスタイルが多様化するなか、新たなマーケット創出のためには、従業員がもつ多様な力を最大限に発揮できる環境を整備する必要がありました。
<取組内容>
●育児と仕事を両立するため、育児・介護休業法改正の動向に沿って、法定制度を上回る以下の対応をした。
●社員の介護に関するコンサルティングを実施した。
●介護サービス利用に関わる費用の一部を補助した。
●1日の一部または終日の自宅勤務またはシェアオフィスの利用を可能にした。
●月の総労働時間の中で時間を調整し、日ごとにメリハリをつけた勤務が可能な時短制度を導入した。
●介護休業について、法廷の規定を上回る通算1年間を上限とした分割取得を可能にした。
<結果>
●制度を組み合わせて利用することで、育児や介護のために休む・辞めることなく仕事をする選択肢が広がった。
サントリーホールディングスとは、大阪市北区に本社を置く、日本の洋酒、ビール、清涼飲料水の製造・販売等を行う会社です。
事業のグローバル展開において、持続的成長を実現するためには、付加価値の創出による競争力の強化が不可欠でした。 競争率を強化するためには、時間と場所の制約を受けないワークスタイルを確立する必要がありました。
<取組内容>
●自宅限定だった在宅勤務制度を、所属長の許可を受けた場所であればどこでも働けるテレワーク制度に拡張した。
●週1回の在宅勤務の上限回数を、週営業日の半分以上の出社を条件に緩和した。
●在宅勤務の取得単位を、1日から10分単位に細分化した。
<結果>
●育児・介護など時間制約のある従業員が、保育園や介護施設への送迎前1時間を活用して自宅で仕事ができた。
●夕方の家事・育児を済ませたあとに、企画書を作成できた。
●時間制約のある従業員がフルタイム就業できるようになった。
●従業員のモチベーションが上がり、従業員の活躍推進に貢献した。
柔軟な働き方への取り組みは、従業員にメリットがあるだけでなく、優秀な人材が集まったり、個々のパフォーマンスは上がって生産性が向上したりと、会社が享受するメリットも多く存在するため積極的に企業も取り組んでいます。
柔軟な働き方について注力している企業はどのような取組みをしているのでしょうか?
ホワイト企業認定を取得した企業の中から、「柔軟な働き方」を強みとしている企業をご紹介します。
「テレワーク、オンライン会議を有効に活用し、自宅からでも業務可能な環境です!
他にもホワイト企業認定を取得した企業の中から、「柔軟な働き方」を強みとしている企業を下記ページにてご紹介していますので、ぜひご参考にしてみてください!
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会社を探す軸として、自分に合った働き方ができるかというのも大きなポイントの一つ。そのような観点から企業選びをしてみるのもいいのではないでしょうか。