
【2025年5月13日掲載記事を更新】
働き方改革という言葉は、就活生にとっても聞き馴染みのある言葉になってきたのではないでしょうか。
一方で、次のような疑問を持つ方も多いはずです。
この記事では、多様で柔軟な働き方とは何かを整理したうえで、企業が制度導入に取り組む理由、メリット、具体的な制度、そして企業事例を紹介します。
目次
多様で柔軟な働き方とは、従業員のニーズに合わせて労働時間や勤務場所を選択できる働き方を指します。代表例として、リモートワークやフレックスタイム制度などが挙げられます。
現在の日本社会は、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少や、育児・介護との両立など、働き手のニーズが多様化する問題に直面しています。
限られた労働力で生産性を向上させ、従業員のニーズに合わせた多様な働き方を選択できる社会の実現に向けて、2019年4月1日に働き方改革関連法が施行されました。
従業員一人ひとりが将来への展望を持てるよう、就業機会の拡大や、意欲・能力を存分に発揮できる環境づくりが進められており、企業にはライフスタイルに応じた柔軟な取組みが求められるようになりました。
多様な働き方に関連して、ダイバーシティの観点も重要です。あわせて下記もご確認ください。
企業が多様で柔軟な働き方を推進する背景には、採用競争の激化、人口構造の変化、働き手の価値観の多様化があります。制度として整備することで、働く時間や場所の制約を減らし、働ける人を増やし、生産性の向上にもつなげやすくなります。
さまざまなモノがインターネットにつながり、それをAIが制御するようになる第四次産業革命の到来により、多様で柔軟な働き方が可能になるといわれています。
柔軟な働き方の実現は、企業にとってどのようなメリットをもたらすのでしょうか。

優秀な人材ほど、自身の能力を十分に発揮できる環境を求めています。
働く時間や場所に柔軟性を持たせることで、育児や介護などを理由に仕事をセーブしていた、もしくは離職していた人材を確保できます。
また、配偶者の転勤による退職も防ぎやすくなります。柔軟な働き方を推進することで、企業の発展に必要不可欠な人材が集まり、定着しやすくなります。
求職者からすると、業務内容や給与額などの条件が似ている企業から同時に内定が出た場合、働き方が柔軟に考慮された企業を選択する可能性が高まります。
在宅勤務やモバイルワーク、施設利用型勤務などのテレワークを導入することで、通勤時間を削減できます。
通勤によるストレス軽減や、ワーク・ライフバランスの改善により仕事に対する意識が高まり、生産性が向上します。従業員は限られた時間を最大限に生かして働くことで、効率よく業務を進められます。
また、近年ではフルリモートも珍しくなくなり、遠方に住む優秀な人材を雇用しやすくなりました。
柔軟な働き方を推進することで、在宅勤務やリモートワークが増え、オフィス賃料や冷暖房費を節約できます。
また、出社頻度が減ることで交通費などのコストも見直しやすくなります。
労働環境の変化に伴う型にはまらない考え方で業務に取り組むことで、新しいアイデアが生まれる可能性が高まります。
柔軟な働き方を取り入れることで創造性の向上が見込め、業務プロセスやプロジェクト、企業全体にイノベーションを起こしやすくなります。
多様で柔軟な働き方を推進するために、施策や制度の整備を検討しましょう。

テレワークとは、tele(離れた所)とwork(働く)をあわせた言葉です。ICT(情報通信技術)を利用し、働く時間や場所を有効活用できる働き方を指します。
出産や育児、介護など、ライフスタイルの変化による影響を受けることなく業務を続けやすくなります。
テレワークには大きく分けて、雇用型と自営型(非雇用型)があります。
雇用型テレワーク
業務を行う場所によって、自宅利用型(在宅勤務)、モバイルワーク、施設利用型勤務の3つに分けられます。

自営型(非雇用型)テレワーク
自営型テレワークは、SOHO(Small Office/Home Office)と内職副業型勤務(在宅ワーク型)の2つに分けられます。

時短勤務とは、仕事と家庭を両立するため、1日の労働時間を短縮する働き方です。
2009年の育児・介護休業法により、短時間勤務制度の導入が各企業に義務づけられました。短時間勤務制度は、1日の所定労働時間を原則として6時間(5時間45分から6時間まで)とする制度です。
育児
企業は、3歳に満たない子を養育する従業員について、希望があれば利用できる短時間勤務制度を設けなければなりません。
【条件】
●3歳未満の子を養育する従業員であって、短時間勤務をする期間に育児休業をしていないこと
●日々雇用される労働者でないこと
●1日の所定労働時間が6時間以下でないこと
●労使協定により適用除外とされた従業員でないこと
ほかにも、一定条件を満たす有期雇用契約の方や時間給契約のパートタイマーも対象となる場合があります。
介護
要介護状態にある家族を介護する労働者に対して、連続3年以上短時間勤務できるよう制度を設けることが義務づけられています。
【取得方法】
●1日の所定労働時間を短縮する方法
●週または月の所定労働時間を短縮する方法
●隔日や特定の曜日のみに勤務し、週または月の所定労働日数を短縮する方法
●労働者が勤務しない日または時間を請求できるようにする方法
※短時間勤務制度が利用できない人※
短時間勤務制度は誰にでも適用されるものではなく、条件により対象外となる場合があります。
【対象外となる場合】
●日々雇用される従業員
●入社から1年未満の従業員
●1週間あたりの所定労働日数が2日以下の従業員
●業務の性質などから適用が困難な業務にあたる従業員
フレックスタイム制とは、労働者が始業・終業時刻や労働時間を自ら決め、生活と業務の調和を図りながら効率的に働ける制度です。
時短勤務制度との大きな違いは、あらかじめ働く時間の総量(総労働時間)を決めた上で、日々の出退勤時刻や働く長さを労働者が決定できる点です。
2019年4月の法改正で、清算期間の上限が1カ月から3カ月に延長されました。ただし、月ごとの労働時間が週平均50時間を超えた場合は割増賃金が必要となるため注意が必要です。
副業兼業とは、主な仕事以外の業務に従事すること、または自ら事業を営むことです。
働き方改革関連法の流れもあり、副業兼業の普及・促進が進んでいます。従業員が副業兼業を行うことで、企業にもさまざまなメリットが生じます。
【メリット】
●社内では得られない知識やスキルを獲得できる
●自立性・自主性を促しやすい
●優秀な人材の獲得や流出防止につながる
●社外の知識・情報や人脈が入り、事業機会の拡大につながる
ただし、就業時間や健康の管理、本業に支障を与えない運用、職務専念義務・秘密保持義務などの観点で注意が必要です。
【参考】副業・兼業の促進に関するガイドライン – 厚生労働省
実際に柔軟な働き方に取り組んでいる企業の事例を紹介します。
日本経済団体連合会の働き方改革事例集を参考にしています。
従業員の多くが女性である背景から、女性が活躍しやすい環境整備が重要課題でした。
<取組内容>
●企業主導型保育所の全国展開を推進
●サテライトオフィスの開設
●テレワーク・デイ国民運動に参画
<結果>
●従業員支援だけでなく地域の待機児童問題にも貢献
●時間制約のある従業員が働き方を考えるきっかけになった
価値観やライフスタイルの多様化を踏まえ、従業員の多様な力を発揮できる環境整備が必要でした。
<取組内容>
●育児・介護で法定制度を上回る対応
●介護コンサルティングの実施、費用補助
●自宅勤務やシェアオフィス利用を可能に
●時短制度の導入、介護休業の分割取得拡張
<結果>
●制度を組み合わせ、休む・辞める以外の選択肢が広がった
グローバル展開に向けて、時間と場所の制約を受けないワークスタイルの確立が必要でした。
<取組内容>
●在宅勤務制度を場所の制約が少ない制度へ拡張
●在宅勤務の上限を緩和
●取得単位を1日から10分単位へ

<結果>
●送迎前後などの隙間時間を活用しやすくなった
●フルタイム就業の継続に貢献した
柔軟な働き方への取り組みは、従業員にメリットがあるだけでなく、優秀な人材の確保、生産性向上、コスト削減など企業側のメリットも大きいため、積極的に導入が進んでいます。
ホワイト企業認定を取得した企業の中から、柔軟な働き方を強みとしている企業を紹介します。
ほかにも、柔軟な働き方を強みとしている企業を下記ページで紹介しています。
会社を探す軸として、自分に合った働き方ができるかは大きなポイントの一つです。働き方の観点から企業選びをするのも一つの方法です。
多様で柔軟な働き方は、少子高齢化や育児・介護との両立など、従業員のニーズに対応するために重要性が高まっています。テレワーク、時短勤務、フレックスタイム制、副業兼業などの制度を整備することで、企業は人材確保、生産性向上、コスト削減といったメリットを得やすくなります。
求職者にとっても、働き方の柔軟性は長期的にキャリアを築くうえで重要な要素です。制度の有無だけでなく、利用しやすさや運用実態も含めて企業を比較していくと、より納得のいく選択につながります。