面接において言葉遣いは、選考を左右する大切な要素です。
志望動機などの話す内容ももちろん大切ですが、それ以上に言葉遣いは重要です。
どんなに話す内容が良くても、言葉遣いが悪いと「入社後に、お客様や取引先へ失礼のない対応ができるのだろうか」と面接官は不安に思います。
面接では『これから同じ会社で一緒に働く人』を採用するので、言葉遣いや受け答えのマナーが身に付いているか必ず確認します。言葉遣いだけで合否が決まるわけではありませんが、最低限のビジネスマナーですので十分に注意する必要があります。
この記事では、正しい言葉遣いを身に付けられるよう『敬語』についての知識を詳しくお伝えします。
面接や採用担当者と連絡を取る際は、敬語を正しく使い、「綺麗な言葉遣い」で好印象を与えていきましょう。
目次
敬語とは、言葉を使って聞き手に内容を伝える際に、立場や役割の違い、年齢や経験の違いなどにより「敬意」や「へりくだり」などの気持ちを表現する際に使います。
敬語は、文化審議会「敬語の指針」において下記の5つに分類されています。
・尊敬語
・謙譲語I
・謙譲語II
・丁寧語
・美化語
この記事では、普段の会話で一般的に使用されている3種類についてご紹介します。
それぞれの違いをざっくり分けると下記の通りです。
①尊敬語:=相手の動作に使う(相手を高める)
②謙譲語:=自分の動作に使う(自分をへりくだる)
③丁寧語:=言葉を丁寧にする(です・ます)
目上の人と話す際には、正しい敬語を使うことが重要です。
正しい言葉遣いは普段の人柄が出るといっても過言ではないため、そこから就活生の評価を決めている面接官は多く、好印象を与えるためには言葉遣いは注意しておかなければなりません。
この3つをしっかりと理解し、面接対策に役立てましょう!
尊敬語とは、敬語の一つで、『相手を高めることによって相手への敬意や尊敬をあらわす』表現方法で、目上の人に対して使用することで、相手への敬意をあらわす方法です。
尊敬語の動詞
・行く→いらっしゃる
・来る→お見えになる/お越しになる
・食べる→召し上がる
●Point : ビジネスシーンでよく使う言葉ですので覚えておきましょう。
謙譲語とは、敬語の一つで、『自分自身をへりくだることによって相対的に相手を高める』表現方法で、相手よりもへりくだった言い方をすることで、相手への敬意をあらわす表現です。
謙譲語の動詞
・行く→伺う
・来る→参る
・食べる→いただく
・会社→弊社/私ども
※尊敬語との違いに迷ったときは、『自分の動作』なのか『相手の動作』なのかを意識してみるとわかりやすいです。
「私がおっしゃった」などの使い方はしませんよね?
自分が起こした行動に対して尊敬語を使用することはありません。
●Point : 面接では自己アピールなど自分について話す事が多いので、謙譲語はしっかり覚えていきましょう。
話し手(書き手)が言い方を丁寧にすることによって話の聞き手(読み手)に敬意を表す表現方法です。誰に対しても使う事ができ、丁寧な印象を与えることができます。
普段から意識して使ってみましょう!
丁寧語の動詞
・行く→行きます
・来る→来ます
・食べる→食べます
●Point : 敬語に自信がなくても「〜です。」「〜ます。」を使ってハキハキと話すようにすると、ある程度印象良く聞こえます。語尾を伸ばすクセがある人は事前に練習をしておくのがいいでしょう。
基本 | 尊敬語 | 謙譲語 | 丁寧語 |
言う | おっしゃる | 申し上げる | 言います |
聞く | お聞きになる | 拝聴する/うかがう | 聞きます |
会う | お会いになる | お目にかかれる | 会います |
受け取る | お受け取りになる | いただく/頂戴する | 受け取ります |
持っていく | お持ちになる | 持参する | 持っていきます |
面接はもちろん、ビジネスシーンでもよく使われるので覚えておいてください!
ビジネスシーンでの一人称は「わたし」か「わたくし」が使われます。
どちらを使っても問題ありませんが、ビジネスシーンで社外の人と話す際は、「わたくし」が多く使われており、より丁寧な印象を与え、社会人としての自覚がある自己アピールにもなります。
男性の場合は、普段使うことの多い「僕」は、間違っても使ってはいけません。また「自分」というのも適切ではありませんので気をつけましょう。
受付や面接時に企業のことを指す場合は、必ず「御社」と言うようにしましょう。 書類上は「貴社」と書きますが、対面での場合は「御社」になるので間違わないよう注意してください。 ビジネスシーンでは当たり前のように使う言葉ですので、普段から意識して覚えておきましょう。
※その他
銀行→「御行」
病院→「御院」
学校→「御校」
団体→「御団体」
協会→「御協会」
信用金庫→「御庫・御金庫」
信用組合→「御組合」
財団法人→「御財団」
「社長様」や「部長様」など役職に「様」を付けるのはNGです。役職は敬称なので「社長様」とは言わないので注意しましょう。
会話の中で名前を呼ぶ際は「○○社長」と名前をつけるのが基本です。役職のある人には「○○常務」「○○部長」と言うようにしましょう。また、面接官に対しては「○○さん」「○○様」と名前をきちんと呼ぶと印象が良いでしょう。
※その他
病院→「○○院長」
学校→「○○校長」
つなぎ言葉としてよく使用する「なので」「だから」といった言葉ですが、面接では「ですので」と言い換えましょう。「ですから」も同じ意味を持つのでどちらを使っても構いませんが、「ですので」のほうが柔らかく、より丁寧な印象を与えます。
日常会話の質問で「大丈夫」はよく使うのではないでしょうか?質問に対して「大丈夫です」と答えると承諾・否定どちらにもとれるので、面接にはふさわしくありません。
面接やビジネスシーンでは、「問題ありません」や「いいえ、結構です。ありがとうございます」
「はい、ありがとうございます」など、はっきりと答えるようにしましょう。
クッション言葉とは、相手に依頼をするときなど、すぐに本題に入るのではなく、ワンクッション置く言葉のことを言います。
・お忙しいところ申し訳ありません…
・恐れ入りますが…
・お手数おかけしますが…
・大変恐縮ですが…
・失礼ですが…
・よろしければ…
・申し訳ございませんが…
・差し支えなければ…
クッション言葉を使うことで相手を気遣う気持ちが伝わります。
これらがスムーズに出てきたら、面接官に「ビジネスマナーを身に付けている」とよい印象を与えることができるでしょう。
「えっとー、」「多分」「なんか」「あー」など、普段の口調のクセが出ないように注意しましょう。話し方でだらしない印象を与えてしまう可能性があります。まずは、自身の話し方にクセがないか認識するところから始めましょう。
また、普段使い慣れている言葉遣いも、面接時は下記のように言い換えるようにしましょう。
・あとで→のちほど
・もうすぐ→間も無く
・ちょっと→少々
・すごく→とても
・だんだんと→しだいに
・すみません→申し訳ありません
・わかりました→かしこまりました
・いいですか→よろしいでしょうか
・どうですか→いかがでしょうか
・だれですか→どちらさまでしょうか
・ありません→ございません
二重敬語とは、1つの語について、敬語を二重に使うことをいいます。
丁寧にしたい気持ちがあっても、敬語を不適切に重ねて使うのはやめておきましょう。
また、あまりに広く定着しているため、許容される二重敬語もあります。
知らないうちに「正しい敬語」と認識している場合もあるので、ぜひチェックしておいてください。
二重敬語の例
×社長が資料を ご覧になられる(二重敬語)
↓
◯社長が資料を ご覧になる(尊敬語)
◯社長が資料を 見られる(尊敬語)
×行かせていただきます。
〇「参ります」「伺います」
×送らせていただきます。
〇「お送りいたします」
×話させていただきます
〇「申し上げます」
定着している二重敬語
お召し上がりになる:「召し上がる」+「お〜になる」
お見えになる:「見える」+「お〜になる」
お伺いする:「伺う」+「お〜する」
拝見いたします:「拝見する」「いたす」
学生時代にも、部活動やサークルの先輩と敬語でコミュニケーションを取る機会は多くあるのではないでしょうか?
しかし、学生だけのコミュニティ内では間違った敬語を使っているかもしれません。
普段、あなたが使っている言葉遣いと当てはまるものがないか確認してみてください!!
□自分・僕
(正:わたくし・わたし)
□わかりました!
(正:かしこまりました!)
□会いました
(正:お会いしました)
□見てください
(正:ご覧ください。)
□すみませんが、もう一度お願いします。
(正:恐れ入りますが、もう一度お願いできますでしょうか。)
□参考になりました。
(正:勉強になりました。)
当てはまる言葉遣いはありましたか?
社会人として恥ずかしい敬語を使ってしまわないよう、学生敬語は卒業しましょう!
「バイト敬語」とは通常の敬語とは違い、特にコンビニやファミレス、ファーストフードなどの接客現場で見られる独特の言葉遣いの事です。
まだ社会経験が浅い学生は普段の生活で敬語を使う機会が少ないため、正しい敬語に慣れておらず、「なんとなく丁寧に聞こえる表現」「知っている言葉を付け足して敬語のようにする」などとして生まれた言葉遣いが「バイト敬語」と言われています。
下記のような間違った敬語を使っていませんか?
■「~になります」
「~です」や「~でございます」と言い切る形に直しましょう。
■「~よろしかったでしょうか?」
今現在起きている事に対して使用する場合は間違った敬語です。「よろしいでしょうか」「よろしいですか」など時間軸を意識してみてください。
■「~から頂戴いたします」
レジ業務でよく聞く言葉です。「500円から頂戴いたします」は日本語として間違っており、正しくは「500円、お預かりします」です。
■「了解です」
目上の人に対して「了解です」を使うのはNGです。お客様や職場の上司などには、「承知しました」「かしこまりました」と言うようにしましょう。
■「ご苦労さまです」
目上の人が下の人に使用する表現方法です。目上の人へ挨拶する場合は「お疲れ様です」が適切です。上司や先輩と挨拶するときに自然と「お疲れ様です」と言えるよう、日頃から癖付けておきましょう。
その他 NG例文
×ご用件は何でしょう。
〇よろしければ私がご用件を承ります。
×荷物の方、お預かりします。
〇お荷物をお預かりします。
×こちらが〇〇資料になります。
〇こちらが〇〇の資料です。
×おっしゃられることに大変興味を持ちました。
〇おっしゃることに大変興味を持ちました。
×お時間よろしかったでしょうか?
〇ただいま、お時間よろしいでしょうか?
×ご来社は明日で大丈夫でしょうか?
〇ご来社は明日でしょうか?
×普通にいいと思います。
〇良いかと存じます。
×全然問題ありません。
〇まったく問題ございません。
×私的にはこれがおすすめです。
〇私としましては、こちらをおすすめします。
また、バイト敬語以外にも気を付けるべきは「若者言葉」です。
面接官は友達ではありません。下記のような友達感覚の言葉遣いは絶対に使ってはいけません。
・「マジですか」
・「ウケます」
・「普通にいいと思います」
・「ていうか」
・「みたいな」
・「的な」
・「めっちゃ」
・「すごい」
・「○○っす」
正しく美しい言葉遣いは面接を突破する大きな武器となります。
冒頭でもお伝えした通り、面接での言葉遣いは社会人としてのマナーや常識力が試され、合否について大きく左右する要素となります。普段間違った敬語を使っている人も多いので、しっかりと対策を行い、正しい言葉遣いを身に付けて良い印象を与えられるようにしましょう。
しかし、面接担当者は言葉遣い以外に、あなたの言動や雰囲気からも「誠実さ・熱意・素直さ・まじめさ」などを見ています。
丁寧な言葉遣いを意識しすぎるあまり、伝えたいことを伝えられなければ意味がありません。
あなたの魅力や入社への意欲を面接官に丁寧な言葉でしっかりと伝えられるよう、志望動機や自己PRを声に出して読み上げ、家族や友人などに違和感がないか聞いてもらい練習しておきましょう。