就活をしているうえで、当たり前のようにワーク・ライフバランスという言葉を聞きますよね。でも定義や考え方について詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。
今回は、ワーク・ライフバランス(WLB)の定義・考え方・ライフワークバランスとの違い・企業の取り組み内容について、就活生にもわかりやすく解説します。
キャリアアドバイザーコメント
日本次世代企業普及機構 代表理事 岩元 翔
就活でWLBを聞かれたとき「休みが多い会社が好きです」と答えるのは危険です。WLBは「仕事とプライベートの相乗効果」であり、企業が求めているのは「どちらかを犠牲にせずに成果を出す人材」という理解です。「御社のWLBへの取り組みに共感しているから長期的に働ける」という志望動機のほうがはるかに説得力があります。
◆ この記事でわかること
- ワーク・ライフバランスの定義とライフワークバランスとの違い
- ファミリーフレンドリー・男女均等推進の2つの概念
- WLBが重視される3つの背景
- 企業・従業員それぞれのメリット
- 企業の具体的な取り組み例と注意すべき誤解
ワーク・ライフバランスとは「仕事と生活の調和」
ワーク・ライフバランスとは、内閣府によると「仕事と生活の調和」と定義されています。英語では「Work-Life Balance」と表記され、就活やビジネスシーンではその頭文字を取って「WLB」と略されることも多いです。
仕事と生活のバランスが取れている状態をいいます。規則正しい生活を送り、仕事だけに偏るのではなく生活の充実にも目を向けることで、気持ちに余裕が生まれ、仕事の生産性向上につながります。
ライフワークバランスとの違いは?
「ライフワークバランス」と呼ぶ方もいますが、公的な用語としては「ワーク・ライフ・バランス」が正解です。意味は同じですが、近年では「生活(ライフ)を優先し、その土台の上に仕事(ワーク)がある」という考え方から、ライフを先に呼ぶ傾向も生まれています。どちらも「仕事と私生活の相乗効果」を目指す点は共通しています。

ワーク・ライフバランスの2つの概念
ワーク・ライフバランスには、「ファミリーフレンドリー」と「男女均等推進」という2つの概念があります。
① ファミリーフレンドリー
ファミリーフレンドリーとは、仕事と家庭の両立支援のことです。育児や介護を実現させるための環境を整えることを指します。
待機児童の増加や少子高齢化が問題視されている通り、育児や介護を理由に離職せざるを得ない方も多くいます。政府・厚生労働省が定めた基準に達している企業に対してファミリーフレンドリー表彰を行うなどの施策も実施されています。
② 男女均等推進
男女均等推進は、性別による差別を受けず、能力に応じた平等な機会を与えることを目的としています。1985年策定の男女雇用機会均等法からスタートし、採用・人員配置・昇格など働くあらゆるシーンで平等を目指しています。
差別を禁止する「均等」と、格差を解消する「推進」を実現していくことが男女均等推進です。会社には長い時間をかけて形成された慣習があるため、相応の時間をかけて是正していく必要があります。

ワーク・ライフバランスが重視される3つの背景
- 少子高齢化により労働力人口が減少し、働き手が不足している
- 労働力不足にも関わらず、女性や高齢者が働きにくい社会・企業体制である
- 多様な働き方が模索されている
① 少子高齢化による労働力人口の減少
労働力人口が減ることで、社員一人あたりの負担が大きくなります。その結果、長時間労働などによる健康被害や、子育て・介護との両立が難しくなるなどの問題が発生しています。
② 女性や高齢者が働きにくい社会・企業体制
出産を機に退職するケースや、残業が多く家庭との両立ができないケースが多数あります。女性の働き方に対する理解の薄さや各種制度の未整備が、女性を受け入れる企業体質の確立を妨げています。
③ 多様な働き方の模索
長時間労働や私生活との両立問題は、生産性の低下・日本経済の低迷につながると指摘されています。政府が主体となって働き方改革を推奨し、多様な働き方の実現を目指しています。
参考:首相官邸 働き方改革の実現

「仕事と生活の調和」がもたらすメリット
ワーク・ライフバランスの充実は、企業側・従業員側どちらにも良い変化をもたらします。
企業側のメリット
- 健全な労働環境づくりにより、労働生産性が向上する
- 優秀な人材を獲得・定着させやすくなる
- 人材の定着により採用・育成コストが抑えられる
- 組織力が強くなり業績アップにつながる
- 従業員を大切にする企業として、イメージアップにつながる
従業員側のメリット
- 個人の状況に応じて柔軟な働き方を自分で選択できる
- 責任感・計画性を持って意欲的に仕事に取り組めるようになる
- 自己啓発・趣味・地域活動に取り組む時間ができ、豊かな生活を送れる
- 経済的自立により、安定した暮らしや将来の希望の実現につながる
- 私生活の充実が仕事のモチベーションアップにつながる
ワーク・ライフバランスを推進するための取り組み例
就活で企業を見る際の参考として、具体的な制度・取り組みを確認しておきましょう。
◆ 育児休暇など休暇制度の充実
有給が使いやすい環境づくりに加え、個人の事情に応じて選べる各種休暇制度の確立が重要です。
◆ 短時間勤務制度の導入
勤務時間を短縮することで育児や介護に携わる従業員の負担を軽減。周囲との情報共有・業務分担など会社全体での協力体制が必要です。
◆ フレックスタイム制の導入
3か月以内の期間で総労働時間を決め、その枠内で従業員が自由に勤務時間を決められる制度。育児や介護で急な対応が必要な場合に役立ちます。
◆ 長時間労働への対策
業務フローの見直し・作業配分の再考・残業の事前申請制・ノー残業デーの制定など、残業時間削減への取り組みが有効です。
◆ リモートワークの許可
働く場所を選べる仕組みにより、子育て中の社員が自宅で業務を継続できます。企業にとっても通勤費削減や職場復帰支援のメリットがあります。
◆ 福利厚生の充実
スキルアップ支援制度やレジャー施設利用の福利厚生システムなど、従業員が働きやすくスキルアップできる環境は、優秀な人材の確保・定着につながります。
ワーク・ライフバランスにまつわる誤解
! よくある誤解:「仕事とプライベートを完全に切り離すこと」ではありません。WLBの充実とは仕事と生活の相乗効果(シナジー)を生み出すことです。「仕事かプライベートのどちらかを充実させるか」という比重の問題ではなく、両方を調和させることで好循環を生み出すことがWLBの本質です。
まとめ
ワーク・ライフバランスの充実はもはやすべての企業が取り組むテーマですが、具体的な制度を設計・運用できている企業はまだまだ少ないのが実情です。就職活動においては、単なる考え方だけでなく、具体的にどんな制度があるか・その活用状況(取得率など)も面接や企業研究の際にしっかり確認しましょう。
◆ この記事のまとめ
- WLBとは「仕事と生活の調和」。内閣府が定義し、WLBと略される
- 2つの概念はファミリーフレンドリー(家庭両立支援)と男女均等推進
- 背景は少子高齢化・女性が働きにくい環境・多様な働き方の模索の3つ
- 企業の取り組み例は休暇制度・時短勤務・フレックス・リモートワーク・福利厚生
- WLBは「仕事とプライベートを切り離す」ことではなく、相乗効果を生む調和のこと