ワーケーションとは?導入している企業の目的や事例の解説

2022.07.14
#企業分析#働き方#就活基礎知識

新型コロナウイルスの影響で新しい働き方として提案されたのがワーケーションです。就活生の方に向けて、ワーケーションとはどういう意味なのか、企業がどうして導入しているのか、企業側のメリットデメリットについてまとめていきます。実際にワーケーションを導入している企業事例も紹介していますので、参考にしていただけると幸いです。

 

ワーケーションとは

ワーケーションとは、「work(仕事)」と「vacation(休暇)」を組み合わせた造語であり、リゾート地や帰省先など、職場や自宅とは違う環境で働きながら休暇も取得するという行為を指す言葉です。

元々は2000年ごろのアメリカで広まったとされており、2020年7月に官房長官だった総理が「ワーケーションを新しい旅行や働き方のスタイルとして普及していきたい」と発言したことで注目されています。

ワーケーションには、旅先に滞在する日数のうちで休暇の日と仕事の日をあらかじめ決めておく「長期滞在型」ワーケーションと、緊急性の高い業務を急きょ休暇先で行う「セーフティネット型」ワーケーションがあります。

 

ワーケーションを導入する企業側のメリット

ワーケーションを企業が制度として導入する利点とは何でしょうか?具体的に紹介していきます。

休暇取得を推進しやすくなる

旅行会社のエクスペディアが行った「有給休暇国際比較調査2019」において、日本、アメリカ、カナダ、メキシコ、ブラジル、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、香港、インド、マレーシア、シンガポール、韓国、タイ、台湾の19か国のうち、日本の有休取得率は最下位の50%となっています。また、有給取得の仕方について、「短い休みを複数回取得する」と回答した割合が51%と、他国と比べて一番多い割合となっています。

緊急時のために残しておきたい、仕事に穴をあけたくないなどの理由から、長期休暇を取得することに抵抗がある人が多いことも日本の有休取得率が低い原因となっているようです。

ワーケーション制度を導入し、使用してもらうことで、長期休暇の最中に仕事をする日を設けることという働き方ができ、有給休暇の取得を推進することができます。

柔軟性の高い働き方を実現できる

今後労働人口の多くを占める「ミレニアル世代」と言われる人々は、ワークライフバランスを重要視していることが多く、働き方についての考え方が多様になっています。今後優秀な人材を確保し、定着させるためには、各人の望む働き方が実現できる環境かどうかが重要となってきます。リモートワークや時短勤務などと合わせてワーケーションを導入することで、より多様な働き方に対応することができます。

健康経営が維持できる

普段働くオフィスや自宅とは違う環境で働けるワーケーション制度は、従業員がリフレッシュし、健康経営を維持できる効果があります。従業員エンゲージメントを高めることもでき、仕事へのモチベーションアップにつながります。

 

ワーケーションを導入する企業側のデメリット

前項でワーケーションのメリットをご紹介しましたが、企業が感じるデメリット・課題点も紹介していきます。

導入・運用コストがかかる

ワーケーションを導入するためには、どこにいても連絡ができるコミュニケーションツールや、Wi-Fiなどのネットワーク環境が必要になります。導入し、運用していくためのコストを負担せねばなりません。

労務管理の仕組みづくりが必要

元々タイムカードやICカードなどで勤怠管理を行っている場合は、ワーケーション導入にあたって、管理の仕組みを考え直す必要があります。勤怠管理システムを利用することや、時間でなく成果での管理方法にシフトチェンジするなどの方法が考えられます。

リモートワークの体制ができていないと実施できない

ワーケーションを導入する前に、自宅やサテライトオフィスなどで仕事をするリモートワークができるような体制を整える必要があります。新型コロナの影響で、急激に整備が進んだリモートワーク制度ですが、まだ導入・実施していない企業や活用していない企業では、リモートワークでの勤務を従業員に促し、ミーティングをオンラインでつなぐことや、コミュニケーションツールでの共有癖をつけておくなど、全員がオフィスにいなくても業務ができる体制を整えた上でワーケーションも導入していくことが必須です。

 

ワーケーションを導入している企業事例

ここでは、ワーケーションを既に導入し、成果をあげている企業を紹介していきます。

日本航空株式会社(JAL)

日本航空株式会社では、時間と場所にとらわれない働き方を推進するための一環として、2017年よりワーケーションを導入。テレワークなどの柔軟な働き方とともに、さらなる休暇の取得推進を目指している。今まで長期休暇の取得を踏みとどまっていた社員に向けた、休暇取得のセーフティネットとしての利用が期待されている。ワーケーションを普及させるため、2017年12月と2018年1月に社員向けの体験ツアーも開催。各地の施設や観光地を紹介する冊子を配布するなど、制度周知にも力をいれた。

参考記事:社外報『明日の翼』「JALのワークスタイル変革」

株式会社セールスフォース・ドットコム

顧客情報管理(CRM)大手である、株式会社セールスフォース・ドットコムの日本法人では、社内の課題であったビジネスの東京一極集中を解決するとともに、日本の地方創生を推進する目的で、2015年10月に和歌山県白浜町にサテライトオフィス「Salesforce Village」を開所。常に10人以上の社員が滞在しており、東京オフィスより生産性が20パーセント高いという結果もでている。

参考記事:ワーケーション拠点としての未来

株式会社三菱UFJ銀行

株式会社三菱UFJ銀行では、2019年度より、普段と異なるオフィス環境で仕事をすることによって「生産性や創造性の向上」、「従業員のモチベーション高揚」といった効果を狙うとともに、家族との休暇に併せるなど、「柔軟な働き方」を提案するものとしてワーケーションを推進。

和歌山県白浜町に三菱地所が2019年5月よりワーケーションオフィスとして「WORK×ation Site(ワーケーション サイト) 南紀白浜」を開業し、そこに三菱UFJ銀行も入居している。
また、三菱UFJ銀行は2019年7月、軽井沢町の自社施設内において自社行員のためのワーケーション施設を新設。2018年度にサテライトオフィスを全国6ヶ所に設けるなど、リモートワーク、ワーケーションに積極的に取り組んでいる。

参考記事:
MUFGホームページ「働きやすい職場」

株式会社あしたのチーム

人事評価サービスを提供する株式会社あしたのチームは、サテライトオフィスを利用したワーケーションの推進を目的に、リフレッシュ休暇制度を2020年10月より一部変更。長期休暇と掛け合わせてインセンティブを付与することで、戦力社員の長期離脱防止、有給休暇の取得率向上、健康経営、生産性アップを目的に導入。ワーケーション先には、サテライトオフィスとして当初から共に取り組んできた徳島県三好市をスタート。この取り組みが、地元雇用(維持)だけではなく、都市部からの労働者への呼び込みにつながり、長期的な展望としては移住(増加)の一助になることを期待し、取り組んでいる。

 

 

まとめ

まだ日本ではあまり定着していないワーケーション制度ですが、場所に縛られない働き方のひとつとして取り入れられていく企業も増えています。より柔軟で多様な働き方を実現できる環境を働き方の選択肢にいれた方は、導入している企業を探してみてもいいのではないでしょうか。

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