
働き方改革の推進により働き方が多様化していく中で、「ジョブ型正社員(限定正社員)」という雇用形態の導入をしている企業も多くなってきました。
一般的な正社員と非正規雇用の中間のような性質を持つジョブ型正社員(限定正社員)とは何か、どうして企業が導入しているのか・メリット・デメリットを解説します。
目次
ジョブ型正社員(限定正社員)は、一般的な正社員に比べて、「勤務地」「職務」「労働時間」のいずれかを限定した正社員のことです。一般的な正社員に求められる条件の下で働くのが難しい、制約のある人材を正社員として雇用することで、いわゆる正社員と非正規雇用の労働者との働き方の二極化を緩和する狙いがあります。

契約社員やパート・アルバイトのような非正社員は、短期的な雇用を目的としており、有期雇用契約で、給与形態も正社員と異なります。
一方で、ジョブ型正社員(限定正社員)は「勤務地」「職務内容」「勤務時間」のいずれかの条件が限定されているという点以外、正社員と同一の扱いとなります。無期雇用であることや、昇給・昇進、退職金、福利厚生などの待遇は正社員と変わりません。
勤務する地域が限定された正社員を指します。異動が全くないもの、転居を伴わない異動があるものなど、企業の規定によってさまざまな形があります。今住んでいる場所を離れずに地域密着で働きたい人材を雇用する場合などに活用されます。
職務の内容が限定された正社員です。専門性の高い分野で適した人材を確保したり、プロフェッショナルを育成したり、生産性を高めたりしたい場合に活用されます。
働く時間が制限されている正社員です。短時間正社員(所定労働時間が一般的な正社員よりも短い)・勤務日数限定正社員(労働日数が少ない)・残業免除等正社員という種類があります。育児や介護と仕事を両立しながら働く人材などを雇用する場合に活用されます。
厚生労働省の令和元年度雇用均等基本調査によると、ジョブ型正社員(限定正社員)を導入している企業は28.2%と3割を満たしておらず、種類の内訳は「勤務地限定正社員制度」が17.8%、「短時間正社員制度」が16.7%、「職種・職務限定正社員制度」が11.1%となっています。
ジョブ型正社員(限定正社員)制度を設けている企業の中で、制度を利用した者がいた割合は「勤務地限定正社員制度」が38.8%、「職種・職務限定正社員制度」が35.1%、「短時間正社員制度」が31.9%となっています。導入企業はまだ少ないですが、制度の利用率は少しずつ高まっています。

ジョブ型正社員(限定正社員)は、様々な理由から一般的な正社員の条件で働くことが難しい人も雇用することができるため、より幅広い人材を確保することができます。
企業には2013年に改正労働契約法により定められた「無期転換ルール」によって、該当する従業員を有期契約から無期契約に転換する義務があります。ジョブ型正社員(限定正社員)制度は、無期転換ルールの受け皿として、そういった従業員のキャリア形成をサポートすることができます。
各々のワークライフバランスがとりやすいジョブ型正社員(限定正社員)を有効活用することで、働き方改革の一環として柔軟な働き方を推進することができます。

ジョブ型正社員(限定正社員)制度を取り入れていない企業がすべて遅れているわけではなく、その会社の事情や背景が影響しています。制度導入の意図や目的をしっかり確認しましょう。