
社会全体の先行きが不透明な今、自身の理想像を明確にしたキャリアプランの作成が重要視されています。その作成に役立つのが、厚生労働省作成の「ジョブカード(キャリアプランシート)」です。
キャリアプランシートは、過去・現在・将来を整理し、行動計画に落とし込むための実践ツールです。書き出すことで、漠然とした「やりたいこと」が具体的な目標に変わります。
累計3,625社以上を審査し650社以上を認定してきた当機構の視点で、キャリアプランシートの作成方法・書き方・立場/年代別の例文・面接での活用法・NG例まで解説します。キャリアプランの基本概念は関連記事もあわせてご覧ください。
日本次世代企業普及機構 代表理事
岩元 翔
キャリアプランシートは「書かされるもの」ではなく、自分のキャリアを整理するための強力なツールです。厚労省のジョブカードに沿って書くことで、漠然としていた将来像が具体的な行動計画に変わります。累計3,625社以上を審査し、650社以上を認定してきた中で見えてきたのは、自分のキャリアを言語化できる人ほど長期的に活躍しているという事実です。
キャリアプランの基本概念は
「そもそもキャリアプランとは何か」「関連用語との違い」を知りたい方は、キャリアプランとは?の記事を先にご覧ください。本記事はシートに具体的に書き込む実践編です。
📋 この記事でわかること
目次
ジョブカードとは、厚生労働省が推奨する「生涯を通じたキャリア・プランニング」および「職業能力証明」のツールです。職務経歴や資格だけでなく、キャリアプランを記入する「キャリアプランシート」を含み、新卒の就活から社会人の転職・キャリア形成まで幅広く活用できます。
これまでのキャリアを振り返り、経験・能力・強みを整理することで、「今後どのようなキャリアを歩みたいか」が見えやすくなります。
ジョブカードは就活生だけのものではありません。社会人の転職や、現職でのキャリア面談など、人生のあらゆる節目で活用できる汎用的なツールです。一度作っておくと、節目ごとに更新して長く使えます。
シートを作成することには、単なる書類作成以上の、キャリアアップにつながるメリットがあります。
▶ 4つのメリット
4つのメリットに共通するのは「頭の中の漠然とした考えを、目に見える形にする」ことです。書き出して初めて気づける強みや矛盾も多く、自己理解が一段深まります。

作成は、次の4ステップで進めるのが最も効率的です。
▶ 作成手順(4ステップ)
★ 「価値観・興味」を書くコツ
過去に夢中になった体験を書き出す/人から「ありがとう」と言われた瞬間を思い出す/「嫌だった」経験から譲れない価値観を逆算する/「なぜ好きか」を3回掘り下げて本質を見つける。
★ 「強み」を書くコツ
具体的なエピソード・数値とセットで(「営業力がある」→「前年比130%達成」)/他人から評価された経験で客観性を持たせる/スキルと性質の両方を書く/志望業界で活きる強みを優先する。
▼ キャリアプランシート 4ステップと記入項目
| ステップ | ジョブカード対応項目 |
|---|---|
| Step1 過去の棚卸し | 価値観、興味、関心事項など |
| Step2 現在の理解 | 強み等 |
| Step3 将来を考える | 将来取り組みたい仕事や働き方等 |
| Step4 道筋の作成 | これから取り組むこと等 |
4ステップで特に重要なのはStep1の「過去の棚卸し」です。ここが浅いと、その後の目標や行動計画も表面的になります。時間をかけて、自分の価値観の源泉まで掘り下げましょう。
ジョブカードの書式に合わせ、立場・年代ごとの例文を紹介します。自分に近い例を参考にしてください。
学生の記入例(抜粋)
【関心事項】社会心理学を専攻し、広告コピーが行動に与える影響を分析。調査計画の調整に苦労し、状況に応じて修正する柔軟性を学んだ。【強み】13年の楽器演奏で培った継続力と対人コミュニケーション能力。【将来】顧客の真のニーズを引き出す営業のエキスパート。【取り組むこと】商品知識・マーケ基礎・ビジネスマナーの習得。
女性の記入例(抜粋)
【価値観】多様な視点のリーダーシップに関心。周囲の成長を支えることに喜びを感じる。【強み】部署間の折衝力・調整力。新規事業立ち上げに貢献した実績。【将来】ライフイベントがあっても専門性を活かし管理職として復帰し、後進のロールモデルになりたい。【取り組むこと】タイムマネジメント・計数管理スキルの向上。
30代・40代の記入例(抜粋)
30代:リテールの経験を活かし法人部門へ。マネジメント層として生産性向上と人材育成に寄与。財務戦略・M&A提案スキルを習得。 40代:20年の営業知見を次世代育成・地域企業支援に。部長職を全うしつつ副業で経営アドバイザリー、55歳以降は独立。中小企業診断士取得を計画。
例文はあくまで型です。自分の経験に置き換え、具体的なエピソードや数値を入れることで、はじめて説得力のあるシートになります。空欄を埋めるだけで終わらせないようにしましょう。
整理したシートを、面接でどう伝えるかがポイントです。企業がキャリアプランを聞く理由は「採用後のミスマッチ防止」と「目標達成意欲・実行力の確認」の2つです。
▶ 面接での答え方(3構成)
回答例文
私のキャリアビジョンは、顧客から信頼される営業のエキスパートになることです。学生時代に傾聴力を磨いた経験から、相手のニーズを形にすることにやりがいを感じています。入社後は商品知識の習得に努め、3年以内にチームNo.1を目指します。現在は御社の製品研究や競合分析に取り組んでおります。
シートは作って終わりではありません。アクションプランに落とし込み、定期的に見直しましょう。
逆算型アクションプランの例
【10年後】海外事業の責任者として赴任 →【5年後】チームリーダーで成果、社内公募に応募 →【3年後】TOEIC850点取得、海外プロジェクト参画 →【1年後】ビジネス英語と専門用語の基礎を習得
キャリアプランは不変ではありません。環境の変化・成長・ライフイベントに合わせ、半年に一度は見直すことが、長期的なキャリア形成成功の秘訣です。
▼ シート作成の4ステップ
▼
① 過去
価値観・興味の棚卸し
② 現在→将来
強み把握→なりたい姿
③ 道筋
アクションプラン化
過去・現在・将来を整理し、行動計画まで落とし込む
見直しのタイミングを決めておくと、形骸化を防げます。誕生日や年度末など、毎年同じ時期に振り返る習慣をつけると、変化に気づきやすくなります。
スムーズに書き進めるために、事前に次の準備をしておくと、手が止まりにくくなります。
書く前に準備したいこと
厚労省のジョブカードは公式サイトから様式をダウンロードできます。決まった枠に沿って書くことで、何を書けばよいか迷わずに済みます。
シートを書こうとしても「思いつかない」「具体性が出ない」という方は少なくありません。そんな時は、情報収集・体験・自己分析の見直しが効果的です。
思いつかない時の対処
詳しい対処法と面接での答え方は、思いつかない時の考え方の記事で具体的に解説しています。
せっかく作成しても、内容によっては「計画性がない」と判断されます。次の3点をチェックしましょう。
✕ NGなキャリアプラン
企業のHPや中期経営計画を確認し、地に足のついたステップ・目標数値・企業との調和を意識すると、説得力のあるプランになります。
Q1. キャリアプランシートとは?
将来の目標と実現計画を書き出すシートです。
ジョブカードもその一つ。頭の中のキャリア構想を文章として整理し見える化するツールです。
Q2. 作るメリットは?
目標が明確になり面接や自己分析に活かせます。
書き出すことで思考が整理され、志望動機や自己PRの一貫性も高まります。
Q3. どんな手順で書く?
現状整理→目標設定→課題洗い出し→行動計画の4ステップです。
各項目を順に埋めることで、抽象的な願望が具体的な計画に変わります。
Q4. 立場や年代で書き方は変わる?
学生・若手・中堅で重視点や具体度が変わります。
学生は方向性、社会人は実績と次の目標を軸にすると書きやすくなります。
Q5. 面接でシートの内容を聞かれたら?
整理した目標を企業で実現する形に言い換えます。
事前に書き出しておくと、面接でも一貫した回答ができます。
Q6. 評価を下げるNGな書き方は?
抽象的すぎる・自社で実現できない目標です。
具体性がなく企業と結びつかない計画は、志望度が低いと見られがちです。
Q7. キャリアプランが思いつかない時は?
過去の経験や興味から仮の目標を置きます。
完璧でなくてよいので、書きながら考えを深めるのが効果的です。思いつかない人向けの記事も参考になります。
Q8. 手書きとデータどちらがいい?
用途に合わせて選べば大丈夫です。
提出指定があればそれに従い、なければ整理しやすい方法で構いません。内容の質が重要です。
Q9. 作成後にやるべきことは?
計画を行動に移し、定期的に見直すことです。
作って終わりにせず、進捗を確認しながら更新すると実効性が高まります。
Q10. 就活以外でも使える?
転職や社会人の自己整理にも活用できます。
節目ごとに書き直すことで、長期的なキャリア形成の指針になります。

📌 この記事のまとめ