ブラック企業はどのあたりがダメなのか!?視点を変えて改めてブラック企業を考えてみる

2022.02.25
#企業分析#働き方#就活基礎知識

これから就職活動をされていく皆さまは、様々な企業や人との出会いの楽しみはありますが、そうは言っても就職活動において不安は少なからずついてきますよね。

 

「入社した会社がブラック企業だったらどうしよう?」

 

就活生の不安ランキングの上位に同様のワードを目にします。しかし、ブラック企業の定義とはなんでしょう?さらに言うと、果たしてブラック企業は悪なのでしょうか??今回はそんなブラック企業について考えていきたいと思います。

 

ブラック企業とは?

そもそもブラック企業とはどういった会社を指すのでしょうか?実はきちんとした定義づけはされておらず、厚生労働省もHPでも「厚生労働省においては、「ブラック企業」について定義していません」と記載されています。

ただ、同時に「一般的な特徴として、① 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す、② 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い、③ このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う、などと言われています。」と、ブラック企業のイメージ像を挙げています。

 

 

どうやらキッチリとした定義はないものの、労働法規を守らずに過酷な労働環境を強いたり、賃金の不払いがあったり、ハラスメントが横行するコンプライアンス意識の低い環境であったり、社員の使い捨てが疑われる企業がブラック企業と総称されているようです。

要は人を人として扱わないような、とんでもない企業は間違いなくブラック企業ですね。

 

※参照サイト:「ブラック企業」ってどんな会社なの?|確かめよう労働条件:労働条件に関する総合情報サイト|厚生労働省

 

感じ方は人それぞれ

先のブラック企業のイメージからするに、およそ人が健康的に働くことは難しい環境を指していました。

 

 

そんな会社の存在に怯えながら就職活動をしたくないでしょうが、残念ながら働く人の意欲を打ち砕くような悪意あるブラック企業は存在しています。昨今では上司によるによる部下へのパワハラ的な言動を行う社員を放置した企業がメディアに取り上げられ、社会問題になることもしばしばあります。こうした法律違反やコンプライアンス違反を行っている社会から逸脱したブラック企業が明るみに出ることで、社内体制の改革に注力する企業が増えているのも事実です。

 

しかし、まったく同じ環境の中にいても、ブラック企業と感じる人もいれば、そう感じない人、むしろ意欲的・精力的に仕事に取り組む人もいます。仕事には大なり小なりストレスが付いて回りますので、それを限りなくゼロにしたい人もいれば、一定のストレスがある方がパフォーマンスを発揮できる人もいます。そこは個々の価値観に起因しますので、人それぞれです。

 

例えば、莫大な赤字経営の結果、大量リストラを実施する「大手企業」があっても、そのブランド力に惹かれて応募する人もいます。一方で、高収益で成長していても、企業規模や知名度の観点から「ハードワークでプレッシャーが厳しそう」というイメージにより、「ブラック企業」と呼ばれる会社も存在しています。

 

どちらかが良い企業、ブラック企業かということではなく、働く本人が何を重視するかがポイントですね。

 

そのため、皆さんにとって自分が「何をもって『いい会社』とするか」、「どんな要素があれば『ブラック企業』と感じるか」を考える必要があります。

 

視点によってブラック企業の見え方も変わる

社員が何を大事にするか考えているように、会社ごとに何を大事にしているかも異なります。会社が何を大事にしているかはHPの中で表明していることが多くあります。「顧客至上主義」や、「社員満足なくしてサービスの向上なし!」といった具合に企業理念やミッション・バリューなどの中で掲げられています。

 

また、何をいいとするかも立場によって見え方が変わってきます。ここでは大きく3つの視点から考えてみようと思います。

 

1)顧客にとって良い会社

仮に「顧客第一主義」の会社は、ユーザー目線で考えると非常にありがたい存在です。例えば、大手飲食チェーンの中にはワンコインランチの提供や、全国均一のクオリティを保ち、24時間365日営業しているところもあります。

 

しかし、従業員目線で考えると、ワンコインランチ実現のために各種コストを抑える必要があり、多くは人件費が該当します。そのため現場スタッフは少ない人数で大量のオーダーをこなす必要があります。一人あたりの担当業務が増えるため、早くから責任ある立場で働くことができそうですが、そのような働き方をしたくない従業んからすると忙しすぎてブラック企業だと考えてしまうかもしれません。

2)株主にとって良い会社

次に視点を変えて、「株主にとっていい会社」で考えてみます。

株主となる投資家からすると、強みのある商材を持ち、好調な業績を維持している企業が「いい会社」といえます。逆に株価が下がり続ける企業は、株主にとってはブラック企業となってしまいます。もちろん、株主にとっても従業員にとっても自分の利益となって返ってきますので好調な会社であるに越したことはありませんし、さらに、その企業の所在地となる自治体や、国からすると安定した税収も見込めますので、皆さんを業績向上を大前提に考えます。

しかし、これも業績や利益、または出世や昇給などに興味がないといって従業員目線で考えると、業績を維持するために競合他社に比べて目標値や納期、クオリティなどの面で従業員に求められるレベルが想定より高くなってしまいます。

業績を追求し、社会にどんどん貢献している会社はいい会社のはずですが、人によってはブラック企業と呼ばれてしまいます。

 

3)社員にとって良い会社

では、最後に「社員にとっていい会社」を考えてみましょう。一般論で考えると給与が高く、仕事にやりがいがあり、ストレスなく働ける、柔軟に働くことができる、知名度が高い…挙げるときりがなくなりますね。

上記のような項目を満たしていても不満は出てきます。例えばこんな感じです。

 

「業務はラクでプレッシャーもほぼないけど、ルーティン業務中心で成長している実感がない」

「会社としては『顧客第一』を掲げているが、社内会議の資料作成ばかりで顧客とのつながりを感じない」

「社内で新たな提案をしても、様々な理由をつけて却下される保守的な社風にうんざり」

 

企業規模が大きいほど業務も分散しますので、ルーティン業務を多く含む部署も出てきます。業績が安定している時ほど新しいことにチャレンジするには腰が重くなってしまします。上手くいっている時ほど不要なリスクを避けたいと考えてしまうものです。もっともっと主体的に裁量をもって早くから活躍したい従業員にとってはブラック企業となってしまいます。

 

重要視すべきポイントは?

 

自分にピッタリの枕が人によって違うように、「いい会社」の定義も十把ひとからげにはできないようです。

 

「自分にとってのいい会社」を考え、「何をもって『いい』とするのか?」「ここでの仕事経験は、自分の将来に必要なのか?」というように、

大切にしたい基準を明確にすることが重要です。

 

中には、

「多少ハードワークでプレッシャーがあっても、あえて厳しい環境に身を置いて成長したい!」、

「大きな責任を負う(プレッシャーがかかる)ことになるが、裁量権を任せてもらえる仕事にやりがいを感じるので、ベンチャー企業で働きたい!」

という選択をする人もいらっしゃいます。

 

もちろん大前提として、法律違反する企業は問題外です。しかし、世間がいうところの「ブラック=悪」をそのまま真に受けるのではなく、今の自分、将来の自分にとって必要なことは何かを照らして考えみてはいかがでしょうか?

まとめ

前述した通り、ブラック企業に明確な定義はありません。個人の価値観やとらえ方によって「ブラック企業」の判断基準は異なります。

 

加えて、実現したいキャリアによって、世間では「ブラック」と呼ばれる企業で働くこともメリットになるケースも多くあります。

自分のやりたい事、将来に向けてすべき事が実現できるのであれば、それはあなたにとって魅力的な職場となるのではないでしょうか。

 

最後に改めて付け加えますが、決して法律違反をしている企業への入社を推奨しているわけではありませんので、その点をご理解いただければと思います。

この記事を通して、自分にとって「いい会社」とは何かを考えるきっかけになれば幸いです。

 

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