
「有給休暇は何日もらえるの?」「申請しづらい雰囲気で取れない…」——働く前から、有給休暇に不安を感じる人は少なくありません。
結論として、有給休暇は法律で定められた労働者の権利であり、条件を満たせば誰でも取得できます。取得に会社の許可は不要で、理由を問われることもありません。
累計3,625社以上を審査し650社以上を認定してきた当機構の視点でも、有給を取りやすい職場ほど働きやすく、定着率も高い傾向があります。この記事では、有給休暇の付与日数・取得の流れ・取りやすくするコツ・義務化の背景までを、図表とともに解説します。
日本次世代企業普及機構 代表理事
岩元 翔
累計3,625社以上を審査し、650社以上を認定してきた中で感じるのは、有給休暇の取りやすさは制度の有無より「取っていい」という空気があるかで決まるということです。有給は法律で守られた権利であり、本来ためらう必要はありません。学生のうちから仕組みを正しく知っておけば、入社後も堂々と休暇を活用でき、心身を整えながら長く働けます。取得率はその企業の働きやすさを映す指標でもあるので、企業選びの目安にもしてみてください。
📋 この記事でわかること
目次
有給休暇(年次有給休暇)は、一定期間勤務した労働者に与えられる、賃金が支払われる休暇です。心身のリフレッシュや私用のために、理由を問わず取得できます。
「有休」「年休」とも呼ばれ、労働基準法で定められた労働者の権利です。会社が独自に与える特別休暇とは異なり、法律で最低限の付与が保証されています。
▶ 有給休暇のポイント
なお、有給の付与日数や条件は法律で最低基準が定められていますが、会社によってはより手厚い独自ルールを設けている場合もあります。まずは自社の就業規則を確認してみましょう。
有給休暇は、入社から6か月間継続勤務し、その間の出勤率が8割以上であれば付与されます。その後は勤続年数に応じて日数が増えていきます。
フルタイム勤務の場合の付与日数の目安は、次のとおりです。勤続6年6か月以降は、年20日が上限となります。
▼ 勤続年数と有給付与日数の目安(フルタイム)
| 勤続年数 | 付与日数の目安 |
|---|---|
| 6か月 | 10日 |
| 1年6か月 | 11日 |
| 2年6か月 | 12日 |
| 3年6か月 | 14日 |
| 4年6か月 | 16日 |
| 5年6か月 | 18日 |
| 6年6か月以上 | 20日 |
付与された有給は、付与日から2年間有効です。使い切れなかった分は翌年に繰り越せますが、2年を過ぎた分は時効で消滅します。自分の残日数を把握し、計画的に使うことが大切です。
「アルバイトには有給がない」と思っている人は多いですが、これは誤解です。パートやアルバイトでも、勤続6か月・出勤率8割以上の条件を満たせば、有給休暇が付与されます。
ただし、週の労働日数が少ない場合は、日数に応じて比例付与されます。たとえば週3日勤務なら、フルタイムより少ない日数が、勤続年数に応じて付与されます。
▶ パート・アルバイトも有給は取れる
学生のアルバイトでも、条件を満たせば有給を取得できます。「アルバイトだから」と諦めず、勤務先の就業規則や付与状況を確認してみましょう。
学生のうちにアルバイト先で有給を取得した経験があると、社会人になってからも休暇を取ることへの心理的なハードルが下がります。
有給休暇は、基本的に取りたい日を会社に申請するだけで取得できます。一般的な流れは次の3ステップです。
▼ 有給休暇取得の流れ
▼
① 申請
取りたい日を伝える
② 調整
業務の引き継ぎ・確認
③ 取得
休暇を取る
理由を問われず取得できるのが原則です
申請の方法は、勤怠システム・申請書・口頭など会社によって異なります。繁忙期や重要な会議の日を避け、早めに申請して業務を調整しておくと、気持ちよく取得できます。
権利とはいえ、職場で気持ちよく取得するための工夫もあります。周囲への配慮があると、お互いに休みを取りやすい雰囲気が生まれます。
▶ 取りやすくする工夫
特に長期の休暇を取りたい場合は、早い段階で上司やチームに伝えておくと、業務の調整がしやすくなります。「お互いさま」の意識が、取りやすい職場をつくります。
2019年の法改正により、年10日以上の有給が付与される労働者には、年5日の取得が会社の義務となりました。これは、日本の有給取得率が長く低水準だったことを背景に、休暇を取りやすい社会をつくるために導入された制度です。
この義務化により、会社側にも「従業員に有給を取らせる責任」が生じました。つまり、有給は「取らせてもらうもの」から「会社が取得を促すもの」へと位置づけが変わってきています。
▶ 年5日取得義務のポイント
年10日以上付与される人は、年5日は必ず取得する必要があります。会社は取得状況を管理し、取れていない場合は時季を指定してでも取らせる義務があります。
有給休暇の取得しやすさは、企業の働きやすさを映す重要な指標です。取得率が高い職場には、共通する特徴があります。
▶ 取りやすい職場の特徴
就活では、有給取得率の数字だけでなく、「実際に取りやすい雰囲気か」を説明会やOB・OG訪問で確かめると、入社後のミスマッチを防げます。取得率の具体的なデータは、別記事の業界別ランキングも参考になります。
有給取得をめぐって困ったときは、まず事実とルールを確認しましょう。多くのトラブルは、仕組みを正しく知っておくことで冷静に対処できます。
★ 困ったときの対処
「有給を取らせてもらえない」「取得理由を細かく問いただされる」などの場合、会社は原則として取得を拒否できません(繁忙期などに日程をずらす時季変更権はありますが、取得そのものは拒否できません)。解決しないときは、社内の相談窓口や、各都道府県の労働局・労働基準監督署に相談しましょう。
また、有給取得を理由に評価を下げたり、不利益な扱いをしたりすることは法律で禁止されています。安心して取得して問題ありません。
有給休暇をめぐっては、知らないことで損をしてしまうケースがあります。次のような失敗は避けましょう。
✕ やりがちなNG例
これらは、仕組みを知り、少しの配慮をするだけで防げます。権利は正しく理解してこそ、安心して使えます。
有給休暇を計画的に使うことは、働く人にとっても会社にとってもメリットがあります。心身のリフレッシュは、結果的に仕事の生産性を高めます。
また、付与された日数を年間で見通して使えば、急な体調不良に備えて一部を残しておくこともできます。
▶ 有給の活用例
近年は年5日の取得が義務づけられているため、年度の早い段階で取得計画を立てておくと安心です。残日数と付与日を把握し、自分なりの使い方を決めておきましょう。
有給休暇の知識は、社会人になってから初めて学ぶ人が多いですが、就活の段階で知っておくと大きな差になります。企業を選ぶときに「有給取得率」という指標の意味がわかり、働きやすさを見極める判断材料にできるからです。
面接の逆質問で、有給の取りやすさについて尋ねるのも有効です。ただし聞き方には配慮が必要で、「長く健康に働きたいので教えてください」という前向きな姿勢で質問すると、好印象につながります。
休暇制度への理解は、入社後に自分を守り、心身を整えながら長く働くための土台になります。権利を正しく知り、上手に活用していきましょう。
Q1. 有給休暇は理由を言わないと取れない?
取得理由を会社に伝える義務はありません。
「私用のため」で十分です。会社が理由を細かく問いただす必要はなく、原則として取得を拒否することもできません。
Q2. 入社してすぐ有給は取れる?
原則として入社6か月後から付与されます。
ただし企業によっては入社直後から使える独自制度を設けている場合もあるため、就業規則を確認しましょう。
Q3. アルバイトでも有給はもらえる?
条件を満たせばもらえます。
勤続6か月・出勤率8割以上が基本条件です。週の労働日数に応じて比例付与されます。
Q4. 有給はいつまでに使わないと消える?
付与から2年で時効により消滅します。
使い切れなかった分は翌年に繰り越せますが、2年を過ぎた分は消えるため計画的に取得しましょう。
Q5. 退職前にまとめて有給を使える?
使えます。
退職時に残った有給を消化することは可能です。引き継ぎとあわせて早めに相談するとスムーズです。
Q6. 会社に「今は取るな」と言われたら?
時季をずらす調整はあり得ますが、取得自体は拒否できません。
別の日を提案された場合は調整し、解決しなければ労働基準監督署に相談できます。
Q7. 有給を取ると評価が下がる?
取得を理由にした不利益な扱いは禁止されています。
有給取得で査定を下げることは認められていません。安心して取得して問題ありません。
Q8. 半日や時間単位で取れる?
制度があれば取得できます。
半日単位・時間単位の有給は、会社が制度を導入している場合に利用できます。就業規則を確認しましょう。
Q9. 有給取得率は会社選びの参考になる?
働きやすさの重要な指標になります。
取得率が高い企業は、休暇を取りやすい風土が整っている傾向があります。説明会などで確認しましょう。
Q10. 有給を使って何をしてもいい?
原則として自由です。
旅行・通院・私用など、過ごし方は問われません。心身のリフレッシュに活用しましょう。

📌 この記事のまとめ