
「ハラスメントのない職場で働きたい」——誰もがそう願いますが、どんな職場が安全かを入社前に見分けるのは簡単ではありません。
結論として、ハラスメントは法律で企業に防止が義務づけられており、起きにくい職場には共通の特徴があります。種類と対処法、見分け方を知っておくことで、自分を守り、健全な企業を選べます。
累計3,625社以上を審査し650社以上を認定してきた当機構の視点でも、ハラスメントのない職場は、風通しのよさと相談体制が整っています。この記事では、ハラスメントの種類・起きにくい職場の特徴・受けたときの対処・相談窓口・就活での見抜き方を解説します。
日本次世代企業普及機構 代表理事
岩元 翔
累計3,625社以上を審査し、650社以上を認定してきた中で、ハラスメントのない職場には共通点があると実感しています。それは、困ったことを率直に言い合える風通しのよさと、相談窓口が実際に機能していることです。ハラスメントは受けた側の問題ではなく、行う側と放置する組織の問題です。万一のときは一人で抱え込まず、記録を取り、早めに相談してください。健全な職場を選ぶ目を、就活のうちから養っておきましょう。
📋 この記事でわかること
目次
ハラスメントとは、相手に不快感や不利益を与える嫌がらせ全般を指します。職場では主に次のような種類があります。
▼ 職場の主なハラスメント
| 種類 | 主な内容 |
|---|---|
| パワーハラスメント | 立場を利用した嫌がらせ・過度な叱責・人格否定 |
| セクシュアルハラスメント | 性的な言動による不快・不利益 |
| マタニティハラスメント | 妊娠・出産・育児を理由とした不利益な扱い |
| モラルハラスメント | 言葉や態度による精神的な攻撃 |
| 就活ハラスメント | 就活生への不当な圧力(オワハラ等) |
ハラスメントは、する側の意図に関わらず、受け手が不快や不利益を感じれば問題となり得ます。「冗談のつもり」「指導のつもり」でも、相手を傷つければハラスメントになりうる点を、双方が理解しておくことが大切です。
近年は、これらに加えてリモートワーク下での「リモートハラスメント」や、相手の意に反した執拗な連絡なども問題として認識されるようになっています。働き方の変化とともに、ハラスメントの形も多様化しています。
「厳しい指導」と「パワーハラスメント」は、どこで線引きされるのでしょうか。判断の基準は、業務上必要かつ相当な範囲を超えているかどうかです。
▶ 指導とハラスメントの違い
適正な指導は「業務の改善」が目的で、相手の成長を促すものです。一方、人格否定・過度な叱責・見せしめのような叱り方は、指導の範囲を超えてハラスメントにあたります。目的と手段が適切かどうかが分かれ目です。
指導を受けること自体は成長の機会ですが、それが人格攻撃や精神的な圧迫になっていると感じたら、我慢せず相談してよいのです。
ハラスメントが起きにくい職場には、組織としての共通点があります。就活で企業を見るときの参考になります。
▶ 起きにくい職場の特徴
こうした風土は一朝一夕にはできないため、長く働く社員が多い(離職率が低い)ことも、健全さの一つの目安になります。
逆に、特定の人だけが頻繁に辞めていく、上司の顔色をうかがう空気が強いといった職場は、注意が必要なサインといえます。
もしハラスメントを受けたら、一人で抱え込まず、次の手順で対処しましょう。
▼ ハラスメント対処の流れ
▼
① 記録
日時・内容を残す
② 社内相談
窓口・上司に相談
③ 外部窓口
労働局等に相談
記録を残しておくことが、相談・解決の大きな助けになります
★ 記録しておくこと
証拠がない段階でも相談はできます。まずは記憶を整理してメモに残し、信頼できる人や窓口に話すことで、状況を客観的に整理できます。
ハラスメントは、受けた人の心身に深刻な影響を及ぼします。我慢を続けると、睡眠障害・抑うつ・出社困難などにつながることもあります。
「自分が弱いから」「これくらい普通かもしれない」と自分を責める必要はありません。ハラスメントは受けた側の問題ではなく、行った側と、それを放置する組織の問題です。
★ 早めの対処が大切
心身に不調を感じたら、無理をせず、早めに相談・受診することが回復への近道です。我慢して働き続けるより、環境を変える選択肢も含めて検討しましょう。
入社前に、ハラスメントのリスクをある程度見極めることもできます。
▶ 就活で確認したいポイント
ただし、ネット上の口コミは個人の主観や古い情報も含まれるため、鵜呑みにするのは禁物です。複数の情報源を照らし合わせ、最終的には自分の目と耳で確かめる姿勢が大切です。
面接は企業を見極める貴重な機会でもあります。逆質問で「働く環境づくりで力を入れていること」を尋ねると、企業の姿勢が見えてきます。
ハラスメント対策は、企業の「善意」ではなく「法的な義務」です。
2020年6月(中小企業は2022年4月)から、すべての企業にパワーハラスメント防止のための措置が義務づけられました。具体的には、方針の明確化・相談体制の整備・再発防止などが求められています。
▶ 企業に義務づけられている対策
きちんと対策を講じている企業かどうかは、相談窓口の有無や研修の実施状況から判断できます。
ハラスメントに悩んだときは、社内外に相談できる窓口があります。一人で抱え込まないことが何より大切です。
▶ 主な相談先
どこに相談すればよいか迷う場合は、まず各都道府県の総合労働相談コーナーに連絡すれば、無料で相談でき、適切な窓口を案内してもらえます。相談する際は、記録したメモや証拠を持参するとスムーズです。
相談は対面だけでなく、電話やメールで受け付けている窓口もあります。匿名で相談できる場合もあるため、「名前を知られたくない」という理由で諦める必要はありません。
もし同僚や後輩がハラスメントを受けているのに気づいたら、見て見ぬふりをしないことが大切です。
▶ できるサポート
周囲の理解とサポートは、被害を受けた人にとって大きな支えになります。ハラスメントのない職場は、一人ひとりの意識でつくられます。
「おかしい」と感じたことを声に出せる職場は、それだけで健全さの証です。小さな違和感を共有できる関係づくりが、ハラスメントの芽を早期に摘むことにつながります。
ハラスメントに直面したとき、対応を誤ると状況が悪化することがあります。次のような対応は避けましょう。
✕ やりがちなNG例
ハラスメントは早期に対処するほど解決しやすくなります。記録を取り、適切な窓口に相談するのが、自分を守る最善の方法です。
ハラスメントの知識は、社会に出る前に身につけておきたい大切なものです。どんな言動が問題になるかを知っておけば、自分が被害に遭ったときに気づけるだけでなく、無意識に加害者にならないためにも役立ちます。
就活では、企業のコンプライアンス体制や働きやすさへの取り組みを確認することで、安全な職場を選ぶ目が養われます。
健全な職場で働くことは、長く前向きにキャリアを築く土台になります。「おかしい」と感じる感覚を大切にし、困ったときは一人で抱え込まず相談する——この姿勢を、今のうちから持っておきましょう。
学生時代のアルバイトやサークルでも、人間関係の問題は起こり得ます。困ったことを相談する練習を今のうちにしておくと、社会に出てからも自分を守る力になります。
Q1. これってハラスメント?と迷ったら
まず記録を取り、相談することが大切です。
判断に迷う段階でも、日時や内容を記録し、信頼できる人や相談窓口に話すことで、客観的に整理できます。
Q2. 指導とパワハラの違いは?
業務上必要な範囲を超えるかどうかが基準です。
適正な指導は業務改善が目的ですが、人格否定や過度な叱責は指導の範囲を超えハラスメントにあたります。
Q3. 証拠がないと相談できない?
証拠がなくても相談できます。
まずは記憶を整理してメモに残しましょう。相談の過程で対応方法を一緒に考えてもらえます。
Q4. 相談したら不利益を受けない?
相談を理由とした不利益な扱いは禁止されています。
安心して相談して問題ありません。社内で解決しない場合は外部の労働局にも相談できます。
Q5. 社内に相談窓口がない場合は?
外部の公的窓口を利用できます。
各都道府県の総合労働相談コーナーや労働局で、無料で相談を受け付けています。
Q6. 就活でハラスメント体質を見抜くには?
離職率・面接官の態度・体制を確認します。
口コミは参考程度にしつつ、面接での対応やコンプライアンス体制の有無を見ると判断材料になります。
Q7. オワハラもハラスメント?
就活生への不当な圧力はハラスメントにあたります。
他社の選考辞退を強要するなどの行為は問題があります。冷静に距離を取り、必要なら大学や窓口に相談しましょう。
Q8. 我慢し続けるとどうなる?
心身の不調につながるため早期対処が大切です。
無理を続けると健康を損ないます。早めに相談し、必要なら環境を変える選択肢も検討しましょう。
Q9. ハラスメントは会社の責任?
会社には防止する法的な義務があります。
防止措置を講じるのは企業の責任であり、起きた場合は適切な対応が求められます。
Q10. 安全な職場を選ぶには?
体制と風土の両面を確認します。
相談窓口の有無に加え、風通しの良さや多様性への姿勢を、説明会やOB訪問で確かめましょう。

📌 この記事のまとめ