
「育休って男性も取れるの?」「介護と仕事は両立できる?」——働く前は遠い話に思えても、ライフイベントは誰にでも訪れます。
結論として、産休・育休・介護休業は法律で定められた権利であり、条件を満たせば性別を問わず利用できます。制度を正しく知っておけば、家庭の事情があっても仕事を続けやすくなります。
累計3,625社以上を審査し650社以上を認定してきた当機構の視点でも、両立制度が「実際に使える」企業は、定着率が高く働きやすい傾向があります。この記事では、産休・育休・介護休業の仕組みと使い方・両立の工夫・制度が整った企業の選び方を解説します。
日本次世代企業普及機構 代表理事
岩元 翔
累計3,625社以上を審査し、650社以上を認定してきた中で、仕事と家庭を両立できる会社には共通点があると感じます。それは、制度があるだけでなく、実際に使える空気があることです。産休・育休・介護休業は法律で守られた権利であり、性別を問わず利用できます。学生のうちから制度を知っておけば、ライフイベントを見据えた企業選びができ、長く安心して働けます。
📋 この記事でわかること
目次
働きながら出産・育児・介護といったライフイベントに対応するため、法律でいくつかの休業・休暇制度が定められています。
代表的なのが、産前産後休業(産休)・育児休業(育休)・介護休業の3つです。いずれも条件を満たせば取得でき、休業中の収入を支える給付金の制度もあります。
▶ 主な両立制度
これらは「特別な人のための制度」ではなく、働く誰もが必要に応じて使える権利です。
これらの制度は、本人や家族の状況に応じて組み合わせて使えます。まずは「どんな制度があるか」を知っておくことが、いざというときに慌てないための第一歩です。
産休は、出産する本人が取得できる休業です。法律で取得が認められており、対象は雇用形態を問いません。
▶ 産休のポイント
産休は母体の保護を目的とした制度で、特に産後の一定期間は法律上、就業させてはならないと定められています。
育休は、原則として子が1歳になるまで(事情により最長2歳まで)取得できる休業です。男女問わず取得でき、近年は男性の取得も進んでいます。
▼ 育休取得の流れ
▼
① 申し出
原則1か月前までに
② 調整
業務の引き継ぎ
③ 取得
育児休業給付を受給
早めに申し出て引き継ぎを整えると、安心して取得できます
▶ 育休のポイント
近年は「産後パパ育休(出生時育児休業)」など、男性が取得しやすい制度も整備されています。夫婦で協力して育児に取り組む形が広がっています。
介護休業は、家族の介護が必要になったときに取得できる休業です。育児に比べて知られていませんが、誰にとっても身近になりうる制度です。
▶ 介護休業のポイント
介護は突然始まることが多く、見通しが立てにくいものです。介護休業は「自分が介護に専念する」ためだけでなく、「介護の体制を整える」ために使うのが基本的な考え方です。
介護は育児と違い、いつ終わるか見通しが立ちにくいのが特徴です。だからこそ、介護休業で体制を整え、その後は介護休暇や時短勤務などを組み合わせて、長期戦に備える発想が大切です。
「休業中の生活が不安」という声は多いですが、休業中の収入を支える給付制度があります。
▼ 主な給付制度の目安
| 制度 | 支給のしくみ(目安) |
|---|---|
| 出産手当金 | 産休中、給与の一定割合を健康保険から |
| 出産育児一時金 | 出産費用に対して一定額を支給 |
| 育児休業給付金 | 育休中、休業前賃金の一定割合を雇用保険から |
| 介護休業給付金 | 介護休業中、賃金の一定割合を雇用保険から |
給付の割合や条件は制度によって異なります。詳細は勤務先の人事や、健康保険組合・ハローワークで確認できます。「休業=無収入」ではない点を知っておくと安心です。
給付の申請は勤務先を通じて行うのが一般的です。手続きの流れや必要書類は早めに人事へ確認しておくと、休業に入ってから慌てずに済みます。
制度を使うだけでなく、日々の働き方を工夫することも両立のカギになります。
▶ 両立の工夫
一人で抱え込まず、職場と家庭の両方で「協力し合える体制」をつくることが、無理なく続けるコツです。
たとえば、子の急な発熱には子の看護休暇、家族の通院付き添いには介護休暇など、短期の休暇制度も組み合わせられます。
就活では、ライフイベントを見据えて「両立しやすい企業か」を確認しておくと、長く働ける会社を選べます。
▶ 確認したいポイント
「制度がある」だけでなく「実際に使われているか」が重要です。育休取得率や復職率の数字、社員の体験談を、説明会やOB・OG訪問で確認しましょう。
とくに男性の育休取得率は、近年公表が進んでおり、企業の本気度がはっきり表れる指標です。数字が高い企業は、性別に関わらず働き続けやすい風土があるといえます。
両立制度には誤解も多く、知らないことで損をしたり、選択を誤ったりすることがあります。
✕ やりがちなNG例・誤解
制度は正しく知ってこそ活用できます。性別やライフステージに関わらず、必要なときに堂々と利用してよい権利です。
近年は、仕事と家庭の両立を社会全体で支える動きが強まっています。
男性の育休取得を促す制度改正や、育休取得状況の公表義務化など、企業に両立支援を求める流れが進んでいます。
▶ 近年の主な動き
こうした流れを知っておくと、企業がどれだけ両立支援に前向きかを評価する目が養われます。
育休・産休・介護休業は、就活の段階では先のことに感じるかもしれません。しかし、制度を知っておくことは、長期的なキャリアを描くうえでとても大切です。
「結婚や出産、家族の介護があっても働き続けられるか」という視点で企業を見ると、長く安心して働ける会社を選べます。育休取得率やくるみん認定は、その判断材料になります。
制度は性別を問わず使える権利です。今のうちから正しく理解し、ライフイベントとキャリアの両方を大切にできる働き方を考えておきましょう。
Q1. 育休は男性も取れる?
取れます。
育児休業は男女問わず取得でき、近年は産後パパ育休など男性向けの制度も拡充されています。
Q2. 産休と育休はどう違う?
産休は出産前後、育休は育児のための休業です。
産休は出産する本人が出産前後に取る休業、育休は子を養育するために男女が取れる休業です。
Q3. アルバイトや契約社員でも取れる?
条件を満たせば取得できます。
育休や介護休業は、一定の要件を満たせば有期雇用の人も対象になります。勤務先に確認しましょう。
Q4. 休業中の収入はどうなる?
給付金で一定割合が支えられます。
育児休業給付金や介護休業給付金、出産手当金などがあり、休業=無収入ではありません。
Q5. 介護休業は何日取れる?
対象家族1人につき通算93日までです。
3回まで分割して取得できます。短期の介護休暇も別にあります。
Q6. 育休はいつまでに申し出る?
原則1か月前までです。
早めに申し出て業務の引き継ぎを整えると、安心して取得できます。
Q7. 取得すると不利益を受けない?
取得を理由とした不利益な扱いは禁止されています。
降格や解雇などは認められません。困った場合は労働局などに相談できます。
Q8. 育休取得率はどこで分かる?
企業の採用ページや公表データで確認できます。
大企業は公表が義務づけられています。説明会やOB訪問で実例を聞くのも有効です。
Q9. 両立しやすい企業の見分け方は?
取得率と実際の使われ方を確認します。
制度の有無だけでなく、男性の育休取得率や復職率、くるみん認定の有無を見ましょう。
Q10. くるみん認定とは?
子育て支援に積極的な企業の認定制度です。
一定の基準を満たした企業が認定され、両立しやすい企業を選ぶ目安になります。
休業はゴールではなく、その後の復職まで含めて「両立」です。復職をスムーズにするための準備も知っておきましょう。
▶ 復職をスムーズにする工夫
復職後にいきなりフル稼働を目指すと無理が生じがちです。時短勤務や在宅勤務を活用しながら、徐々にペースを戻していくことが、長く働き続けるコツです。会社の制度と家庭の体制の両面で、復職後を見据えた準備をしておきましょう。
かつて育休は女性が取るものというイメージがありましたが、現在は男性の取得が制度・社会の両面で後押しされています。
▶ 男性育休のポイント
男性が育児に関わることは、家庭にとってだけでなく、本人のキャリアや視野にとってもプラスになります。男性の育休取得率は、その企業が両立支援に本気かを測る重要な指標でもあります。

📌 この記事のまとめ