
エントリーシートをAIで整えたあと、「このまま提出していいのか」と判断に迷う——これは今、多くの就活生に共通する悩みです。AIでそれらしい文章がすぐ作れる時代だからこそ、「自分の言葉になっているか」が自分では見えにくくなっています。
結論、AIを就活に使うこと自体は問題ありません。採用側も歓迎しています。差がつくのは「AIを使ったかどうか」ではなく、その文章に実体験と具体性が残っているかです。この記事では、ホワイト財団が認定する企業の社長たちの本音をもとに、AIで整えたESに自分の経験を残す具体的な方法を解説します。
日本次世代企業普及機構 代表理事
岩元 翔
累計3,625社以上を審査し、650社以上を認定してきました。私たちは認定企業の経営者と直接話す機会が多く、「AIを使う学生をどう見ているか」を率直に聞いてきました。結論はシンプルで、道具を使うこと自体は誰も問題視していません。見られているのは、その文章が本人の経験に基づいているか、面接で掘り下げても答えられるか。この記事では、経営者の本音を根拠に、AIで整えたESに自分の経験を残す方法を解説します。
📋 この記事でわかること
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目次
ESにAIを使ったことに、どこか後ろめたさを感じる人もいます。しかしAIを就活に使うことは、今や一般的であり、採用する側もそれを前提にしています。2026年卒の就活生の約3人に2人がAIを就活に活用しているという調査もあり、企業側も採用業務でAIを使う時代です。実際に認定企業の社長に聞いた本音がこちらです。
🎙 社長の本音①「AIを使うこと、どう思う?」
「ESにAIを使うのは全然OKです。むしろ使いこなせない方が、これからの時代は心配。ただし、AIで作った”きれいな文章”と、その人の”中身”は、完全に別物として見ています」
── 認定企業 IT企業A社 社長
「私たち自身、業務でAIを使う時代です。学生が使うのはごく自然なこと。むしろ禁止する会社の方が時代遅れだと思いますよ」
── 認定企業 製造業B社 役員
AIでESを整えること自体は、問題ではありません。差がつくのは「使ったかどうか」ではなく、その文章に本人の経験と具体性が残っているかです。次の章で、採用側が具体的に何を見ているかを確認します。
AIが一般化した今、採用担当者の「見る目」はむしろ厳しくなっています。きれいな文章は誰でも作れるからこそ、その奥にある本人の経験や理解度を見抜こうとするのです。社長たちはこう語ります。
🎙 社長の本音②「AIを使ったESでも、何で”中身”を見抜く?」
「面接で『なぜ?』を3回繰り返せば、自分の言葉か借り物かはすぐ分かります。AIで作ったESは、深掘りにとても弱いんです」
── 認定企業 IT企業A社 社長
「ESに書いてある内容と、本人が話すときの熱量にギャップがある人。書いてあることを、本人が一番理解していないケースは、残念ながらすぐ伝わります」
── 認定企業 商社C社 採用担当
ここに本質があります。採用側が見ているのは文章の上手さではなく、「その経験が本当に本人のものか、深掘りされても答えられるか」。だからESには、面接で何を聞かれても答えられる、自分の経験に裏打ちされた具体性が必要です。次の章から、その具体性をどう残すかを解説します。
AIを使って受かる人は、「AIに任せる部分」と「自分で書く部分」をはっきり分けています。この線引きが、深掘りに耐えるESを作る最大のコツです。
✂️ AIに任せる範囲 / 自分で書く範囲
🤖 AIに任せてOK
✍️ 自分で書く
ポイントは、AIは「整える道具」、中身は「自分の経験」という役割分担です。AIに丸ごと書かせると、中身が空の”きれいなだけのES”になり、第2章の社長たちが指摘する「深掘りに弱いES」になってしまいます。
同じガクチカを「AIにそのまま書かせた場合」と「自分の経験を加えて書き直した場合」で比べてみましょう。
😐 Before:AIにそのまま書かせたガクチカ
私が学生時代に力を入れたのは、アルバイトでのチームワークです。飲食店のアルバイトでスタッフ間の連携を意識し、お客様により良いサービスを提供できるよう努めました。その結果、お店の評価が向上し、私自身もコミュニケーション能力を高めることができました。この経験を貴社でも活かしたいと考えています。
😊 After:自分の経験(具体・数字)を加えたガクチカ
居酒屋のホールで、ピーク時の提供遅れに悩みました。お客様に「遅い」と叱られ、悔しくて、原因を紙に書き出したんです。すると注文と厨房の連携が断絶していると気づき、ホワイトボードに「注文→調理→提供」の進捗を貼る仕組みを提案しました。最初は先輩に「面倒」と反対されましたが、1週間試すと提供時間が平均12分から7分に短縮。クレーム件数も月8件から2件に減りました。この「現場の不便を放置せず、仕組みで解く」という進め方を、貴社の◯◯の現場でも活かしたいです。
💡 違いはどこか:Afterには「居酒屋・ホワイトボード」という固有名詞、「12分→7分・月8件→2件」という数字、「先輩に反対された」という具体的な経緯があります。これらは本人にしか書けない=AIには作れない部分。面接で深掘りされても、実体験なので答えに詰まりません。Beforeのように抽象的だと、「具体的には?」の一言で止まってしまいます。
AIで整えたESを提出する前に、次の3つを確認してください。すべて「はい」なら、面接の深掘りに耐えるESです。
このエピソード、原稿なしで5分間しゃべれるか?
面接の深掘りは結局この一点。具体的に語れるなら実体験に基づいている証拠。
「なぜこの会社か」を自分の言葉で答えられるか?
AIが出す一般論的な志望動機は、面接で特に見抜かれやすい。自分が選んだ理由を。
固有名詞・数字・具体的な経緯が残っているか?
AIは整えるほど具体性を削る。抽象的な美文になっていないかを確認。
最後に、社長たちが語る「AIを使っても受かる人」「惜しくも落ちる人」の違いを見ておきましょう。両者を分けるのは、AIの使い方そのものです。
🎙 社長の本音③「AIを使って受かる人・落ちる人」
「AIには”たたき台”を作らせて、最後は必ず自分の言葉で書き直す人。AIを”壁打ち相手”として使えている人は、面接でも強いです」
── 認定企業 製造業B社 役員
「逆に惜しいのは、ESは完璧なのに面接で『その経験で一番つらかったことは?』に答えられない人。AIが盛った経験だと、そこで止まってしまうんです」
── 認定企業 IT企業A社 社長
⭕ 受かる人
❌ 落ちる人
違いは明確です。AIの出力をそのまま出すか、自分の経験を加えて書き直すか。この一手間の有無が、面接での深掘り耐性を分けます。
AIで作った下書きを提出可能なESに仕上げるために、提出前にこのリストで点検しましょう。
✅ 提出前チェックリスト
そして、応募する企業が本当に「長く活躍できるホワイト企業」なのかも、あわせて確認しておきましょう。入社後に後悔しない選択のために、ホワイト企業とは(7つの特徴と見分け方)や認定企業一覧も参考になります。
Q1. ESにAIを使うのは、そもそもアリ?
アリです。就活生の約3人に2人が使い、企業も採用業務でAIを使う時代。認定企業の社長たちも「むしろ使えた方がいい」と語っています。問題は使うことではなく、本人の経験が残っているかです。
Q2. AIで書いたESはバレる?
「丸投げ」はバレます。社長たちは面接で『なぜ?』を繰り返して深掘りするため、中身が空のESは見抜かれます。逆に、自分の体験を自分の言葉で加えていれば、AIで整えても問題ありません。
Q3. AIで作ったESで落ちる人の特徴は?
思考をAIに丸投げし、本人の経験が消えた人です。エピソードを盛りすぎて面接で答えられない・抽象的で誰にでも当てはまる・記載内容と話す熱量にギャップがある、といったケースです。
Q4. 逆に、AIを使っても受かる人は?
AIをたたき台・壁打ちに使い、最後は自分の言葉で仕上げる人です。具体的な体験・数字・固有名詞を自分で入れているため、面接の深掘りにも答えられます。
Q5. AIにどこまで任せて、どこから自分でやるべき?
構成・文法チェック・圧縮・壁打ちはAI、エピソード・経緯・固有名詞・志望理由は自分が原則です。AIは「整える道具」、中身は「自分の経験」と考えましょう。
Q6. 志望度が高い企業のESほど注意することは?
志望度が高いほど「なぜこの会社か」を自分の言葉で言えるかが鍵。AIの一般論的な志望動機は見抜かれやすいので、その企業を選んだ理由を自分の体験と結びつけて書きましょう。
Q7. AIっぽい文章の特徴は?
抽象的で誰にでも当てはまる・整いすぎて具体性がない・固有名詞や数字がない・経緯や失敗が省かれているのが特徴です。逆に言えば、これらを自分で補えばAIっぽさは消えます。
Q8. AIで自己分析してもいい?
有効です。ただしAIは入力した情報からしか分析できません。「引き出す道具」として使い、出てきた結果は「本当にそうか」と自分で吟味することが大切です。
Q9. 企業研究にAIを使うときの注意点は?
情報の正確性を一次情報で確認すること。AIの情報は古かったり誤っていたりする場合があります。企業の公式サイト・採用ページ・IR資料で裏付けを取りましょう。
Q10. AIに個人情報を入力しても大丈夫?
氏名・住所・電話番号などの個人情報は入力しないのが原則です。情報漏洩のリスクがゼロではありません。エピソードを相談する際も、特定される情報は伏せましょう。
Q11. どのAIツールを使えばいい?
目的によります。文章の整え・壁打ちは万能型、最新の企業情報は検索連携型、長い資料の読み込みは資料分析型が得意です。まずは1つを使い込むことをおすすめします。
Q12. AIで作ったESを、そのまま提出してもいい?
そのままはおすすめしません。必ず自分の体験・経緯・固有名詞を加えて書き直してください。AIの出力は「下書き」。自分の経験を加えて初めて、深掘りに耐えるESになります。
Q13. 結局、AI就活で一番大切なことは?
「AIで整え、中身は自分の経験で埋める」こと。そして、応募先が本当に長く活躍できる会社かを見極めること。AIは手段であり、評価されるのは本人の経験です。
ESにAIを使うことは問題ありません。差がつくのは、AIで整えた文章に、本人にしか書けない体験・具体的な数字・固有名詞が残っているかです。AIは構成を整える道具、中身を埋めるのは自分——この役割分担さえ守れば、AIは就活の効率を上げる有効な道具になります。
📌 この記事のまとめ