会社にはリスクがたくさん!ホワイト企業が取り組んでいるリスクマネジメントとは?取り組み内容の解説

就活で企業を選ぶとき、事業内容や働く環境などポジティブな面に目が向きがちです。しかし近年、リスクマネジメントに真剣に取り組んでいるかどうかが、企業の安定性を測る重要な指標になっています。

ホワイト企業認定の審査でも2020年3月にリスクマネジメントが審査項目に追加されました。「事業の魅力」だけでなく「足元をしっかり固めている企業かどうか」を見極める視点として知っておきましょう。

岩元翔

キャリアアドバイザーコメント

日本次世代企業普及機構 代表理事 岩元 翔

リスクマネジメントは就活生には難しいテーマに見えますが、「いざというときに社員を守れる会社かどうか」というシンプルな視点で考えるとわかりやすくなります。BCPや情報セキュリティへの取り組みは、企業の経営基盤の強さを示す指標です。

リスクマネジメントとは?危機管理との違い

リスクマネジメントとは、企業経営において損失を生じうるリスクを網羅的に把握し、その影響を事前に回避または事後に最小化する対策を講じる経営管理手法のことです。

■ リスクマネジメントとクライシスマネジメントの違い

用語 意味 タイミング
リスクマネジメント 危機発生前にリスクを管理し影響を最小限に抑える手法 危機発生前
クライシスマネジメント(危機管理) 危機が発生した後の対処・復旧のための管理手法 危機発生後

リスクの2つの種類

◆ リスクの2分類

  • ① マイナスのみのリスク:火災・台風・地震などの自然災害や人為的ミス。財産損失・損害賠償リスクなど利益を得る可能性がないリスク
  • ② マイナス・プラス両方のリスク:税制改正・景気変動・消費者動向の変化など、政治・経済情勢の変化による経営環境の変化。損失にも機会にもなりうる

企業が実践するリスクマネジメントの4つの手順

手順① リスクを発見・特定する

組織全体でリスクの重要性を共有し、存在するリスクをリスト化します。各部門から最低1名が参加する形で全社的に洗い出すことが重要です。

手順② リスクを分析・評価する

リストアップしたリスクに「影響度」と「発生頻度」を加えて優先順位をつけます。PIマトリックス(影響度×発生確率)でリスクを視覚化する手法が一般的です。影響力が小さくても発生頻度が高いリスクは軽視しないことが重要です。

手順③ リスクに対応する

優先順位の高いリスクから対策を検討します。対応は2種類に分けられます。

  • リスクコントロール:リスクを生む要因を取り除く。マニュアル策定・緊急対応ルールの整備など
  • リスクファイナンス:損害保険への加入・他社とのリスク分散など経済的損失を補填する方法

手順④ モニタリング・継続的改善

多くの企業で見落とされがちなステップです。定期的にリスクマネジメントの実施状況を検証し改善し続けることが、形だけでなく機能するリスク管理の鍵です。

企業が取り組むリスクマネジメントの具体例4選

① 情報セキュリティ

情報漏洩・サイバー攻撃のリスクへの備えです。どれほど精緻なセキュリティ対策を設計しても、従業員が理解・遵守していなければ意味がありません。

◆ 情報セキュリティ対策のポイント

  • セキュリティポリシーを全従業員に周知・教育する
  • ネットワーク機器一覧・情報資産台帳などを整備する
  • 退職・異動した従業員のアカウントを即削除する
  • 外部専門家の意見を取り入れてセキュリティレベルを維持する

② 労働安全衛生

従業員が安全・健康に働ける環境づくりへの取り組みです。管理責任者を選任し、安全衛生計画を策定・実施・評価するPDCAサイクルを回すことが求められます。

◆ 労働安全衛生の取り組みポイント

  • 安全衛生方針を表明し、目標を設定する
  • 労働時間の管理・教育を含む安全衛生計画を策定する
  • ポスター掲示・表彰制度・セミナーで従業員の意識向上を図る

③ BCP(事業継続計画)の策定・更新

BCP(Business Continuity Plan)とは、緊急事態が発生しても事業を継続・早期復旧できるよう事前に準備する計画です。BCPを整備している企業は取引先・社会からの信頼も高まります。

④ 重要機密情報のバックアップ

個人情報・顧客データなどの重要情報は、ウイルス感染・自然災害・人為的ミスに備えて複数の場所にバックアップを保管することが求められます。クラウドサーバーの活用も有効です。

就活でリスクマネジメントへの取り組みを見極めるポイント

◆ 就活で確認したいチェックポイント

  • 情報セキュリティに関する方針や研修制度はあるか
  • BCPは策定されており、定期的に更新・訓練されているか
  • 労働安全衛生に関する目標・計画はあるか
  • ホワイト企業認定などの第三者評価を取得しているか

「この企業はいざというときに社員を守れる体制があるか」という視点で見ることが、長く安心して働ける職場を選ぶための重要な視点になります。

まとめ

リスクマネジメントまとめ

◆ この記事のまとめ

  • リスクマネジメントとは危機発生前にリスクを管理する経営手法
  • リスクは「マイナスのみ」と「マイナス・プラス両方」の2種類
  • 4つの手順:①特定→②分析・評価→③対応→④モニタリング・改善
  • 具体的な取り組みは情報セキュリティ・労働安全衛生・BCP・バックアップの4つ
  • 就活では「社員を守る体制があるか」という視点で企業を見極めることが重要

   
運営者情報

日本次世代企業普及機構 代表理事岩元 翔

東証1部上場企業の求人広告会社にて新卒・中途採用のコンサルティング業務を学び、その後ITベンチャー企業にて自社採用業務、教育業務に従事。2020年には一般財団法人日本次世代企業普及機構の代表理事に就任。これまでの経験、実績を活かし、経営者や従業員にとって道しるべとなる「ホワイト企業指標」を作り上げた。