
「退職金って実際いくらもらえるの?」「中小企業でも退職金はあるの?」「企業型確定拠出年金(DC)との違いは?」——退職金は老後の生活を支える大切な資産ですが、企業によって制度や金額が大きく異なります。
結論、大企業の大卒・定年退職で約2,000万円・公務員で約2,200万円が目安。一方、中小企業では約1,000万円、退職金制度がない企業も2割存在します。本記事では、退職金の相場・業界別/勤続年数別の早見表・3つの計算方式・税金の計算・退職金のない企業の見極め方・Q&A 13問まで、累計3,625社を審査した認定機関の視点で徹底解説します。
日本次世代企業普及機構 代表理事
岩元 翔
累計3,625社以上を審査し、650社以上を認定してきました。退職金は新卒就活ではあまり意識されませんが、生涯年収の10〜15%を占める重要な要素です。最近は退職金制度を廃止して確定拠出年金(DC)に移行する企業が増えており、運用次第で老後資産が大きく変わります。長期視点で「退職金制度の充実度」も企業選びの基準に入れることが、後悔しない就活につながります。
📋 この記事でわかること
📎 ハブ記事:就活の年収目安と調べ方完全ガイド|基本給・手取りの違いも解説
📎 生涯年収:生涯年収はいくら?業界別・職種別・男女別の生涯年収ランキング
📎 昇給・賞与:昇給・賞与の見方完全ガイド|平均昇給率・ボーナス支給実績の調べ方
目次
退職金とは、会社を退職する際に支給される一時金・年金のこと。法律で義務付けられている制度ではなく、企業が任意で設けるものです。
📊 退職金制度の現状
退職金制度がある企業の割合
大企業:約92%(ほぼ全社あり)
中堅企業:約85%
中小企業:約75%(4社に1社はなし)
近年の傾向:退職金制度の廃止・縮小
企業型確定拠出年金(DC)・iDeCoへの移行が増加。伝統的な退職一時金制度は減少傾向
💼 退職金計算方式3タイプ
① 基本給連動型(伝統型・大企業に多い)
退職時の基本給 × 勤続年数別係数 × 退職事由別係数
例:基本給40万円 × 38(38年勤続) × 1.0(定年退職) = 1,520万円
② 別テーブル型(役職連動型)
勤続年数と役職に応じた金額表で算定
基本給に影響されず、役職と勤続年数のみで決定
③ ポイント制(成果連動型・近年増加中)
勤続ポイント+役職ポイント+評価ポイント × ポイント単価
能力・成果が反映されるため、若くても高い退職金が可能
勤続年数によって退職金は大きく変動します。大卒・大企業・自己都合退職の場合の目安を見ていきましょう。
💰 勤続年数別 退職金目安(大卒・大企業)
勤続 5年(28歳)
自己都合:約60万円 / 会社都合:約100万円
勤続 10年(33歳)
自己都合:約180万円 / 会社都合:約310万円
勤続 15年(38歳)
自己都合:約400万円 / 会社都合:約580万円
⭐ 勤続 20年(43歳)
自己都合:約720万円 / 会社都合:約950万円
勤続 25年(48歳)
自己都合:約1,100万円 / 会社都合:約1,400万円
勤続 30年(53歳)
自己都合:約1,500万円 / 会社都合:約1,800万円
⭐ 勤続 35年(58歳)
自己都合:約1,800万円 / 会社都合:約2,100万円
⭐ 勤続 38〜42年(60〜65歳・定年)
定年退職:約2,000万円〜2,500万円
※退職金共済加入・基本給連動型・大卒大企業の目安
💡 重要な発見:退職金は勤続20年を境に急増します。これが日本企業の終身雇用システムを支えてきた仕組み。若い時に転職するほど退職金は少なくなる「ペナルティ構造」になっています。
🏆 業界別 定年退職金ランキング(大卒・38年勤続)
🥇 1位 公務員(国家・地方) → 約2,200万円
🥈 2位 大手電力・ガス → 約2,400万円
🥉 3位 メガバンク → 約2,300万円
4位 大手通信(NTT等) → 約2,200万円
5位 大手鉄道(JR等) → 約2,100万円
6位 大手自動車・電機 → 約2,000万円
7位 大手化学・素材 → 約1,900万円
8位 大手商社 → 約1,800万円(高年収のため一時金は控えめ)
9位 大手食品・小売 → 約1,500万円
10位 中堅企業全般 → 約1,200万円
11位 中小企業全般 → 約1,000万円
参考:外資系・IT・ベンチャー → 退職金制度なし or DC(運用次第)
🏢 企業規模別 定年退職金目安(大卒)
超大企業(5,000人以上)
→ 約2,400万円
大企業(1,000〜4,999人)
→ 約2,000万円
中堅企業(300〜999人)
→ 約1,500万円
中小企業(100〜299人)
→ 約1,200万円
小規模企業(99人以下)
→ 約700万円(制度なしも多い)
※超大企業と小規模企業で約1,700万円の差
🎓 学歴別 定年退職金(大企業・38年勤続)
大卒(管理職コース)
→ 約2,000〜2,500万円
高専・短大卒
→ 約1,700〜2,000万円
高卒(現業・事務)
→ 約1,500〜1,800万円
退職金には「退職所得控除」という大きな税制優遇があります。長く勤めるほど節税効果が高くなる仕組みです。
🧮 退職所得控除の計算式
勤続20年以下:40万円 × 勤続年数(最低80万円)
勤続20年超:800万円 + 70万円 × (勤続年数 – 20年)
例:勤続38年の場合
800万円 + 70万円 × 18年 = 2,060万円
→ 退職金2,000万円なら所得税ゼロ!
💡 強力な節税効果:定年退職での退職金2,000万円なら所得税ほぼゼロ。さらに残額の1/2にしか課税されない優遇あり。退職金は日本の税制で最も優遇された所得です。
近年、伝統的な退職金制度を廃止して企業型確定拠出年金(企業型DC)に移行する企業が増えています。この違いを理解することが重要です。
📊 退職金 vs 企業型DC 比較
伝統的な退職金(確定給付型)
⚪ 金額が約束されている(安心)
⚪ 退職時に一括受取り可能
✗ 転職時に持ち出せない
企業型確定拠出年金(DC)
⚪ 転職時に持ち出せる(ポータブル)
⚪ 運用次第で増やせる
✗ 運用失敗すると元本割れリスク
✗ 60歳まで引き出し不可
⚠ 退職金制度がない企業を見抜く5つのサイン
サイン①求人票に「退職金制度」の記載がない・「相談」とだけ書かれている
サイン②「年俸制」企業(退職金を年俸に含めるケースあり)
サイン③創業10年未満のベンチャー企業
サイン④外資系企業全般(母国の慣習により退職金制度なしが基本)
サイン⑤従業員数が極端に少ない(社員30人未満)
🏆 退職金の充実度=ホワイト企業の指標
① 退職金制度が明示されている
求人票・採用情報に具体的な制度内容が記載
② 退職金共済に加入
中小企業退職金共済(中退共)等への加入は信頼の証
③ 確定拠出年金(DC)+退職一時金の併用
両方ある企業はリスク分散も配慮された制度設計
④ 早期退職でも一定額を保証
10年未満の退職でも退職金が出る企業は社員思い
⑤ 制度の透明性
入社時に退職金規程の説明があり、シミュレーションも可能
📎 ホワイト企業の見分け方:ホワイト企業とは|7つの特徴と見分け方・定義を認定機関が徹底解説
Q1. 大企業の定年退職金の平均は?
大卒・38年勤続の場合約2,000万円が目安。電力・ガスや銀行など一部業界では2,400万円超のケースもあります。
Q2. 公務員の退職金はいくら?
国家・地方公務員ともに約2,200万円が目安。民間と比較して安定性が高く、退職金の確実性ではトップクラスです。
Q3. 中小企業の退職金は?
中小企業の平均は約1,000万円。ただし退職金制度がない企業も4社に1社あるため、求人票での確認が必須です。
Q4. 退職金に税金はかかる?
かかりますが、退職所得控除という強力な優遇があります。勤続38年なら2,060万円まで非課税。残額にも1/2課税の優遇あり。日本の税制で最も優遇された所得です。
Q5. 転職すると退職金は減る?
大幅に減ります。退職金は勤続20年超で急増するため、複数回転職すると生涯退職金は半減する可能性も。一方、転職で年収アップすれば総合的にはプラスになるケースもあります。
Q6. 自己都合退職と会社都合退職で違いは?
会社都合(リストラ・倒産等)の方が1.3〜1.8倍多くもらえます。会社都合の場合、失業保険も即時受給可能(自己都合は3ヶ月待機)。
Q7. 企業型DCと退職金、どちらがいい?
人によります。転職する可能性が高い人はDC(持ち出し可能)、長く勤める予定なら退職金(金額確実)が有利。両方ある企業が理想です。
Q8. 退職金は一括と分割どちらがお得?
一般的には一括受取の方が税制上有利(退職所得控除)。ただし、年金型で受け取ると公的年金等控除が使えるため、状況によって異なります。受取時にFPに相談を。
Q9. 退職金がない企業は危険?
必ずしも危険ではありませんが、給与・福利厚生でカバーされているかを確認すべき。年俸が業界平均より高い・確定拠出年金(DC)・iDeCo拠出補助等の代替制度があるかチェックしましょう。
Q10. ベンチャー企業の退職金事情は?
多くは制度がないか、企業型DCを活用。代わりにストックオプションが付与されるケースが多く、IPO・M&A成功時には退職金以上の利益も。
Q11. 何年勤めれば退職金はもらえる?
企業によりますが、3年以上が一般的。3年未満で退職した場合はもらえないか、わずかな額のみ。退職金規程で「支給開始の最低勤続年数」を確認しましょう。
Q12. 入社前に退職金額を知る方法は?
OB訪問で先輩から実額を聞くのが最も確実。次に、就職四季報に退職金モデル金額が掲載されている企業もあります。求人票の「退職金制度の有無」だけでは不十分です。
Q13. 退職金は生涯年収にどれくらい影響する?
生涯年収の10〜15%を占めます。生涯年収2.87億円のうち2,000万円が退職金。新卒就活では軽視されがちですが、長期視点では重要な要素です。生涯年収ランキングと合わせて確認してください。
退職金は生涯年収の10〜15%を占める重要な要素です。大企業の大卒で約2,000万円・公務員で約2,200万円が目安ですが、中小企業や外資系では大きく異なります。近年は企業型DCへの移行が進んでおり、運用知識も必要に。新卒就活では初任給ばかりが注目されますが、長期視点で退職金制度も企業選びの基準に入れましょう。
📌 この記事のまとめ
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