年5日有給休暇義務化とは?企業が取り組むべきこと、推進していることを紹介

2022.07.19
#企業分析#働き方#就活基礎知識

2019年4月1日に施行された法律により、すべての企業を対象として、従業員の年5日有給休暇取得が義務化されたことを皆さんご存知でしょうか?有給が取れる取れないみたいな会社についてお話をしていることを耳にしますが、日本も法律を整備することによりしっかり有給が取れる体制づくりを推進しています。

ただ、なんとなく「有給」ということを知っていてもその法律の内容や会社が実施しているなどの詳細まではわからないという方も多いのではないでしょうか。
今回はその法律や、法律施工後の義務や罰則について解説していきます。

これから入社する会社について、しっかり学んでおいてくださいね!

有給休暇取得の義務化とは?

年5日の年次有給休暇の取得義務は、2019年4月1日に施行された労働基準法よって定められています。会社規模に関わらずすべての企業を対象にして、年に5日は従業員が有給休暇を取得することを義務付けています。

これに違反すると、事業者は、該当する従業員1人につき30万円以下の罰金を支払わなければなりません。もし、該当する従業員が10人いれば300万円以下、100人いれば3000万円以下となります。

実際に刑が執行されるかは各々の自治体の判断となりますが、従業員の有給休暇の取得状況について会社側がきちんと把握しておく必要があり、年5日の取得に至っていない従業員に対して取得を呼びかけなければいけないという点が、働き方改革関連法の施行がされる前との大きな違いです。

年次有給休暇の付与日数と「年5日」のカウント方法

まず、入社後6か月が経過し、全労働日の8割以上出勤している労働者には、10日間の有給休暇が付与されます。4月1日入社であれば、その6か月後である10月1日に有給休暇が発生することとなります。

義務化における「年5日」のカウント方法については、有給休暇が10日間付与された日(基準日)から1年以内に5日間取得しているかを数えます。

入社した4月1日から半年後の10月1日に10日間の有給休暇が付与された場合は、10月1日から翌年の9月30日までの間に5日間取得している必要があります。

図の引用:働き方改革関連法解説

対象になる労働者

正社員、契約社員といったフルタイム労働者だけでなく、パートタイムの労働者にも有給休暇が付与されます。ただ、年5日の取得義務対象となるのは、年間に付与される有給休暇が10日間を満たす従業員なので、これを満たさない従業員は対象となりません。

有給休暇取得義務対象となる具体的な要件としては、
・週4日勤務かつ入社後3年6か月継続して勤務しており、直近1年間の出勤率が8割以上であること
・週3日勤務の場合は、入社後5年6か月継続勤務しており、直近1年間の出勤率が8割以上であること
1週間当たりの所定労働日数が4日の場合は年間169日~216日、3日の場合は、121日~168日相当。勤務日数が週によって異なる場合は年間の労働日数から有給休暇取得義務の対象となるかを判断しましょう。

図の引用:働き方改革関連法解説

企業側が用意していること

有給取得をしっかり推進している企業は以下のようなことに取り組んでいます。面接中や入社後に触れる機会があればこのあたりもチェックしておきましょう。

年次有給休暇管理簿を作成している

使用者は、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、労働者ごとの有給休暇取得日や取得日数を把握・管理しなければいけません。作成した年次有給休暇管理簿は、3年間の保存が義務付けられています。時季や取得日数、有給休暇付与の基準日を明らかにして管理しています。

未消化社員への呼びかけ、未消化社員への上司への報告

年5日の有給休暇を取得していない従業員に対して、事業者は呼びかけをし、取得してもらわなければいけません。また、取得日数が5日間を満たしていない従業員がいる場合、それを上司に報告したりなども行っているので、逆に取得をしていない場合は注意などされる場合もあります。

時季指定

時季指定とは、使用者側が時季を指定して、労働者に有給休暇を所得させることをいいます。企業側は、有給休暇を年5日取得していない従業員に対して、時季指定をしなくてはなりません。どのタイミングで時季指定を行うのかについては様々な方法があります。有給休暇を10日以上付与した基準日から半年など、一定の期間が過ぎた時点で有給休暇取得日数が足りていない労働者に対して行うこともできますし、付与の時点で有給取得についての計画表を作成し、時季指定することもできます。ただし時季ついては使用者が勝手に決定してよいのではなく、労働者の意見を聞き、なるべく希望に沿った時期に有給休暇を取得させなければなりません。
また、すでに年間で5日間の有給休暇を取得している労働者に対しては、時季指定を行うことができません。

さらに企業側が取得を促進するための取り組んでること

有給休暇取得計画表を作成する

時季指定に合わせて労働者ごとに有給休暇取得計画表を作成し、大まかな取得の予定を組んでおくことで、皆さん(労働者)がいつ休むのかの把握と調整がしやすくなります。有給休暇取得したい日を申告しやすくなるというメリットがあります。

1日単位だけでなく半日や時間単位で取得できる仕組みや申請の簡略化

有給休暇の取得単位を、1日単位だけでなく、半日単位や時間単位で取得できる仕組みにしたり、申請のためのステップを簡略化したりすることによって、取得のハードルを下げることにも取り組んでいる企業が増えています。取得しやすい雰囲気をつくるという点でのメリットがあります。

取得しやすい体制づくりをする

上記に加えて、制度や呼びかけではなく、当たり前に取得できる環境づくりをしている企業も多く存在します。

その体制づくりの実現のために、普段から個人で業務を行うのではなくチームで業務推進体制に取り組んでいます。。個人が切り分けられた業務内容を担っていて、他のメンバーが行っている業務についての共有がなされていないような状態だと、誰かひとりが欠けることで業務に影響がでてしまうという意識がはたらき、有給休暇取得しづらい空気ができあがってしまいます。

定期的にミーティングなどで各々の業務内容や進捗を共有、業務内容のマニュアル作成を行うなどして、誰かが欠けていても業務が滞りなくすすめられる状態をつくっています。

まとめ

有給休暇の取得は、労働者がより働きやすい環境をつくることを目的としたものです。取得できる取得できないといったような議論もまだまだありますが、取得することが企業にとってもメリットが多く業績に貢献できる、そのような組織づくりをしている企業もどんどん増えています。仕事と休みをしっかり両立できるかも、企業選びの軸にしてみてもいいのではないでしょうか。

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