他社の選考状況の答え方|聞かれた際のポイントや回答例を紹介

2025.07.14

面接で採用担当者から「弊社の他に志望している企業はあるか」と質問されることがあります。採用担当者が他社の選考状況について質問する理由は、さまざまです。

 

今回は、企業が他社の選考状況についてなぜ質問するのか、どのような答え方が適切なのかを解説します。

企業が他社の選考状況を聞くのはなぜ?

 

他社の選考状況について質問する意図は、企業によって異なります。ここでは、主な理由を5つ解説します。

入社意欲の高さを知るため

他社の選考状況への回答から、入社意欲の高さや志望順位を把握でき、最終判断の参考となります。

 

入社意欲や志望順位の高さは、早期離職や内定辞退を防ぐためにも大切な要素です。同程度の評価のAさんとBさんがいる場合、企業としては、自社への入社意欲が高いほうに内定を出したいと思っています。

 

そのため、自社への入社意欲を知るために、他社の選考状況を聞くことがあります。

就活の軸を知るため

企業選びに一貫性があるか確かめたいとき、他社の選考状況が参考になります。似たような業界、職種を複数志望している人材なら、明確な就活の軸があるといえます。

 

一方、さまざまな業種・職種を志望している就活生は、明確なビジョンを描けているとはいえません。軸にマッチした業界に絞って志望できているか、一貫性のある企業選びができているかで、就活生の価値観や、将来のビジョンをどのように描いているのかを判断します。

 

一貫性のある選考状況であると判断できれば、自社とのマッチ度もはかりやすくなります。

志望者のスケジュールを確認するため

多くの採用担当者は、就活生が複数社を並行的に志望していることを大前提としています。他社の選考状況を聞く理由は、就活生のスケジュールを把握して最適なスピードで選考を進めるためです。

 

選考スピードに大きな差があると、他社よりも遅く内定を出したり、逆に短い内定承諾期間を設定したりしかねません。優秀な学生が「A社からは内定がまだ出ないからB社で良いや」「もう少し悩みたいから、A社は辞退するしかない」と他社に流れる要因となります。

 

他社の選考スピードに合わせてスケジュールを組むほうが、獲得したい学生からの内定辞退を防ぎやすくなります。

他社からの評価を確認するため

採用の精度を高める目的で、他社の選考状況を参考にするケースもあります。優秀な学生であれば他社からの評価も高く、順調に選考を進んでいるはずです。スムーズな選考状況の就活生なら、自社の選考を通過させても問題ないと考えられます。

 

他社ではどのように評価されているのか、自社の選考をこのまま通過させても良いのかの判断材料として、選考状況に関する情報が活用されています。

他社との就活競争に負けないため

上記の通り、他社の選考状況は志望者が高い評価を受けているかどうか判断できる要素でもあります。仮に就活生が他社から高い評価を受けている優秀な人材の場合、自社も積極的に採用へ向けて行動しなくてはなりません。

 

他社との就活競争で人材を勝ち取るために、採用担当者は就活生から選考状況を聞いて、ライバル会社の選考スピードや出方を探っています。

面接で他社の選考状況を聞かれた際のポイント

 

面接官から他社の選考状況を聞かれたときは、相手の意図を汲んで答えることが大切です。同じ内容でも、答え方によって相手に与える印象は大きく異なります。

 

ここでは、他社の選考状況について聞かれたときの答え方について、7つのポイントを解説します。

ポイント1|御社が第一志望であることを伝える

答えるときは、良い印象を与えるために「御社が第一志望です」と伝えましょう。選考が進むとスケジュールの重複などでいずれバレる可能性もあるため、他社も受けていることを無理に隠す必要はありません。

 

並行して応募している企業がある場合は、「他社も受けていますが、御社が第一志望です」と伝えると好印象につながります。

ポイント2|回答には一貫性を持たせる

他社と併願している場合も、1社のみに応募しているときも、回答には一貫性を持たせることが大切です。何の関連性もない企業を複数受けていると思われれば、やみくもに知名度や話題性のみで企業選びをしている、志望度が低い学生と誤解されかねません。

 

同じ業界・職種で受けている、似たような立ち位置や社風の企業に応募しているなど、一貫性のある回答ができるように、企業選びも慎重に行う必要があります。

 

業界・職種が大きく異なる場合は、理由を明確に伝えられるように用意しておきましょう。回答内容に一貫性や説得力があれば、好意的にとらえてもらえます。

ポイント3|選考企業を差別化できるポイントを探しておく

他社の選考状況について質問されるとき、「その中でなぜ弊社を志望したのか」と聞かれることがあります。選考企業がなぜ第一志望なのか、どのような点で差別化しているのか、応募した理由を伝えられるように準備しておきましょう。

 

選考企業の差別化に欠かせないのは、入念な企業研究です。事前に調べた情報をもとに回答を練り上げて、志望度の高さをアピールしましょう。

ポイント4|選考で落ちた企業を伝える必要はない

 

すでに選考で落ちた企業がいくつかある場合、併願していたことを伝える必要はありません。他社にも応募中であると伝えるときは、結果が出ていない企業のみにしましょう。

 

落ちた企業があることを伝えると、面接官に「能力が低いのではないか」「人柄などに問題があるのではないか」と不安を与えます。並行して応募している企業の多さ・少なさ自体は問題にならないものの、選考で落ちているとなればネガティブな印象につながります。

ポイント5|面接の時期によって回答を工夫する

面接を受けた時期に合わせて、回答内容を変えることもテクニックのひとつです。就活は長期にわたって行うため、人によって内定を得る時期は異なります。しかし、多くの学生が内定をもらっている時期になっても結果を出せていない場合、印象は悪くなります。

 

一般的な就活スケジュールや、応募した企業の選考段階に合わせて、回答内容を工夫しましょう。一次面接では、前向きな姿勢を見せつつ一定の回答でも構いません。

 

選択肢が絞られてくる最終面接の段階では、志望度が高い企業には他社よりも熱意が伝わるように回答しましょう。志望度が高いこと、入社意志があることが明確に伝わる内容にします。

ポイント6|内定が出ている場合は保留期間を伝えておく

他社ですでに内定をもらっていると、「選考企業から落としても問題ないと思われるのでは」と不安な方もいるのではないでしょうか。しかし、内定が出ていることを隠す必要はありません。

 

内定を得ていることを正直に話し、保留期間も伝えることで多くのメリットを得られます。

 

内定を得たと伝える最大のメリットは、他社でも評価されている事実をアピールポイントにできることです。企業によっては、内定の保留期間を配慮して選考スケジュールを組んでくれる場合もあります。

ポイント7|嘘をつかない

面接の場では嘘をつかずに、志望度の高さや自分の長所をアピールすることが大切です。例えば進学も視野に入れている方は、正直に迷っている心情も伝えたほうが好印象につながります。

 

今後、面接を予定している企業や最終選考に進んでいる応募先がある場合も、状況を正直に伝えたほうがスケジュールの面で考慮してもらえます。自己都合のみならず、きちんと明確な入社への意志があることも伝えれば、前向きなアピールとなるでしょう。

 


キャリアアドバイザーコメント
坂元 俊介

他社の選考状況を聞かれた場合は、基本的には率直に答える方が良いでしょう。率直に答えた上で、志望度の高さや他社よりも惹かれている点などを伝えるようにしましょう。

 

気を付けるべき点としては、なぜその会社を受けているのかを、明確に答えられるようにしておくことです。あまりに違う系統の会社を受けている場合、企業理解が進んでいない、自己理解がちゃんと出来ていない、と判断されてしまう可能性があります。

【回答例】他社の選考状況の答え方

 

上記のポイントをふまえた上で、ここでは、実際にどのように回答すれば良いのかを状況別に詳しく解説します。

選考中の企業が1社のみの場合

就活の時期によっては、選考に進んでいる企業が1社のみというパターンは珍しくありません。正直に現在の状況を伝えつつ、選考企業を強く志望していることを伝えましょう。

 

【回答例】

「エントリーを検討している企業はありますが、実際に応募して選考に進んでいるのは、第一志望の御社のみです」「御社にぜひ入社したいと思っておりますので、企業研究や準備の時間をすべて充てるため、他社の選考は受けておりません」

 

理由があって1社しか受けていないのであれば、きちんと相手に伝えることが大切です。伝え方を工夫すれば、志望度の高さを同時にアピールできます。

選考中の企業が複数ある場合

他社にも応募中で、なおかつ選考が進んでいる場合は、隠すよりも正直に話しましょう。回答するときは、他社も受けつつ、なぜ選考企業も応募しようと思ったのかを明確に説明できるかどうかが大切です。

 

【回答例】

「現在、A社の最終面接を受けることとなっております。私は就職活動をはじめるにあたり、若手でも積極的にチャレンジできる企業で働きたいと目標を立てました。御社では実際に、〇〇のブランドの立ち上げを入社1年目で成し遂げた方がいらっしゃると知り、私の理想とする環境が整っていると感じました。そのため、御社を第一志望としております」「御社のほかに、同じ業種のA社とB社を受けております。どちらも二次面接を通過した状態で、次回最終面接を受ける予定です。同じ業種ですが、御社は業界の中でも真っ先にDX化やリブランディングに取り組まれており、柔軟で革新的なところが魅力的だと感じました。内定をいただきましたら、ぜひ御社に入社したいと考えております」

 

他に選考を受けている企業との共通点や違い、選考企業に魅力を感じている理由も解説して、他社よりも志望度が高いことをアピールしましょう。

他社からすでに内定をもらっている場合

他社からすでに内定をもらっていても、評価がマイナスになることはありません。正直に内定をもらっている事実を伝えつつ、他社よりも選考企業への入社を強く希望していることもアピールしましょう。

 

【回答例】

「御社のほか、2社の選考を受けてどちらも内定をいただいております。しかし第一志望は御社と決めておりましたので、内定承諾はお待ちいただいている状態です」「御社以外に1社の選考を受けており、内定もいただきましたが、御社を第一志望と考えております。内定をいただきましたら、就職活動を終了させる予定です」

 

他社からも内定を得られるほどの人材は、選考企業でも好印象をもってもらえます。他社も受けているが、あくまで第一志望は選考企業である、と伝えることが大切です。

選考中の業界が異なる場合

就活で軸とする部分によっては、選考中の業界・職種が異なる場合もあります。他の業界でも選考が進んでいることを伝えるときは、回答内容にブレが生じないように注意しましょう。

 

それぞれの業界でどのような共通点を見つけたのか、何を重視して応募したのかが伝われば、不自然に思われる心配はありません。

 

【回答例】

「御社のほか、2社で選考を受けております。どちらも業種は異なりますが、環境問題へ全社で積極的に取り組んでいる点が共通しており、応募に踏み切りました。中でも御社は、〇〇の開発で環境問題へ新しい視点からアプローチされており、ぜひ入社したいと思い、応募いたしました」「御社を含む、4社で選考を受けております。職種は異なりますが、お客様の体験を影から支えるプロフェッショナルである点は共通していると感じました。御社の〇〇職は、中でもクオリティ向上への取り組みが革新的で、大変魅力を感じたため、第一志望と考えております」

 

業種が異なる点にフォーカスする場合、1社ごとの選考状況がどの段階まで進んでいるのかは、細かく解説する必要がありません。異なる業種でも応募したいと思った理由や、選考企業が魅力的でリードしていると感じた部分を取り上げて、志望理由につなげましょう。

まとめ

就職活動の場では、面接官から他社の選考状況について質問されることがよくあります。これは、就活生がどのような回答をするかを通じて、志望する企業への熱意や就職活動全体の一貫性など、さまざまな情報を得るためです。

 

内定を獲得するためには、ただ正直に答えるのではなく、求められている回答内容を考慮することが大切です。質問されたときの状況やタイミングに合わせて、複数の回答を用意しておきましょう。

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日本次世代企業普及機構 代表理事岩元 翔

東証1部上場企業の求人広告会社にて新卒・中途採用のコンサルティング業務を学び、その後ITベンチャー企業にて自社採用業務、教育業務に従事。2020年には一般財団法人日本次世代企業普及機構の代表理事に就任。これまでの経験、実績を活かし、経営者や従業員にとって道しるべとなる「ホワイト企業指標」を作り上げた。

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