「自己分析をしてみたけれど、エピソードを並べるだけで終わってしまった」——そんな経験はありませんか?
自己分析で本当に大切なのは、出来事を書き出すことではありません。「なぜ?」を繰り返すことで、自分でも気づいていなかった価値観や強みを言語化することです。この記事では、自己分析を深掘りするための3ステップを実践例つきで解説します。
キャリアアドバイザーコメント
日本次世代企業普及機構 代表理事 岩元 翔
自己分析で最もやりがちなミスは「頑張ったことリストを作って終わり」にしてしまうことです。採用担当者が知りたいのはエピソードではなく、その経験から見えてくるあなたの価値観と行動原理です。「なぜ頑張れたのか」「なぜそれが好きなのか」を4〜5回掘り下げると、面接で自信を持って話せる「自分らしい言葉」が見つかります。
◆ この記事でわかること
- なぜ自己分析の深掘りが必要か
- 深掘りの3ステップ(テーマ決め・振り返り・WHY掘り下げ)
- 「ファミレスのアルバイト」を題材にした実践例
- 深掘りしやすいエピソードの選び方
- 自己分析を就活に活かすための気をつけるポイント
なぜ「深掘り」が必要なのか
自己分析をするとき「楽しかったこと・頑張ったこと・辛かったことを書き出してみましょう」というアドバイスをよく聞きます。しかし、これだけではエピソードを並べるだけになってしまいがちです。
面接やESで求められているのは、「自分がどんな人間か」「何を大切にしているか」という価値観の言語化です。それを引き出すために欠かせないのが「なぜ?」を繰り返す深掘りです。
◆ 深掘りしないとどうなるか
- 志望動機が「御社の社風に惹かれました」という表面的な内容になる
- 自己PRが「頑張りました」という結果報告で終わる
- 面接で「なぜですか?」と深掘りされたときに答えられない
自己分析をしておくことにより「本来の自分自身のこと」と「自分が仕事選びで大切にしていること(軸)」を明確にできます。この2つは面接やESなど就職活動の多くの場面で確認されるため、わかりやすく端的に説明できるよう整理しておくことが大切です。
自己分析の深掘り3ステップ
深掘りの流れは以下の3ステップです。難しく考えず、まず紙やパソコンに書き出すことから始めましょう。
- STEP1:テーマを1つ決める
- STEP2:これまでの人生を振り返り複数のエピソードを書き出す
- STEP3:「なぜ?」をどんどん掘り下げる
STEP1|テーマを1つ決める
「頑張ったこと」「辛かったこと」「楽しかったこと」「夢中になったこと」など、自己分析するにあたってテーマを1つ決めてみましょう。一度にすべてを整理しようとせず、テーマを絞ることで深掘りの質が上がります。
★ テーマの例
- 頑張ったこと
- 辛かったこと・乗り越えたこと
- 楽しかったこと・夢中になったこと
- 誰かに感謝されたこと
- 失敗して学んだこと
STEP2|これまでの人生を振り返り複数のエピソードを書き出す
決めたテーマに関する出来事を、小学校から大学まで時系列で複数書き出してみましょう。「大したことない」と思うような出来事でも構いません。書き出す量が多いほど、後の深掘りで選択肢が広がります。
■「頑張ったこと」の例
- 中学のサッカー部の練習や試合を頑張った
- 高校で生徒会活動を頑張った
- 志望校に合格するため受験勉強を頑張った
- ゼミで発表するために論文作成を頑張った
- 地域のボランティア活動を頑張った
- 飲食店のアルバイトを頑張った
STEP3|「なぜ?」をどんどん掘り下げる
書き出したエピソードのうち1つを選び、「なぜ?」を繰り返して深掘りしていきます。4〜5回「なぜ」を繰り返すのが目安です。掘り下げるうちに、自分では気づかなかった考え方や言語化できていなかった価値観が見えてきます。
◆ 実践例|「ファミレスのアルバイトを頑張った」の深掘り
「なぜ」頑張れた?
→ 助け合いながら、一緒に楽しく働けるメンバーがたくさんいたから
「なぜ」楽しく働けるメンバーがいると頑張れた?
→ このメンバーで、お店に来てくれたお客様を喜ばせたいという前向きな気持ちになれたから
「なぜ」お客様を喜ばせたいという前向きな気持ちになれた?
→ メンバー全体が、各々の長所を活かし、協力しながら仕事に取り組むことができたから
「なぜ」各々の長所を活かして協力しながら仕事に取り組むことが良いと思う?
→ 自分の長所を活かすと、さらに前向きに仕事に取り組め、チーム全体の団結力も高まるから
「なぜ」このアルバイトが好き?
→ チーム全体が好きなこともあるが、お客様からの「ありがとう」「美味しかったよ」という言葉をいただける瞬間が大好きだから
このように掘り下げてみると、以下のような価値観が見えてきます。
◆ 深掘りから見えてきた価値観
- 「一緒に働くメンバーを大切にし、お互いに高め合っていきたい」
- 「お客様からの感謝の言葉を大切にしている」
- 「チームで協力して成果を出すことに喜びを感じる」
この価値観を言語化できれば「なぜチームワークを重視するのか」「なぜ接客業に関心があるのか」という面接での深掘り質問にも自信を持って答えられるようになります。
深掘りしやすいエピソードの選び方
書き出したエピソードの中には、深掘りしやすいものとしにくいものがあります。
◆ 深掘りしやすいエピソードの特徴
- 「なぜ?」を聞かれたとき、すぐに答えが浮かぶ
- 話しているうちに気持ちが高まる・楽しくなる
- 振り返ると自然と言葉が出てくる
深掘りしやすいエピソードは、自分自身にとって特に印象的だったものである可能性が高いです。採用選考では自分の言葉で熱意や思いを伝えることが重要なため、そのようなエピソードを選ぶことをおすすめします。
自己分析の深掘りで気をつけること
! 深掘りで気をつけること
「活用できるエピソード」を探さない
自分史の振り返りで「これは使えそう」という視点で選ぶのは避けましょう。大切なのはエピソードを選ぶことではなく、その事実の中に出てきた「自分の本当の性格」「価値観」「個性」を考えることです。
完璧な答えを求めすぎない
自己分析は一度やって終わりではありません。就職活動を通して深めていくものです。100%完成していなくても、早期から少しずつ取り組むことで、その後の選考をスムーズに進められます。
一人で抱え込まない
深掘りが行き詰まったときは、友人・先輩・キャリアアドバイザーなど周囲の人に相談しながら進めましょう。他者の目線から「あなたはこういう人」と言ってもらえることで、自分では気づかなかった強みが見えることがあります。
まとめ
自己分析は、エピソードを並べるだけでは不十分です。「なぜ?」を4〜5回繰り返すことで、自分では言語化できていなかった価値観や強みが見えてきます。深掘りした内容は、自己PRや志望動機・面接での回答に直接活かせる「自分の言葉」になります。
◆ この記事のまとめ
- 深掘りとは「なぜ?」を4〜5回繰り返してエピソードの奥にある価値観を言語化すること
- 3ステップはテーマ決め→エピソード書き出し→WHY掘り下げ
- 深掘りしやすいエピソードは「話していて気持ちが高まるもの」を選ぶ
- 「活用できるエピソードを探す」のではなく「価値観・個性を見つける」意識が大切
- 行き詰まったら周囲に相談。自己分析は就活を通して深めていくもの