就職活動を控えた学生にとって、SPIは採用に関わる重要な検査です。SPIは多くの企業が採用の一環として用いる適性検査の一種で、言語や非言語の能力を測る「能力検査」と、性格や適性を確認する「性格検査」に分かれます。
今回はSPIとは何か、主な検査内容や受検方法および対策方法について解説します。
目次
SPI(Synthetic Personality Inventory)とは、リクルートマネジメントソリューションズが開発した適性検査の一種で、主に企業の新卒採用における選考で用いられています。
SPIの目的は、受験者の職務適性やパーソナリティーを総合的に評価し、企業が求める人材の適合性を測ることです。テストは主に「能力検査」と「性格検査」に分かれており、それぞれ異なるスキルや特性を評価します。下記では、主な検査内容について解説します。
SPIの能力検査は、主に「言語分野」と「非言語分野」の能力を測るのが一般的です。企業によっては、「英語」や「構造的把握力」が出題されるケースもあります。
能力検査によって、受検者の論理的思考力や計算力、言語理解力など、業務遂行に必要な基礎能力が測定され、職務に適した知的資質を確認できます。
■言語分野
言語分野では、文章の読解力や語彙力が評価されます。下記は、主に出題される問題です。
上記の問題は、仕事で必要とされるコミュニケーション能力や指示の理解力を測る指標とされます。
■非言語分野
非言語分野では、数値処理能力や論理的思考力が評価されます。下記は、主に出題される問題です。
上記の中でも「推論」は頻繁に出題されるため、しっかりと対策しておきましょう。
■英語能力
英語の基礎的な読解力や単語力が評価される検査です。問題には、同義語や反意語、簡単な英文読解問題などが含まれ、英語での基本的なコミュニケーション能力を測ることが目的とされています。ただし、オプション検査であるため、志望先企業が実施しているとは限りません。
下記は、主に出題される分野です。
■構造的把握力
構造的把握力では、情報を構造化して関連性を理解する能力が評価されます。複雑なデータや情報を分析し、それらがどのように関連しているかを理解する力が求められます。この能力は、業務において情報整理や意思決定に役立つスキルです。テストセンターでの問題内容については後述します。
性格検査は個人の性格や行動特性を測るための検査で、特に職場での適応力や対人関係、ストレス耐性などを評価します。
性格検査の結果は、職場でのコミュニケーションやチームワーク、責任感の強さ、粘り強さといった性格的な特徴を知る手助けとなり、企業側が求める人材像にマッチするかどうかを判断するための材料になります。
問題は約300問、解答時間は30~40分です。性格検査では、悩んだり取り繕ったりせず、ありのまま回答することが大切です。
SPIの受検方法には、テストセンター、Webテスティング、ペーパーテスティング、インハウスCBTといった複数の形式があります。
応募先企業によってどの形式で受検するかが異なるため、それぞれの形式の特徴を押さえておきましょう。下記では、各受検方法の詳細について解説します。
専用会場にて受検する形式です。受検者は事前に予約をし、指定されたテストセンターで検査を受けます。検査内容は、基礎能力検査が35分、性格検査が30分です。テストセンターは全国に点在しており、受検者は最寄りの会場を選んで受検できます。
会場にはPCが設置されており、PCを操作しながら問題を解く形式です。テストセンターでの受検は、監督者による不正防止対策がなされています。テストセンターで受検した結果は、複数の企業で使い回すことが可能です。
Webテスティングは、インターネットを介してPCから受検する形式です。検査内容はテストセンターと同様で、基礎能力検査(35分)と性格検査(30分)の2つのパートから構成されています。Webテスティングの特徴は、自宅や学校など、インターネット環境さえあれば好きな場所から受検できる点です。
ただし、スマートフォンでの受検はできないため、PCを用意する必要があります。安定したインターネット環境が求められるため、受検前にネット接続の状態を確認することが重要です。途中でインターネット接続が不安定になると試験に影響が出る可能性があるため、快適な環境を整えておくことが求められます。
ペーパーテスティングは、応募先の企業が指定した会場で、紙の検査用紙を使って受検する形式です。鉛筆でマークを塗りつぶす「マークシート方式」での回答であるため、記入ミスや消し忘れに注意が必要です。
検査の所要時間は100分で、能力検査は「言語問題40問(30分)」「非言語問題30問(40分)」に分かれており、性格検査は30分です。1問にかけられる時間は1分程度なので、時間配分を考えて問題を解くことが重要です。
インハウスCBTは、応募先企業内に設置されたPCを利用して受検する形式です。検査内容はテストセンターやWebテスティングと同じく、基礎能力検査(35分)と性格検査(30分)です。
企業内で受検することから、面接と同日で実施されるケースも少なくありません。SPIの受検後にすぐ面接を受けることになるため、気持ちの切り替えが重要です。
SPIの問題形式や出題範囲は多岐にわたるため、十分な準備期間を設け、計画的に学習を進めることが大切です。下記では、SPI対策を始める時期と、必要な勉強時間について解説します。
SPI対策は、企業の広報活動が解禁される2か月前の「大学3年生の1月頃」から始めるのが理想的です。現在の新卒採用スケジュールでは、大学3年生の3月1日に企業の広報活動が解禁され、大学4年生の6月1日から採用活動が本格的に開始されます。
このタイミングに合わせてSPI対策を早めに取りかかることで、出題傾向や問題形式に慣れる時間を確保でき、焦らずに対策を進められます。
また、SPI対策は情報解禁前に一通り終えておき、解禁後は企業の求人情報をチェックする時間に充てましょう。新卒採用の求人内容をチェックするだけでも多くの時間と労力が必要なので、他の活動と並行することを考えると事前準備が大切です。
特に、大学3年生の冬休みから春休みは、学業が比較的落ち着き、集中して対策を進めやすい時期です。この時期にSPIを徹底的に対策しておくと、3月以降の本格的な就活シーズンに備えられます。
SPI対策に必要な勉強時間は、一般的に30~60時間とされています。1日1時間程度の学習を続けた場合、1~2か月程度で完了する計算です。短期間で集中して学びたい場合は、1日2時間のペースで進めれば1か月以内で対策が可能です。
30~60時間の勉強時間を確保すれば、問題のパターンや出題傾向に慣れ、各分野の基礎力をしっかりと身に付けられます。また、受検対策に取り組む際は、慌てて知識を詰め込もうとするのではなく、計画的な学習スケジュールを立て、毎日少しずつ学習を進めましょう。毎日コツコツと知識をインプットすることで、学んだ内容が定着しやすくなります。
SPI検査で良い結果を出すためには、事前準備と適切な対策が欠かせません。ここでは、SPIを受ける際の重要なポイントを紹介します。下記のポイントを押さえ、本番でも安心して検査に臨めるようにしましょう。
SPIでは、受検形式によって出題される問題の傾向が異なります。そのため、テストセンター、Webテスティング、ペーパーテスティングなど、受検形式を事前に確認することが重要です。
受検形式を把握しておくことで、頻出する問題や分野に対する対策が立てやすくなり、検査中に戸惑うことなく取り組めます。また、数的処理や言語理解、図形処理など、各分野の問題パターンを把握し、慣れておくことも大切です。
あらかじめ練習問題や模擬検査を利用して各形式に慣れておくと、受検の緊張感が和らぎ、自信をもって解答できるでしょう。
SPI検査はペーパーテスティングを除き、ほとんどがWeb上で実施されます。したがって、PCの基本操作に慣れておくことが重要です。検査には制限時間が設けられているため、スムーズに操作できるように練習しておきましょう。
例えば、解答の選択や画面のスクロールといった操作に時間を取られないよう、模擬検査や練習問題を使ってPCでの検査形式に慣れると効果的です。また、入力式問題では文字入力のスピードも求められます。
SPIの対策では、多くの問題集に手を出すよりも、1冊の問題集を繰り返し解くことが効果的です。問題集を1冊に絞ることで、出題傾向を把握しやすくなり、効率的に学習できます。また、同じ問題を何度も解くことで、解法をしっかり覚えられ、ミスも減らせるでしょう。
基礎的な力を確実に身に付けるためにも、1冊を徹底的に解くことを心がけてみてください。質の良い問題集を選び、基礎から応用まで一通り対策できる内容を選ぶのがおすすめです。
SPI検査には厳格な時間制限があるため、時間配分を意識した学習が必要です。練習段階から制限時間内に問題を解く訓練をすることで、本番でもスムーズに解答できるようになります。例えば、1問あたりにかける時間を決めて練習するなど、効率的な解答スピードを身に付けるとよいでしょう。
1問にどのくらいの時間をかけられるかは、問題の難易度や得意・不得意によって変わってきますが、一般的に言語分野は40秒、非言語分野は80秒が目安です。苦手分野に時間をかけすぎないようにし、全体的な時間配分を意識してみてください。
SPI対策として、苦手分野を克服することが重要です。苦手な分野にフォーカスして反復練習することで、全体の得点力を向上させられます。まずは自分の苦手な分野が何なのか、問題集を解いて確認してみましょう。つまずくことなく解ける問題は、繰り返し学習する必要はありません。
例えば、金額計算や分担計算が苦手な場合は基本的な計算問題から始め、徐々に応用問題に取り組むとよいでしょう。同じ種類の問題を繰り返すことで理解が深まり、問題を解くスピードも向上します。
まず、SPIの対策を行うにあたって3つの方法があります。それぞれの特性や活用方法を見ていきましょう。
SPIの問題は例年変化しています。
そのため、直近の出題傾向や、SPIにまつわる情報が得られるように「最新版」の問題集を選ぶようにしましょう。
時間をかけてSPI対策を行っても、情報が古いために点数を取りこぼしてしまっては非常にもったいないです。最新の問題集でもしっかりと対策をし、高得点を取ることは就活を進めるうえで効率的だといえるでしょう。
問題集よりも手軽で活用しやすいのが、「スマホアプリ」です。
アプリの種類によっては勉強するにあたって役立つ機能がたくさんあります。
例えば、学習記録がつけられるものやランキングが出るもの、問題のブックマークでできるもの、メモ機能、間違えた問題の集約、制限時間を付けられるもの、解説、暗記機能など様々があります。
アプリによってはその人に合う合わないタイプもあるので、自分の勉強法に合った機能があるアプリを選ぶようにしましょう!
SPI対策をするにあたって、問題集を購入したりアプリを活用する以外にもWebサイトを活用する方法もあります。
高いお金を払わなくとも無料で問題をダウンロードできるWebサイトもあるのでそういった方法で学習することも可能です!また、アプリとは別にクイズ形式で例題を解けるサイトもあるので、クイズ形式で対策したい人はこちらもおすすめです!
SPI対策アプリを選ぶ際は、自分が対策したい分野に対応したアプリを選ぶようにしましょう。
SPIの能力検査では言語(国語)と非言語(数学)が実施されます。そのため対策アプリの中でも言語と非言語でアプリが分かれているものもあれば、1つのアプリで両方の分野に特化しているものもあります。
例えば、「計算問題が苦手だから非言語に力を入れたい」という人は、言語と非言語がまとまったアプリに加え、非言語に特化したアプリで対策をする、複数の非言語アプリに取り組むといった方法がオススメです。
また企業によってはSPIで英語(ENG)が実施されることも。英語の対策ができるアプリもあるので、英単語の勉強に適しているアプリや長文読解問題が多く収録されているアプリなど、自分に合ったアプリを選びましょう。
SPI対策アプリはそれぞれ収録されている問題数が異なります。
言語・非言語を合わせて300問以上の問題を扱っているアプリもあれば、特定の言語の問題を100問以上収録しているアプリもあります。
1つのアプリで幅広く対策したい人であれば、言語・非言語がまとまっており、なおかつ問題数の多いアプリを選ぶようにするといいでしょう。中には有料アプリの無料版で100問近く試せるものや、難易度の高い問題を解く際に課金するタイプのものもあります。
最初から有料版を購入せず、まずは無料で使える範囲内で相性の良いアプリを探してみるのがおすすめです。「とにかくたくさんの問題に触れる」という勉強法の人は、問題数の多いアプリを複数利用することで、対策できる範囲が広げられます。
「とりあえずSPIがどんなものなのか知りたい」「SPIの問題に慣れたい」という人は問題数にこだわらず、自分が使いやすいと感じたアプリがいいでしょう。
上記でご紹介したポイントを抑えても複数あるSPI対策アプリの中で、どのアプリを選べば良いのか迷ってしまった時に参考になるのが、アプリに寄せられたレビュー評価やダウンロード数です。
人気のアプリはたくさんの人にダウンロードされ続けていたり、使いやすいアプリのレビューは評価が良かったりします。
また、中にはアプリの中身について詳しくレビューされていることもあるので、自分に合ったアプリ選びの参考にもなるでしょう。
他にも不満のレビューの方が多い、評価が低い、ダウンロード数が極端に少ないといった要素は、満足度の低いアプリを避けるための判断材料の1つとすることができます。評価の低いアプリをダウンロードしないよう、レビューやダウンロード数などはチェックしてみてください。
そして、SPI対策で多いに活用できるオススメのアプリをご紹介します!
上記でご紹介したポイントも抑えながら、おすすめアプリの中から自分にあったアプリを探してダウンロードしてみてください。
┗言語、非言語、英語を合わせて382問の問題を無料で解くことができるアプリです。
App Storeのアプリ評価は★4.5
得意・不得意を分析してくれる機能や、カスタム復習・おまかせ復習のモードもあります。
さらに大学や都道府県別などの同じ卒年の人同士で、学習問題数や完璧になった問題数を使ったランキングを見ることができるので、対策勉強のやる気アップにも繋がります。
▼ダウンロードはこちら▼
App Store / Android
┗シリーズ累計で100万ダウンロードされているアプリです。
App Storeのアプリ評価は★4.1
問題「LEVEL」ごとに分けられており、1〜3へとステップアップしていきます。復習ページからは「テーマ別」に問題を解くことが可能です。
また、LEVEL1までは無料で解くことができ、さらに難易度の高い問題に挑戦したい場合はアプリ内でLEVELを追加購入することになります。
制限時間もオンとオフが切り替えられ、自分に合った使い方ができるのも特徴です。
▼ダウンロードはこちら▼
App Store
┗2でご紹介したアプリの非言語バージョンになります。
App Storeのアプリ評価は★3.7
LEVEL1の問題までは無料で、LEVEL2以上からは課金が必要です。計算問題で頻出の「順列・組み合わせ」や「代金計算」「確率」などの問題も収録されています。
「前回の続き」ボタンを押すことで直前の問題から進めることができ、いつでも問題演習の続きを再開することができます。
復習のページでは過去に回答ミスした問題や、しおりをつけた気になる問題、履歴などが確認できます。テストモードでは10問、20問、30問の中で、ランダムに問題が出題されます。
▼ダウンロードはこちら▼
App Store
┗ iOSでは累計50万ダウンロードを突破している人気アプリです。
App Storeのアプリ評価は★4.6
多くの問題を解きたい人の向けで、収録されている問題の総数は300問以上です。暗記モードが備わっており、非表示にすることで解説文や図表などが隠れ、暗記する際に役立ってくれます。
分野は「非言語(数学)」「言語(国語)」「言語(英語)」と3つに分かれており、問題や小テスト、暗記をする際に分野を絞ることができます。
また、試験日を設定することで、「試験日まであと○○日」とトップページに表示させることも可能です。
▼ダウンロードはこちら▼
App Store / Android
┗App Storeのアプリ説明によると、例題も含めて88問が収録されており、 言語・非言語両方に対応したアプリです。
App Storeのアプリ評価は★4.6
アンドロイド版では「SPI言語Lite【Study Pro】」となっており、問題数は52問。App StoreでもGoogle Payストアでも★4以上の評価がついています。
Google Playストアのダウンロード数は10万以上の、無料で使えるSPI対策アプリです。
無料版でも漢字問題の「語句の意味」や「語句の用法」、「熟語の成り立ち」や数学の分野で難易度の高い「推論」などの問題を解くことができます。
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App Store / Android
SPIとは、リクルートマネジメントソリューションズが開発した適性検査の一種です。テストは主に「能力検査」と「性格検査」に分かれています。受検形式には、テストセンターやWebテスティングなどいくつかあり、その形式によって出題される問題の傾向も異なります。応募先企業がどのような受検形式を用いているのか確認し、入念に対策してみてください。