「男性も育休を取れる時代」とよく言われますが、実際のところはどうなのでしょうか。法律の整備は進んでいるものの、職場の雰囲気や上司の理解によって取りやすさは大きく変わるのが現実です。
今回は、男性育休の取得率・制度の内容・企業の取り組み事例を2026年最新情報でまとめて解説します。
キャリアアドバイザーコメント
日本次世代企業普及機構 代表理事 岩元 翔
制度の有無だけでなく「取得した実績があるか」「取得後のキャリアへの影響はないか」まで確認することが、入社後のミスマッチを防ぐポイントです。くるみん認定・イクメン企業アワードを取得している企業は育休取得への本気度が高いと判断できます。
男性育休取得の現状(2026年最新)
厚生労働省の調査によると、男性の育休取得率は年々上昇しており、2023年度には30.1%に達しました。政府が掲げていた「2025年度までに30%」という目標を前倒しで達成した形です。
ただし数字の内訳を見ると、取得期間が2週間未満の割合が依然として高く、育休を「形式的に取得しているだけ」という実態も指摘されています。
◆ 男性育休取得率の推移(厚生労働省調査)
- 2015年度:2.65%
- 2020年度:12.65%
- 2023年度:30.1%(政府目標を前倒しで達成)
- 政府の次期目標:2025年度50%・2030年度85%
男性の育児休業制度の内容
男性の育児休業制度は法律で定められており、会社に育休制度がなくても、申し出れば取得できます。2022年10月には新制度「産後パパ育休」も施行され、より柔軟に取得できる環境が整いました。
産後パパ育休(出生時育児休業)【2022年10月〜新設】
子の出生後8週間以内に最大4週間(28日)取得できる育児休業です。
◆ 産後パパ育休の特徴
- 取得期間:子の出生後8週間以内に最大4週間
- 分割取得:2回に分けて取得可能
- 就業:労使協定があれば、育休中に一部就業することも可能
- 通常の育児休業とは別に取得できる(併用可)
パパ休暇
厚生労働省が推進する「パパ休暇」は、ママの出産後8週間以内にパパが育休を取得した場合、再度育休を取得できる制度です。

パパ・ママ育休プラス
両親がともに育休を取得すると、休業可能期間が延長される制度です。通常は子の1歳の誕生日前日まで取得できますが、この制度を利用するとパパかママのどちらかが1歳2か月まで延長して取得できます。

育児休業給付金
◆ 育児休業給付金の支給額
- 休業開始から6か月間:給与の約67%を支給
- 6か月経過後〜1歳まで:給与の約50%を支給
! 給付を受けられない条件
- 休業開始時から賃金日額×支給日数の80%以上の賃金が企業から支払われている場合
- 休業期間中に就労日数が10日超(または就労時間が80時間超)の場合
男性育休取得を推進するために企業が取り組んでいること
① 上司から積極的に取得を促す「イクボス」文化
管理職が育休取得に否定的な意見を持っていると部下は申請しにくくなります。上司自ら育児参加を推進する「イクボス」がいる職場は、育休取得率が自然と高まります。
◆ イクボス文化を醸成する企業の取り組み例
- 社内報で男性の育児参画事例を紹介する
- 部下の育休取得サポートを上司の評価制度に組み込む
- 管理職研修に育休推進に関するプログラムを導入する
② 常に業務内容を共有してカバーできる体制をつくる
「自分が休んだら業務が止まる」という状況では育休を取りたくても取れません。日常的に業務内容を共有し、誰かが抜けても滞りなく進められる体制を整えている企業は、休暇前の引継ぎもスムーズです。
③ 育休中も会社とのつながりを保つ体制づくり
「育休を取ったらキャリアに響くのでは」という不安が取得を踏みとどまらせることがあります。テレワークを活用して定期的に会議や面談に参加できる体制を整え、育休中も会社とのつながりを維持できる仕組みをつくっている企業もあります。
男性育休に関連した国の認定制度
くるみんマーク・プラチナくるみんマーク

次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画を策定・目標達成し、一定の基準を満たした企業が厚生労働大臣から受ける認定(くるみん認定)です。
イクメン企業アワード・イクボスアワード

イクメン企業アワード:男性の仕事と育児の両立を促進し、業務改善も図られている企業を表彰。イクボスアワード:部下が育児と仕事を両立できるよう配慮しながら、自らも仕事と生活を充実させている管理職(イクボス)を表彰。
男性育休取得に力を入れている企業事例
◆ 企業事例①|日本生命保険相互会社
2013年度から男性職員の育児休業取得100%を全社目標に掲げ、6年連続で100%達成という実績を持ちます。業界全体への波及効果も大きく、男性育休推進の先駆的企業として知られています。
◆ 企業事例②|三菱UFJファイナンシャル・グループ
2019年度から男性に約1か月間の育児休業取得を推奨。グループ内各社で育児参画している男性と上司を社内報で紹介したり、取得推進メールを送信したりと、全社的な雰囲気づくりに取り組んでいます。
◆ 企業事例③|コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社
子どもが誕生した男性社員に上司からオリジナルの「パパエプロン」を手渡しするユニークな取り組みで、男性が育休を取得しやすい風土づくりを実践。制度だけでなく文化として根付かせる好例です。
就活・転職で企業の育休制度を確認するポイント
「育休制度があります」という言葉だけでは不十分です。実態として取得しやすいかどうかを見極めることが大切です。
◆ 面接・企業研究で確認したい質問例
- 男性社員の育休取得率・平均取得日数はどのくらいですか?
- 育休取得後、同じポジションや同等の業務に戻れますか?
- 育休取得者の上司への評価制度はありますか?
- くるみん認定やイクメン企業アワードなど国の認定は取得していますか?
まとめ

◆ この記事のまとめ
- 男性育休取得率は2023年度に30.1%(政府目標を前倒し達成)
- 2022年10月に「産後パパ育休(出生時育児休業)」が新設
- 育休中は給与の67%(6か月後は50%)が雇用保険から支給
- イクボス文化・業務共有体制・育休中のつながり維持が取得推進のカギ
- くるみん認定・イクメン企業アワードが企業選びの参考になる