就活生の皆さんは「ベンチャー企業」「ベンチャー業界」と聞いて具体的な企業のイメージが出来ますか?
「20代の若手が多くて勢いがありそう」「従業員が少なく規模が小さく意思決定が速そう」「新しい事業領域で面白そう」など人によって様々な印象を持っていると思います。
この記事では、『ベンチャー企業と呼ばれている企業はどんな企業なのか』について、「ベンチャー企業」の定義や「スタートアップ企業」「中小企業」との違い、ベンチャー企業で働くことのメリットについてご紹介したいと思います。
目次
ベンチャー企業とは、大企業では行っていないような革新的なアイデアや独自の技術とサービスを提供する企業のことを「ベンチャー企業」といいます。
・資本金が〇〇〇万円以下
・従業員が〇〇人以下
・設立年数が〇年以下
・などの明確な定義はありません。
会社の規模としては小規模から中規模であることがほとんどで、設立から間もなく規模や経営基盤などが小さい「新興企業」に対して、この「ベンチャー企業」という呼び方が使われます。
具体的には「成長過程にある企業」「新規性のある事業を行っている企業」「ベンチャーキャピタルから資金の援助を受けている企業」のことを指しています。ベンチャー業界では、IT業界及びWebサービス関連だけでなく、テクノロジー関連やコンサルティング、不動産など多岐にわたる業界でベンチャー企業は存在します。
これまで世の中になかったサービスや、事業と事業を掛け合わせたサービスなど新しいことへのチャレンジには常に変化が伴うため、事業内容や社内体制が流動的で曖昧な部分があることもベンチャー企業の特徴と言えます。
ここでは、メガベンチャー・スタートアップ・中小企業の3つの違いについて、解説します。
文字通り大企業へ成長したベンチャー企業と捉えて問題はありません。
他の企業との違いが判別しにくいですが、メガベンチャーは、成長と新規性を追求したまま会社規模を拡大している組織を指します。
順調な成長によって企業規模が拡大し従業員が100~1,000名以上まで増えると、多くの企業は革新性の変化よりも安定性を重視するようになっていきます。
そのような状況化でもベンチャー精神を残したまま常に変化を続け、新たな事業領域と創造に邁進する企業が『メガベンチャー』と呼ばれています。
※特徴的なポイントとしては下記の3つが挙げられます。
■上場している
■売上が250億円以上
■従業員が数百人以上
※以下が日本の代表的なメガベンチャーと言われている企業の一部です。
・サイバーエージェント
・DeNA
・ミクシィ
・LINE
・グリー
・メルカリ
スタートアップ企業は、ベンチャー企業の中でも新しいビジネスモデルを短期間で成長させることを目的とした企業を指します。
他の企業が行っている既存ビジネスでなく、まったく新しいビジネスモデルを構築し取り組んでいるのが特徴的です。ベンチャー企業とスタートアップ企業の大きな違いは、革新性があるかどうかです。
2つの違いをまとめると、下記のような企業と言えます。
ベンチャー企業は「既にあるビジネスモデルに工夫を加えてサービスを作る」
スタートアップ企業は「革新的なアイデアでこれまでになかった新しいサービスを作り出す」
中小企業とは、会社の規模を表す言葉です。
日本に存在する企業は累計約420万社と言われています。中小企業は累計の99.7%を占め、大企業と区別される中小規模の企業のことです。中小企業基本法により資本金や社員数が定められており、設立年数や事業年数などは考慮されていません。
つまり、ベンチャー企業であっても中小企業基本法に合致していれば、中小企業に分類されます。
ベンチャー企業で働くメリットは、下記の通りです。
ベンチャー企業では責任ある仕事を任されやすい傾向にあります。
歴史ある企業や大企業と比較すると、創業から間もない企業や成長過程の企業は従業員数が少ないためチャンスが多く回ってきます。加えて大企業のような業務の細かい分担がないため、個人で一括して担当することがあります。
新しい事業に取り組む際には案件自体の責任者になることもあるため、自分の裁量を認められて企業に利益が出れば早期での昇進や収入アップが期待できます。
そういった経験を積み重ねることで大手企業よりも成功も失敗も経験値が多くなり、問題解決力や対応力、マルチタスク能力など幅広い能力が身に付きやすいです。
従業員数が多い会社とは違って、ベンチャー企業では意見が通りやすいという特徴があります。
会社の理念や志に共感している社員が在籍していることも多いため、意見を述べると周囲の共感を得られやすい雰囲気があります。大企業のように複雑な組織や数多くの決裁者が構成されている場合、意見がまとまるのに時間がかかりますが、ベンチャー企業では意思決定を行う際に仲介する人が少ないため、スピーディーに事業を進められます。
自分の裁量でスピード感を持ちながら仕事をしていきたい方にはベンチャー企業は大きなメリットがあると言えます。
大企業では、経営陣と顔を合わせることも直接話すこともないまま退職するということも少なくありません。
一方でベンチャー企業は社長を含む経営陣との距離が近いため経営陣の考えを直接聞くことができる機会も多く、高い士気を持ちながら仕事に取り組めます。自らの意見を伝えて認められれば経営方針や事業内容、新規事業に取り入れられ自らが責任者となって任されるチャンスも多くあります。
企業経営に携わる中で試行錯誤し成功体験を得ることで自分自身の成長に繋がり将来、別の企業への転職や起業などにも役立つことがあります。
大手企業やベンチャー企業など、それぞれ組織としての方針や特徴は異なります。就職活動の方針を決める際には、自分の性格や価値観、キャリアビジョンなどがベンチャー企業に合っているかどうか、しっかりと確認しておきましょう。
ここでは、ベンチャー企業に向いている人の特徴を5つ紹介します。
ベンチャー企業では、未知の課題や困難に挑む姿勢が不可欠です。既存の成功事例や安定した仕組みが少ないため、自ら課題を発見し、積極的に解決策を模索できる人が求められます。
例えば、新規事業の立ち上げや市場開拓では、競合他社がいない分、新しい戦略を試行錯誤する必要があります。そのため、柔軟な思考と挑戦を楽しむ心構えがある人ほど、ベンチャー企業で力を発揮できるでしょう。
また、失敗をおそれない心構えも大切です。失敗は成長の一部と捉え、改善の機会とすることで、より良い結果を生み出せるようになります。自己成長を目的として、困難な課題に取り組むモチベーションが高い人は、ベンチャー企業への就職を目指してみてください。
責任が求められるポジションやプロジェクトに携わりたい場合は、ぜひベンチャー企業を目指してみてください。ベンチャー企業では少人数の組織体制であることが多く、社員一人ひとりに大きな裁量が与えられるのが一般的です。
新規プロジェクトの立ち上げや重要な意思決定に直接関わる機会が多く、自分の仕事が会社全体に与える影響を実感しやすいといえます。例えば、新商品の開発において、商品のコンセプト設計からマーケティング、販売戦略までを一貫して担当することもあるのです。
自分の意思で判断・行動し、自由に仕事を進められる点は、ベンチャー企業ゆえのメリットといえるでしょう。また、自分の意見が経営層に届き、すぐに事業の方向性に反映されるスピード感も魅力です。一方で、結果に対する責任を負う覚悟や、自発的に行動する力も求められます。
単調な作業やルーチンワークよりも、変化のある環境での仕事に興味がある人はベンチャー企業に向いています。
ベンチャー企業は、市場や顧客ニーズ、技術の進歩にともない、迅速かつ柔軟に変化する必要があります。そのため、日常的に業務内容や会社の戦略が変わることも珍しくありません。このような環境では、従来のルールや慣習に囚われず、新しい方法を模索できる人が活躍します。
例えば、事業の成長フェーズに応じて、営業中心の仕事から開発や運営へと役割が変化することもあり、異なるスキルを身につける柔軟性が求められます。
変化を前向きに受け入れ、それを成長のチャンスと捉えられる人ほど、ベンチャー企業で成功できるでしょう。
ベンチャー企業では、自主性や主体性のある人材が求められます。自己啓発やキャリアアップに積極的な人は、ベンチャー企業に向いているといえるでしょう。
また、ベンチャー企業では若いうちから多くの経験を積むことができ、それが自身の市場価値を向上させることにもつながります。例えば、マーケティングだけでなく、営業や開発、さらには経営戦略にも関わる機会があり、幅広い経験を通じてスキルアップが可能です。
加えて、自己主導でプロジェクトを進める場面も多く、リーダーシップや問題解決能力が自然と養われます。
成長意欲が高い人は、自ら学ぶ姿勢を持ち、必要なスキルや知識を積極的に吸収するため、結果的に組織にも大きく貢献します。こうした成長志向の人材は、会社全体を引っ張る原動力として高く評価されるでしょう。
ベンチャー企業は、将来起業を目指す人にとっての絶好の学びの場です。資金調達や事業戦略、チームマネジメントなど、経営に関する知識やスキルを実践的に学べる機会が豊富であり、ビジネスの全体像を把握する力を養えます。
特に、経営者と近い距離で仕事をすることで、意思決定のプロセスや事業の運営方法を直に観察し、自分のビジョンを具体化するためのノウハウを得ることが可能です。
ベンチャー企業には多くの魅力がありますが、人によっては向いていない場合もあります。下記で、ベンチャー企業に向いていない人の特徴を3つ紹介します。
変化を嫌い、安定を好む人にとっては、ベンチャー企業が向いていないと感じるでしょう。ベンチャー企業では、事業の方向性や組織構造、仕事内容が頻繁に変わることも少なくありません。また、企業としての収益基盤がまだ確立されていないケースもあるため、収入や雇用条件が不安定になるリスクも少なからずあります。
つまり、ベンチャー企業は長期的なキャリア計画を立てることが難しい場合があり、安定を重視する人にとっては精神的な負担がかかる可能性があるといえるでしょう。さらに、安定志向が強い人は「変化」に対するストレスが高まる傾向もあります。
ベンチャー企業では課題解決や新しい挑戦が日常的に求められるため、その変化をポジティブに捉える力が重要です。こうしたベンチャー企業の特徴が自身の性格に合わないと、成長を楽しむよりも不安を感じることが多くなり、結果的にパフォーマンスを発揮しにくくなるでしょう。
ベンチャー企業では、自ら行動を起こし、積極的に問題解決に取り組む姿勢が求められます。失敗をおそれて挑戦しない人、受け身な人、他者からの指示を待つ傾向が強い人にとって、ベンチャー企業の職場環境がプレッシャーになる可能性も少なくありません。
ベンチャー企業はまだ組織やプロセスが整備されていないことが多く、一人ひとりが自主性を発揮して業務を進める必要があります。自ら「これができる」「こうしたい」と提案し、他者を巻き込む力が重要です。また、ベンチャー企業では、1人が複数の役割をこなす場面が多々あります。
受け身な態度では、与えられた業務以上の貢献が難しくなり、結果として周囲からの期待に応えられない場合があります。
仕事と生活の調和を意味する「ワークライフバランス」を重視する人にとって、ベンチャー企業の働き方は負担となることがあります。ベンチャー企業では、短期間で成果を上げることが求められ、長時間労働や予測できないタスクが発生することも珍しくありません。
このような状況では、定時退社や休日の確保が難しい場合もあり、プライベートの時間を優先したいと考える人にとってストレスフルな環境となるでしょう。
さらに、ベンチャー企業特有の「積極性」や「情熱的な働き方」が求められるため、会社やプロジェクトへの高いコミットメントが期待されます。仕事とプライベートとの両立を重視する人は、周囲との温度差を感じたり、働きすぎによる疲労感を抱えたりすることが増える可能性も少なくありません。
とはいえ、ベンチャー企業の中でもワークライフバランスを実現しやすい職場は多く存在します。家庭や趣味など、仕事以外の活動に時間を割きたい場合は、時間外労働がどのくらいか、柔軟な働き方が可能か、などをチェックしましょう。
「体育会系な社風」「チームワークを重んじる社風」など、自分に合った職場を選ぶことは、ミスマッチを防止することにつながります。とはいえ、ベンチャー企業は個性的な職場環境が多い傾向にあり、自分に合った企業をみつけるには工夫が必要です。ここでは、自分に合ったベンチャー企業の探し方を紹介します。
逆求人サイトは、従来の「応募者が企業に応募する」形態とは異なり、企業が登録者にスカウトを送る仕組みのプラットフォームです。逆求人サイトを利用すると、自分のスキル・価値観などに合った企業から説明会や選考へのオファーを受け取れます。ベンチャー企業は、特定のスキルや意欲を持つ人材を求めているため、逆求人サイトとの相性が良い傾向にあります。
逆求人サイトでは、プロフィールを充実させることで、企業に自分の強みを効果的にアピールできる点が魅力です。学んだスキルや得意なことを具体的に記載することで、企業の採用担当者の目に留まり、スカウトを受ける確率が上がります。
また、企業側からのアプローチを通じて、求められるスキルや業界のトレンドを知ることもでき、自分の成長につながるきっかけとなるでしょう。
就活エージェントは、新卒採用に特化した専門家が個別にキャリア相談を行い、適切な企業を紹介してくれるサービスです。特にベンチャー企業に特化したエージェントを選ぶことで、自分の希望条件やスキルに合った企業を効率的にみつけられます。
エージェントは、求人票だけでは分からない企業の内部情報や現場の雰囲気についても教えてくれるため、具体的なイメージをもちやすく、入社後のミスマッチが防ぎやすい点もメリットです。
さらに、エージェントは面接対策や履歴書の添削など、選考対策もサポートしてくれる上に、企業への質問や条件交渉も代行してくれます。専門家のアドバイスやサポートを受けながら就職活動することで、スムーズに自分にマッチした職場へ就けるでしょう。
合同説明会は、複数の企業が一堂に会して行われる採用イベントです。求職者は、興味のある企業のブースに赴いて説明を受けたり、社員と直接話したりできます。合同説明会では、多くのベンチャー企業と直に接する機会が得られ、企業の雰囲気や採用担当者の話から、会社の文化や価値観を把握できます。
また、合同説明会では、面接では聞けないような具体的な仕事内容や社風、入社後のキャリアパスなどについても直接聞くことが可能です。合同説明会で、気になる企業を比較したり、知らなかった業界の話を聞いてみたりするとよいでしょう。
ベンチャー企業を選ぶ際には、評価を受けている企業を候補にするのも有効です。例えば、「ベストベンチャー100」や「日本スタートアップ大賞」などの表彰を受けている企業は、一定の成果や成長性が認められています。こうした表彰企業は、ビジネスモデルや製品が注目されていることが多く、信頼性や将来性を判断するひとつの指標といえるでしょう。
また、表彰企業はある程度の成果を上げている企業であり、ビジネス基盤が整っています。ゆえに働きやすい環境や充実したキャリア支援を提供している可能性が高いといえるでしょう。
一方で、ビジネス基盤が整ったベンチャー企業は、スタートアップ特有の成長スピードを実感しにくい場合がある点に留意が必要です。加えて、評価を受けている企業は競争率も高く、万全な選考対策が求められます。
公式SNSは、企業の文化や活動内容を知る上で重要な情報源です。ベンチャー企業はSNSを活用して最新のプロジェクトや社内イベント、採用情報などを発信していることが多く、投稿から企業の雰囲気や社員の働き方を知ることが可能です。
企業にとってもSNSは、コストをかけずに優秀な人材を探す有効な手段であり、多くのベンチャー企業は自社のPRに力を入れています。
SNS上でメッセージを送り、企業との関係性を築くことも可能ですが、注意したい点があります。それは自身のプロフィールや投稿が見られることです。自身の投稿の内容によっては企業にマイナスな印象をもたれる可能性があるため、フォローやメッセージを送る際は注意しましょう。
ベンチャー企業は実力主義の風潮があり、入念な選考対策が必要です。ここでは、ベンチャー企業での就職を成功させるために重要なポイントを紹介します。
企業研究は、どのような企業に就職するにしても重要ですが、特にベンチャー企業では欠かせません。なぜなら、ベンチャー企業は独自のビジョンやミッション、価値観を持っていることが多く、それに共感できる人材を求めているためです。
企業研究では、提供している商品やサービスの仕組みなど、事業内容をしっかりと調べましょう。事業内容の理解を深めることは、志望動機を作成する際にも役立ちます。
また企業研究では、志望先企業が属する業界や競合と比較することが大事です。同業他社と比較することで、その企業の強みや独自性が明確になります。
キャリアプランとは、自分の理想とするキャリア実現に向けた計画のことです。応募する企業を選ぶ際には、自分のキャリアプランが企業の成長や方向性と一致しているかどうかを判断する必要があります。また、応募するベンチャー企業で得られるスキルや経験が、自分の理想とするキャリア構築につながるのかどうかも重要です。
まずは、入社後に自分がどう活躍したいか、どのポジションや役割を目指すのかなどを明確にしてみてください。キャリアプランは面接でも聞かれることがあるため、言語化できるようにしましょう。
ベンチャー企業では、問題解決能力に優れた人材が求められます。応募書類に記載する自己PRや面接対策として、これまでに取り組んだ課題や問題解決の事例について、スムーズに説明できるようにしておくのがおすすめです。
学生時代のプロジェクト、インターンシップ、または職務経験の中で、自分がどのように課題を発見し、解決に導いたかを整理しましょう。問題解決のためにどのような行動をしたのか、そのプロセスを詳しく述べると説得力が増します。
また、成果を具体的に示すことも大切です。「○%の業務効率化を達成した」「新規プロジェクトを成功させた」など、具体的な成果を数字や事実で示すことで、採用担当者はイメージしやすくなります。
さらに、問題解決の過程で直面した困難や失敗をどう克服したか説明することで、逆境に強い姿勢や成長意欲をアピールできます。
ベンチャー企業はワークライフバランスや安定性を重視する人には、業務が流動的なため向いていないといえるでしょう。一方、短期間でスキルや知識・経験を習得したい人や将来開業を目指している人にはおすすめです。
べンチャー企業で働くということは大変な部分も多いですが、いずれにしても重要なことは「自分自身に合った職場環境を見つける」ということです。
ベンチャー企業をこれまでの就職活動で視野に入れていなかった方は選択肢の中に加えてみてはいかがでしょうか。
「大手企業」「中小企業」「ベンチャー企業」に興味があるけど、選ぶ自信がない・不安を感じている人は、実際に働いている人の話を聞いて業務内容や雰囲気を知ることで判断しても良いと思います。
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