
企業の健康診断(一般定期健康診断)は、従業員の健康管理だけでなく、法律で定められた事業者の重要な義務です。特に診断結果に異常所見があった際、医師や産業医から意見を聴く「医師の意見聴取」は、全ての事業所において法的義務となっています。
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労働安全衛生法第66条では、自ら雇用する労働者に対して「1年に1回、定期に健康診断を実施する」ことを義務づけており、これを「一般定期健康診断」といいます。
事業者は労働者に対して医師による健康診断を実施する義務があり、同様に労働者は事業者が行う健康診断を受けることが求められています。
健康診断の対象者には以下が該当します。
所定労働時間の4分の3未満のパートタイム労働者についても「健康診断の実施が望ましい」とされており、実務上は対象に含める検討が必要です。
参考資料:https://www.lcgjapan.com/pdf/lb09094.pdf?12
また、健康診断は以下についても義務付けられています。
1年に1度、該当従業員へ健康診断受診についての周知と案内が必要です。社内報やポスター・個人宛通知などで以下の内容を呼びかけましょう。
事業者は異常所見の有無を確認して適切な対応をする必要があります。健康診断がただ行われるだけでなく、結果に対する適切なフォローアップが行われるように注意してください。
「健康診断を受けた労働者に対し、当該健康診断の結果を通知しなければなりません」(第66条の6)。各個人宛に結果を送付しましょう。再検査が必要な従業員への二次検診の受診勧奨も重要です。
健康診断結果の確認ができたら、すみやかに以下の2つの措置をとりましょう。

医師(産業医)からの意見聴取とは、健康診断が行われるたびに、その結果をもとに就業上の措置についての意見を聴取する法的義務です。専門的な立場から医学的なアドバイスを受けることで、企業が労働者の健康を適切に管理し労働環境の改善に寄与するために行われます。
労働者の健康診断の結果に異常所見があった場合、医師(産業医)の意見を踏まえて適切な措置を講じなければなりません。就業区分は「通常勤務・就業制限・要休業」の3区分で判定します。
常時50名以上の従業員を使用している事業場では、選任している産業医から意見を聴取しましょう。
労働者が50人未満の事業場では産業医の選任義務はありません。しかし、労働者の健康診断の結果に異常所見があった場合、必要な医学知識を有する医師からの意見聴取は必要です。「50人未満だから意見聴取は不要」というのは誤解ですので注意してください。
労働者50人未満の小規模事業場では、「地域産業保健センター(地産保)」のサービスを無料で利用することができます。
50人未満の事業所において、地域産業保健センターで実際に「医師の意見聴取」を実施したので、その実体験をお伝えします。
会社所在地の最寄りの地域産業保健センターを以下のサイトで検索して、電話予約をしました。
大阪府の地域産業保健センター:https://osakas.johas.go.jp/sanpo-center/
異常の所見に該当する従業員の検診結果から、専門医による丁寧でわかりやすいアドバイスや今後の対応方法を教えていただきました。小規模事業所にとって非常に心強いサービスです。



各地域ごとに設置されているので、検索サイトでお近くの保健センターを検索してみてください。
検索キーワード例:「地域産業保健センター ※市区町村名※」「医師の意見聴取 50人未満 無料」

企業の健康診断は、実施して終わりではありません。従業員の健康を守り企業の安全配慮義務を果たすためには、診断結果に基づく「医師の意見聴取」と「適切な就業上の措置」が不可欠です。法律上の義務であることはもちろん、健康経営の観点からも非常に重要なプロセスです。
特に労働者が50人未満で産業医がいない企業は、無料で利用できる地域産業保健センターを積極的に活用し、法令順守と従業員の健康維持を両立させましょう。