就職活動 内定“早期化“のリアルを徹底解説

2022.09.30
#企業分析#就活基礎知識#面接対策

■就職活動スケジュールの形骸化

就職活動において、政府が要請している日程では大学4年生になる直前の3月から企業の説明会、そして、エントリーシート(応募書類)の提出が始まって、6月1日から面接・内定が解禁ということになっています。しかしながら、このスケジュールは守られておらず形骸化されていることは皆さんも理解していることかと思います。

 

2024年卒の大学生を対象にした就職・採用活動の日程は、以下のとおり要請されています。

 

・広報活動開始:卒業・修了年度(大学3年)に入る直前の3月1日以降

・採用選考活動開始:卒業・修了年度(大学4年)の6月1日以降

・正式な内定日:卒業・修了年度(大学4年)の10月1日以降

 

■早期化が進む理由

マスコミ企業やIT企業、外資企業など、3回生の早期から内定を出す企業はありますが、それ以外の企業においても、全体的に早期化が進んでいます。

 

加えて、2025年卒から対象にインターンシップを採用活動直結が承認される流れや、TVCMなどでもよく目にするようになったダイレクトスカウト型の採用手法が新卒採用で通常に活用されるようになっている2点が背景にあります。早期ルートから、早期就職活動学生に、より早く内定を出す動きが広がっています。

このように採用活動が早期化している傾向があり、他社よりも早く優秀な学生を囲い込むためにインターンシップに力を入れる企業が増えていると考えられます。早いところでは、大学3年の夏頃に選考を兼ねたインターンシップを実施し、冬頃には内定を出す企業も見受けられます。

 

コロナ禍で採用計画を控えていた企業も全体的に業績は好調で見通しが見えてきたため、採用意欲は非常に高まっています。コロナでダイレクトに影響を受け新卒採用を見送っていた航空業界や旅行業界なども、採用を再開する企業も多くあります。世界的な経済の先行きに不安はありますが、少子高齢化の日本において人口減少が進んでいる中、DX人材を含め、積極的に若い人材を採用確保したいという企業が多くなっているのが現状です。

 

 

 

■インターンシップを活用して早期学生にアプローチ

コロナ禍の影響によりオンラインでインターンシップを実施する企業が増えたことで、さらにインターンシップの実施率が上昇しています。インターンシップは学生にとって、様々な企業の仕事内容や内部体制を直接見て体験することができるので、やりたい仕事や志望する企業を絞っていける貴重な経験になります。ただ、上記で述べたように今や主に大学3年生の6月夏から始まるインターンシップは事実上、就職活動スタートの位置づけになっています。本来、ルール違反ではあるのですが、大きな罰則はなく「採用に直結」「採用したい優秀な学生は考慮する」という企業が7割以上で、インターンシップ参加学生を、リクルーターや現場社員と面談や座談会、同行営業などを実施して早期選考会に誘導し、早めに内定を出して囲い込む動きが活発に行われています。

 

 

■早期に就職活動をしている学生の特徴

就職活動をしている学生の全体の割合から見て早期で動いている学生はまだまだ多くはないですが、2024卒~2025年卒の学生からかなり増えることが想定されます。

 

早期学生の3年生の夏頃のスケジュールは下記の通りです。

●3年生 5月:インターン選考のための自己分析として参加

●3年生 6月:6月上旬のインターン合説参加(マイナビ、リクルートなど大手媒体社主催イベント)

●3年生 7月:7月からインターン開始

 

 

早期で動いている学生は就職活動はもちろんのこと、それ以外の事柄においても情報感度が高く、積極的に就活をしている層と言えます。

 

●首都圏

●高学歴(上位校)

●成長意欲が高い、主体的な行動タイプ

 

また企業側も、このような人材を採用確保したいと考えており、メガベンチャーや大手企業に負けないよう早期から採用活動をしています。

早期に内定を出しても辞退されて意味がないと諦めていた企業も同時に進めていく必要性が大きくなっています。

 

■ダイレクトスカウト型の採用手法

学生が、自分のプロフィールや、大学活動、ガクチカなどを登録しておくと、その登録情報から「自社にマッチしていそう」と興味を持った企業から「選考の連絡(オファー)」が来るという仕組みのサイトです。

 

キミスカやOfferBox(オファーボックス)などの複数サイトがあり、利用する企業や学生が年々増えています。今や全体の3割以上の企業がスカウト型手法を活用しているデータもあります。

 

 

■内定早期化の問題があるか?

就職活動が上手く進めば、就職活動以外の時間に余裕ができ、社会人に向けた対策、経験を積む時間、自信の向上にも繋がるのでメリットはあります。

しかし、学生が、内定先の企業をよく理解しないまま入社することで、ミスマッチからすぐに辞めてしまう動きが増えるのではないか、という懸念があります。

問題に対して、自分の将来に関することですので、

「前向きに向き合えるかどうか」

「迷走してしまわないかどうか」そこが判断の基準になります。

 

■内定が出ていない学生へのアドバイス

就職活動において早期化が進むことで、焦りを覚える学生が増えると思います。今の学生はコロナ禍で大学入学の時から、ほとんどキャンパスに行けず、オンライン授業が多くサークル活動も制約を受けてきました。

 

友達や先輩との交流が少ない学生が多く、夏から本格化するインターンシップの情報が伝わらず、出遅れる学生が増えることが懸念されています。大学によっては、早いうちからメールで参加を呼びかけたり、学生同士をオンラインで結び不安を共有できる場を提供するなど、対策に乗り出しています。

 

不安を抱えたまま就職活動に臨む学生も多くいますが、心配はいりません。前向きに自分に合う会社を見極めじっくり考えていけば怖いことはありません。早期に内定が出ても入社する時期はみんな同じ時期ですので焦らず視野を広げて取り組んでほしいと思います。内定の早期化は止まらないと想定されるだけに、自身の価値を無駄にすることなく、自分が最も納得できる選択をしていきましょう。

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