自分の関心がある分野や将来のキャリアに関連した就業体験を行うインターンシップ。
企業の採用ホームページや説明会ではわからない会社の雰囲気、社員の様子、業務内容をリアルにつかめることもあり、最近では参加する学生が増えています。
そんなインターンシップですが、参加した際に給料は支払われるのでしょうか?
実際には、給料が支払われるものとそうではないものがあります。
この記事では、インターンシップで給料が出る条件や状況はどんなものか、支払われる場合の相場をわかりやすく解説しています。
目次
結論から言えば、インターンシップには給料が出るものと出ないものがあります。
全体としてみると、給料がもらえるインターンシップは多くありませんが、インターンシップの内容によっては給料がもらえるものもあります。
無給のインターンシップが多い理由、また給料がもらえるインターンシップにはどんなものがあるのでしょうか。
無給のインターンシップが多い理由は、インターンシップの内容が実務を行わないものが多いからということにあります。
企業概要や業務内容の説明会、グループワーク、ディスカッションなど、企業を理解するための疑似体験的なものが多いからです。
期間も1日から1週間程度の短期のものが多く、何より実務を行わないため給料を支払う必要がないのです。
学生の立場から見ても、インターンシップは自分から企業にお願いして職場体験をさせてもらっているという認識があります。
だからこそ、そもそも給料をもらえるかどうかを考えていない方も珍しくありません。
条件や状況によっては給料が支払われるインターンシップもあります。
具体的にはインターンシップで取り組む内容によって、インターン生が労働基準法の「労働者」とみなされる場合です。
この場合、企業はインターン生に対して適正な賃金を支払う義務が発生します。
インターン生が「労働者」とみなされるかの基準としては、「企業から実質的な指揮命令を受けているか」、「インターン生による利益・効果が企業に帰属しているかどうか」で判断されます。
賃金が発生するインターンシップは、数週間~数ヶ月程度の長期で行われることが多いです。
長い期間企業で従事することから、給料以外に交通費や食事手当などを支給してくれる企業もあります。
社員と一緒に営業や企画の業務を行ったり、インターン生がつくった資料を実際の業務で使用したりすると、インターン生が企業の生産活動に直接寄与していることになり、企業側は成果に対する報酬として給料を支払うことになるのです。
短期インターンシップは無給の場合がほとんどですが、長期インターンシップは給料が支払われる場合が多くなります。
その理由と、給料の相場について見ていきましょう。
短期インターンシップの場合、企業にとって学生はあくまで「ゲスト」です。
その内容もディスカッションやグループワークなど、企業の売上や利益にはつながらないものです。一方、3ヶ月以上にわたる長期インターンシップの場合、学生は「ゲスト」ではなく「社員」「仲間」として扱われます。
社員と一緒に働き、実際の業務を担当することになるため、企業の売上や利益に貢献していくことになります。
その労働に対して給料が支払われるのは当然のことと言えます。
長期インターンシップの場合、給料は日給制や月給制ということもありますが、一番多いのはアルバイトのような時給制での支給です。
支給額は企業や職種によって異なりますが、時給1,000円前後のケースが多いです。
なお営業職になると、売上や契約に対してインセンティブがプラスして支給されることもあります。また、交通費も基本的には全額支給されます。
企業によっては、各種の福利厚生を用意しているところもあります。
例えば昼食代の支給やドリンクの無料配布、書籍代の補助、遠方から参加するインターン生への住居提供、社員用研修や社内イベントへの紹介など、様々なものがあります。
求人募集などでぜひチェックしてみるといいでしょう。
企業の現場で業務につき、それに応じた報酬や給与を受け取り、支給も同じ時給制。
「長期インターンシップとアルバイトはよく似ているけど、どう違うんだろう?」と思う人もいるかもしれません。
確かに両者に共通する部分はありますが、その業務の目的や将来の方向性を考えた場合、はっきりとした違いがあります。
長期インターンシップとアルバイトは、税制など法律上の扱いという点ではほぼ同じです。
例えば、ご存知の方も多いと思いますが「103万円の壁」というものがあります。これは年収が103万円を超えると所得税の課税対象になるもので、アルバイトであっても、長期インターンであっても同じ条件です。
そして103万円以上の収入があると「扶養控除の対象」からも外れてしまい、扶養者(保護者)が支払う税金が約10万円~20万円増加することになってしまいます。そのため、保護者の方と相談したうえで、シフトの時間を決めていくといいでしょう。
さらに130万円以上の収入があると、所得税の課税対象になるだけでなく、親の社会保険扶養からも外れるため、社会保険料を自分で支払う必要が出てきます。所得税も支払う必要があるので、自分で手間をかけて所得を計算し、確定申告をしなければいけません。
これも長期インターンシップ、アルバイトともに共通することです。
長期インターンシップもアルバイトも、契約をして業務を遂行し、報酬を得るという点は同じです。
しかし、業務内容や目的、将来への可能性といった観点から見ると、両者には大きな差があります。アルバイトの一番の目的は、仕事をすることで得る報酬、つまりお金です。
もちろん出会いを求めていたから、その仕事に興味があったからという人もいると思いますが、お金を得る手段というのが目的の大半です。
また業務内容も、例えば飲食店のアルバイトで考えると、お客様の案内から注文の聞き方、料理の出し方まで基本はマニュアル通りに行動することが求められます。
一方で長期インターンシップは、お金を稼ぐことは二の次であり、将来につながるスキルアップが最大の目的となります。
インターンシップはキャリア形成の一環です。仕事はマニュアル通りではなく、自分で考え、行動し、「成果を出すこと」が求められます。給与も、本人が出した成果に対して支払われると言えます。
業務内容でも長期インターンシップならではのメリットがあります。
営業と一緒に得意先へ出向いたり、会議に参加したり、社長から直接学ぶ機会があったり。アルバイトでは決して体験できない貴重な時間を過ごせるのです。
インターンシップと給料の関係から、長期のインターンシップについて、またインターンシップとアルバイトの違いについて見てきました。
お伝えしたように、インターンシップの目的はお金ではありませんが、同じ働くのであれば給料をもらえるほうがモチベーションも上がりますよね。
自分が将来働こうと考えている企業や業界の実情をつかみ、実務経験を身につけたいと考えるなら、長期インターンシップにチャレンジしてみることをオススメします。