内々定の取り消しは違法?違法になるケース・損害賠償・対処法3つを解説

内々定を受けた後に「やっぱりなかったことにしてください」と企業から連絡が来た——そんなまさかのケースに直面したとき、学生はどう対応すればよいのでしょうか。

結論として、内々定の取り消しは原則として違法ではありませんが、「就活を中断させた後の取り消し」「合理的な理由のない一方的な取り消し」は不当として損害賠償が認められたケースがあります。取り消しに遭ったらまず「書面で理由を確認する→相談窓口に連絡する→就活を再開する」の3ステップで行動しましょう。この記事では違法になるケース・ならないケース・損害賠償の可能性・対処法を詳しく解説します。

岩元翔

日本次世代企業普及機構 代表理事

岩元 翔

内々定の取り消しに遭った場合、まず冷静に「なぜ取り消されたのか」を確認することが大切です。理由によっては法的に争える場合もありますが、就活を再開する現実的な行動と並行して進めることをおすすめします。一人で抱え込まず、大学のキャリアセンターや就職支援機関に相談しましょう。

◆ この記事でわかること

  • 内々定とは何か・法的な位置づけ
  • 内々定の取り消しが「違法」になるケース・ならないケース
  • 損害賠償を請求できる可能性と裁判例
  • 取り消しに遭った場合の3ステップ対処法・相談窓口
  • 内々定取り消しを防ぐためにできること
  • よくある疑問Q&A

◆ 関連記事:内々定とは?内定との違い・承諾・辞退の判断基準を完全解説

◆ 取り消しの理由・事例はこちら:内定・内々定の取り消し事例と理由|SNS・経歴詐称・業績悪化を解説

1. 内々定の法的な位置づけ

内々定は「将来的に内定を出す意向がある」という企業側の意思表示であり、正式な内定(労働契約の成立)とは異なります。一般的に内々定は法的拘束力のない口約束とされ、法的には労働契約が成立していないとみなされることが多いです。

ただし、内々定から内定・入社に至るプロセスにおいて、学生側が他の就職活動を中断したり、その企業への入社を前提に行動している場合は、一定の法的保護が生じる可能性があります。

◆ 内定と内々定の違い(法的効力)

項目 内々定 内定
法的拘束力 原則なし 労働契約が成立
取り消しの扱い 状況次第で損害賠償が生じる可能性 解雇と同等。正当な理由と手続きが必要
時期の目安 10月1日より前 10月1日以降

2. 内々定の取り消しが「違法・不当」になるケース

内々定取り消し 違法

内々定の取り消しが不当・違法とみなされる可能性があるのは、主に以下のケースです。

! 違法・不当になりやすいケース

  • 就活を中断させた後の取り消し:「内々定を出すから他社の就活はやめてください」と言って取り消した場合、不法行為となる可能性が高い。これは「オワハラ」とも関連する問題
  • 内定通知書・誓約書を交わした後の取り消し:書面での合意がある場合、労働契約に近い状態とみなされる
  • 合理的な理由なく一方的に取り消した場合:企業側の一方的な都合(採用計画の変更など)のみを理由にした場合は損害賠償の対象になりうる
  • 差別的理由による取り消し:妊娠・性別・障害・国籍などを理由にした取り消しは労働関係法令に違反する
  • 内定通知直前の突然の取り消し:内定が確実に見込まれていた状況での直前取り消しは、学生の合理的期待を裏切る行為

3. 内々定の取り消しが「適法」になるケース

一方、以下のケースでは内々定の取り消しが適法とみなされる場合があります。

◆ 適法とみなされやすいケース

  • 学生が卒業できなかった(採用条件を満たさなくなった)
  • 健康上の理由で就労が客観的に不可能になった
  • 重大な虚偽記載・経歴詐称が発覚した
  • 企業が倒産・廃業した
  • 内々定後に学生が法律違反・著しく問題のある行動をした
  • 承諾期限を守らず連絡しなかった

取り消しの原因(経歴詐称・SNS問題・卒業不可など)の詳細は内定・内々定の取り消し事例と理由の記事をご確認ください。

4. 損害賠償を請求できる可能性と裁判例

内々定取り消し 損害賠償

不当な内々定取り消しにより実際に損害を受けた場合(他の内定を辞退した・引越し費用を支払った・就活をやめた期間のロスなど)は、損害賠償請求が認められるケースがあります。

過去の裁判例では、内定直前に突然取り消しを行った企業に対して、数十〜数百万円規模の損害賠償を命じた判決が出ています。裁判所は「学生の入社への合理的な期待が法的保護に値する程度に高まっていた」と判断した場合に賠償を認める傾向があります。

★ 損害賠償が認められやすい状況

  • 内定通知書・誓約書などの書面を受け取っていた
  • 企業の指示で他社の内定を辞退した(オワハラに近い状況)
  • 入社準備のために実際に費用が発生していた(引越し費用・資格取得費用など)
  • 就職活動を終了するよう企業から明示的に求められた
  • 内定直前(10月1日に近い時期)に突然取り消された

! 損害賠償が認められにくい状況

  • 書面での合意がなく、口頭での約束のみだった
  • 取り消しが学生側の問題(卒業不可・経歴詐称など)に起因する
  • 企業が倒産・廃業した
  • 取り消しが早期(内々定通知から間もない時期)だった

ただし訴訟には時間・費用・精神的負担がかかるため、法律の専門家(弁護士・司法書士)に相談したうえで現実的な対応を検討することが重要です。

5. 内々定取り消しに遭った場合の3ステップ対処法

内々定取り消し 対処法

ステップ1:取り消しの理由を書面で確認する

口頭で取り消しを告げられた場合でも、必ず理由を書面(メール)で確認しましょう。後から対処するための証拠にもなります。「取り消しの理由をメールで送っていただけますでしょうか」と丁寧に依頼するだけで十分です。

■ 書面確認メール例文

件名:内々定取り消しに関するご確認(〇〇大学 氏名)

株式会社〇〇
採用担当者様

お世話になっております。〇〇大学の〇〇と申します。

先ほどお電話にてご連絡をいただきました件について、ご確認のご連絡をさせていただきます。内々定の取り消しに関しまして、取り消しの理由および今後の対応について、書面(メール)にてご説明いただけますでしょうか。

ご多忙中、大変恐縮ですが何卒よろしくお願いいたします。

(署名)

ステップ2:相談窓口に連絡する

◆ 相談できる窓口一覧

  • 大学のキャリアセンター:学生への支援・情報提供を行っており、企業への問い合わせを代行してくれる場合もある。まず最初に相談する窓口として最適
  • 新卒応援ハローワーク:内定取り消しに関する相談窓口を設置している。再就職支援も受けられる
  • 都道府県労働局:違法性が疑われる場合に相談・申告できる。行政指導が入ることもある
  • 弁護士・法テラス:損害賠償を検討する場合は法律の専門家に相談する。法テラスでは費用の立替制度もある

ステップ3:就活を再開する

精神的なショックは大きいですが、現実的に就活を再開することが最優先です。ハローワークや就活エージェントを活用し、新たな就職先を探しましょう。

内々定取り消しは自分のせいではないケースも多くあります。気持ちを切り替え、「次こそは自分に合ったホワイト企業を見つける」という前向きな姿勢で就活を再スタートさせましょう。第二新卒・新卒枠で応募できる求人は多数あります。

★ 就活再開時に活用できるサービス

  • 新卒応援ハローワーク(無料):取り消しに遭った学生向けの特別求人情報を持つ
  • 就活エージェント:非公開求人の紹介・面接対策サポートが受けられる
  • 大学のキャリアセンター:企業との太いパイプを持ち、推薦枠で就活を進められる場合がある

6. 内々定取り消しを防ぐためにできること

取り消しを100%防ぐことは難しいですが、学生側でできる予防策はあります。詳しい取り消し理由の解説は内定・内々定の取り消し事例の記事をご確認ください。

◆ 取り消しリスクを下げるための行動

  • 単位を確実に取得する:内々定後も学業をおろそかにしない。余裕を持って卒業要件を満たす
  • ESの内容を正確に記載する:資格・経歴・受賞歴を誇張しない。後から確認されることを意識する
  • SNS管理を徹底する:内々定後も入社日まで投稿内容に注意する。過去の不適切な投稿は削除する
  • 承諾期限を守る:設定した期限内に必ず返答する
  • 複数社の内々定を並行して持つ:一社のみに絞りすぎると企業側の取り消しに対応できなくなる

よくある疑問Q&A

Q. 内々定 取り消し 違法 かどうかはどうやって判断する?

「就活を中断させた後の取り消し」「書面での合意後の取り消し」「合理的理由のない一方的な取り消し」は違法・不当とみなされやすいです。一方、学生側の問題(卒業不可・経歴詐称など)や企業の倒産は適法とされます。判断が難しい場合は弁護士や大学のキャリアセンターに相談しましょう。

Q. 内々定 保留 取り消された 場合も違法になる?

保留を企業に申し出て、その後に取り消されたケースでは、取り消しの理由と状況によります。保留中に企業から「他社の選考は進めないように」と指示されていた場合は、不当な取り消しとなる可能性があります。保留の正しい伝え方は内々定を保留したい時の伝え方の記事をご確認ください。

Q. 内定取り消し 違法 の場合、損害賠償はいくらくらい請求できる?

ケースによって大きく異なりますが、過去の裁判例では数十〜数百万円規模の賠償が認められた事例があります。認められる損害は「他社内定を辞退したことによる機会損失」「入社準備費用(引越し・資格取得費)」「就活再開にかかった費用と時間」などです。具体的な金額は弁護士に相談してください。

Q. 内々定 法的効力 はないのに、なぜ損害賠償が認められることがある?

法的な労働契約の成立とは別に、「学生の合理的な入社への期待」が一定の法的保護を受けると裁判所が判断するケースがあるためです。特に、企業が学生に就活を中断させたり、書面を交わしていた場合は保護の程度が高まります。

Q. 内定取り消し 相談 はどこにすればいい?

まず大学のキャリアセンターか新卒応援ハローワークへの相談をおすすめします。損害賠償を検討する場合は弁護士(法テラスで費用立替制度あり)、違法性が高い場合は都道府県労働局への申告も選択肢です。

まとめ

◆ この記事のまとめ

  • 内々定は法的拘束力のない約束だが、状況によっては法的保護が生じる
  • 「就活を中断させた後の取り消し」「書面合意後の取り消し」「差別的理由」などは違法・不当になりやすい
  • 学生側の問題(卒業不可・経歴詐称・期限未連絡)や企業の倒産は適法とされやすい
  • 損害賠償が認められた判例もあるが、専門家への相談が不可欠
  • 取り消しに遭ったら「①書面で理由確認→②相談窓口に連絡→③就活を再開」の3ステップで行動
  • 単位管理・ES正確記載・SNS管理・期限厳守・複数社並行が取り消し予防の5つの鍵

内々定の取り消しは決して珍しい出来事ではありません。万が一直面してしまっても、正しい知識と適切な相談先を知っておくことで冷静に対応できます。取り消しの理由や具体的な事例については内定・内々定の取り消し事例と理由の記事もあわせてご確認ください。

   
運営者情報

日本次世代企業普及機構 代表理事岩元 翔

東証1部上場企業の求人広告会社にて新卒・中途採用のコンサルティング業務を学び、その後ITベンチャー企業にて自社採用業務、教育業務に従事。2020年には一般財団法人日本次世代企業普及機構の代表理事に就任。これまでの経験、実績を活かし、経営者や従業員にとって道しるべとなる「ホワイト企業指標」を作り上げた。