内定・内々定の取り消し理由と実例|経歴詐称・SNS・業績悪化・損害賠償まで解説

2025.04.06

「内定をもらった後に取り消される」——就活生にとって最も避けたい事態のひとつです。しかし取り消しの多くには明確な原因があり、事前に知っておくことで対策が取れます。

結論として、内定・内々定の取り消しは、学生の責任で防げるものが大半です。特にSNSリスクは近年急増しており、「友達だけが見られる設定」も過信は禁物です。経歴の正確な記載・SNS管理・単位取得・返答期限の遵守の4点を徹底するだけで取り消しリスクは大幅に下がります。この記事では内定・内々定の違い・取り消し理由・実際の事例・SNSリスク対策・取り消しを防ぐ行動をまとめて解説します。

岩元翔

日本次世代企業普及機構 代表理事

岩元 翔

内定・内々定の取り消しは、学生の責任で防げるものが大半です。特にSNSリスクは近年急増しており、「友達だけが見られる設定」も過信は禁物です。ホワイト企業ほど採用後のリスク管理を厳格に行う傾向があります。経歴の正確な記載・SNS管理・単位取得・返答期限の遵守を徹底しましょう。

◆ この記事でわかること

  • 内定と内々定の違い(法的効力)
  • 求職者側が原因の取り消し理由5つ
  • 企業側が原因の取り消し理由
  • 大手企業の取り消し実例2件
  • SNSによる取り消しリスクと対策
  • 内定取り消しを防ぐためにできること
  • よくある疑問Q&A

◆ 関連記事:内々定とは?内定との違い・承諾・辞退の判断基準を完全解説

◆ 取り消しの違法性・損害賠償はこちら:内々定の取り消しは違法?損害賠償・対処法を解説

1. 内定と内々定の違い(法的効力)

まず、内定と内々定では法的効力が大きく異なります。取り消しへの対応も、どちらの段階かによって変わります。

◆ 内定と内々定の違い(一覧)

項目 内々定 内定
時期 10月1日より前 10月1日以降
法的効力 原則なし(口約束) 労働契約が成立
取り消しの扱い 状況次第で損害賠償が生じる 「解雇」と同等。正当な理由と手続きが必要
学生側の辞退 自由に辞退できる 入社日2週間前まで辞退可能

内々定は原則として口約束であり、企業側の理由だけで取り消しても違法性はありません。ただし、学生の期待が正当な程度に高まっていた場合は損害賠償が認められたケースもあります。違法性・損害賠償の詳細は内々定の取り消しは違法?損害賠償・対処法を解説をご確認ください。

2. 求職者側が原因の取り消し理由5つ

内定取り消し 理由

理由1:経歴詐称

学歴・年齢・資格・免許・受賞歴などについて故意による偽りがあった場合、内々定の取り消しを受ける可能性があります。卒業日や資格取得日の記載ミスなど、故意でないと判断される場合は取り消しに繋がる可能性は低いです。また、過去の法律違反・犯罪歴が発覚した場合も取り消しの対象になります。

特に注意が必要なのはGPA(成績評価値)の水増しや、インターンシップ参加経験の虚偽記載です。近年はESの内容を採用後に細かく確認する企業が増えており、些細な誇張でも問題になるケースがあります。ESを書く際は正確な情報のみを記載しましょう。

! NGな記載例:「TOEIC 700点(実際は650点)」「インターン参加(実際は説明会のみ)」「〇〇サークル代表(実際は役職なし)」——後から確認される前提でESを書くことが大切です。

理由2:素行不良(SNS・暴力行為など)

暴力行為・金銭トラブル・SNSでの不適切な投稿などが発覚した場合に取り消しリスクがあります。1回の問題行動で即取り消しになる可能性は低いですが、大手・有名企業や、SNSを通じて社会への影響が大きいと判断された場合は取り消される可能性があります。

特に近年問題になっているのが「バイトテロ」と呼ばれるアルバイト中の不適切な行動をSNSに投稿するケースです。投稿者が内定者・内々定者であることが判明した瞬間に、企業は取り消しの判断を迫られます。SNSリスクの詳細は後述のセクションで解説します。

理由3:健康上の問題

就業が困難と判断される事故・病気(精神的なものを含む)の場合も取り消しの可能性があります。ただし、企業の事業内容・規模によっては配属変更で対応し、取り消しを行わないケースもあります。

健康上の問題は個人の責任ではないケースも多いですが、内定後の健康診断で重大な問題が発覚した場合は、企業と率直に話し合うことが重要です。隠して入社しても、入社後に問題が深刻化するリスクがあります。

理由4:卒業できない(単位不足)

採用条件に「四年制大学卒業または卒業見込み」と記載している企業の場合、単位不足による卒業不可は内々定取り消しの対象になります。就活が忙しくなる3・4年生に向けて、1・2年生のうちに単位を多く取得しておくことが重要です。

内々定取得後も学業をおろそかにする学生は一定数いますが、これは非常に危険な行動です。内定先に卒業不可の見通しが出た場合は、できるだけ早く採用担当者に相談することが最善策です。隠し続けて直前に発覚するほど、企業への損害・迷惑が大きくなります。

理由5:承諾期限内に連絡しなかった

内々定についての承諾意思を期限内に伝えなかった場合は、基本的に取り消しとなります。返答期限は必ず守りましょう。「保留できないか」と相談すること自体は可能ですが、無連絡は最悪の対応です。

3. 企業側が原因の取り消し理由

企業側の内定取り消し

◆ 企業側の取り消し理由

  • 業績の著しい悪化:急激な経営悪化・倒産リスクがある場合
  • 不測の事態:天災・火災など企業存続が難しい状況
  • 採用計画の大幅変更:事業縮小・合併・組織再編などによる採用枠の消滅
  • 採用計画の単純な変更:明確な理由なく採用数を削減するケース(これは不当取り消しとして問題になる)

企業側の理由による取り消しは比較的少ないですが、正当な理由のない一方的な取り消しは損害賠償請求の対象になり得ます。企業側の取り消しリスクを下げるためには、内々定先の財務状況・業績推移・口コミ評判を事前に調べておくことが有効です。特にスタートアップ・ベンチャー企業はビジネス環境の変化に影響を受けやすいため、一社に絞らず複数社の選考を並行して進めることが就活のリスクヘッジになります。

4. 大手企業の内定・内々定取り消し実例2件

内定取り消し実例

実例1:内定者21名への一方的な内々定取り消し

■ 事例1(企業側の一方的取り消し)

A社は新卒採用で内定通知直前まで座談会を実施していたにもかかわらず、10月2日に内々定者21名に対して一方的に取り消しを行いました。この件は当事者の学生によるSNS投稿で発覚。A社はお詫びと今後の対応についてリリースを発表しました。なお、同社は不動産DX事業を展開しており、宅地建物取引士の資格取得を内定者に求めていたことも判明しています。

ポイント:内定通知直前まで選考プロセスを進めておきながら一方的に取り消したこの事例は、学生の合理的な期待を裏切る行為として問題になりました。企業側の都合による取り消しは、状況によって損害賠償の対象になります。

実例2:内定通知2日前の一方的な取り消し→損害賠償認定

■ 事例2(裁判で損害賠償認定)

B社は内定通知の2日前に一方的に内々定を取り消しました。内々定には法的拘束力はないものの、内定を想定していた学生の期待は「法的保護に値する程度に高まっていた」と裁判所が判断し、B社は損害賠償を支払うこととなりました。

ポイント:この事例は、内々定であっても状況によっては損害賠償が認められることを示す重要な判例です。取り消しの違法性・損害賠償の詳細は内々定の取り消しは違法?損害賠償・対処法を解説をご確認ください。

5. SNSによる取り消しリスクと対策

近年、SNSの普及によって内々定・内定取り消しのリスクが高まっています。企業によっては採用担当者が応募者のSNSアカウントを調査するケースがあり、「友人だけが見られる設定」も過信は禁物です。

! SNSで取り消しリスクがある行為

  • バイトテロなどの迷惑行為の投稿
  • 未成年飲酒の投稿(内定後に過去の投稿が掘り起こされるケースも)
  • 面接の様子や採用担当者への悪口・誹謗中傷
  • 過去の差別的発言・特定の個人への誹謗中傷の投稿
  • 内定先の企業や社員を揶揄・嘲笑する投稿
  • 他社の内定を複数比較するような投稿(採用担当者が見た場合に不快感を与える)
  • 企業の内部情報・選考内容の暴露

★ SNSリスクへの対策5つ

  • 「友人だけが見られる設定だから大丈夫」は危険:企業が裏アカウントの調査を行うケースが増えている。スクリーンショットを共有されるリスクもある
  • 過去の不適切な投稿は早めに削除:就活が始まる前に自分のアカウントを全部見直す
  • 就活期間中は投稿内容を特に慎重にする:「この投稿が採用担当者に見られたら」と常に意識する
  • 内々定・内定後も入社日まで注意を払う:内定をもらったあとに気が緩んで問題投稿をするケースが多い
  • SNSでの発信が信頼性に直結することを理解する:オンラインの行動もビジネスパーソンとしての姿勢のひとつ

6. 内定取り消しを防ぐためにできること

内定・内々定の取り消しの多くは事前の行動で予防できます。以下の5点を意識して行動しましょう。

◆ 取り消しリスクを下げる5つの行動

  • ① ESの内容を正確に記載する:経歴・資格・スキルは誇張せず、事実のみを書く。後から確認される可能性を常に意識する
  • ② 単位管理を徹底する:内々定取得後も学業をおろそかにしない。卒業に必要な単位数を把握し、余裕を持って取得する
  • ③ SNS投稿に注意する:内々定後も入社日まで、不適切な発言・行動をSNSに投稿しない。過去の投稿も見直して削除する
  • ④ 返答期限を厳守する:承諾・辞退・保留のいずれの場合も、設定した期限内に必ず連絡する
  • ⑤ 複数社の選考を並行して進める:一社に絞りすぎず、企業側の取り消しリスクに備えて複数の選択肢を持つ

よくある疑問Q&A

Q. 内定取り消し 事例 で最も多い理由は何?

学生側では「単位不足による卒業不可」と「SNSでの不適切投稿」が近年特に増えています。企業側では「業績の著しい悪化」が最も多いですが、正当な理由なき一方的取り消しも一定数発生しています。

Q. 内々定 取り消し 大手企業でも起きる?

起きます。本記事で紹介した事例1はスタートアップ企業でしたが、大手企業でも経営環境の急変や採用計画の見直しで取り消しが発生したケースがあります。企業規模に関わらず、複数社並行での就活が重要です。

Q. SNSで内定取り消しになった具体的なケースは?

アルバイト先での迷惑行為を動画投稿したケース・面接担当者の名前と発言をSNSに投稿したケース・特定の人物への誹謗中傷が掘り起こされたケースなどが実際に報告されています。投稿者が内定者と判明した時点で企業は迅速に対応するケースが多いです。

Q. 内定取り消し 減多にない というのは本当?

企業側による突然の一方的取り消しは確率的には少ないですが、ゼロではありません。特に近年はスタートアップ・ベンチャー企業での取り消しが増えています。一方、学生側の原因(単位不足・SNS問題)による取り消しは珍しくありません。

Q. 内々定 取り消し に遭った場合、法的に争える?

状況次第では損害賠償請求が認められたケースがあります。詳細な違法性の判断・相談窓口・対処手順については内々定の取り消しは違法?損害賠償・対処法を解説をご確認ください。

まとめ

◆ この記事のまとめ

  • 内定は労働契約が成立・内々定は口約束の段階。法的効力が大きく異なる
  • 求職者側の取り消し理由:経歴詐称・SNS素行不良・健康問題・卒業不可・期限内未連絡の5つ
  • 企業側の取り消し理由:業績悪化・不測の事態・採用計画変更など。一社集中はリスクが高い
  • 一方的な取り消しでも、状況によっては損害賠償が認められたケースがある
  • SNSの「友人だけ設定」も過信は禁物。裏アカウント調査を実施する企業も増えている
  • 取り消しを防ぐには「正確なES記載・単位管理・SNS注意・期限厳守・複数社並行」の5点が有効

内定・内々定取り消しの多くは、事前に防ぐことができます。経歴は正直に記載し、SNS利用に気をつけ、単位管理と返答期限の遵守を徹底しましょう。万が一取り消しに遭った場合の対処法については内々定の取り消しは違法?損害賠償・対処法を解説をご確認ください。

   
運営者情報

日本次世代企業普及機構 代表理事岩元 翔

東証1部上場企業の求人広告会社にて新卒・中途採用のコンサルティング業務を学び、その後ITベンチャー企業にて自社採用業務、教育業務に従事。2020年には一般財団法人日本次世代企業普及機構の代表理事に就任。これまでの経験、実績を活かし、経営者や従業員にとって道しるべとなる「ホワイト企業指標」を作り上げた。