【金融業界の基礎知識】詳細業種と志望動機の考え方について

2023.03.31
#企業分析#働き方#就活基礎知識#自己分析

金融業界は例年学生から人気の業界です。

学生の皆さんはまだ金融業界とのかかわりが少ないと思いますので、どんな仕事をしているのか、確認してみましょう。

1.金融業界について

①金融業界とは

金融業界とは、様々な形でお金に関わり、社会経済を支えるのが金融業界です。

 

金融業といえば銀行を想像する方も多くいらっしゃると思いますが、銀行以外にも個人や企業へ株式や債権などの金融商品を販売する証券会社や、保険商品の販売を手がける生命保険や損害保険会社。他にも、クレジット会社や信販会社、リース会社、商品先物取引会社などがあります。お金の貸付以外にも、金融商品や保険の販売など、お金に関わる仕事が広く金融業界と呼ばれています。個人や法人にお金を貸し出してその利子を得たり、先に資金を集めて運用し、いざというときに出資者にお金を支払ったりするのが主なビジネスモデルです。

 

内閣府の令和3年実施の学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査報告書によると、情報製造業界、通信業界に次いで、金融業界は大学生に人気のある業界となっています。

 

2.金融業界の詳細業種・職種について

【銀行】

お金の貸付以外にも、金融商品や保険の販売など、お金に関わる仕事が広く金融業界と呼ばれています。個人や法人にお金を貸し出してその利子を得たり、先に資金を集めて運用し、いざというときに出資者にお金を支払ったりするのが主なビジネスモデルになります。

国内の銀行は、グローバルに多様な金融サービスを取り扱うメガバンクをはじめ、信託業務に力を発揮する信託銀行、地域経済に密着したきめ細かいサービスを行う地方銀行や第二地方銀行、会員や組合員の出資による協同組織である信用金庫や労働金庫、信用組合があります。


・メガバンク

メガバンクとは巨大な収益規模や資産を有する銀行・銀行グループのことで、

大企業に多額の融資を行うこともあります。

 

【日本のメガバンク例】

みずほフィナンシャルグループ

三菱UFJフィナンシャル・グループ

三井住友フィナンシャルグループ

 

 

・地方銀行

地方銀行とは、地域に根差した金融活動を行う銀行のことを指します。

地方銀行は、主に本店が所在する地域の有力企業や中小企業などを対象に、融資を行います。

 


・信託銀行

信託銀行は、現金や不動産、証券といった顧客の財産を「信託」という形で引き受け、管理、運用を行います。

主に大きな資産を持つ個人を対象に、不動産や有価証券を活用した資産運用をサポートすることを業務としています。

 


・信用金庫

信用金庫とは、中小企業・個人の会員からお金を集めて、集めた資金などをもとに、

会員や会員以外の顧客に融資を行います。

 

≪銀行との違い≫

経営理念に違いがあります。

銀行は、株式会社であり、株主の利益が優先されます。また、大企業を含む全国の企業等との取引が可能です。

信用金庫は、地域の方々が利用者・会員となって互いに地域の繁栄を図る相互扶助を目的とした協同組織の金融機関で、主な取引先は中小企業や個人です。利益第一主義ではなく、会員すなわち地域社会の利益が優先されます。さらに、営業地域は一定の地域に限定されており、お預かりした資金はその地域の発展に生かされている点も銀行と大きく異なります。


【証券会社】

証券業界の主なビジネスモデルは、投資家が株式や投資信託といった金融商品を購入する際の仲介を行うことで仲介手数料を得たり、株式の運用を行うことで利益を上げたりすることです。


・大手独立系

大手独立系の証券会社とは、他社と資本関係を結ばない、国内最大規模の証券会社のことです。個人投資家を対象とするリテール業務をはじめ、海外を拠点とした業務など、様々な業務を取り扱います。

 

【企業例】

大塚商会

BIPROGY

オービック

TIS

 


・銀行系

銀行系証券会社とは、メガバンクのフィナンシャルグループに属する証券会社のことです。

銀行系の証券会社は、銀行との連携を強めることで、大手独立系に次ぐ大規模な事業を展開しているのが特徴です。

 

【企業例】

みずほ証券

三菱UFJモルガン・スタンレー証券

SMBC日興証券

 


・準大手・中堅系

国内証券会社の中では、国内大手独立系、銀行系に次ぐ規模を誇り、特定の地域に確固たる地盤を有しています。

 

【企業例】

岡三証券

東海東京証券

 


・外資系

外資系証券会社とは、外国法人または外国人が一定以上の割合で出資を行っている証券会社のことを指します。外資系証券会社の中には、大企業や機関投資家、公共機関などの顧客を対象としたホールセール業務など、収益性の高い業務に力を注ぐ会社もあります。

 

【企業例】

ゴールドマン・サックス

モルガンスタンレーグループ

バークレイズ

 


・ネット証券会社

営業店を設置せずネット上で金融商品の仲介を行う証券会社です。

リテールマーケットを主要なターゲットとし、手数料の安さを武器に急成長しています。その為、上記分類の証券会社に比べ、営業系の採用職種は極めて少なく、IT系・企画系のポジションが中心となります。

 

【企業例】

楽天証券

SBI証券

GMOクリック証券

 

 

証券会社の代表的な仕事としては、「リテール」「リサーチ」「インベストメントバンキング」の3つが挙げられます。

 


【保険会社】

保険業とは、不測の事故に備えたい人から保険料を払い込んでもらい、所定の事故が発生したときに保険金を支払う、というサービスを提供する事業のことを指します。


・生命保険会社

契約者から保険料を受け取り、契約内容に応じて保険金を支払う「保険業務」と、顧客から集めた保険料を運用して資産を増やし、保険金や配当などの財源にする「資産運用(金融業務)」に分けられます。生命保険会社が取り扱う商品としては、「第一分野」と呼ばれる、終身保険や養老保険、個人年金保険などが挙げられます。

 

【企業例】

ソニー生命

ライフネット生命

アフラック

 


・損害保険会社

損害保険会社の仕事は、保険商品を販売したり、事故や災害の損害査定を行い、被害者に保険金を支払う手続きをしたりすることです。

損害保険会社では自動車保険や火災保険など、事故や突発的事象による損害を補償する、「第二分野」の保険商品を取り扱います。

なお、保険商品には医療保険やがん保険など、生命保険会社も損害保険会社も取り扱うことができる、「第三分野」と呼ばれる商品があります。

 

【企業例】

東京海上日動火災保険

損害保険ジャパン

三井住友海上火災保険

あいおいニッセイ同和損害保険

 


【クレジットカード会社】

クレジットカード会社は、カードを支給して手元にお金がなくても商品が買えるというサービスを提供しており、利用者とカードの加盟店両方から利益を得るのがビジネスモデルです。利用者からはカードの年会費や、分割・リボ払いなどの手数料をもらっています。一方加盟店からは、カードが利用されるごとに一定の加盟店手数料を集めて収益につなげています。近年ではキャッシュレス決済が主流化になり、追い風になっています。

 


【信販業界】

信販会社は信用供与をするのが特徴です。

信用をもとに「融資」「与信保証」「ショッピングクレジット」といった取引をします。

加盟店の手数料やキャッシングが収入源となっています。

 

≪クレジットカード会社との違い≫

信販会社は融資やショッピングクレジットといったさまざまな信用取引を行っているのに対し、

クレジットカード会社はクレジットカードを発行するのみで、ローンは取り扱っていません。

ただし、信販会社の業務にはあらゆる信用取引が含まれるため、クレジットカードを取り扱っている場合もあります。

 


【政府系金融機関】

政府系金融機関とは、日本国内の経済発展や中小企業の活動支援といった目的を達成するため、政府によって設立された銀行です。出資金の多くを政府が出していることから政府系金融機関と呼ばれています。

政府系金融機関は、エネルギー資源の供給や農林水産業の近代化の促進といった面から、日本の経済成長を支えてきました。時代が進むにつれて5つになり、それぞれ独自の目的や役割があります。中小企業への融資や経営サポート、地域産業の活性化、国の教育ローンの取り扱いなど、国民の安定した生活や経済の発展に貢献しているのが特徴です。

 

≪政府系金融機関≫

日本政策金融公庫

日本政策投資銀行

国際協力銀行

商工組合中央金庫

沖縄振興開発金融公庫

 


【不動産金融】

不動産分野と金融分野を融合した業界です。資産価値のある土地やビルを有価証券に替えて資金を調達する「不動産証券化」やローン返済において責任範囲を限定できる「ノンリコースローン」、インカムゲインやキャピタルゲインで利益を得る「不動産投資」があります。

 


【リース会社】

リースとは器具や設備を長期的に貸し出すサービスです。リース会社は最初に自社で商品を調達し、顧客からリース料を受け取ることで利益を上げています。

レンタルサービスに比べて、貸し出し期間が長いのが特長です。一般にリースでは、貸出期間が半年〜10年ほどとなっています。企業側は初期費用をおさえて設備を導入できるのがメリットです。


・ファイナンス・リース

原則として中途解約できないリース契約のことで、物件の購入代金の他、固定資産税、保険料など全ての費用をリース料金として支払う「フルペイアウト」が条件となっています。

なお、企業がファイナンス・リースによって物件を借りた場合、物件の購入と同様の経費計上を行う必要があります。


・オペレーティング・リース

原則として利用者が必要とする期間だけ物件を使用するリース契約のことです。オペレーティング・リースは、リース会社が、リース期間満了時の価値である残価を算出し、物件の購入価格から残価を差し引いた金額をリース料として設定するのが特徴です。オペレーティング・リースでは、利用者がリース期間を自由に設定することができます。

 


【アセットマネジメント】

アセットマネジメントは、個人や機関投資家がもつ資産の管理運用を代行するサービスです。大きく分けると、「投資信託」と「投資顧問」の2種類に分けられます。

 

3.金融業界での就活について

①金融業界の将来性

金融業界は市場規模が大きく、業界全体として安定している傾向があります。業界動向サーチの業界別 業界規模ランキングによると、業界規模は64兆円を超え第4位の規模になっています。

 

新型コロナウイルスの影響を受け、業績が下がった銀行や保険会社などもありますが、ネット証券などに関してはそのような打撃は少なく、今後も成長の見込みがあります。

 

また、既存の企業の市場占有率が高いことより、新規企業との競争リスクは比較的低く、安定しているといえます。

 

②金融業の求人倍率

冒頭で人気の高い業界だと記載している通り、金融業界の求人倍率は23卒で0.22倍となっています。つまり、4~5人に1人が合格ということになりますので、対策が必要です。

 

ワークス大卒求人倍率調査(2023年卒):https://www.works-i.com/research/works-report/item/220426_kyujin.pdf

 

③志望動機

なぜ金融業界を志望しているのか、なぜこの企業なのか、成し遂げたいことは何かを相手に伝わるように作成しましょう。

 

また、金融業界はコロナ禍によりキャッシュレスの普及が急速に進んだりと今後の動向についても予測を行う必要があり、何を成し遂げたいかを考える際に、何が流行る世の中なのか・何を流行らせられるのかを含めて考えると相手に伝わりやすい現実的な目標となります。

 

また、金融業界でも銀行、証券、生命保険、、、とそれぞれできることが別になりますので自分が何をしたいのか、自分がしたいことはどの企業であれば成し遂げられそうなのかを考えましょう。

 

3.まとめ

金融業界は学んでいくことの多い業界だと思います。

 

だからこそ、就活時には熱意が求められます。同じ業種でも取り扱いの商品や分野に特徴があり、社風も異なるので、自分の成し遂げたいことに最も近い企業を見極めましょう。

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